活動報告

令和6年度

第4次中央要請行動結果報告②

こども家庭庁に対しては、以下の要望をしました。

        教育関係施策及び関連予算に関する要望
 1 児童虐待を防止するため、「新たな児童虐待防止対策体制総合強化プラン」に則った関係機関等における支援相談体制の強化を図ること
※2 自殺リスクを把握するため、1人1台端末を活用する等の施策を講じ、子供の自殺を予防すること
 3 ヤングケアラーの早期支援のために、ヤングケアラーへの理解を促す取組の推進や関係諸機関による支援体制の強化を図ること
 4 医療的ケア児が学校や地域社会において必要な支援を受けられるよう、支援相談体制の強化を図ること
※5 子供や家庭に関する教育や福祉等のデータを、分野を越えて連携させ、支援が必要な子供や家庭を早期に把握し、適切な支援につなげること
6 「日本版 DBS」を構築する際は、個人情報を厳正に管理・運用し、現職の教職員が性加害に係る「無犯罪証明書」等で証明責任を負うことのないようにすること

要望に対してこども家庭庁からは、以下のような回答を得ました。

○ 要望2について
 こども家庭庁として、広く子供の自殺対策としての施策及び文部科学省との連携について説明したい。小中高生の自殺件数は令和5年度 513 名と非常に高い水準となっており、極めて憂慮すべき状況であると認識している。このような状況を鑑み、令和4年に「自殺総合対策大綱」が閣議決定されている。この中で今後5年間取り組むべき施策として、子供・若者の自殺対策の更なる推進・強化が提示されている。これを踏まえ、令和5年に子供の自殺対策の司令塔として、こども家庭庁に「自殺対策室」を設置した。加えて「子供の自殺対策に関する関係省庁連絡会議」を設置し、厚生労働省、文部科学省、法務省、消防庁、警察庁等関係省庁と内閣官房の「孤独孤立対策室」を加え協力して自殺対策を進める体制を整備した。この会議の中で、有識者や当事者、現場で支援に携わる方等と意見交換を行っている。そのうえで、令和5年6月には「こどもの自殺対策緊急強化プラン」を策定し、1人1台端末を活用した、心の健康観察等を導入した。加えて「こども・若者の自殺危機対応チーム事業」におけるチーム立ち上げ支援や「こどもの自殺の多角的な要因分析に関する調査研究」を委託事業として実施している。この調査研究は、警察庁や厚生労働省の統計的な調査と併せて、教育委員会等が調査した自殺の経緯等を踏まえた調査研究として行ってい
る。報告書はホームページに公表している。こども家庭庁として関係省庁連絡協議会の継続開催、自殺対策緊急強化プランに基づく各省庁の取組のフォローアップ等引き続き自殺対策に努めていく。
○ 要望5について
 一昨年度までのデジタル庁による実証事業を引き継ぎ、こども家庭庁としてこどもデータ連携実証事業を行っている。各地方公共団体がこどもデータ連携に取り組むことができるよう、ガイドライン形式で事業の成果をまとめ、こどもデータ連携整備の足場を固めていく。 昨年度の成果及びガイドラインの素案はこども家庭庁のホームページで公表している。今年度も引き続き実証事業として進め、データ連携整備に向け尽力していく。

 児童虐待やヤングケアラーの問題は、大きな関連を持っています。児童生徒の健全育成に向けて、支援体制をしっかりと整えていくよう、これからも要望を続けていきます。

 

 

 

