学校長の窓

学校長からのお話を掲載しています

創立記念集会 あいさつ

  みなさん、こんにちは。今日の創立記念集会にあたり、益子中学校の歴史について、少しお話をします。

 本校の創立は、昭和22年4月1日です。そして、4月28日に開校式を行いました。生徒のみなさんも知っているように、1945年(昭和20)8月15日に終戦を迎え、GHQ(アメリカ合衆国)の占領下に置かれました。急速に日本の民主化が始まり、その一つが教育の民主化でした。

 これまでの教育制度を大きく変え、6・3・3・4制による教育制度改革を行いました。つまり、小学校は6年間、中学校・高等学校は3年間、そして大学は4年間という制度の下に、新しい中学校が全国一斉につくられたわけです。ですから、小学校の創立記念日と異なり、中学校はみな同じ時期に創立されたことになります。益子中学校も、今年で64回目の誕生日を迎えました。

 益子中のこの長い歴史を振り返ってみますと、昭和25年4月15日に校歌が制定され、昭和28年3月17日には校旗が樹立され、学校のシンボルが整いました。学校の勢いが出始めたころです。昭和40年代半ばになると、「栃木県に益子中あり」と言われるほど、生徒たちのすばらしい活躍が見られました。そして、平成9年には創立50周年記念式典を行い、平成19年には創立60周年記念講演会を実施し、学校の発展をお祝いしています。

 さて、本日は創立記念にあたり、講師として 塚本裕昭 様にお願いをいたしました。塚本様は、益子中学校の第二黄金期といわれる、昭和51年度の卒業生です。現在、塚本油店を経営され、御活躍されています。本校では、毎年2年生がマイ・チャレンジ活動で、大変お世話になっています。本日は大変お忙しい中、お出でいただきました。誠にありがとうございます。

 本日の塚本様のお話は、生徒のみなさんにとって、益子中を見つめ直す良い機会になること思います。そして、みなさんが益子中生徒としての誇りや自信につながることを願っています。しっかりとお話を聞いて、これからの自分づくり、自分探しにぜひ生かしてほしいと思います。

生徒会総会 あいさつ

  みなさん、こんにちは。平成24年度がスタートし、早1か月が過ぎようとしています。みなさんは、これまで始業式、入学式、対面式、部活動紹介などを行い、益子中学校の生徒としての自覚と誇りを高めてきたことでしょう。そして、この1か月、新しい学年で、新しい学級で、毎日楽しく充実した学校生活を過ごしていると思います。

 元気なあいさつが教室や廊下などから聞こえてきます。8時15分になると、静まりかえったように一斉に朝の読書が始まります。授業中の態度も真剣そのものです。昼休みも元気に遊ぶ姿が見られます。清掃の時間も、手を抜かずしっかりと取り組みます。

 このような益子中の生徒のすばらしさは、本校生徒会のすばらしさと比例しています。つまり、生徒会ががんばっている学校がすばらしい学校になるのです。生徒会活動は生徒会役員だけでやるものではありません。今、ここに集まっているみなさんが、生徒会活動の土台となって支えているのです。

 生徒会は、みなさんの学校生活がより楽しく充実するために、自主的に活動する自治組織です。生徒自身の、生徒自身による、生徒自身のための自治活動組織が生徒会なのです。ですから、何かをしてくれるのを待つのではなく、自分がみんなのために、学校のために何ができるのかを考え行動することが必要なのです。つまり、「受動的な待ちの姿勢」でなく、「能動的で、自ら考え動く」ということが大切です。

 さて、本日は年に一度の生徒総会になります。生徒会長の根本圭也さんをを中心に、本日の総会の準備を整えてくれました。この1年間の生徒会行事や各種委員会の活動が活発になり、「益子中は、生徒たちがよくがんばっているから、輝いている」と言われるよう、しっかりと計画を立て、実行していきましょう。

 今年度のメインテーマは「オレンジ聖心益中」です。実行力、機動力のある生徒会を目指し、一人ひとりの力が結集し、充実感と感動のある1年間にしていきましょう。みなさんが大いに活躍してくれることを期待しています。

第1回朝会講話「努力なくして栄光なし」

 みなさん、おはようございます。今日は日本競泳選手で、初の4大会連続オリンピック代表を決めた北島康介選手のことをお話しします。

 先週、競泳のロンドンオリンピック代表選考会を兼ねた日本選手権が、東京辰巳国際水泳場で行われました。北島選手は、100メートル、200メートル平泳ぎに出場し、見事優勝を飾りました。これで、ロンドンオリンピック代表に選ばれるとともに、日本競泳選手で、初の4大会連続オリンピック代表という偉業を成し遂げました。

