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2025年8月の記事一覧
第45回市町管協会長研修会
8月23日(土)に、第3回理事会に続けて、第45回市町管協会長研修会を開催しました。
開会のことば(西海副会長) 会長あいさつ(鍋谷会長)
研修会の内容は以下のとおりです。
(1)講話「中央情勢について」
講師 全日本教職員連盟委員長 渡辺 陽平 様
中央情勢について報告する渡辺委員長 話を聞く市町会長と栃管協役員
◎ 渡辺委員長からは、今年度の全日教連の活動や改正給特法、中教審「教師を取り巻く環境整備特別部会」の内容等についてお話をしていただきました。参加された皆様も、栃管協の要望と全日教連の活動が密接に結びついていることを理解していただいたと思います。
(2)対県協議(交渉)について
◎ 事務局長から今年度の対県協議の要望内容について説明をいたしました。
(3)各市町管協の活動について
宇都宮市 二宮会長 鹿沼市 長島会長
真岡市 菅野会長 壬生町 金久保会長
矢板市 大野会長 大田原市 久保寺会長代理
佐野市 亀田会長 足利市 橋本会長
◎ それぞれの地区の活動や要望内容について発表していただきました。地区ごとの事情は異なりますが、今後の活動の参考にしていただきたいと思います。
報告・連絡内容は以下のとおりです。
(1)令和8年度教育予算要望について
(2)教育講演会の動員について
(3)栃管協結成60周年記念式典の動員について
(4)年度末退会者の報告について
(5)署名活動について
(6)全日教連教研全国大会の提案について
(7)栃管協調査部アンケートについて
(8)令和7年度人事院勧告について
(9)その他
◎ 教育講演会や栃管協結成60周年記念躍進大会の動員を各市町会長様にお願いいたしました。市町の会長様からお声がかかった際には、ご協力よろしくお願いいたします。
第3回理事会
8月23日(土)に第3回理事会を開催しました。
協議内容並びに報告事項は以下の通りです。
(1)協議事項
① 令和8年度教育予算要望について
② 市町管協会長研修会について
③ 年度末退会予定者の報告について
④ 署名活動について
⑤ 令和7年度教育講演会について
⑥ 栃管協調査部アンケートについて
⑦ 令和7年度日台訪問研修について
⑧ 教育ウェビナーについて
⑨ 栃管協結成60周年記念躍進大会について
(2)報告事項
① 第2回対県正式協議(交渉)について
② 全日教連教研全国大会徳島大会の提案発表について
③ 令和7年度人事院勧告について
理事会で協議された内容に従って、今後の活動を進めて参ります。会員の皆様には、署名活動や調査部アンケート等で御協力をお願いすることがありますが、どうぞよろしくお願いいたします。
第42回教育研究全国大会(岐阜大会)
8月3日(日)に、岐阜県岐阜市で、全日教連主催の第42回教育研究全国大会(岐阜大会)が開催されました。
栃管協から事務局を含め役員14名が参加して参りました。
大会のテーマは、以下のとおりです。
学びの保障に向けた不登校対策を考える
~児童生徒一人ひとりに応じた指導支援体制の充実~
コーディネーターとパネリストの提言は、以下のとおりです。
コーディネーター 明石 要一 氏 千葉大学名誉教授・敬愛短期大学名誉教授
提言「不登校問題をどう捉え解決するかの方策を探る」
不登校の児童生徒が約35万人(R5)、高校生を含む と約41万人(R5)に達する。なぜこんなに増えてきたのだろうか。その背景と対応を考えていく。
1 子供の変化を捉えなおす
クラスの中にタイプの違う子供は何種類いるだろうか。「ハイタレントをもった子供」「発達障害がある子供」 「不登校気味の子供」「外国籍のある子供」などこれまで 存在が知られた子供たちが出現しはじめている。クラスは多様な子供たちがいる状態になっている。
2 不登校の名称の変化
昭和30年代の中ごろは、対象が高校生が中心で「登校拒否」という言葉が使われている。それが、特定の子供ではなく誰でもどこでも学校に行かなくなることから 「不登校」という言葉が使われ始める。そして今では保坂先生が提案する「長期欠席」という言葉も生まれている。
3 不登校の児童生徒にどのような支援が可能か
特定の先生にだけ支援を押し付けるのではなく、学校内でどのような支援策が可能か、学校外(家庭、専門機関、教育委員会など)の支援を仰ぐにはどうすればよいか考えていきたい。
パネリスト 藤崎 育子 氏 開善塾教育相談研究所所長 現在茨城県就学前教育,家庭教育推進会議委員および訪問型支援スーパーバイザー。
提言「教師によるアウトリーチ」
