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道徳ノート
道徳ノート010 自分で決めることの責任
010 自分で決めることの責任
テーマ:自主、自律、自由と責任
内容項目:自立・責任
【 3学年 】
授業の概要
道徳教材「自分で決めることの責任」を読み、自分で考え実行し、その結果に責任を持つという事を考える。
教材「自分で決めることの責任」
大学2年生の姉がいる中学生の陽子。姉は大学生活で自由を謳歌しているように見えるが、履修科目の単位や卒業後のことなど計画性が無く不安定。陽子は姉を見て自分の大学生になった姿を想像し、高校進学について考えた。自由であるということは何もかも自分で決めるということ。そしてその選択や自分の行動に責任を持つということだと気付く。
(本校 三浦摩利指導教諭の自作教材)
授業を通して、生徒が気付き考えたこと
・大きくなればなるほど、自由が手に入る。でもその代わりに責任が伴うから多方面から自分を見て自分について考えていくことが大切だと思った。
・自分の好きな分野や進路に行きたいのならば、それ相応の努力や自分の責任が発生し、これらの問題に真剣に向き合っていかなければいけないのだと感じた。
・高校は自分の成績に合っているのかで決めるだけじゃなくて、校則であったり、学校の雰囲気も見てから決めるべきだと分かったし、そのために勉強が必要だと思った。
・世界が広くなればなるほど、自分のすべき最低限のことを見失ってしまいがち。まずは自分の中でマイルールを作ってそれを守るというルーティーンを決める!受験は自分との闘いでもあると思うので、自分で決めて最後までそれを貫き続ける力を身に付けたい。
・改めて自分で何かを決める時は責任を持つ必要があると感じました。今で考えると自分で高校を決めなければいけないから将来を考え計画性をもって決めたいと思いました。
・この授業を通して、将来は自分で決めるから、自分で考え努力し、それを自分のものにしていくことがこれから大切になっていくと思った。
・自分も面倒くさがりですぐ後回しにしたり、逃げたりしてしまうので、先を見通して計画を立てて行動していけるようにしたい。
道徳ノート009 マイクと過ごしたお正月
009 マイクと過ごしたお正月
テーマ:伝統や文化の継承と発展
授業の概要
「マイクと過ごしたお正月」を読み、海外から見た日本とはどういう国か、普段当たり前にしている日本の伝統や文化で世界に誇れるものとは何か、そして未来への継承と発展を考える。
教材「マイクと過ごしたお正月」
お正月、「僕」の家にアメリカからホームステイに来たマイク。「僕」はマイクにおせち料理やお正月飾りなど説明したり、どんど焼きに一緒に行くことで改めて日本の伝統や文化を考える。
本校 三浦摩利指導教諭の自作教材(こちらから読むことができます)
生徒の考える継承されてほしいものは?
有形なもの
・和食 昔からある各地の郷土料理だったり、おせちなどの文化を続けていきたい季節ならではの食材を取り入れているから、季節の移ろいを感じることができる。健康的な食事で日本といえば和食だから。
・歴史的建造物(寺、神社等) 日本ならではの美しい景観だから。日本ならではの建物を外国人の人にも知ってもらい伝えていけたらいいな。
・祭り 祭りは日本の一番有名なイベントといっても過言じゃないくらいに日本人の心に刻まれていると思うから祭はずっと発展してほしい。
・伝統工芸品 ある一部の地域で職人の人達によって作られるので継承が難しいからこそ残していかなければならないと思った。
・縁起物 お正月によく見ることが多いけれど、家族が健康でいてほしいとか大事な願いが込められたものだからずっと続いてほしい。
・着物 日常生活で来ている人を今はほとんど見ないけれど、日本の伝統と技術を持ち合わせた、とても綺麗なものだから。
・書道 外国の方や日本の方でも気軽に簡単に始めることができ、自分の個性を表すことができるから。
・ワンピース(日本の漫画・アニメ) 変化したりしてもいいから残るとよい
無形なもの
・おもてなし 旅館などで案内してくれるのもそうだし、お菓子の包装など私たちにとって当たり前の事にもおもてなしの気持ちが含まれている。
・礼儀・マナー みんなが楽しく生活していく中でとても大切。礼儀があるから治安が良いと思うから。礼儀やマナーがあるからこそ、日本の美や作法が確立されているから大切。
・人の好さ 日本人はすごく良い人がいっぱいいたり、優しかったり、面白かったり、心が温かい。
・治安 安心安全。他国と比べた時に日本は格段に良い。
・町がきれい なかなか実現することの無い大変なことを継続で来ていることがすごいと思ったから。
授業を通して考えたこと
・授業を通して伝統の良さをもっと知れました。伝統的なもの、継承されてほしいものと言われたら、有形なもの(着物・寿司・神社)などがすぐに思い浮かびますが、マナーや礼儀作法といった無形なものも誇れる日本はとても良い国だなと思いました。
・日本では治安の良さなどが最近注目されているからこそ、このまま続いていってほしいと考えました。さらに地域のイベントなどに参加して地域の治安などをよくできるようにしたいです。
・日本の文化は大切にしていくことは大事だけど、日本に足りないものをもっと受け入れていかないといけないのではないかと思った。日本人は受け入れようとしないで固定観念にとらわれやすいから。
・私もあまり日本の伝統文化の意味を分かっていなかったので日本の伝統文化の意味をしっかりと理解したいと思いました。そして日本の伝統文化を世界に広げられるようにしたいと思いました。
・改めて「日本人に生まれてよかったな‼」と思いました。日本人の気遣いはトップレベルです。その気遣いに助けられていることも多いなと思いました。今度は私が気遣いで誰かを助けたいです
・日本の伝統文化をこれからも伝えていきたいなと思った。自分がしている書道という伝統文化をこれからも続けていき大切にしていきたい。
・日本の昔ながらの有形・無形の文化について考えることができた。私は個人的に武道を習っていて習う前とは違い、礼儀が自然と身についたし、日本の特有の武道もできる一石二鳥だったので今までやったことを活かして日本の伝統文化を守っていきたいと思いました
・日本の伝統文化は今までの人々が受け継いできてくれたわけで、自分達が引き継いでいく番なのかなと思った。イベントなど意味があるものだから、それも意識して触れていきたいです。日本にしかない魅力や特徴を残して発展していってほしい。改めて日本の良さを知れたし、受け継いでいきたいです。
・日本の伝統文化の良さや文化の継承の大切さを学び、それと同時に継承や発展の難しさを実感しました。だからこそ、身近な所の礼儀などには気をつけようと思いました。
道徳ノート008 未来へのバトン
008 未来へのバトン
テーマ:郷土愛を愛し、その発展に努めよう
内容項目:郷土の伝統と文化の尊重、郷土を愛する心
授業の概要
事前に多摩市の良い所アンケートを行い発表。道徳教材「未来へのバトン」を読み、当時のイベントの様子や市役所の担当の方からのメッセージを動画で見て、未来の多摩市がどうなっているとよいか、自分がどう関わっていくのか考えました。
生徒達の考える多摩市の魅力
・公園が多く、自然が豊か
・「耳をすませば」の聖地