 新聞では「北島復活」とか「雪辱への確かな手応え」などの見出しを付けて、大きく取り上げています。それは、昨年の世界選手権でまったく振るわなかった彼が、底力を発揮し、結果をしっかりと出したからです。冬場の体づくり、そして故障しないぎりぎりのところを攻めて、必死に練習したことが、好成績につながったと言えます。

 北島選手の言葉で、特に心に残っている言葉があります。
 一つは「負けを知ったとき、初めて勝つことができる。」という言葉です。
昨年の世界選手権での屈辱からの再出発を果たした言葉でもあります。
  もう一つは「何も犠牲にしていません。何かを犠牲にしたら、続けること は無理です。ただ、泳ぐのが好きだからできただけです。」という言葉です。競泳男子個人種目で、前人未踏の3連覇に挑む北島選手らしい言葉です。

 でも、彼がここまで頑張れるのは、彼の小・中学校時代にあると思っています。彼はスイミングのジムに通っていて、将来の活躍を期待されていました。学校の体育時間に行う水泳の授業などは、完璧にマスターしていました。しかし、彼は、その授業を決しておろそかにしたり、ほかの友達のことをばかにしたりすることはありませんでした。彼のすごさは、ジムの練習も、学校の練習も、どちらも頑張れたということです。「目の前のことに一生懸命になれる人は、一流になれる。」ということです。

 ロンドンオリンピックは、7月27日に開幕します。北島選手の活躍が楽しみです。「自分がなるべき自分を思い描いて、そのために努力する。」「努力なくして栄光なし。」このことを北島選手は教えてくれています。あと、1か月でいよいよ春季大会各種大会が始まります。ぜひ力を発揮してほしいと思います。

平成24年度対面式あいさつ

  昨日、4月9日に入学式を行い、134名の1年生のみなさんが、益子中の校門を元気にくぐりました。みなさんの式に臨む態度は、大変立派でした。緊張したことでしょう。でも、その緊張の中にも、中学生になった喜びとうれしさという、確かな手応えを感じていたに違いありません。

 さて、今日の対面式は、1年生のみなさんが益子中の生徒として、また生徒会の一員として、第一歩を踏み出す大切な日です。今日の対面式に当たり、2つのことをお話しします。

 1つ目は、1年生のみなさんが、学級の中、学年の中、そして、全校へと会話を広げ、コミュニケーションを通して、早く中学校生活に慣れてほしいということです。そのためには、友達をつくること、好きな部活動に入ること、昼休みに外で遊ぶことなど、行動的な、積極的な自分を思いっきり表現することが大切です。みなさんが「毎日が楽しい」と思えるような学校生活を送ってほしいと願っています。

 2つ目は、2・3年生のみなさんが上級生として、益子中の生徒としての誇りと自覚をもち、先輩としてよき手本を示してほしいということです。例えば、明るく元気なあいさつの仕方、はっきりとした大きな返事の仕方、交通ルールを守る自転車の乗り方、自ら進んで行う清掃の仕方、集中して部活動に取り組む態度など、誇り高き益子中の生徒としての心構えを教えてあげてください。

 今日から、412名のみなさんが、学校の主役として新たな益子中学校の文化を創り上げていきます。一人一人が学校の代表です。そして、一人一人の輝きが、学校を動かす原動力となります。校歌にもあるように、常に歓喜の声が高まるような学校にしていきましょう。

 結びに、この対面式を行うに当たり、準備をしてくれた、さわやかな生徒会長の根本圭也さんを中心に、明るく笑顔のすてきな生徒会役員のみなさんに感謝を申し上げ、あいさつとします。

