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令和7年度
栃管協結成60周年記念教育講演会
去る11月29日(度)栃管協・栃教協共催の教育講演会を開催しました。栃管協からは、会員、市町管協会長、役員合わせて約170人が参加していただきました。
今年は、栃管協が結成60周年を迎えたため記念講演会とさせていただきました。開会行事では、両団体を代表して鍋谷会長が、
「栃管協・栃教協は、給与勤務条件の改善・教育環境の整備などを活動の柱に掲げていますが、本日の講演会はその柱の一つ、教育専門職としての研修の充実に当たるものです。国では次期学習指導要領の論点整理が出され、各ワーキンググループで審議がされております。文部科学省では学校現場における生成AIの利用についてというサイトを立ち上げ、生成AIの利活用に関するガイドラインが示されています。今後、教育現場では、さらにギガスクール構想の推進とともに 働き方改革と教育の情報化へ。 具体的にはAIの公務利用から教育利用へ。この活用が加速していくと予想されます。 本日は講師として池谷裕二氏をお招きして、ご講演をいただきます、とても興味深いテーマであり、私もとても楽しみにしているところです。この講演会がこれからの栃木の教育を担う 教育専門職としての皆様にとって、 ご自身を更にバージョンアップされる機会としていただけますよう祈念いたします。」と挨拶しました。
講演会では、東京大学薬学部教授 薬学博士・脳研究者 池谷裕二 氏に、
「AIがもたらす未来~人工知能の現在とこれからの社会~」
と題して、ご講演をいただきました。
講演内容のごく一部ですが、要約してご紹介します。
人間らしさとして、直感・創造・発想・芸術を挙げる人は、人間らしさをきちんと理解していない。AIは、人よりも高いレベルで直感・創造・発想・芸術を発揮できる。
ChatGPTよりも創造性の高い人は9.4%しかいないというデータがある。世界のトップ9.4%の人類に入る自信がない人はChatGPTを使わない理由がもはやない。
「気が利く」という単語があるのは、人は気が利かないから。みんながみんなすごく気が利くなら、「気が利く」という言葉は必要ない。人間は基本的に気が利かないし、気遣い下手。気が利くとか気遣いって、恐ろしく機械的な作業である。人間は機械的な作業が苦手である。
アメリカなどでは、カウンセリングで7割の患者が生身の医者よりAIを選ぶ。なぜか。AIは、我慢強い。長い時間拘束しても、絶対に貧乏揺すりしない。時計チラチラ見ない。顔に出ない。うっかり発言をしない。所詮ロボットなので、人には言えないプライベートで恥ずかしいことでも全部さらけ出せる。どうして患者たちが生成AIを欲するのかを見ることによって、人間の医者に何が足りていなかったのか分かってくる。「AIの振り見て、我が振り直せ」である。これは別に精神科医だけの話ではなく、全ての仕事もそうだ。
人間らしさとは、人間がまるで息をするかのように自然に実現できること。それは、自然にできているから思い当たらない。例えば、人間は身体を持っている。しなやかな運動と豊かな感覚は、AIにはない。楽しんで 生きるというのも人間の特徴。人間とAIはかなり違っていて、得意とする分野も違う。両者が協働して、お互いに苦手なものを補いながら、さらに高めていくことが大切。
今年「東大理3合格者」の8割以上がChatGTPを使って勉強していた。これは、生成AIを使わないで、もし勉強する生徒がいたら、明らかに時代遅れということを意味している。宿題を「AIなんか使ってやっちゃダメだよ。」と言っている先生は、もう先生じゃない。むしろ先生はどうやって使うかを教えてあげなければいけない。悪い使い方は「答えを出してもらう」「代わりに宿題やってもらう」これだけ。楽するために使っちゃダメ。理解を深める支援者として使う。自分の考えを深めたり、新しい概念を習得したりするのに使うこと。