・交通利便性(2路線、特急停車駅)
・ピューロランド(ハローキティ)
・聖蹟桜ヶ丘、多摩センターの商業施設の賑わい
・遊歩道が日本一の長さ 約41キロ
・町が綺麗
・伝統行事 どんど焼き
・多摩川
生徒達の気付き・考え
・今あるイベントは少なくともなくなってほしくないし、イベントの有無に関わらず、交流が盛んな市であってほしい。→イベントでの交流も大事だけど、イベントだけでなく、日常的にも交流していく事で笑顔が増えて明るくなる。
・多摩市が良い町として存在しているのは紡いできた人がいるからであるという事をしっかりと理解し、自分もその一員として次の世代につなぐ意識を持ちたい。
・多摩市の発展(イベント等)に積極的に関わっていけたらいいなと思った。多摩市の良さをもっともっと見つけて多摩市に住んでいない人に伝えていきたい。
・多摩市は大自然と駅前の都会とのいいとこ取りだなと思いました。都心に行けば、色々便利ではあるが、住み心地がいいのかときかれるとそうではないような気がします。だからといって田舎ではとても不便です。なので多摩市は贅沢な街ですね!今後も住み続けたいです。
・生徒会で地域清掃を企画したり、イベントでの地域の人との交流があるので、普段は地域の方との交流がない人でも生徒会企画を通して、見守り隊の方などとの交流の機会になればいいなと思いました。
・自分の未来についてと、地域交流の大切さを深く学べた。自分が将来多摩市から離れても、離れなくても地域交流の大切さを忘れずにこれからのイベントなどに積極的に参加しようと思った。
・過去、未来の多摩市について考えが深められた。将来の多摩市は老人や若者関わらず仲良く住める街であってほしい。
・多摩市にはたくさんの文化があって、これからも多摩市の文化を守るためにボランティアなど貢献していきたい。また、多摩市には高齢の方がたくさんいて、そういう人にも優しく住みやすい町になってほしいという願いがこの授業で見つけることができました。これからも住み続けたいと思った。LOVE多摩!
・改めて多摩市のいいところや未来へつなげていきたいところを見つけることができた。自然が多くて、聖蹟桜ヶ丘や多摩センターなど買い物できる場所もあって、文化もある多摩市が大好きなのでこれからも住み続けたいし、いいところを発信していきたい。これから高齢化が進むことが予想されるけど、多摩市のいい所が広まって、若者も増えていってくれればいいなと思う。
「未来へのバトン」
多摩市の市制施行50周年記念で行われたイベント、40年前に埋めたタイムカプセルを開けるイベントに参加した中学2年の康孝と3人の友人。開けられたタイムカプセルからは40年前に埋められた子供たちの工作や手紙などが綺麗に残っていた。そして、また新しく子どもたちの思い出の品やメッセージを入れて埋められ30年後の未来へ。康孝は2051年、30年後の自分、そして多摩市の未来に想いを馳せる。
本校 三浦摩利指導教諭の3年前のイベントを用いた自作教材)
(こちらから読むことができます。)
市役所の担当の方からのメッセージ(こちらから読むことができます。)
この授業は道徳科の研究授業であり、本校教員16名と都内他地区から8名の教員が参観し、研究協議会にて道徳科指導における良かった点や課題、改善案などの意見交換を行いました。
また、前日に2年2組・3組合同で同じ道徳授業を行いました。
多摩市役所の方からのメッセージ(未来へのバトン)
多摩市制施行当時、ニュータウン開発等により、全国からたくさんの人々が多摩市に転入してきて、皆で「新しいまち」を作っていく中で多摩市を皆の「ふるさと」にすることが市政の重要な役割の一つでした。40年前のタイムカプセル事業も、その考えのもとに企画実施されたものです。
市民の皆様の様々な取り組みや市民主体のまちづくりより、今から3年前に市制50周年を迎えた現在は、既存の住人、新住民と言う言い方もあまりされなくなってきたように感じます。
個人的に子どもたちには、郷土を愛するのに特別何かすることを望むわけではありませんが、ぜひ日々の生活の中で今の多摩市の姿を脳裏に焼き付けて、覚えてほしいなと思います。ここの公園にこういう遊具があったとか、この商店街にこういうお店があったとか、記憶に残らないようなもっと細かいことでもいいですが、案外そうした記憶が大人になったときに共通の話題になったり、別の街に引っ越ししてその街と比較して多摩市を思い出す材料になったりして、面白いですし、郷土愛にもつながるのかなと思います。将来的に進学や就職などで多摩市を離れてしまうことがあるかもしれませんが、その後もし引っ越しする際に「やはり多摩市に住んでみようかな」と思ってくださることが、市の職員としては一番うれしいです。ぜひ多摩市のいい思い出をつくって学生生活を送っていただければと思います。
道徳ノート007 ひじり坂をあがると・・・
007 ひじり坂をあがると…
テーマ:よりよい社会の実現について考えよう
内容項目:社会参画、公共の精神
授業の概要
この授業は道徳授業地区公開講座として保護者・地域の方々に参観いただき、全学年、全学級が同じ主題・教材で行いました。
教材は「ひじり坂をあがると・・・」(本校の三浦 摩利指導教諭の自作教材)
(こちらをクリックすると教材を読むことができます)
本校の地域である聖ヶ丘を舞台に主人公は気が進まないながらも、地域の清掃ボランティアに参加し、意識が変わっていく。
この主人公の気持ちや体験したことを通して、社会をより良くするために自分はどう主体的に関わっていくのかなどを考えました。
生徒の考え・気づき
〈2年生〉
・(道が)綺麗であるのが当たり前ではなく、必ず陰で手伝ってくれている方がいらっしゃることを忘れないでいたい。自分が支える側になれるようにボランティアに参加したい。支えてくれている方を誇りを思いました。感謝したいです。
・自分たちが知らないところでも活躍してくれている地域の人たちがいることに感謝したいと考えたし、ボランティアする側の人になりたいと思いました。これからの活動にはできるだけ積極的に参加したいと感じました。
・私も一度どんど焼きのボランティアに参加したことがあって、最初は何となく、部活で行くってことだし行こっかな、くらいの気持ちだったんですけど、実際見ると沢山の方が軍手をして手を痛めながら組み立てやら沢山のことをしていて、こんなに大勢の人が作っていたんだとか、感謝の気持ちに気付けました。なので部活以外でも行きたいなと思えました。
・自分はまだボランティア活動に参加したことはないが他校の先生や相馬さん(青少協会長)もおっしゃっていたようにチャレンジ(やってみる)することが大切だと思った。
・とりあえず、まずボランティアに参加してみる。そしたら、最初はやる気が起きなくてもやったら達成感や感謝の気持ちが生まれるかもしれない。三郎もやってみたからわかる達成感や景色があると思うので時間があればぜひ参加してみたいなと思った。聖ヶ丘に住んでいて良かった。
・今までなんとなく気恥ずかしくてボランティアなどの活動に参加した事は無かった。しかし、この少年(三郎)のようにたとえ乗り気じゃなく、あるいはよこしまな気持ちでもやってみようかと考えました。自分一人が誰かのためにできる事は限られているけど、だからこそ、どんなちっぽけな事でも誰かを助けることができたらいいなと思いました!
