古文書解読勉強会の成果(その5)
引き続き、郷土資料館所蔵の神間村文書を解読しました。
次回は、5月19日(土)14時~16時(場所:視聴覚センター4階研修室1)を予定しております。みなさま奮ってご参加ください。
※前回までの成果は、上の「郷土資料館からのお知らせ」のリンクをご参照ください。
【史料番号3】
米借用一札之事
一、米 六俵 但し 四斗入
両ニ 八斗七升五合がへ
右は摏米ニ御無心借用仕、慥ニ請取申所
実正ニ御座候、然上ハ月五合のべ之勘定を
以当十一月ニ相成候ハヽ右米代金無相違
不残御勘定仕候、為念米借用一札入置申所
仍而如件
嘉永二酉ノ年
閏四月 宝珠花村
釜屋次兵衛(印墨抹消)
(後筆)「不用書」
神間村
源兵衛殿
(ひとことメモ)
本史料は宝珠花の商人釜屋次兵衛が神間村源兵衛に搗米(つきごめ・白米)6俵を借用した証文。ひと月に五合の利息を加え、十一月に米の代金(1両につき白米8斗7升5合の相場)を返済すると契約している。おそらく返済を終え、この証文は失効したため釜屋次兵衛の印が墨で抹消され、後筆で「不用書」と記したものとみられる。
【史料番号5】
当辰御年貢米永皆済目録
一、米七拾五俵五合三勺九才 但し四斗入
内
米弐俵 名主給米被下候
同三斗弐升 人足扶持被下候
同壱斗六升八勺 堀式引
同壱俵 大豆代米
〆米四俵八升八勺
残而
米七拾俵三斗弐升四合五勺九才
此内
米拾三俵弐斗 源兵衛御扶持高被下候
残米
五拾七俵壱斗壱升九合壱勺九才両九斗五升かへ
此永弐拾四貫百弐拾五文四分
畑方
一、永九貫九百七拾六文壱分
一、同五百文 大豆弐俵之
代両石六斗かへ
一、同七百九拾文 夫給金
一、鐚壱貫八拾文 竹莚縄之代
此永百六拾四文七分
右は当辰御年貢米永小物成共、書面
之通り御上納仕候所相違無御座候以上
葛飾郡神間村
天保三年辰閏十一月 名主 山崎源兵衛㊞
能勢十次郎様御内
御役人中様
(裏書)
「表書之通相違無之もの也
能十(朱印・印文「福徳」)」
(ひとことメモ)
神間村のうち、旗本能勢氏の知行所の分の、天保3年(1832)の年貢皆済目録。年貢皆済目録とは、一般に、江戸時代、村方が年貢を完納した際に領主側が出す年貢の領収書をいうが、本史料からは、旗本能勢氏知行所では、村の名主が能勢氏の役所に年貢の上納を報告し、これを受けて旗本能勢十次郎が自ら「皆済目録」の裏面に署名捺印をして、名主あてに返却し、年貢完納の証明としたことがわかる。裏書の能勢氏の印は、江戸時代には特に高貴な身分の者しか用いれなかったとされる朱印であり、珍しい事例と思われる。