平成24度入学式 式辞

 生命の躍動感を感じる、さわやかな季節を迎えました。本日ここに、益子町産業建設部長 三宅明男 様、益子町議会副議長 黒子秀夫 様をはじめ、多数の御来賓の皆様の御臨席と、保護者の皆様の御列席を賜り、平成24年度入学式を、盛大に挙行できますことは、私たち教職員にとりましても、この上ない喜びであります。御多用の中、御臨席賜りました皆様に、心より御礼申し上げます。
 ただ今、一人一人の呼名で、立派な態度を見せてくれました、134名の新入生のみなさんは、今日から、伝統と歴史のある、益子中学校の生徒となりました。入学おめでとうございます。みなさんの入学を心から歓迎いたします。今こうして、壇上からみなさんの顔を見ますと、とても生き生きと輝いています。「今日から中学生として頑張ろう」という意気込みが伝わってくるようです。今のこの気持ちを大切にし、中学校生活の第一歩を、力強く踏み出してほしいと思います。
  さて、本校で三年間生活するに当たり、本校にはみなさんの心の拠り所となる「校訓」があります。それは、聖の心、「聖心」です。「聖心」とは「優れた人を目指し、日々努力する心」です。みなさんは、この校訓「聖心」を深く心に刻み、失敗を決して恐れず、自分の可能性に挑戦し、努力する人になってほしいと思います。
 それでは、中学校生活の三年間の過ごし方、特に心掛けてほしいことを2つお話しします。
 1つ目は「一日一日を大事にしてほしい」ということです。毎日の授業、学校行事、部活動、家庭学習、友達との交わり、その一つ一つが大切になります。日々、平凡に続いているように思えるかもしれませんが、本当は、毎日毎日が新しい日であり、かけがえのない一日でもあります。長いようで短い中学校生活、自分のこれからの基礎を形作る大切な時期であり、大切なところです。この一日一日を、どれだけみなさんが大事にできるかということに、中学校生活はかかっています。どうぞ、毎日を大切に進んでいってください。
 2つ目は「親友と呼べる友達をつくってほしい」ということです。人間は、たった一人の自分だけでは生きていけません。人間には家族があり、そして友達がいて初めて、人間らしく生きていけるのです。この中学校時代は、自分の一生を通じて、付き合っていける、友達をもつことのできる貴重な機会です。「真の友は悲しみを半分にし、喜びを倍にする」という言葉があります。困ったときに助けてくれる。悩みも聞いてくれる。うれしいときは一緒に喜んでくれる。そのような親友と呼べる友達をつくり、明るく元気で、楽しい学校生活を送ってください。
   次に、2・3年生にお願いがあります。新入生は、新しい生活に入る期待や喜びと同時に、不安でいっぱいです。早く学校生活に慣れるよう、先輩として、新入生のよき相談相手となってください。
 ここで、保護者の皆様に申し上げます。本日はお子様の御入学、誠におめでとうございます。12年間、慈しみ育て、今日の日を迎えられた、保護者の皆様のお喜びには、計り知れないものがあろうかと思います。私ども教職員は、皆様の御期待に応えるべく、誠心誠意、最大の努力を傾け、教育活動を行ってまいりたいと思います。保護者の皆様の本校教育への御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げます。
  結びに、新入生のみなさんが、本校に学ぶ誇りと自覚をもち、活躍できることを期待し、式辞といたします。

平成24年度 第1学期始業式 あいさつ

  みなさん、おはようございます。今日から平成24年度第1学期が始まります。みなさんは、上学年に進級した喜びとうれしさで胸をふくらませていることと思います。誰もがもつ、この新鮮な気持ちは、「がんばるぞ!」というエネルギーを与えてくれます。

 3年生は最高学年となります。学校の顔として、思う存分活躍してほしいと思います。また、2年生は中堅学年となります。3年生からリーダーとしての心構えを学び、活躍の場を広げてほしいと思います。

 さて、平成24年度のスタートにあたり、みなさんに広げてほしい「伸び代」について、3つのことをお話します。
 1つ目は、「心の伸び代」です。自分からあいさつができる、自分から落ちているゴミが拾える、困っている人を見かけたら助けてあげられるなど、気持ちを形に変える行為をぜひ実践して、「心の伸び代」を広げてほしいと思います。
 2つ目は、「学力の伸び代」です。指名されたら「ハイ」と返事ができる、自分の考えを発表できる、授業に集中できる、必ず予習・復習するなど、授業に楽しく取り組む姿勢をつくりあげ、「学力の伸び代」を広げてほしいと思います。
 3つ目は、「体力の伸び代」です。体育の授業は見学しない、思い切って体を動かす、部活動を休まない、練習がつらくても逃げないなど、体を鍛えることは当たり前だという意識をもち続け、「体力の伸び代」を広げてほしいと思います。

 これらの3つの「伸び代」を広げるためには、みなさんの努力が欠かせません。努力すれば、必ず「伸び代」を広げられます。この努力こそ、みなさんの心の拠り所である校訓「聖心」につながるものです。

 今日は、いよいよ新入生を迎えます。全校生徒は412名になります。みなさん一人一人が努力し、力を発揮しようとすれば、益子中はますます輝きを増してくるでしょう。「どこにも負けない益子中」「楽しく笑顔あふれる益子中」を目指し、心を高めていきましょう。みなさんの活躍を期待しています。

 「気持ちを形に」(『生徒会誌』第52号) 

          