・今回の授業を通して、ボランティアに参加する良さを学んだ。参加する前はやりたくない、面倒だと思うけれど、やってみると気持ちがスッキリしたり、達成感があるので、これからはボランティアに積極的に参加していきたい。
〈1年生〉
・これからはやる前から物事を決めつけずに挑戦したいと思った。
・地域に対して行動してくれる人はありがたいと思っていたが、やりたいとは思っていなかった。だけどこの授業を通して、やりがいや嬉しさを感じられることの良さを感じたので一度やってみたいと思った。
・この多摩は地域の人に守られ輝いているのだなと感じました。このことをいつも頭の片隅に置いておこうと思いました。これからの自分は地域の人に積極的に挨拶していきたいなと思いました。
・最初は掃除より部活の方が楽しいと思ったけど、やってみたら意外と楽しかった事が書かれていた。私もこの話を読んで何にでも取り組もうと思った。
・ボランティアにはもともと参加するタイプではなかったのですが、これからは積極的に参加したいと思った。ごみ拾いで達成感を味わってみたいです。
〈3年生〉
・自分の事だけでなく人に何かを与えようとする気持ちによって生まれたのがボランティアだと思いました。しかし、なかなか0から1を生むのは難しいから1つやってみてみることが1を生むと思いました。
・私はこの授業を通して、ボランティアに参加するだけでなく、自分から創りあげたり、主体性などを培う事で社会に役立っていきたいと思いました。
・嫌だな、やりたくないな、めんどくさいなと思ってることもやってみたら意外と楽しいと思えることが分かった。私は勉強をするのが嫌でめんどくさいけど、少し頑張ってみると、いい結果がでたり嬉しくなるので少し何事にも頑張ってみようと思えました。
・忙しくなればなるほど、自分を第一優先に考えてしまい、ゴミの無いきれいな道や手入れのされている公園に気付くことができなくなってしまうけれど、常に地域の為に行動してくれている人がいることを忘れず、少しでも自分も地域・人の為に行動していきたいと感じた。
・私は今回の授業を通して、チャレンジする心や人を思いやる気持ちを大切にすることで自分の人生を自分の思うより、より良いものにできるのではと考えることができた為、これから人を思いやるような行動をとっていくようにしていきたいと思った。
・めんどくさい、苦手等の意識を持っていることに対しても、一度やってみると考え方が変わる可能性があると分かった。この可能性を無下にしないで、今後の人生に活かし豊かにしていきたいと思った。
・より良い社会を作りあげていくには一人一人が意識を変えていくことで実現されていくと思う。日常を日常としてただ過ごすのではなく、その日常がどのような過程の上で成り立っているかを学ぶことで一人一人の意識は変わっていくと思う。
・ボランティアをやることで初めて気づくこともたくさんあるだろうし、それこそ人生が変わるような出会いや出来事があるかもしれない。やるまではあまり興味が持てなくても、とりあえずやってみるのは大切かもしれない。
道徳ノート006「銀色のシャープペンシル」
006 銀色のシャープペンシル
テーマ:弱さの克服
内容項目:よりよく生きる喜び
授業の概略
主人公は掃除の時間に拾ったシャープペンを自分のものとして使ってしまい、持ち主である友人に聞かれても自分のものだと言い張ってしまう。ロッカーにこっそり返したが、友人から「疑って悪かった」と謝られ、複雑な気持ちになる。最後に主人公は夜空を見上げ、自分自身の心と向き合い、友人の家に向かう。
出典:「道徳教育推進指導資料(指導の手引き)3」文部省
人は誰も弱さや醜さがあるが、それと同時に「気高く生きようとする心」もあることに気づき、自分の弱さや醜さに向き合ってより良い生き方を考える。
■ この授業は令和6年度 東京都の専門性向上研修道徳(道徳科の基礎・基本)として都内の中学校から30名の教員が授業を参観しました。
生徒の考え・気づき
・人間だからずるい事をしてしまう時はあると思う。だから大事なのはずるい事をしてしまった後、どう行動するかだとこの話を読んで学んだ。「僕」みたいに遅くなってもいいから謝らないと将来ずっと後悔するしこれから先も人のせいにして生きていくことになると思う。
・自分も後々、もっとこうすればよかったなど、後悔するときに心の声のようなものを感じる時があり、人に擦り付けて自分を正当化するのではなく、誤魔化さずに自分と向き合うことが大切だと考えた。
・ずるい事をした…と思うことはきっと誰にでもあると思う。でも大事なのはずるい事をした、その後だと思った。やってしまった事は変えられないから、その後の反省や正直に謝ったり、振り返ったりして自分を変えようとすることが大事だと思った。やってしまった事は変えられないけど、その後はいくらでも変えられると思った。
・「僕」と同じように、自分も心の中で気づいてはいたものの、それを分かってる上で誤った行動をしていた。ただ今回の授業でよろしくないと思いつつしていた行動は自分だけでなく、他人まで辛い思いをしていることに気がつけた。今後は何かする前に自分の考えを多面的に見てみて、正しいことなのか判断したい。
・今回の授業は今までより少し難しかったけど、人に対してではなく、改めて自分と向き合って自分でやってしまった嘘や失敗の重さ、に深く考えることができました。また、何か悪いことがあったらすぐさま人のせいにしたり、嘘をつくのではなく、まずは自分が何かしてないか、自分に対して疑って見直すことが大切だと思いました。
・人は自分の為に行動してしまう事が多いからこそ、相手を出し抜こうとするのではなく、自分の非を認めて相手に向き合うことが大事だと考えたので、後悔の無いように過ごしたい。
道徳ノート005 「あめ細工職人 吉原孝洋」
005 あめ細工職人 吉原孝洋
テーマ:勤労
内容項目:勤労の尊さや意義について考えよう
授業の概略
現在、少なくなっている日本伝統工芸のあめ細工職人 吉原孝洋さんへ本校の三浦摩利先生が直接インタビューし書かれた道徳教材。(中学校道徳 自作資料集 生徒が思わず語りたくなる24の話 三浦摩利 著 明治図書)
あめ細工職人であることや、あめ細工で人に喜んでもらえることに誇りをもって働いている吉原さんが仕事を通して「生きがい」を得られるまでにどういう過程を歩んできたのか。自らの目的を実現するために働き、勤労を通して社会に貢献し、充実した生き方を実現している吉原さんの姿を通して、勤労の尊さやなぜ吉原さんが生きがいを感じることができたのかを考える。