第4次中央要請行動結果報告①

全日教連は、去る6月10日(日)に文部科学省・こども家庭庁・厚生労働省・総務省に対して、文教予算及び教育制度等に関する要望活動を行いました。

文部科学省に対しては、以下の要望をしました。

      文教予算及び教育施策等に関する要望
1 きめ細かな指導と円滑な学校運営を行うために、学級編制標準の引下げと教職員定数の改善を図ること
※(1) 一部自治体で行っている小学校大卒新規採用教員を教科担任兼学級副担任とする試みを全国標準モデルとするために教職員定数の改善を行うこと
 (2) 中学校・高等学校における1学級の生徒数の標準を 35 人に引き下げること
 (3) 「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を実現するため、小学校・中学校に、30 人学級を見据えて継続的に議論を進めること
 (4) 今日的な教育諸課題に対応するために必要な加配定数の維持改善を図ること
※(5) 教職経験が少ない若年層を支援する「若年層サポート加配(仮称)」を配置すること
 (6) 副校長、主幹教諭、指導教諭の配置促進を図ること
 (7) 教師不足を解消するために、地方公共団体が正規教員を長期的に増員するための計画を立てられるように支援をすること
2 教職員の給与について、職務と責任に見合ったものとなるよう改善を図ること
 (1) 義務教育諸学校の教育職員の給与について、人材確保法の初心に立ち返り、優遇部分の拡充を図ること
※(2) 教職調整額について、10%以上への引上げを行うこと
 (3) 管理職手当や主任手当等の諸手当の改善を行うこと
 (4) 教職員の標準的な職務に照らした給与体系のモデルを示すこと
3 教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るために、現在、地方財政措置されている教材費等についても義務教育費国庫負担制度の対象とすること
4 教師が教育専門職として職務に専念できる環境を整備するために、学校における働き方改革の推進を図ること
 (1) 教員業務支援員、学習指導員、部活動指導員等の支援人材の更なる配置拡充を図ること
 (2) 部活動の地域移行に向けて、運営団体や指導者を確保するための財政的支援、学校単位で参加する大会等の見直し、学校と地域をつなぐコーディネーターの配置等の取組を確実に進めること
(3) 教職員の精神疾患による病気休職者数が高い水準で推移している現状を踏まえ、教職員のメンタルヘルスに対する取組の充実を図ること
5 教育 DX の推進に向けて、必要な環境の整備を図ること
 (1) 学校における ICT 環境の整備に必要な予算を確保すること
 (2) デジタル庁やこども家庭庁と連携し子供に関わるデータ(学習系データ・行政系データ等)を分野横断的に活用するため、様式・項目を共通化する等のシステム構築を進めること
 (3) 学習者用デジタル教科書について、普及促進事業の拡充を図るとともに本格的に導入する際には紙の教科書と同様に無償給与の対象とすること
 (4) 新たな ICT 環境整備方針の策定等の取組を推進すること
6 安心安全な学校生活を保障するために必要な環境の整備を図ること
※(1) いじめ、不登校、虐待、自殺等の問題に対応するために、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、スクールロイヤーの配置や支援相談体制の拡充を図ること
 (2) 不登校児童生徒のみならず、不登校傾向にある児童生徒の実態を的確に把握できるように調査の方法を見直すこと
 (3) 登下校中の事件や事故から子供たちを守るために、通学路や学校周辺の安全確保等、地域人材を活用した取組を推進すること
 (4) 学校施設の改修整備を進めるために必要な予算を確保すること
7 「新たな教師の学び」を支える研修制度について、教師の資質能力の向上と負担軽減が両立できるものとすること
 (1) ガイドラインに基づいた運営について、都道府県・市町村教育委員会に対し、指導助言を行うこと
 (2) 教師自身が必要とする研修を主体的に受けることができるよう、ニーズに応じた研修の更なる充実を図ること

文部科学省からは、※について以下のような回答を得ました。

○ 要望1(1)及び(5)について
 山形県では、加配定数を活用し、新規採用職員の一部を学級副担任とし学級経営・保護者対応等を学ぶ取組を行っている。取組の結果、精神疾患による病休取得者の減少につながり、新規採用教師からの評価も高いと聞いている。教職員定数の改善、若年層の教員に対する支援の充実は、様々な教育課題に対応するため重要であると考えている。令和6年度予算において、小学校高学年教科担任制のための加配定数を1年前倒しして計上した。加えて、今年度予算においては、小学校 35 人学級の計画的な整備、通級指導や日本語指導の充実、中学校における生徒指導や学びの
多様化学校等への支援等必要な経費計上を行った。「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」でも新規採用職員支援の観点からも定数改善の必要性が提言されている。このことを踏まえ、今後各自治体の取組等も参考にしながら、若手教師が円滑に資質・能力を向上させ成長できるよう、教職員体制の充実に努めたい。
○ 要望2(2)について
 優れた人材を確保するためには、教師の処遇改善は重要な課題であると認識している。先般の中教審「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」において、人材確保法の趣旨を踏まえ、その他の処遇改善策と併せて、教職調整額を少なくとも 10%以上とするべきと提言された。引き続き、教師の人材確保、質の向上に向け、働き方改革、教師の処遇改善、学校の指導運営体制の充実、教師の育成支援、これらを一体的に進めていきたい。
○ 要望6(1)について
 児童生徒を取り巻く様々な課題に対応するため、心理の専門家としてスクールカウンセラー(SC)、 福祉の専門家としてのスクールソーシャルワーカー(SSW)、 法の専門家であるスクールロイヤー(SL)、これらが教師と連携・協力をしていくことが大変重要である。令和6年度当初予算において、SC・SSW の重点配置校をそれぞれ 10,000 校に増やす措置及び SNS を活用した相談体制や 24 時間子供 SOS 対応相談員配置等の措置を行っている。SL については、令和2年度から、各都道府県、政令指定都市を対象とした地方交付税措置により、法務相談経費の支援を行っている。加えて、各教育委員会における法務相談体制構築に向けた手引きの策定や周知を行っている。今後も配置拡充、教育相談体制の充実等に努めていく。