 東日本大震災直後からテレビのCMが一時、ほとんどACジャパン(旧公共広告機構)のものとなりました。そのCMの中で、特に心に残る言葉があります。「心は誰にも見えないけれど、心遣いは見える。思いは見えないけれど、思いやりは誰にでも見える。その気持ちを形に。」という内容です。
 本校生徒会は、この東日本大震災への義援金に協力しようと呼びかけ、いち早く立ち上がりました。「がんばろう日本」「がんばろう益子中」の掛け声とともに、十一万六千円余の義援金が集まったのです。また、被災された東北地方の岩手・宮城・福島各県の中学生に「空はつながっていますから、元気を出して、がんばってください。」と、励ましの手紙も書いています。このような気持ちを形にする真摯な行為こそ、本校生徒会の真骨頂とも言えます。
 これらの貴重な経験を踏まえ、今年度の生徒会活動の方針を「自主」「貢献」としました。そして、この方針の下に、すべての活動をしっかりと展開してきたことに賛辞を呈したいと思います。
 特に、自主的な「あいさつ運動」は、元気と明るさを学校から地域へ、地域から地域へと発信してします。自主的な「勤労・奉仕的な活動」では、校舎周辺の掃除から側溝掃除へと範囲を広げ、さらには学校近くの公共施設周辺の除草作業にも及ぶようになりました。また、校内の掲示物にいたずらなどが見られると、毎朝クラスを訪問し、「掲示物は心に栄養を与える情報源です。大切に扱いましょう。」と呼びかけました。このような自主的な活動は、生徒たちの心を動かし、規範意識を大いに高めてくれました。
 それから、寒い冬の朝、誰よりも早く登校し落ち葉を掃く生徒、自分一人でも正門に立ち「あいさつ運動」をする生徒、信号機のそばに立ち教師と共に交通指導をする生徒など、自主的な活動が多く見られ、気持ちを形にする行為が広がっています。これも、「自主」「貢献」という生徒会活動の座標軸がしっかりしているからです。まさに本校生徒会の組織は、エリート集団を成していると言えます。スペインの哲学者オルテガは、次のように説いています。
「エリートとは、断れば断ることができる責務をあえて受諾するものである。自分自身に困難を積み重ねるものである。」(『大衆の反逆』)より)
 自分にとって都合のよいことばかり求めていては、エリートにはなり得ません。本校生徒会は、常に周囲の人、学級、学校、地域のことを優先する姿勢で、あえて困難なことと思われることでも、自ら引き受け取り組んできています。
 学校文化は、生徒会が主体となり生徒のたゆまぬ努力によって創られます。その積み重ねにより生徒会活動は厚みを増し、みなさんの学校生活に自信と活力を与えるのです。気持ちを形にする真摯な行為が持続できることを願っています。

平成23年度修業式あいさつ

 みなさん、おはようございます。今日は、平成23年度の最後の授業の日です。欠席がない人は、今日で198日登校したことになります。ただ今、第1学年代表の大山佳穂さん、第2学年代表の小崎 駿さん、それぞれに修了証書(通知票)を授与しました。これでみなさんは、4月1日から、全員進級することになります。おめでとうございます。

 学校では、みなさんが知っているように、学期ごとに、学校生活の節目となる始業式や終業式を行っています。今日は、1年の最後の節目となる修業式です。学業を修める式のことです。1年間の学校生活を振り返り、学力の面、心・生活の面、健康・体力の面から、自分の成長を見つめ直すよい機会でもあります。

 この後、学級活動の時間に、担任の先生から通知表が手渡されます。そこには、自分自身の努力の様子が記されています。自分が努力し、成し遂げられたことについては、自分を褒めてあげてください。反対に、努力はしたが成果が見られなかったことについては、今後の課題として、努力を続けてほしいと思います。

 ここで、みなさんにぜひ話したいことがあります。それは、「“気持ち”を“形”にする真摯な行為は、益子中学校のよき伝統である」ということです。このことは、卒業式にも話をしました。

 実は、ある老婦人から手紙をいただきました。その手紙を紹介します。

 昨日3月16日、日赤に行って来ました。茂木駅行きの帰りの列車で、私の隣に座っていたおばあさんにあいさつをし、益子駅で降りた学生がいました。おばあさんはその学生に、「ありがとうございました。」と、御礼を言っていました。
 そして、学生が降りた後、そのおばあさんは、私に「あの学生さんね。真岡駅の階段まで下りたのに、わざわざ上がって来て、手を貸してくれたの。ありがたかった。ありがたかった。」と何度も言って、話しかけてきました。名前は聞かなかったそうですが、この3月に益子中学校を卒業して、4月から高校生になるそうです。  
 足腰が不自由な者にとって、階段の上り下りは不安なものです。それで、いつも私は、北真岡までタクシーで行き、北真岡より列車に乗っています。そのおばあさんは85歳だそうで、私と同じく日赤に行った帰りの人でした。昨日、うれしいことがありましたので、お便りしました。

心が和みました。
 私も、この手紙を読ませていただき、とても心が和みました。そして、卒業したばかりの3年生が、益子中のよき伝統を受け継ぎ、実践してくれていることにうれしさと喜びを感じています。

 温かい心が温かい行為になり、優しい思いが優しい行為になるとき、心も思いも、初めて美しく生きるのです。それは、人が人として生きることだからです。

 みなさんは、いよいよ4月から上学年への階段を上り始めます。その一段一段は、みなさんにとって、希望と喜びに満ちた階段でなければなりません。そして、益子中のよき伝統をしっかりと受け継いでいこうと心に誓う階段であってほしいと思います。