この授業は道徳科 指導教諭の模範授業とし、他地区・多摩市内・本校から約30名の教員が参観し研究協議会を行いました。生徒たち一人一人がしっかりと考え、意見交換し、道徳授業に積極的に参加しているとの感想を多くいただきました。
生徒の考え・気づき
・授業を通して、あることを一生懸命に取り組むこと、続けていくこと、そして仕事に就いたら、その仕事を楽しんでいくこと、色んな人を笑顔にすることが大切なんだと新しい価値観を知ることができた。
・今、将来の事(高校・大学・職業)を悩んでいる中でこの話を聞いて、仕事をする時に大切にしたいことを学べました。私は将来、仕事をする時に楽しい気持ちややりがいを大切にしたいです。そして今やっていることを何事でも頑張って続けていきたいです。
(吉原さんの作ったあめ細工。三浦摩利先生がこの2年1組のクラス目標SSR 「S素敵な仲間に S最高の Rリスペクトを」で作ってもらった。)
・今、目の前にあることを一生懸命に頑張れば未来の自分の為になる。道は切り開けるという言葉がとても印象に残りました。どんな気持ちを大切にするかは人それぞれで、もっと話を聞きたくなりました。泥臭くても、夢を追ったり努力をしたりしていれば、見てくれている人は必ずいると思う。その人の為にも頑張りたい。報われない努力もあるけど、無駄な努力は一つもない。そう信じて目の前にあることを全力で頑張りたい。いつかきっと自分の為になるから。
・吉原さんみたいにあきらめないで続けること、一生懸命取り組む事で何かを得られると信じるって言葉に、自分も一生懸命取り組んで努力するってことが大事だなと思いました。
・色んな経験を経て、それで結果、夢が変わったり別の道に進んだりしてもいいけど、そうじゃないなら絶対あきらめない。自分一人だけでがんばっているのではなく、周りの人の応援や期待(支え)と何より「昔の自分の夢」を背負っているのだと自覚し、ひたむきにがんばる。あとは自分と同じような子どもを将来笑顔にする!!
・今、やりたいことが決まっていなくても、目の前の事に取り組むのは大事という事が分かったし、自分からチャレンジして自分に合った仕事を選びたい。
・自分が楽しいと思える仕事+誰かが笑顔になってくれる仕事をしたい。自分が決めた目標はあきらめないで最後まで頑張りたい。
現在、吉原さんの店舗(工房)を全国の中学生が道徳で学びましたと修学旅行時などに訪れているそうです。
あめ細工 吉原 ホームページ
https://ame-yoshihara.com/for_school/
道徳ノート004 「たったひとつのたからもの」
004「たったひとつのたからもの」
テーマ:生命の尊さ
内容項目: 生命の尊さについて,その連続性や有限性なども含めて理解し,かけがえ
のない生命を尊重すること。
< 2学年 >
授業の概略
ダウン症の障害をかかえて生まれた息子・秋雪くん6年間の生涯を母が記した手記。
人の幸せは、命の長さではない。今現在を楽しく元気に過ごせたら、それが一番大切で喜ぶべきこと…と記す秋雪くんの母の言葉。生命の尊さ、精いっぱい生きるとは何かを考える。
聖ヶ丘中学校ではローテーション道徳授業として、全学年が前期・後期に1回ずつ副担任による道徳授業を行っています。今回は石上貴也先生が道徳授業を行いました。
生徒の気づき・学び
・授業を受けて生きる事の大切さを今日改めて学べました。私は両親の気持ちを考えたことがなかったのですが、秋雪君のお母さんのように自分の母が思っていてくれているのなら、もっと家族といる時間を大事にしようと思いました。そして、一生懸命に毎日を生きようと思いました。
・どんな命も平等で一生懸命、一秒一秒を大切に、いろんな人のおかげで生きることができることを理解して生きようと思った。
・人生が短いと分かっていても一生懸命に生きることで、幸せに生きられて、今を大切に生きられるのだなと思った。
・限られている時間の中で、どんな風に生きていくか。それは自分次第。辛いことがあったとしても、支えてくれている人がいるし、それを受け止めて楽しむことが大切。ハンデがあっても、同じ人間だし、愛してくれる人がいるのだから今を楽しむことが大切。
・人生においてハンデがあったとしても楽しいことが無いわけではないから、どんなときでも自分が楽しいと思えることをすればいいと思う。
・自分の環境や状況を言い訳にせず、限界を超えていくつもりで全力を尽くそうと思いました。
・秋雪くんの話を聞いて、命は当たり前じゃないから今を大切にして生きていこうと思った。何事にも全力で取り組んで精一杯生きようと思った。
道徳ノート003「俺じゃないよ…みんなで…」
003「俺じゃないよ…みんなで」
テーマ:役割と責任を考え、集団で目標を達成
内容項目:よりよい学校生活,集団生活の充実
< 2学年 >
授業の概略
1998年長野オリンピック、男子スキージャンプ ラージヒル団体の金メダル獲得を陰で支えたテストジャンパー達。記録も残らない選手たちが、自分の役割と責任を果たすことで金メダルという目標の達成に繋がった。集団で目標を達成するために大切なことは何かを考える。
「中学校道徳自作資料集」明治図書 (作)三浦摩利
生徒の気づき・学び
・集団で目標を達成するためには「誰かがやってくれる」ではなく「自分からやりに行く」という考え方を一人一人が持ち、ベストを尽くしていくことが大切だと思う。
・一人一人の役割をしっかり果たすことが、どの場面においても大切だ!努力をするからお互いの信頼が生まれる。
・行事なども実行委員だけでなく、全員の協力がなければ成り立たない為、個々の意識を大切にしていこうと思う。
・たとえ自分が望む形で活動に参加できなくても、自分でできる事を探す。投げやりにならず、どんな形であれ、貢献できるのだと強く意思を持つ。
・何かを達成するためには絶対にひとりでは無理だし、誰かに手伝ってもらってできているわけなので、これからも周りと協力して色々な事を達成していきたいです。
・団体で何かを成し遂げるには自分の役割を全うしたり、みんなで協力することが大切だと思った。みんなで目標を達成するためには良い雰囲気と相手への思いやりが大切だと思った!