また、文科省とのやり取りの中で、教職調整額について、

【全日教連】
教職調整額の引上げについては法改正を伴う。法改正について方向性等聞かせて欲しい。
【文部科学省】
中教審審議のまとめを受け、教職調整額の増額に向けて尽力していく。今後は、8月末の概算要求に向けた検討を進め、年内に整理をし、財務省及び地方交付税の面では総務省とも調整を進めていく。法改正に関しては、2023 年の「骨太の方針」に令和7年の通常国会への改正案提出を検討していくと示されており、遅れないよう進めていく。
【全日教連】
教職調整額の引上げに伴い、管理職手当や時間外勤務手当が支給されている学校事務職員等も処遇の面で連動した改善がなされるのか。
【文部科学省】
同年代の教員と副校長・教頭の給与が逆転することのないようにとは考えている。学校事務職員についても職責に応じた処遇が基本的な考え方になる。

 

栃管協は、全日教連を通して、今後も学校管理職員の給与勤務条件並び教育環境の整備・充実に向けて、国に要望を届けて参ります。

第2回調査部会開催

7月2日(火)に、第2回調査部会を開催しました。今年度のアンケート調査の内容項目についての検討です。調査部員9名全員が出席して、時間をかけて検討していただきました。

今年度は、「小学校高学年の教科担任制について」と「中学校部活動の地域移行について」の二つについて調査いたします。学校現場の実態等について把握すると共に、国や県に対する要望事項に生かすことが目的です。9月末にはアンケート調査の依頼文を事務局より各学校に送付いたしますので、御協力の程よろしくお願いいたします。

なお、今年度のアンケートは栃管協のホームページの「アンケート」から回答いただくことになります。

第2回広報部会開催

6月27日(木)に第2回広報部会を開催し、会報175号の校正作業をしていただきました。部員の皆様には、細かいところまでしっかりと見ていただきありがとうございました。予定通り7月10日に発行し、会員の皆様にお届けいたします。

また、「とちぎの風」執筆者の皆様には、締切まであまり日数のないところ、期限を守って原稿を御提出していただきありがとうございました。

第2次中央要請行動結果報告

 全日教連は、5月13日(月)に文部科学省に対して専門部要望を実施しました。当日は校務により参加できなかったものの、管理職員部の要望を作成するにあたり、栃管協からは、芝副会長と猪瀬副会長が専門部員として参加しました。栃管協は、全日教連を通して、これからも国に管理職員の給与・勤務条件の改善と教育環境や学校運営体制の整備を訴えて参ります。

 要望内容並びに結果報告は以下の通りです。

管理職員部要望  ※は回答を求める内容

※1 義務標準法を改正し、以下のことを実現すること

  (1) 副校長及び教頭の基礎定数化による枠外配置

  (2) 35 人学級化の中学校までの拡大

  (3) 小学校及び中学校における 30 人学級についての検討

※2 優秀な人材を管理職に登用するために、以下のことを実現すること

  (1) 管理職の職責に見合う給料表への改定

  (2) 管理職手当の見直し、及び期末勤勉手当への積算

  (3) 副校長・教頭マネジメント支援員の継続的な配置

3 学校の円滑な運営を実施するために、校長の裁量権の拡充を図ること

4 各学校の特色を生かし、柔軟な学校運営を確保できるよう、新たな交付金制度の創設を検討す ること

5 学校管理職及び教師の研修について、以下のことを実現すること

  (1) 学校経営及び運営に関するオンラインを含めた研修機会の充実

  (2) 「対話」を基盤とした適切な研修奨励を可能とする研修履歴管理システムの構築

※6 定年引上げ後、意欲をもって勤務することができるような取組を各地方公共団体に周知すること

  (1) 給与体系の見直し

  (2) 特例任用校長の採用及びそれに準ずる職の設置(定数外)

文部科学省回答

○ 要望1について

 副校長、教頭の定数上の取り扱い全般については、中教審等の場でも話題となっている。今後の中教審審議の内容を踏まえ、どのような定数の取り扱いや改善が考えられるかしっかり検討し ていく。 35人学級の中学校への拡大について、まずは令和3年度の義務標準法改正に伴った小学校の35 人学級化を着実に完成させることが第一であると考えている。その後の中学校への拡大や小学校の30人学級化については、小学校35人学級化の完成後、効果等を検証したうえで財政当局と議論 していく必要がある。将来を見据えしっかり検討していくが、現状は小学校35人学級化を進め、その効果を検証していきたい。