 最後に、明日から春休みに入りますので、くれぐれも交通事故や事件等に遭わないよう安全な生活に心がけてください。それでは、4月9日の始業式に元気な姿を見せてください。終わります。

卒業式 式辞

  そこはかと、春の息吹が感じられる、今日の佳き日に、益子町副町長 法師人 弘 様、 益子町議会副議長黒子秀夫 様をはじめ、多数の御来賓の皆様の御臨席と、保護者の皆様の御列席を賜り、ここに平成23年度卒業式が盛大に挙行できますことは、私たち教職員にとりましても、この上ない喜びであります。御臨席賜りました皆様に、心より御礼申し上げます。
 さて、128名の卒業生のみなさん、そして保護者の皆様、卒業おめでとうございます。みなさんの晴れの門出を祝福します。
 ただ今、一人一人に卒業証書を渡しながら、みなさんと共に過ごした、この一年間の充実した日々を思い出していました。卒業生のみなさんは、校訓「聖心」を胸に、学習、部活動、行事、募金活動や勤労・奉仕活動などに熱心に取り組みました。そして、一人一人がもてる力を出し切り、自分自身の伸び代を広げてくれたことに、大きな喜びとうれしさを感じています。
 昨年3月11日には、未曾有の東日本大震災が起きました。その直後に、「空はつながっていますから、元気を出して、がんばってください。」と、みなさんは、被災地の人たちのために、いち早く義援金の協力に立ち上がりました。とても感動しました。そのような「気持ち」を「形」にする真摯な行為は、益子中学校のよき伝統であり、みなさんがこれまで実践を積み重ねてきた「自主的な活動」そのものであります。
 私はみなさんと、すてきな出会いをしてから早1年、この間、みなさんのすばらしい自主的な活動に触れ、多くの喜びとうれしさを味わいました。みなさんに出会えて、本当によかったと実感しています。
 自主的な「あいさつ運動」では、元気と明るさを学校だけでなく、地域にも広げようと、年間を通じて実践してくれました。その取組の様子は、新聞にも掲載され、地域のみなさんから賛辞をいただきました。みなさんにとっても、うれしかったに違いありません。
 また、自主的な「勤労・奉仕活動」についても、みなさんのリーダーシップのお陰で、校舎周辺の掃除から側溝掃除へと、活動の範囲が広がりました。台風直後の側溝は、詰まった落ち葉や小枝で、水があふれ出すという状況が続いていましたが、それをみなさんは、時間をかけて、きれいに取り除いてくれました。どれほどありがたかったか、言葉では言い尽くせないものがあります。
 それから、自主的な活動として、部活動や学校行事での活躍があげられます。ソフトテニス部の関東大会出場をはじめ、多くの部が郡市大会や県大会で大活躍しました。文化活動もすばらしいものがありました。学校音楽祭や県吹奏楽コンテスト、下野教育美術展や陶芸展などでも、優秀な成績を収めました。遅くまで自主的に取り組み、努力した結果だと思います。
 そして、運動会では、「元気を発信!クール益中~聖が丘の頂点へ~」のスローガンの下に、クラスの力を結集し、全力で優勝を目指しました。聖が丘祭の合唱コンクールでは、さすが三年生と、感動させてくれた各学級の歌声の深さに、胸がいっぱいになりました。
 これらすべてのことに、共通していたことがあります。それは、「よりよく生きるために」全力を尽くすということです。どんなことでも、心を一つにしてやれば、ここまでできるのだということを、様々な自主的な活動を通して、後輩である1・2年生に示したと思います。私はみなさんと出会えて、本当に、本当によかったと思います。
 さて、みなさんは、いよいよ自分の選んだ道へ、新たな第一歩を踏み出します。みなさんの門出に当たり、二つのことを話します。
 一つ目は、「失敗を恐れずに、チャレンジしてほしい」ということです。みなさんにとって望ましいのは、失敗を恐れたり、困難から逃れることではなく、それを乗り越えていくたくましさであり、行動力だと思います。迷いや苦しみ、挫折などに出会いながら、その底を流れる本当の自分の願いや生き方に目覚めることに大きな意義があります。
 スペインの哲学者オルテガは、「断れば断ることができる責務を受諾する。自分自身に困難を積み重ねる人が、本当のエリートである」といっています。人間は、誰でも困難なこと、大変なことは、やりたくありません。しかも、「頼まれても、絶対引き受けたくない。」「断れるものなら、断りたい。」という、逃げ道を用意します。この逃げ道は、決して自分のためにはならないということです。それは、自分の可能性を閉ざすことであり、自分の伸び代を狭めることにもなります。どうか、失敗を恐れずに、チャレンジしてほしいと思います。
 二つ目は、「感謝の気持ちを忘れないでほしい」ということです。みなさんが今日こうして、卒業の日を迎えられたのは、決してみなさん一人だけの力ではありません。いつも身近にいて、温かく励ましてくださったお父さん、お母さんや家族の愛情を忘れてはなりません。みなさんをいつも大きな心で、見守ってくださっていた、地域の方々の存在を忘れてはなりません。常に、周りの人に対して「おかげさまで、ありがとう」という感謝の気持ちを持ち続けてください。また、今までお世話になった、家族や地域のために、貢献できる人になってほしいと思います。
 ここで、保護者の皆様に申し上げます。お子様の御卒業、誠におめでとうございます。お子様の立派に成長した姿を目の当たりにし、感無量のことと思います。心よりお慶び申し上げます。また、この3年間、本校教育に対し、格別の御理解と御協力を賜り、深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
 卒業生のみなさん。私はみなさんと出会い、たくさんのすばらしい思い出をつくることができました。また、多くの感動を味わうこともできました。本当にありがとう。みなさんは、私の希望です。そして、益子中学校の希望です。卒業生のみなさんの限りない前途を祝し、式辞といたします。