・全員が目標に対して真剣に向き合う事が大切だと思った。それぞれ色んな想いを抱えていると思うが、全員が目標を達成したいと思ったから成功したと思う。
・体育祭もクラスの皆で挑むけど、みんなの活躍でこそ、できるその楽しさと悔しさがあることに気づいた。
・私も1000m走るよ…がんばるよ…100mも走るよ~
・目標を達成するためには一部の目立つ人だけでなく、多くの人の血がにじむような努力で支えられていることを知った。
道徳ノート002「まるごと好きです」
002「まるごと好きです」
テーマ:人との上手な付き合い方
内容項目:相互理解、寛容
< 2学年 >
授業の概略
エッセイ「まるごと好きです」工藤尚子 筆者の転校した中学での具体的な友達づくりの話。まず人に出会うと、好きな部分を探して見つけ、嫌いなところも含めてまるごと好きになる。完璧な人などいないのだから、嫌いな面を放っておき、好きな面を見る事で相手の良さも引き出され良好な人間関係が築けるという考え筆者は中学生生活を送っていた。良好な人との付き合い方とはどういうことか考える。
生徒の学び・気付き
・まるごと好きになることでその人本来の良さを知ることができると思った。短所も長所も知って、その人の事を知る。
・相手に興味をもって話してみようという気持ちをもつ。
・会って初めて話した時に心の中で「あっ嫌いだ」と思わないで笑顔で接する。もし自分のストレスになってしまったり本当に嫌と思うなら少しずつ距離をおいていけばいい。
・適度な距離を保つ。その人とのちょうどいい距離を保って良いと思った事は真似をする。苦手な人とは無理に関わらないでおくけど、悪口は言わない。
・相手の事を知る(好きになる)特に苦手だなと思う人の良い所を探す。
・相手の印象が全てではなくて、その人には必ず良い所があるから見つける。
・相手の事をすべて認めることは、人と長くて良い付き合いができる事が分かった。そのため、これからは相手の短所を気にせず、まるごと好きになろうと思う。
・人をまるごと好きになるのは自分的には難しいと思うけど、少しだけ意識してみようかなと思いました。
・相手を知るという事は相手を受け入れたり、受け入れてもらったりできると思った。
道徳ノート001「短所を武器とせよ」
001「短所を武器とせよ」
テーマ:自信をもって前向きに
内容項目:希望と勇気、強い意志
< 2学年 >
授業の概略
バレーボール選手としては身長が低いがゆえに、頭を使い技術とスピードを磨くことで逆にそれを武器にして世界と戦ってきた竹下佳江選手。人間は誰でも短所・欠点と向き合うことで新たな創造性に出会うことを知り、自分の個性とどう向き合うか考える。
生徒の学び・気付き
・授業を通して、苦手な事から逃げたりするのではなく、立ち止まって目を向ける事で自分の短所を活かしていくことが大切だと思いました。
・自分も短所、欠点は考えれば考えるほど出てくるけど、それをプラスに考える。その短所を理由に何かを諦めない。挑戦していきたい。
・今まで自分は短所を無理やり長所にしていたけれど短所は人にはあるものだから、無理に長所にせず、短所に向き合っていつか時間をかけてでもいいから長所にできるようにしたい。
・自分のハンデをマイナスにとらえるのではなく、そのハンデをどう活かすのかを考えてプラスとする大切さを知れました。足りないものを埋めようとするのは本能で努力ではないというストイックさがすごいなと思いました。「自分が思うままにやる」自分を信じて一生懸命に活動していく凄さを尊敬したい!!欠点は直らないと思うのではなく、直そうとしていないんだ!!っていうのを気づかされました。自分の欠点をどう生かすかを考えて今後につなげていきたいと思います。
・自分にしかできないことをしようと思った。自分のできることをしようと思った。何事も自信をもってやろうと思った。
マイクと過ごしたお正月
マイクと過ごしたお正月
僕の家に12月下旬から1月中旬までアメリカからの留学生がホームステイすることになった。僕と同い年のマイクは1月3日に我が家にやってくることになった。僕の家族は、両親と祖父、兄、僕の5人家族だ。マイクはまったく日本語が話せないらしい。大学生で英語が得意な兄は「英語はオレにまかせろ!」と威勢よく言っていた。
お正月にマイクを迎えるにあたって、我が家では例年になく日本を意識して準備した。母はおせち料理を準備し、祖父と父はお正月飾りの担当、僕と兄は書き初めやカルタ、百人一首の準備をした。
そして迎えた1月3日、マイクがやってきた。お正月だったので、家族全員でマイクを出迎えた。マイクは玄関に置いてある門松やしめ縄飾りを見て声をあげていた。兄が「これが日本の伝統だから」と説明した。すると、マイクから「この飾りには何か意味があるのか」と聞かれ、兄は固まってしまった。兄は父を見たが、父も首を振っていた。すると祖父が「門松は年神様が家に来てくださる為の目印なんだ。しめ縄は年神様が来てくださっても失礼のないように神聖な場所を示すものとして飾るもの。家の玄関に飾ることで、年神様が来てくだされば幸運がいただけるんだよ。」と説明してくれた。兄は一生懸命英語で説明し、マイクは嬉しそうに聞いていた。
早速母がおせち料理をふるまった。またマイクにおせちの意味を聞かれるかもしれないと兄が祖父をつつくと、祖父は「料理の方はちょっと…」とダメだった。母は「私もわからないわ。なんか、小さい頃聞いたことがあるけど。昆布巻きは『喜ぶ』からきていることと、鯛が『めでたい』しか覚えてないわ」と困ってしまった。兄がおせち以外のことで話をしている時に、僕はちょっと席をはずしてパソコンで調べた。僕自身、おせち料理にいろいろと意味があることは知っているけど、実際に人に説明することはできない。調べていてなるほどと思うことがたくさんあり、かきあつめた情報をプリントアウトして兄に渡した。
兄は僕が印刷した資料を見ると「ふ~ん。そうなんだ!」と感心していた。
「祝い肴三種、これはおせちにはなくてはならない基本なんだな。関東と関西ではその3つが異なる場合もある…と。うちは関東だから、黒豆、数の子、田作りか。黒豆はまめに働けるようにという意味と、黒豆の黒は邪気を払って不老長寿をもたらしてくれる色という意味があるんだね。数の子は卵がたくさんあるところから、子孫繁栄。田作りは豊作になるようにという願いが込められている。よーし。」