○ 要望2について

 管理職の職責に見合う給料表への改定、管理職手当の見直し及び期末勤勉手当への積算については、学校の課題が複雑化・多様化していく中、管理職の職責が重くなっていることは文部科学省も把握している。「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)(素案)」にも、教職調整額の増額により、これが適用されない管理職について給与に逆転が生じることのないように改善していくことが示されている。管理職の処遇に関しては適切に進めていきたい。

 副校長・教頭については勤務実態調査においても、教諭や校長に比べ、厳しい勤務実態が明ら かになっている。そこで副校長・教頭を専門的に支援する副校長・教頭マネジメント支援員を新 たに創設し、令和6年度予算に盛り込んでいる。これにより、副校長・教頭の負担軽減や学校マ ネジメント機能の強化を図り、令和7年度についても、財政当局との調整となるが、文部科学省としては引き続き予算確保に努めていく。

○ 要望6について

 給与については定年延長後は当面7割という方針になっている。ただ、国家公務員の給与に係る人事院の検討をしっかりと注視し、管理職の処遇改善を一体的に進めていく。

 特例任用校長の採用及びそれに準ずる職の設置については、いわゆる役職定年制に該当する職員について、他の職に異動することで公務の運営に著しい影響を及ぼす場合という条件の下で、現状においても1年単位で延長し引き続きその管理職に留め置くことのできる「勤務延長型特例任用」等が認められている。文部科学省としては、現行制度をしっかり活用してもらえるよう周知を図っていく。また、それに準ずる職の設置については、新たに職を設けるにあたり、その職の職務内容が全国的に定型化されているか、他の法令の規定と整合性が保たれているか、といった様々な事情を勘案する必要がある。今後検討していきたい。

意見及び回答

○ 義務標準法の改正に関連して

【全日教連】

 現場では教職員不足、欠員による教科指導、学級指導への対応、様々な課題への対応で副校 長・教頭の負担が非常に大きくなっている。定数枠外で教職員が増となれば学校運営上も非常に助かる。中教審審議でも取り上げられているとのことだが、詳しく聞かせてほしい。

【文部科学省】

 現行の定数上の取り扱いは、歴史的背景があって今の規定となっている。例えば複数配置について、小学校では 35 人学級化に伴い、27 学級以上に該当すれば複数配置となり、定数改善が行われる。このようなことから、副校長・教頭のみの定数改善は非常に難しい。副校長・教頭マネジ メント支援員でのサポートという形もある。中教審の議論を踏まえ総合的に検討していきたい。 課題としては充分認識しているが、副校長・教頭の定数が変わらないにしても教諭全体の定数改善により手厚く支援していけるよう検討していきたい。

○ 優秀な人材を管理職に登用する方策について

【全日教連】

 教職調整額について教諭については 10%以上という具体的な数字が示されているが、管理職の 処遇改善については具体的にどういった割合で検討されているのか。

【文部科学省】

 具体的な数値は答えられないが、教職調整額については少なくとも10%以上と示されているので、例えば教諭及び主幹教諭の教職調整額を10%に引き上げた場合、そこで逆転現象が起きないようにしていく。管理職手当については、どの程度を維持・改善するか処遇だけでなく働き方改革、指導体制も含めた検討を行っている。

○ 定年引上げ後の勤務に関する取組について

【全日教連】

 60 歳を過ぎても教職に意欲的な職員も少なくないが、例えば校長を勤めていた方が教諭になる と、長年授業や担任から離れていたことで負担が大きく、精神疾患等で退職されるケースもある。60 歳以上の方、再任用の職員がより意欲をもって働いてもらうことは昨今の教職員不足の解消にもつながる。岐阜県の事例では、「シニア学級担任手当」というものを県独自で実施しているということである。こういった好事例を全国的に拡大ができればと考えるが、何か検討されていることはあるか。

【文部科学省】

 文部科学省は人事行政状況調査により、年齢別で精神疾患により休職をされている方の数を把握している。50 代以上の方々の割合も少なくない状況を受け、令和5年度から「公立学校教員の メンタルヘルス対策に関する調査研究事業」を実施し令和6年度においても各地方公共団体でモデル事業を展開している。一部の地方公共団体では、管理職にスポットを当て、管理職特有の悩みで精神疾患になる状況も把握している。例えばオンラインで産業医に相談ができる仕組みを整えていたところもある。管理職向けのメンタルヘルス対策もまだまだ一部で、主眼が若手に置かれがちだが、60 歳以上の方、管理職が働きやすいような環境を設けられるよう対応を検討していきたい。