※これからの時代は、AIを使って学習するのが当たり前の時代になると池谷先生はおっしゃっていました。教員は、AIを児童生徒が正しく使えるように指導する必要があります。それだけではなく、「子供たちがAIを使って思考力を高める(AIを正しく使う=答えを丸写ししない)」そんな授業をデザインする能力が求められるいます。
※AIを使うに当たっての注意点等については、12月10日発行の会報179号にてご紹介させていただきます。是非ご覧になってください。
第4回理事会
11月27日(木)に第4回理事会を実施しました。
今回の理事会では、第2回対県正式協議において、県教委からいただいた回答の確認とそれを受けて次年度の要望をどうするか検討を行いました。
今年度の要望を継続するのか、削除するのか、要望の文言を変えてはどうか、新規に要望を入れてはどうかなど様々な意見がでました。理事会の結果をまとめ、1月の第5回理事会で令和8年度の要望を検討します。会員の皆様からも要望したいことがありましたら、事務局までご連絡ください。検討させていただきます。
管理職の処遇改善は、少し前進しましたが、教育現場をめぐる情勢は未だ厳しい状況にあります。
会員の皆様の困り感が、要望活動を原動力です。みんなで力を合わせて栃木の教育振興に努めて行きましょう。
署名簿提出
栃管協会員の皆様にご協力いただきました署名を11月19・20日に内閣総理大臣と衆議院議長に全日教連本部役員が提出してまいりました。
○ 内閣(高市早苗 内閣総理大臣) 11月20日(木) 木原稔内閣官房長官へ提出 25,022筆
○ 国会(額賀福志郎 衆議院議長) 11月19日(水) 紹介議員 岸信千世議員 24,890筆
計 49,912 筆
会員の皆様には、ご協力いただきありがとうございました。改めて感謝申し上げます。
第2回対県正式協議
11月17日(月)13時30分から、県庁北別館401会議室において、県教委と第2回対県正式協議(交渉)を実施しました。6月20日(金)の第1回対県正式協議(交渉)において、栃管協が要望した25項目に対して、県教委から最終回答がありました。
栃管協からは、鍋谷会長をはじめ、13名の役員が出席しました。県教育委員会からは、中村教育長、武藤教育次長(管理)、大髙教育次長(指導)をはじめ22名が出席されました。
挨拶する中村教育長 挨拶する鍋谷会長
中村教育長からは「財政状況が厳しい中、法令・制度上の観点からも直ちに設置・改善がなかなか困難な状況にございます。ご意見の趣旨に沿ってできるとことから少しでも改善を図れるよう、また一歩踏み出せるよう頑張ってまいりたい思っておりますので、今後ともご理解ご協力をよろしくお願いいたします。」というお話しをいただきました。
鍋谷会長は、県教委からの回答に対して「働き方改革リーフレット作成、オンライン研修の増加、介護休暇の法整備、人材確保に向けた取り組み等を年度内に実施いただいたこと。35人学級の継続、加配教員の推進等を確認することができました。また、栃管協と同じ思いをもって、国へも要望をしてくださっていることも確認いたしました。栃管協は、全日教連を通じて、国へ要望を行ってまいります。短期、中期、長期の視点から要望内容を精査し県にも同じく要望を継続してまいります。今後とも、よろしくお願いいたします。」と述べました。
また、中村教育長からは夏以降に立て続けに起こっている教職員の不祥事について、「不祥事の根絶に向けましては、機会あるごとにお願いしてまいりました。不祥事が相次いで発生する状況になっているが、なぜだろうという強い疑問が沸いてまいります。県教委として、この事態を受けて、改めて県内の学校の教職員一人一人に対して、教職員は児童生徒を守り、その成長を支えていく立場にあると、その覚悟と今後不祥事を絶対に起こさない。起こさせない。という覚悟を教職員一人一人に浸透させなければならないと考えております。先月24日には、教職員による不祥事の根絶に向けたメッセージを各学校に配付いたしましたが、各学校事でそれぞれのご対応をしていただいていると伺っております。