第9回 全校集会「東日本大震災から間もなく1年を迎えて」

   みなさん、こんにちは。昨年、卒業式後の3月11日、午後2時46分ごろ、今までに経験したことのない、大地震が発生しました。この東日本大震災から、早1年が経とうとしています。
 今もって、あのときの、あの瞬間の怖さを忘れることはないでしょう。みなさんは生徒会を中心に、被災された人たちのために、義援金に協力しようと呼びかけ、いち早く立ち上がりました。「がんばろう日本」「がんばろう益子中」の掛け声とともに、11万6,000円余の義援金が集まりました。また、被災された東北地方の岩手・宮城・福島各県の中学生に「空はつながっていますから、元気を出して、がんばってください。」と、励ましの手紙も書いています。また、その中学生のみなさんから御礼のお手紙もいただいています。
 この大震災で、今だに苦しい生活を余儀なくされている、多くの方々がいるという現実を忘れないでください。今年は3月11日が日曜日ですので、学校として集会をもつことはできません。それで、今日のこの時間に、みなさんにお話をしました。
 それでは、今から栃木県教育委員会教育長の須藤 稔先生のメッセージ「とちぎで学んでいる子どもたちへ」を読み上げます。みなさんも一緒に、そのメッセージに目を通してください。

とちぎで学んでいる子どもたちへ 
 昨年3月11日に発生した東日本大震災から、間もなく1年が 経とうとしています。みなさんの中には、住み慣れたふるさとを離れ、ここ栃木で生活を送っている人もいることと思います。
 この大震災からの復旧・復興は、まだまだ困難な状況にあります。このような中で、小学生のみなさんが、被害を受けた子どもたちに応援の手紙や折り紙を送ったり、中学生のみなさんが、 被災地の訪問先で応援メッセージを書いた手作りの横断幕を贈ったり、また、高校生のみなさんが、炊き出しや仮設住宅での交流会に参加するなど、被災地の方々のために、とても素晴らしい活動をしている話を聞きました。みなさんが自ら判断して行動している姿を知り、大変うれしく思っています。
  みなさんは、この1年間を振り返って、今まで当たり前だっ たことはなぜ当たり前だったのか、家族の存在や人と人が助け合うとはどのような意味があるのか、人と人との「絆」とは何かなど、改めて考えて欲しいと思っています。そして、この1年間に経験したことや考えたことを踏まえ、自分にできることを、自らの強い意志と責任をもって行動し、自分の将来の夢や希望の実現 に向けてチャレンジして欲しいと思っています。 
   “みなさんの若い力”が、これからの“とちぎ”そして“日本”に求められています。 
                                                                           栃木県教育委員会教育長 須藤 稔
 最後に、黙祷を捧げたいと思います。
 「黙祷」(1分間)
 ありがとうございました。家に帰ったら、家族のみなさんに、このメッセージをぜひ伝えてください。終わります。

平成23年度 3年生を送る会 あいさつ

  みなさん、こんにちは。今日は生徒会役員のみなさんが中心となって、「3年生を送る会」を開いてくれます。忙しい中での準備、本当に御世話になりました。

 3年生のみなさんは、卒業まであと2週間となりました。この1年間は、本当に早かったなと思っていることでしょう。みなさんは、学校の顔として、日常生活でのリーダーシップはもとより、部活動、委員会活動、清掃活動など核となる活動において活躍し、下級生のお手本となりました。学校がとても盛り上がりました。本当にありがとう。感謝しています。1・2年生は、3年生のみなさんの姿を見て、あこがれ、尊敬し、自分の目標として頑張ってきたことと思います。3年生のみなさんの存在の大きさを、今改めて感じていることでしょう。 