兄は苦労しながら英語で説明していた。マイクはアメリカでも黒豆に似た縁起物の食べ物でブラックアイドピーという豆を食べるんだと言っていた。
僕も説明しやすいおせち料理を選んで、つたない英語で説明をした。海老は腰が曲がるまで長生きできますようにという意味があり、れんこんは穴があいているので遠くのことを見通すことができるようにという意味があることを伝えた。おせち料理一つ一つに意味が込められていることを考えると、今まで何も考えずにお正月だからおせち料理を食べるというのではもったいなかったなと思った。
マイクは僕や兄の説明を笑顔で聞いていたが、今度はアメリカの話をしてくれた。アメリカでは新年を何日もかけて祝うということはせず、むしろクリスマスを盛大に祝うそうだ。新年は大晦日の夜に親戚や友だちが集まりパーティーを開き、12時に向けてカウントダウン「スリー、トゥー、ワン、ハッピーニューイヤー!」と新しい年を迎えるということだった。マイクは新年に食べる縁起物の料理がこんなにあるなんてと驚いていた。僕もあらためてそう思った。
マイクと過ごしたお正月は今まで自分が意識していなかった日本のお正月についてあらためて考えさせられる機会となった。僕は書き初めに意味があるということも今まで知らなかった。まして書き初めをする日も本当は1月2日だったなんて…。
マイクが帰国する前日、ちょうど僕の地域のどんど焼きが行われる日だった。いつもお正月のお飾りを持っていくよういわれていたが、どんど焼きにも意味があるに違いないと思い調べるとやっぱりそうだった。竹や茅を燃やすだけの行事ではなかった。無病息災を願う行事。しかも、書き初めを火に投じ、それが高く舞い上がるほど字がうまくなるという言い伝えがあるということも。マイクにどんど焼きの話をすると、マイクは興味を示した。
1月15日、僕とマイクはどんど焼きに出かけた。お飾りとお正月に書いた書き初めを持っていった。知り合いのおじさんがマイクの書き初めをどんど焼きのやぐらの一番いいところに飾ってくれた。マイクに説明してあげようと思い、おじさんに尋ねた。
「このどんど焼きっていつ頃から行われているんですか。」
「おじさんが子どもの頃からやってるからわかんねぇな。おじさんが中学生の頃は、このやぐらを中学生が全部作ったもんだ。」
「え、中学生が全部!?」
「そうだよ。このどんど焼きも、やぐら作ってんのはおじさん達だけだから、これから先いつまでできるかわかんねぇな。今度手伝ってみるか?」と言われた。僕はちょっと心が動いた。
お昼頃お焚き上げが始まった。どんど焼きの火はあっという間に大きな炎となり、ときどき竹がパーンと割れる音が響いた。マイクの書き初めが燃えながら高く舞い上がっていった。毎年見ていたどんど焼きなのに、今年はなんだか熱い気持ちで見入ってしまった。僕は、マイクに「きっと字がうまくなるよ」と言った。どんど焼きの火であぶった団子を二人で食べた。なんだか今までとは違う味に感じた。
マイクは翌日帰国した。日本の伝統文化についてたくさん学ぶことができてよかったと本当に喜んでいたが、一番学んだのは僕だと思った。
「中学校道徳自作資料集‐生徒が思わず語り合いたくなる24の話‐」三浦摩利著(明治図書)より
未来へのバトン
未来へのバトン
この話は、3つ年上の兄に聞いた話だ。ちょうど3年前、兄は中学2年生だった。コロナ対策で学校行事が制限されていたころだ。当時、多摩市は市制施行50周年ということで、いろいろなイベントが催されていた。兄が当時の先生や友達の物まねをしながら僕に話してくれたことを皆に紹介したい。
11月1日、学年集会があり、二浦先生が連絡があるからと皆の前で話し始めた。
「皆さん、11月1日は、とても大事な日ですが、何の日か知っていますか?」
「何の記念日?」「文化の日じゃないよね…」「何だろう?」
皆がざわざわした。1組の男子の中から「多摩市の誕生日!」という声が聞こえた。
「そう、その通り。11月1日は、多摩市の誕生日。南多摩郡多摩町から、多摩市になった日です。1971年、昭和46年に多摩ニュータウン計画により人口が増えたため、町から市になりました。偶然だそうですが、ハローキティの誕生日でもあります。皆さんの保護者や親せきで子どもの頃に多摩市で過ごした人はいませんか。実は、令和3年、11月3日に多摩市市制50周年記念イベントに司会として参加することになりました。あるものを開けるのですが…何でしょう。」
「宝箱?」「何だろう…」「あ、タイムカプセル?」
「そうです。今から40年前に、市制10周年イベントとしてタイムカプセルが埋められました。市内の各児童館に遊びに来ている児童たちが手紙やら工作、折り紙、写真などをタイムカプセルに入れて、40年後に開けましょうというイベントで、永山北公園で行われました。11月3日、いよいよそのタイムカプセルが開けられます。もし、おうちの人でタイムカプセルに入れた記憶がある人がいたら、14時から開始しますので、伝えてください。皆さんの中で興味がある人がいたら来ていいですよ。」
行かないつもりだったが、自分も小学校時代にタイムカプセルに手紙を入れた経験があるので、少し興味をもった。休み時間に二浦先生に質問した。
「先生、タイムカプセルってもう開けたんですか?」
「いや、実は開けてないらしいの。タイムカプセルが地中に埋まっているというところまでは確認したのだけれど、中は当日開けるんですって。司会原稿には、『こんなに綺麗に保存されているとは思いませんでした。』と書いてあるんだけど、実際はそうじゃないかもね。」
「じゃあ、濡れてたり、カビが生えてたりするかもですね…。」
「そうね…虫とかいっぱいいたら、言葉を失ってしまうかも。」
周りで聞いていたクラスメイトが「虫とか絶対無理~!」と叫んでいた。
そうか…もしかしたら綺麗に保存はされていないかもしれない。でも、自分が子どもの頃埋めたものを大人になって見るって面白そうだな…と思った。先生は、「康孝くん、興味わいた?見に来る?」と聞いてきた。
「いや、絶対行かないです。忙しいんで。」
「そうか、残念。タイムカプセルを開けるだけじゃなく、また新しいタイムカプセルを埋めるから、もし興味があったら、来てみて!」
教室の中から「面白そう!行ってみようかな~」という声が聞こえた。
11月3日、文化の日で学校はお休み、部活動もなかった。友達の貴弘から午前中に電話がきた。
「先生がさ、永山北公園って言ってたよな。タイムカプセル開けるの見に行かない?」
