ほごログ(文化財課ブログ)

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武里大枝公民館に手作りジオラマを展示しました

本日、武里大枝公民館に手作りの粕壁宿ペーパークラフトを展示しました。一昨年度から各地の公民館を巡回して展示しているジオラマです。

写真:大枝公民館の展示風景

手づくりの粕壁宿模型は、粕壁宿再現プロジェクトに参加した子どもたちが造ったペーパークラフト模型をもとに、江戸時代の粕壁宿の町並みを復元したジオラマです。
模型の詳しい解説については、
「ペーパークラフトでめぐる粕壁宿」(郷土資料館ホームページ)をご覧下さい。

「粕壁宿の模型?武里・大枝には関係ないや」っと思った方、そんなことありません。
当時、公用の通行などで宿場町で提供する人馬が不足すると、周辺の農村に人馬の提供が求められていました。宿場町に人馬を提供する村を助郷(すけごう)といいます。
武里地区の村々、具体的にいえば、一ノ割・備後・薄谷・中野・大場・大畑・大枝村は延宝8年(1680)に粕壁宿の「大助」(大助郷:臨時に動員された助郷)でしたし、享保8年(1723)には一ノ割・備後・薄谷・中野・大場村が定助郷(じょうすけごう)に指定されていました(『春日部市史通史編Ⅰ』570~571頁)。助郷の村から動員された人馬は、宿場町の問屋場というところに集められ、隣の宿場町まで人や荷物を運びました。
粕壁宿の問屋場は、現在の埼玉りそな銀行のあたりあったといわれています。手作りのジオラマには馬が放牧されています。

写真:問屋場
江戸時代、武里・大枝から問屋場に向かった先人たちに思いをはせて、ぜひ手作りジオラマをご覧いただければと思います。7月上旬まで展示予定です。

小淵山観音院で円空仏祭が開催されております

 前夜からの荒天から風雨が静まった5月3日、小淵山観音院では埼玉県有形文化財である「小渕観音院円空仏群」の公開が始まりました。
 境内には市民ボランティアの皆様によるカフェの出店のほか、円空仏の案内コーナーが設けられ、円空や作像された作品についてお答えしております。3日の午後1時からは県内外の修験寺院による護摩焚きも行われ、本堂では”円空”の空間がよみがえりました。
 

 ▲新緑に覆われた境内には五月の爽やかな風が吹き抜けています。

▲円空仏が公開されている本堂。護摩焚きと共に時空を超えた円空が造像した江戸時代に時がさかのぼったような静寂に包まれました。

▲市民ボランティアの皆様による”円空仏”に関する案内コーナーもあります。親切・丁寧に解説していただけます。
円空仏の公開は6日まで行われます。
年1度の貴重な機会ですので、是非とも足を運んでみてはいかがでしょうか!

ゴールデンウィーク中の指定文化財公開

このゴールデンウィーク中、春日部市内では、『牛島のフジ』や、『大凧あげ祭り』、『小淵山観音院の円空仏』と各種の文化遺産が続々公開されます。
郷土の宝の見学に出かけみてはいかがでしょうか。

藤花園の開園
「牛島のフジ」国指定特別天然記念物)
日時:
平成30年4月14日(土)~5月6日(日)8:00~18:00 
場所:藤花園(春日部市牛島786)
入園料:
大人1,000円 、子供500円(4歳以上小学生まで)
詳細は下記ページをご覧ください。
藤花園サイト
 
大凧あげ祭り
「宝珠花大凧揚げ」春日部市指定無形民俗文化財・国選択無形民俗文化財)
日時:平成30年5月3日(木)、5日(土)
場所:西宝珠花江戸川河川敷
大凧は3日、5日とも午後2時ごろにあげられます。
詳細は下記ページをご覧ください。
大凧あげ祭り(春日部市公式サイト)

円空仏祭
「小渕観音院円空仏群埼玉県指定有形文化財)
「小渕山観音院仁王門」(春日部市指定文化財)
日時:平成30年5月3日(木)~6日(日)10:00~17:00
場所:小淵山観音院(春日部市小渕1634)
拝観料:500円(お1人様1日限り、中学生以下無料)
詳細は下記ページをご覧ください。
小淵山観音院仁王門と円空仏群の公開(春日部市公式サイト)
観音院公式サイト

