活動報告

2025年9月の記事一覧

令和8年度教育予算要望

 9月8日(月)県教育長・知事に対して、栃管協会長・副会長・事務局長・事務局次長の8名で、令和8年度の予算編成に向けての教育予算要望を行いました。

   中村教育長に要望書を手渡す鍋谷会長         要望内容について説明する会長

 教育予算要望は、6月20日の第1回対県協議(交渉)で要望させていただいた内容と重なる部分が多くあります。教育長からは働き方改革について、「保護者・地域に協力を呼び掛けるためのリーフレットを作成し、発送したところである。」というお話をいただきました。県教委が、我々の要望に対応して作成したリーフレットですので、大いにご活用ください。

 9日(火)には、県議会議長に対しても、要望書を提出しました。

    池田議長に要望書を手渡す鍋谷会長          要望内容を説明する会長

 池田議長におかれましては、我々の要望にじっくりと耳を傾けていただき、要望の趣旨と学校現場の窮状を御理解いただきました。

 今後は要望書の写しを、栃管協役員と市町管協役員が、教育事務所長・市町教育長・県議会議員に届け、要望への後押しをお願いします。

今回の要望書の内容は以下の通りです。

1 教職員配置の維持・改善

(1) 学校現場の必要に応じた教員の迅速な配置及び安定した確保

学校現場では、出産・育児に関わる休暇(育児短時間勤務や男性教員の育児休暇も含む)や傷病休暇などを取得する教員が増加しており、必要な補充教員が慢性的に不足している実態があります。児童生徒や保護者に不安が広がっていることから、必要に応じて正規採用教員並びに臨時採用教員を迅速に学校に配置できるよう、その安定した確保をお願いします。

(2) 中学校全学年の35人以下学級の継続

本県においては、他県に先駆け中学校35人以下学級が実現しておりますが、引き続き生徒が生き生きと学習や生活に励むことができる教育環境を維持するために、本県独自の少人数学級の継続を求めます。また、継続に当たっては加配教員の数が削減されることがないよう強くお願いします。

(3) スマイルプロジェクトの拡充

スマイルプロジェクトについては更なる拡充を行い、児童生徒指導上の問題や指導困難校等(特別支援学級児童の交流時35人を超える場合も含む)に対して非常勤講師の確実な配置をお願いします。

(4) 小学校専科教員の増員

小学校高学年の教科担任制に加え、小学校4年生への教科担任制の拡大を見据えて、小学校への専科教員の配置促進をお願いします。

(5) 栄養教諭・学校栄養職員の増員

栄養教諭や学校栄養職員が配置されていない学校では、専門知識を有さない教職員が、食物アレルギーに対応しています。児童生徒の安全・安心を最優先とする対応を進めるために、食物アレルギーを有する児童生徒が多い学校及び給食センターに対して、県単措置として栄養教諭や学校栄養職員を配置・増員することをお願いします。

(6) 外国人児童生徒に対しての日本語指導担当教員の配置拡充

外国人労働者の雇用拡大に伴って、学校現場では、日本語指導を必要としている児童生徒が増えており、多言語化・散在化が進んでいます。今後も外国人児童生徒が増加していくことを踏まえて、本県独自の日本語指導担当教員の配置の拡充をお願いします。

 2 教育環境の整備・充実

(1) 特別支援教育の充実

学校現場において、特別支援教育を必要としている児童生徒数は年々増加しています。保護者の理解が進む中で、より充実した特別支援教育を望む声も大きくなっています。県として特別支援学級(特に自閉・情緒学級)の編制基準の緩和とともに、通級指導教室を必要とする全ての学校に設置するようお願いします。

(2) スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの増員

社会や経済の変化に伴い、子供や家庭、地域社会も変容し、学校が抱える課題は、複雑化・多様化しており、教職員だけの対応では、解決できないケースが増えています。併せて不登校やいじめ防止、児童虐待やヤングケアラー等の対策のために、スクールカウンセラーの常勤化及びスクールソーシャルワーカーの配置促進をお願いします。