「え、やだよ。絶対行かないって先生に言ったし、タイムカプセルの関係者じゃないしさ。」
「実はさ、俺の弟が新しいタイムカプセル埋めるのに参加するらしくて、母ちゃんに心配だから見に行ってって言われちゃってさ。公園だからソーシャルディスタンスとれるし、遠くから見られるって言っていたから、遠くから見ようよ。」
「遠くからって…怪しくないか?まあ、いいか。」
結局、友達の貴弘と二人で見に行くことになった。
開始時刻ちょっとすぎに永山北公園に着き、会場に向かった。
「それでは、多摩市長のあいさつです。よろしくお願いいたします。」
二浦先生の声が聞こえてきた。
「お~、来賓あいさつということは、まだ開けてないな。」
2人の足取りは速くなった。
永山北公園の小高い丘の周辺に人だかりが見えた。人は円を描くようにタイムカプセル埋設場所を取り囲んでいた。到着すると、クラスメイトの直美と由紀子の姿が見えた。
「あれ、2人ともなんで来てるの?」
「実は、私の妹と由紀子の弟が連光寺児童館でタイムカプセルに入れるメッセージ書いたって聞いて、見に来ているの。貴弘の弟もいたよ。児童館の友達と一緒に、ほら、あそこに。」直美の指さす方向に貴弘に似た弟の姿が見えた。
「そうなんだ~。今日は昔のタイムカプセルを掘り起こして、新しいタイムカプセルを埋めるんだもんな。」
オレ達は4人で一緒にタイムカプセルの掘り起こしを見ることにした。クレーンでコンクリートの大きな蓋が持ち上げられると、球状のカプセルが見えた!球状のカプセルもクレーンでつり上げられ、ブルーシートの上に置かれた。
「40年間も地中に埋められていたカプセルが今、掘りおこされました!中はどうなっているのでしょうか。皆さま、市の職員がこれより開封いたしますので、カプセルの周りにお集まりください!」
「先生、司会原稿通りのセリフ、『こんなに綺麗に…』って言える状態かな?」
「さあな~。ドキドキだな。」
カプセルのボルトが外された。ギギギ、カプセルがこじ開けられた。
「わぁ~」歓声が聞こえる。中がどうなっているのか、よく見えない。
「40年間も埋まっていた思い出の品がこんなに綺麗に残っているとは思いませんでした!」
先生の声が響き、原稿通り、実際に綺麗に残っていたことがわかった。先生が自分達に気づき、オッケーサインを出してくれた。
「お~」パチパチパチ思わず拍手をしている自分がいた。
そして、カプセルの中から児童館ごとに思い出の品が並べられた。連光寺児童館は皆で作った折り紙だった。当時の新聞やスーパーの広告にくるまれた粘土細工の手形、古い写真、竹で作った籠など、40年前を思わせるものがたくさんでてきた。当時児童だった大人が7人来ていた。二浦先生がインタビューしていたが、当時のことをはっきりと覚えている人は誰もいなかった。手形にドラえもんの絵を描いていた大人の人が
「自分が当時ドラえもんが大好きだったことを思い出しました。ノートとか、なんにでもドラえもんの絵を描いていましたね。」と言っていた。友達が皆、こっちを見てニヤニヤしてきた。オレがいつもノートにアンパンマンのイラストばっかり描いているからだろう。
40年前に入れた人たちのインタビューが終わり、今度は新しくタイムカプセルに入れる子供たちのインタビューが始まった。次回は30年後に開けるらしい。30年後の自分に向けてメッセージを書いたという子どもが多かった。貴弘の弟がインタビューを受けていた。
(実際のイベント時の写真)
「30年後もサッカーを続けていたいです。30年後も皆が健康で笑顔あふれる街になっていてほしいです。」
「30年後も多摩市に住んでいますか?」
「はい、そうであってほしいです。」
貴弘の弟は小さい時の貴弘にそっくりで、ハキハキと答えていた。
他の子どもたちは
「もう少し体育ができるようになっていたい。」とか、「アイドルになりたい。」「イラストレーターになりたい。」「住みよい街であってほしい。」など、自分も小学校のとき考えたようなことを答えていた。
そして、子供たちの思い出の品やメッセージなどがタイムカプセルに入れられ、ボルトでしっかりと閉じられ、地中に埋められた。
「はい、ただいま無事、カプセルが納められました。30年後まで今日のことを覚えておいていただいて、この場で再会していただきたいと思います。どうしても若い世代は市外に出てしまうことも多いですが、皆さんにはぜひ、今後何十年も、多摩市に関わっていただければ嬉しく思います。」
二浦先生の言葉を聞いて、みんなで顔を見合わせた。
「30年後、ここに来る?康孝はどうなんだよ。」貴弘が言った。
「オレは…多摩市が好きだし、住んでるかわかんないけど、来ようかな。」
「30年後、みんなどうなっているんだろうね。」由紀子がつぶやいた。
「皆さん空を見上げてください。この青空の下、ここで考えたこと、感じたこと、みんなでタイムカプセルを埋めたことを忘れないでください。30年後、ここでまた会える日を楽しみにしています。」イベント終了の挨拶があり、大きな拍手が起こった。
「30年後の多摩市の未来はどうなっているんだろうな。また、この場所で、このメンバーで会おう。」貴弘が笑顔で言った。皆、うなずいていた。
40年前、タイムカプセルを埋めた大人のほとんどは、埋めた時のことを忘れてしまったと言っていた。でも、オレは忘れたくないと思った。見上げた空の青さ、永山北公園の芝生、そして、今、誰にも言っていないけど、自分が考えている将来の自分のこと…そして、30年後の多摩市への希望。オレは、未来へのバトンを渡されたような気がした。
作(三浦 摩利)
道徳教材 ひじり坂をあがると・・・
ひじり坂を上がると…
ぼくは、三郎、聖ヶ丘中学校の1年生。バスケットボール部に所属し、日々楽しく生活している。
先日、帰り学活のときに、美化給食委員の貴司が
「今度、21日の放課後、地域清掃を行います。参加希望する人は今週中に申し出てください。」と呼びかけていた。
「部活動がある人はどうするんですか?」という質問が出た。
「清掃活動は、4時半までなので、清掃活動が終わった後、部活動に出られます。」と答えていた。ぼくは、部活動を休んで掃除とかありえないな…と思った。
その後。貴司から、
「オレも委員として参加するから、参加しないか?」と誘われた。
「いや、清掃は教室だけで充分だから、いいや。」と言って断った。