 さて、本日は映画「はやぶさ」を鑑賞します。2003年に飛び立ち、小惑星イトカワからサンプルの採取に成功した小惑星探査機「はやぶさ」の挑戦を描いた壮大なドラマです。「ぼくの故郷、地球は本当にきれいだった」「決してあきらめなかった」「思いが一つになるとき、奇跡は起こる」きっと胸が熱くなると思います。3年生と一緒に映画を見るのは、これが最後になります。ぜひ、楽しんでください。

 ここで、中島みゆきさんが作詞・作曲した「春なのに」という歌を紹介して終わりたいと思います。
                              春なのに
                                         作詞・作曲  中島みゆき
       卒業だけが     理由でしょうか。
          会えなくなるねと  右手を出して
          さびしくなるよ   それだけですか
          向こうで友達    呼んでますね
          流れる季節たちを  ほほえみで
          送りたいけれど
          春なのに            お別れですか
          春なのに            涙がこぼれます
          春なのに            春なのに
          ため息また一つ 

          卒業しても     白い喫茶店(益子中学校
          今までどおり        会えますねと
          君の話は            何だったのと
          聞かれるまでは   言う気でした
        ※記念にください   ボタンを一つ
          青い空に捨てます
          春なのに            お別れですか
          春なのに            涙がこぼれます
          春なのに      春なのに
          ため息また一つ
        ※(繰り返し)

第8回 全校集会 「応援し合える関係性をもとう」

 みなさん、こんにちは。インフルエンザが、県内はもちろんですが、全国で猛威を振るっています。本校でも、2月1日から14日までの2週間、延べ37人もの欠席者がいました。本日現在では、欠席者が4人となり落ち着いてきましたが、まだまだ油断はできません。引き続き、手洗い、うがい、マスク、バランスのよい食事、適度の睡眠を心がけていきましょう。

 さて、皆さんはこの1年間を振り返り、友達や仲間に対してしっかりと応援することができましたか。皆さんは、どんなときに応援しましたか。例えば、部活動での各種大会のとき、陸上競技大会や駅伝競走大会のとき、あるいは運動会のとき、さらには「聖が丘祭」のステージ発表のときなど、いろいろな場面があったでしょう。そのような多くの場面で、皆さんは身を乗り出し、しっかりと応援することができたと思います。

 それでは、勉強や学習ではどうでしょうか。例えば、何日も学校を休んでいる友達がいれば、その友達は勉強がわからなくなり、学習意欲も低下してしまいます。気持ちばかり焦って、学習に身が入らなくなります。そのような友達には、どのような応援をしたらよいでしょう。学習ノートを見せてあげる、昼休みに分からないところを教えてあげるなど、より積極的な応援が考えられます。皆さんの中には、すでにそのようにして応援している人がいます。すばらしいことです。

 応援するということは、何か見返りを求めることではありません。また、この人と友達になれば、何か自分にとっていいことがあるかもしれない、などと思うことでもありません。応援する、応援できるということは、相手のことをリスペクト(尊敬し、敬意を払う)しているからできる行為です。自分にない何かを相手はもっている。その魅力が自分を引きつけるのです。だから応援したくなるのです。相手の役に立ちたいと思える人は、相手からも応援してもらえます。そこには競争がありませんから、純粋に応援し合えるのだと思います。

 その逆の行為は困ります。例えば、勉強や部活動などでがんばれず、心が晴れないときに、友達や仲間に対してに「そんなことやって辛くないの」「わたしはもうやらないから、楽になってよかった」などのような言葉は、相手の気持ちを考えない言葉であり、相手の信頼もなくします。ましてや、応援してもらうことなどできません。また、「あなたばかり活躍している」「あなたは目立ちすぎだ」などの言葉を言う人がいれば、その人はいつまでたっても、いやな自分から抜け出せないで、もがき苦しむことになります。

 いよいよ学年・学級の集大成の時期を迎えます。皆さんには、ぜひ、友達や仲間に対し「応援し合える関係性」をもってほしいと思います。単純に応援したくなるような関係性がいいと思います。そのためにも「応援しているから、頑張ってください(がんばってね)」の気持ちを実践していきましょう。

『立志記念文集』に寄せて 「求め続けていこう」

  立志式を迎えた二年生のみなさん、おめでとうございます。立志とは志を立てるということですが、志とは単なる「ふわふわとした夢」のようなものではありません。「社会」のためにという極めて強固な意志に支えられているものです。

 十八世紀に活躍したスイス人の教育思想家ジャン=ジャック・ルソーは、著書『エミール』の中で、中学二年の時期(青春前期)を「第二の誕生」の時期であると指摘し、「一回目は存在するために、二回目は生きるために生まれる」と説いています。

 つまり、中学二年のこの時期は、一人の人間として、全うに人生を生きる大人の出発点であります。また、将来を見通して現在を考えることができる大人としての第一歩の時期でもあります。