(3) 不登校対策の強化

不登校を未然に防止するとともに不登校児童生徒の登校復帰を支援するために、校内教育支援センターの設置を促進するとともに、県単措置として教員及び学習指導員の配置拡充をお願いします。

(4) ICT支援員の学校への配置拡充に向けた支援

デジタル教科書の普及やオンライン学習の活用等が進む中で、教員のスキルに格差があったり、端末の維持管理の対応が容易でなかったりするため、人的なサポートは不可欠です。児童生徒の利用促進並びに教員の負担軽減を図るため、県としてICT支援員の配置拡充に向けて、市町に対する財政並びに人材発掘や確保などの支援をお願いします。

(5) GIGAスクール構想(第2期)の着実な推進を踏まえた環境整備

全ての学校においてICTを日常的に活用し、その環境を基盤として、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図るとともに情報活用能力を育成するために、端末の更新や通信回線の帯域確保に市町間の格差が生じることがないよう、県として継続的な支援を行うようお願いします。

(6)「とちぎ海浜自然の家」利用学校に対する補助金の復活

本県児童生徒の海に対する貴重な体験の場を提供している「とちぎ海浜自然の家」の有効活用策として、利用継続可能な補助金の復活をお願いします。

(7) 県有施設における教育活動時の無料化

県有施設は、学校外の教育活動の場として有効であり、積極的に役立てることが重要です。本県の児童生徒の健全育成を図るために、全ての県有施設において県内の公立学校が教育活動等で利用する際には無料とし、学校や保護者の負担を軽減するようお願いします。

 3 教職員の待遇改善

(1) 定年延長に伴う制度の整備

定年延長により、管理監督職勤務上限年齢制(役職定年制)が導入されましたが、学校経営を担ってきた校長や教頭が降任することは、学校現場に大きな影響を与えると考えられます。管理職として培った能力や経験を十分に活かすことができる新たな職を設けるようお願いします。

(2) 暫定再任用制度の整備・充実  

定年延長の改正法が成立しましたが、当分の間、再任用制度は継続されます。その期間において、再任用者の能力や意欲を高めるとともに、組織の活性化を図るために職務や勤務形態の選択肢を拡大し、雇用と年金の接続が確実に図られるようお願いします。

(3) 管理職員特別勤務手当の適用枠の拡大

台風などの自然災害時に、休日や深夜であっても、災害に巻き込まれる恐れがある中を、校長や教頭は避難所となる学校に向かい、避難してきた住民を受け入れるとともに、全ての避難住民が退所するまで学校にとどまります。これらの業務について、管理職員特別勤務手当の支給対象とするよう適用枠の拡大をお願いします。

4 勤務環境の改善

(1) 「学校における働き方改革推進プラン(第2期)」に沿った取組の推進

県教委が策定した「学校における働き方改革推進プラン(第2期)」に沿った取組の推進とともに、中教審答申の「学校・教師が担う業務に係る3分類」について、県がリーダーシップを取って、保護者や地域に対して積極的な啓発活動を行い、役割分担や適正化を推進するようお願いします。

(2) 部活動指導員の配置促進並びに地域移行の推進

部活動は、教員の長時間労働の要因とされており、指導経験のない教員には、大きな負担になっていることから、部活動指導員の配置促進をお願いします。さらに、県内のモデル校の実績をもとに、休日の部活動について、段階的な地域移行を推進するようお願いします。

(3) 教員業務支援員等(副校長・教頭マネジメント支援員を含む)の配置拡充

教員業務支援員については、学校の働き方改革等に不可欠なものであり、学校現場から配置拡充を求める声が届いています。市町が1/3を負担するため、市町により配置の格差が生じることがないよう、県としても独自の支援をお願いします。

(4) 勤務間インターバルの導入

十分な生活時間や睡眠時間を確保し、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることを可能にするため、終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保する、いわゆる「勤務間インターバル」の導入を検討するようお願いします。