その日の放課後、部活動の後に、先輩たちが地域清掃の話をしていた。仲のよい裕二先輩や、部長の宏行先輩も1年の時参加したというのだ。ぼくはボランティア活動には全然興味をもっていなかったので、あこがれの先輩たちが参加したということに驚いた。だから思わず、
「清掃活動したんですか?部活動の時間を削ってですか?」
と言ってしまった。すると、宏行先輩は笑顔で答えてくれた。
「オレもね、最初はそう思ってた。正直、面倒くさいと思っていたんだけど、美化給食委員だったから参加したんだよ。でも、参加してよかったと思ったよ。」
由希先輩もうなずきながら答えてくれた。
「わたしも同じようなものよ。美化給食委員の友達に誘われて参加したんだけど、やっぱりやってよかったと思った。」
「三郎もシュート入れる前にゴミ入れてこいよ!」
宏行先輩はシュートを決めながら、すすめてくれた。宏行先輩や由希先輩は一学年先輩だけれど、自分よりずっと大人に感じた。先輩たちがかっこよく思え、ぼくの心は揺れた。その時、クラスの美化給食委員の真理子から、
「三郎も前期、美化給食委員だったんだし、やろうよ。」
と声をかけられた。部活動をやっている方が絶対楽しいと思ったけれど、一回くらいはやってみようかと思い、
「じゃあ、やるか。」
と答えた。そして、ぼくは翌日、貴司に参加することを伝えた。
地域清掃の当日、集合時間の3時半に玄関前に集合した。いつもだったら、練習前のランニングが始まっている時間だ。先輩に誘われて、つい、参加すると約束してしまったが、あまり乗り気ではなかった。
「ボランティアの皆さん、ありがとうございます。これから、地域清掃を始めます。皆さんは、4時半まで、落ち葉掃き、周辺のゴミをひろってください。よろしくお願いします。」
とうとう地域清掃が始まった。ぼくはひじり坂周辺の担当になった。活動は僕たちだけではなく、地域イベントで見かけたことのある地域の方が数名参加していた。
先輩が担当したときは、歩道一面に落ち葉が広がっていたと聞いたが、そこまでではなかった。でも、道のわきに広がっている落ち葉を見て、
「これ、終わるのかな。」と不安な気持ちにかられた。よく見ると、落ち葉だけではなかった。道の端には、たばこの吸い殻がけっこう落ちていた。植え込みの下の方を見ると、お菓子のビニール袋やマスク、空き缶まで落ちていた。そんなゴミを拾いながら、落ち葉を掃き始めた。
「落ち葉っていつの間にかなくなっているけど、誰かがキレイにしてくれてたのか。」とか、「アスファルトの道に落ち葉が広がっているけど、土じゃないんだし、自然になくなることはないんだよな…。」などと思いながら、掃き続けた。大きなゴミ袋はすぐにいっぱいになった。先生の掛け声で終了したが、時間があっという間に感じた。集合場所に行くと、みんな落ち葉のいっぱい入った袋をもって集合していた。
集合場所で、担当の先生からお話があった。
「一年生の皆さん、今日、初めて聖ヶ丘中学校の地域清掃に参加していろいろ気付いたことがあると思います。ゴミがあまり落ちていないな?と思った人いますか?」
半分くらいの生徒が手を挙げていた。
「先週、2年生がだいぶ落ち葉を掃いてくれたので、みなさんはそこまで大変ではなかったと思います。先週は、2年生には遊歩道も担当してもらったのですが、そこには落ち葉はあってもゴミはほとんどありませんでした。それには理由があります。実は遊歩道付近は、聖ヶ丘子ども・おとしより見守り隊の皆さんが毎朝7時50分から8時半までゴミ拾いをされているそうです。知っていましたか?」
何人かの生徒がうなずいていた。
「毎日通っている道だけど、そうだったのか…。」裕二先輩がつぶやいていた。
先生は続けて説明してくれた。
「実は、本日、子ども・おとしより見守り隊の隊長の方がお見えになっています!こちらへどうぞ!」
「皆さん、こんにちは。私は聖ヶ丘子ども・おとしより見守り隊の隊長を務めさせていただいております。聖ヶ丘に在住しています。この地域清掃は聖ヶ丘の青少年問題協議会の皆さんがスタートした活動で、ここ数年、聖ヶ丘中学校の皆さんと地域の我々が一緒に活動しています。この時期、皆さんと一緒に活動するのを楽しみにしています。また、私たちは毎朝早朝にゴミ拾いをしていますが、なぜだと思いますか?」
「キレイな道を歩くと気持ちいいから?」貴司が答えた。
「そうですね。皆さんがキレイな遊歩道を歩いて気持ちよく通学、通勤してくれればいいなと思って毎朝活動しています。きっかけは、実は防犯です。」
「防犯?」首をかしげている生徒が多かった。
「防犯なら、暗くなるころにパトロールをすればよいと思うでしょう。それも行っていますが、防犯はパトロールだけではないのです。実は、ゴミ拾いをすることも防犯につながっているのです。『割れ窓理論』という言葉を聞いたことがありませんか?」
隣のクラスの美化給食委員の奈緒子が答えた。
「1枚の割れたガラスを放っておくと、いずれ街全体が荒れて、犯罪が増えてしまう…だったと思うんですけど。」
「その通り。逆に言うと、公園や地域の清掃活動などで街がキレイになれば、将来発生しうる犯罪を未然に防ぐ効果があるんですよ。まあ、防犯の為に始めたことですが、地域がキレイになって私たちも朝から爽やかな気持ちになります。もう14年間この活動を続けています。」
「すごい…。」
みんな絶句していた。地域の為に早朝から毎日活動するなんて…。隊長さんは続けて話してくれた。
「本日みなさんが一緒に地域清掃してくれたことも地域の為になっているのです。皆さんが清掃活動をしているのを多くの方が見ていました。中学生がこんなに頑張っているのだから、自分たちも街をよくしたいという気持ちになった方が多くいると思いますよ。私たちもみなさんが一生懸命活動している様子を見て、元気をもらいました。明日からまた頑張ろうと思います。」
たった一回のボランティアだけど、少しだけでも地域の為になったのなら、自分が参加した甲斐があったな…と思えた。
「三郎、お疲れ様!やってどうだった?」真理子が聞いてきた。
「やってみたら、結構楽しくなってきて、時間もあっという間だったな。」
「よかった。終わったとき、爽快感あったよね。来年もやろうよ。」
と言われた。
「そうだな!やるわ。」
と答えた。この前とは違う気持ちで答えた。
翌朝、いつもの時間に家を出た。学校へ行くいつもの道、ひじり坂を上がると、学校が見えてくる。ぼくは、勢いよく坂を駆け上がった。振り返ってみると、いつもの景色がちょっと違って見えた。
(三浦 摩利 作)
(くどうのぞみ 絵)