子どもの数は減る一方ですが、不登校の子どもの数は増えるばかりです。ひきこもりは146万人を超えると言われています。新型コロナの影響もありますが、無理をして学校に行かなくても構わないという風潮が、保護者にも、学校の先生にも影響を与えてしまったことが大きいと思います。全国で学校に代わる居場所の増設が行われてきました。多様な教育の場が増えることは歓迎すべき面もありますが、誰もが通えるわけではありません。
今、多くの先生達が、働き方改革の名のもとに、苦しむ子どもの所へ足を運ぶことをやめてしまっています。登校刺激が子どもを自殺に追い込んでしまうのではないかという考え方の影響も背景の一つにあるのではないかと思います。学校に行きたくないと訴える子どもの気持ちをただ受け入れ、このまま社会全体で不登校を容認し続けて本当にいいのでしょうか。学校をどの子も行きたくなるように変えていくことが急務ではないでしょうか。
先生と保護者が協力し合い、子どもに恥をかかせることなく、自己肯定感を育みながら家庭訪問を続ければ、不登校の子どもは学校に戻ることができる! 鍵を握っているのは専門家ではなく先生です。
パネリスト 保坂 亨 氏 千葉大学名誉教授・教育学部グランドフェロー。
提言「不登校支援の方向性と視点」
1 「不登校」支援における2つの方向性
現時点では「不登校」問題に対して2つの方向性が共存。
①「不登校」について「問題行動」から「問題行動ではない」へとその認識が大きく変化し、「学校に行くこと」という常識、とりわけ「厳格な一条主義」がゆらぎ始めている。それはまた、学校外の教育機関や家庭など学校以外の場における学力保障に注目する動きとなった。
②不登校によって学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意しなければならないと警告する。そして、学校教育の一層の充実を図るための取り組みが重要として、義務教育としての学校の役割を再認識するよう求めている (予防・早期発見、早期対応)。
2 多様な「不登校」を捉える視点(仮説的な分類)
①神経症型不登校 (=心理的な要因):従来の「登校拒否」、「学校恐怖症」
②脱落型不登校 (=家庭の養育能力の問題): 虐待につながる「危険な欠席」
3 積極的(意図的)不登校(=学校より他に優先するものがある):スポーツ・芸能活動などを優先
パネリスト 水川 和彦 氏 岐阜市教育委員会教育長、岐阜県都市教育長会会長、全国都市教育長協議会理事、東海北陸都市教 育長協議会理事、日本義務教育学会理事。
提言「ありのままの君を受け入れる~岐阜市の新たな教育の展開と不登校対策~」
【学びの多様化学校 草潤中学校の取組】
令和3年4月に開校した草潤中学校は「学校らしくない学校」をコンセプトに、生徒が常に「主語」となる教育を展開してきた。毎年約80%近い生徒が登校する成果を上げ、実践を通し、生徒のエネルギーが再び満ちるために何が必要であるかが分かってきた。それは、「①安心できる居場所」が保障され、ありのままの自分を受け入れてくれる、「②信頼できる大人の存在」があり、 活動内容を自分で決めて行動する、「③『選択と行動』のプログラム」があることの3点である。
【校内フリースペース、オンラインフリースペースの取組】
本市では、草潤メソッドを水平展開する目的で、市内学校に「校内フリースペース」を整備してきた。各校では、草潤メソッドを基本に、地域や学校のリソースを生かし、独自の取組を展開することで、約70%の生徒に欠席日数の改善がみられている。さらに、メタバースを活用した「オンラインフリースペース」を令和6年度から実施しており、児童生徒の様々な状況や態様に対応した全方位の施策を展開している。
【こころとからだの健康アプリ『ここタン』】
子どもたちの不安や悩みを早期に対応し、子どもたちが相談しやすいと感じる学校風土の醸成のために、心と体の健康アプリ『ここタン』を導入している。『ここタン』 は大きく2つの機能を持っており、一つは、見えにくい心と体の状況を5段階で可視化すること、二つ目は「聞いてほしいボタン」の機能により、どの教職員にでも SOS発信ができるようにすることである。利用した児童生徒の9割が「相談してよかった」と回答しており、 子どもたちの安心・安全を支える重要なツールとなっている。
どの先生方の提言も大変参考になるものでした。特に岐阜市の草潤中学校の実践については、不登校特認校や校内教育支援センターの運営に関して大いに示唆に富んだ話でした。草潤中学校を紹介する本が時事通信社から発売されているそうです。 タイトルは『風穴をあける学校 不登校生が通う特例校 草潤中が切り拓く子どもたちの未来』です。夏休みに是非お読みになって見てはいかがでしょうか。今後の不登校対応の一助になることと思います。
参加された役員の皆さんも一様に素晴らしいシンポジウムだったと話されていました。この大会の詳細については、今年度末に発効される「教育創造」に掲載される予定です。時期的には遅くなってしまいますが、来年度の不登校対応の一助にして頂ければ幸いです。