管理職の皆様方も、是非部下職員一人一人の危機意識を管理職と同レベルまで高めていただき、不祥事を起こさない学校風土作りにお力添えをお願いしたいと思っております。教職員一人一人が高い志をもち続けること、それから情熱をはき違えないこと、そういったことなどを人材育成の観点からも面談や教職経験に応じた働きかけが必要と考えております。何にしても何らかの予兆なり、前触れといったものが考えられます。是非とも、次の時代を担う優秀な人材の確保に向けましても、教職・教員の魅力を我々教員自らが発信できるように管理職員協議会の皆様方からのご支援を引き続きお願いいたします。」とのお話もありました。
それを受けて、鍋谷会長は「教育長のお言葉を重く受け止め、本日の協議内容と合わせて、会員に伝えていく。」と述べました。
本会の目的は、「学校管理職員等が教育に専念し、教育効果を高めるために、その地位の向上をはかり、もって栃木県教育の振興に寄与すること」です。度重なる不祥事は、この目的達成に大きな障害となります。改めて会員一人一人が、不祥事を起こさせない学校風土作りを推進し、安心・安全、そして信頼される学校を作ってまいりましょう。
なお、協議の結果については、会報にて報告させていただきます。
第9次中央要請行動(国会議員)
11月4日、5日に全日教連役員及び各単位団体専従は、第9次中央要請行動として、国会議員に対して教育施策に関する要望を行いました(秘書対応及び要望書のお渡しのみも含む)。栃管協からは吉田事務局長が参加しました。
国会議員の方々は全日教連の要望内容に理解を示してくださり、非常に有意義な意見交換を行うことができました。
要望内容1:学級編制標準の引下げと教職員定数の改善を!
◆ 学級編制標準の引下げ
→ 高等学校での35人学級化の実現
→ 小学校・中学校の更なる少人数学級化の検討
◆ 教職員定数の改善
→ 多様化する教育課題に対応した定数算定
→ 小学校教科担任制の拡大
→ 「若年層サポート教員(仮称)」の配置
要望内容2:働き方改革の更なる推進を!
◆ 「学校と教師の業務の3分類」に基づく業務適正化
→ 学校以外が担うべき業務の切り離し
◆ 支援人材の配置拡充
→ 教員業務支援員・学習指導員
→ 副校長・教頭マネジメント支援員
→ スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー
要望内容3:教師不足を解消するための処遇改善を!
◆ 教職調整額の引き上げ
→ 10%への速やかな引上げ
◆ 諸手当の新設・拡充
→ 管理職手当等の拡充
→ 特別支援教育コーディネーター手当等の新設
要望内容4:教職員のメンタルヘルス対策を!
◆ 教職員が心身ともに健康を維持して教育に携わることができる環境づくりを
→ 「学校問題解決支援コーディネーター」の配置拡充
→ 「スクールロイヤー」の配置支援
要望内容5:教育DXに関する環境整備を!
◆ 安定した利活用のための通信環境の整備
◆ 校務DXに向けた環境整備
→ 次世代校務DX環境への移行
→ 高校入試事務のデジタル化
→ 調査のオンライン化
要望内容6:安全・安心を保障する環境整備を!
◆ 支援相談体制の拡充
◆ 登下校中を含む教育活動中の事件事故から子供たちを守る方策
◆ 教師が安心して教育活動に専念できる環境づくりを
◆ 学校施設の改修整備
要望内容7:教育格差のない教育の実現を!
◆ 地財措置された経費の確実な予算化を
→ 地方自治体に積算された経費を教育予算として活用
要望内容8:学校教育の充実に向けた法整備の実現を!
◆ 義務教育費国庫負担制度の改正
→ 教材費等の義務教育に係る費用の全額国庫負担
◆ 教育基本法改正
→ 「高等学校」について明記
◆ 憲法改正
→ 国の教育に対する責務について言及
今回の要望では、120名(秘書対応含む)の国会議員の方々に現場の声を届けてまいりました。栃管協は今後も全日教連とともに教育環境改善等について要望をし、教職員の魅力向上を図るとともに、子供たちへの教育充実を目指してまいります!