古文書解読勉強会の成果(その5)

平成30年4月14日(土)に古文書解読勉強会を行いました。
引き続き、郷土資料館所蔵の神間村文書を解読しました。
次回は、5月19日(土)14時~16時(場所:視聴覚センター4階研修室1)を予定しております。みなさま奮ってご参加ください。
※前回までの成果は、上の「郷土資料館からのお知らせ」のリンクをご参照ください。

 【史料番号3】

   米借用一札之事

 一、米 六俵   但し 四斗入

     両ニ 八斗七升五合がへ
右は摏米ニ御無心借用仕、慥ニ請取申所

実正ニ御座候、然上ハ月五合のべ之勘定を

以当十一月ニ相成候ハヽ右米代金無相違

不残御勘定仕候、為念米借用一札入置申所

仍而如件
  嘉永二酉ノ年

    閏四月    宝珠花村

              釜屋次兵衛(印墨抹消)
(後筆)「不用書」

         神間村

            源兵衛殿

神間村文書3
(ひとことメモ)
本史料は宝珠花の商人釜屋次兵衛が神間村源兵衛に搗米(つきごめ・白米)6俵を借用した証文。ひと月に五合の利息を加え、十一月に米の代金(1両につき白米8斗7升5合の相場)を返済すると契約している。おそらく返済を終え、この証文は失効したため釜屋次兵衛の印が墨で抹消され、後筆で「不用書」と記したものとみられる。

 

  【史料番号5】

   当辰御年貢米永皆済目録
一、米七拾五俵五合三勺九才  但し四斗入

   内

   米弐俵         名主給米被下候

   同三斗弐升      人足扶持被下候

   同壱斗六升八勺   堀式引

   同壱俵         大豆代米

 〆米四俵八升八勺

残而

   米七拾俵三斗弐升四合五勺九才

    此内

     米拾三俵弐斗   源兵衛御扶持高被下候

 残米

   五拾七俵壱斗壱升九合壱勺九才

           両九斗五升かへ

   此永弐拾四貫百弐拾五文四分

   畑方

一、永九貫九百七拾六文壱分

一、同五百文        大豆弐俵之

                  代両石六斗かへ

一、同七百九拾文     夫給金

一、鐚壱貫八拾文     竹莚縄之代

     此永百六拾四文七分  
右は当辰御年貢米永小物成共、書面

之通り御上納仕候所相違無御座候以上


                 葛飾郡神間村

天保三年辰閏十一月      名主 山崎源兵衛㊞

 能勢十次郎様御内

       御役人中様

 

(裏書)

「表書之通相違無之もの也

  能十(朱印・印文「福徳」)」
神間村文書5
(ひとことメモ)
神間村のうち、旗本能勢氏の知行所の分の、天保3年(1832)の年貢皆済目録。年貢皆済目録とは、一般に、江戸時代、村方が年貢を完納した際に領主側が出す年貢の領収書をいうが、本史料からは、旗本能勢氏知行所では、村の名主が能勢氏の役所に年貢の上納を報告し、これを受けて旗本能勢十次郎が自ら「皆済目録」の裏面に署名捺印をして、名主あてに返却し、年貢完納の証明としたことがわかる。裏書の能勢氏の印は、江戸時代には特に高貴な身分の者しか用いれなかったとされる朱印であり、珍しい事例と思われる。
神間村文書5裏書

お知らせ 牛島のフジのゆかりの歴史的な資料を展示しています

藤の花が見ごろな季節となりました。そして、4月22日(日)は第37回「春日部藤まつり」。
藤は春日部市のシンボルとして親しまれています。藤の花が春日部の象徴となったのは、市内幸松地区にある国の特別天然記念物「牛島のフジ」が伝統的な観光地だったためです。
郷土資料館では、藤の花が見ごろなこの季節に合わせまして、常設展示の一部を展示替し、牛島のフジゆかりの歴史的な資料を展示しています。

春日部が観光地となり、町がどうかわっていったのか、どのような人が訪れたのか、については絶賛開催中の
春季展示「かすかべの宝もの15近代の交通・流通」展で紹介しています。
牛島のフジの古写真は、郷土資料館HPのかすかべデジタル写真館でもご覧になれます。
あわせてお楽しみください。