 この立志式にあたり、改めて自分を見つめ直し、将来に向けての確かな目標と計画を立て、努力を積み重ねていってほしいと思います。そして、努力することで、自分の伸び代を広げ、自分の人生や新しい社会を切り拓く力を身に付けてほしいと願っています。

 みなさんがそれぞれの夢や目標に向かって歩んでいく道程は、決して平坦なものではありません。時として、幾多の障害や困難に直面し、悩み、苦しみ、自信を失い、易きに流されそうになることがあるかもしれません。でも、みなさんには、それを乗り越えようとする強さや気高さがあります。このことを信じて、自分を奮い立たせ、自分に恥じない、誇りある生き方をしてほしいと思います。

 最後に、私の好きな言葉(華道家・勅使河原蒼風著『花伝書』より)を贈ります。
                     
求めていなければ授からない。                                
だからいつでも求めていなければ ならない。                                
ついに授からないかもしれないが、                           
求めていなければ授からないのだ。                               
                                
 みなさんが夢を求め続け、やがてその夢が叶うことを願っています。    

平成24年度益子中学校入学説明会 あいさつ

 保護者の皆様、そして児童のみなさん、こんにちは。本日はお忙しい中、入学説明会に御出席をいただき、ありがとうございます。寒さも一段と厳しくなり、インフルエンザがはやってきていますので、くれぐれも気を付けていただきたいと思います。

 さて、児童のみなさんは、この時期になると、「中学生に早くなりたい」という気持ちが高まってくるのではないかと思います。でも、不安もあるでしょう。今日は、みなさんのそのような希望や期待、そして不安に、少しでも応えられるような一日にしたいと思います。

 益子中には、校訓があります。「聖心」という校訓です。今日の資料の表紙をみてください。表紙に下の方に、校訓について書かれています。3行目のところですが、「聖心」とは、「優れた人を目指し、日々努力する心」ですと、書いてあります。生徒も先生も、このような心を忘れず、心の支えとして生活していますので、生徒たちの頑張り、活躍がとても光っています。

 その頑張り、活躍を支えている3つのことについてお話します。

 一つ目は、よい行いができることです。挨拶がよくできます。掃除もまじめに取り組みます。学級や学校のためにしっかり仕事を行います。
 益子中では、何事も自ら行動しようとする生徒を目指しています。

 二つ目は、丈夫な体をつくることです。体育の時間は全力で活動します。放課後の体力つくりや部活動にも真剣に取り組んでいます。ただ、部活動については、自分の体力や特性などを考えて入部してほしいと思います。そして、途中でやめることのないよう、自分の決めた部活を続けてください。
 益子中では、自ら体力を高めようとする生徒を目指しています。

 三つ目は、学習に力を入れていることです。授業中は集中して取り組んでいます。家庭学習(自主学習)も習慣化しています。分からないところは、教科の先生によく質問しています。
 益子中では、自ら学習に取り組もうとする生徒を目指しています。

 これらの三つのことができるよう、先生方は常に生徒とのコミュニケーションを大切にしています。お陰様で、私のところ(校長室)にも、多くの生徒さんが来てくれます。おしゃべりにくる生徒、勉強しにくる生徒、給食を食べにくる生徒、相談しに来る生徒もいます。

  学校は、生徒たちにとって「自分を高める楽しい場所」でなければならないと考えています。そのためにも、不安なことや心配なことがあったら、すぐに相談してほしいと思います。

 中学時代は、自分の伸び代を広げられる時期でもあります。保護者の皆様には、お子様の伸び代がどれだけ広げられるか、ぜひ見守り、励まし、後押しをしていただきたいと思います。 

立志式 式辞

  厳しい冬の寒さに、じっと耐えてきた校庭の木々も、新しい芽を膨らませ、早春の息吹が感じられる季節になってまいりました。
  本日は、公私御多用の中を、益子町長 大塚朋之 様、益子町議会副議長 黒子秀夫 様をはじめ、多数の御来賓の皆様の御臨席と、保護者の皆様の御列席を賜り、ここに平成二十三年度立志式が挙行できますことを大変うれしく思います。心より厚く御礼申し上げます。
 立志を迎えた百三十二名の二年生の皆さん、おめでとうございます。そして、保護者の皆様、誠におめでとうございます。
 さて、本日の立志式は、皆さん一人一人の成長の節目の日であります。真っ直ぐに伸びている竹には、必要なところに、規則正しく節ができているので、高く、しなやかな竹に成長できたのです。私たち人間の成長のそれぞれの節目にも、植物の節に当たる行事が準備されています。
 本日の立志式はその一つで、昔から「十五にして学に志す」と言われてきたように、やがて十五歳になる皆さんが、これからの自分の生き方を学び、身に付けていくという、新しい成長の出発点となる大事な行事なのです。 
 教育思想家であるルソーは、『エミール』という書物の中で、十四歳のこの時期を「第二の誕生」の時期であると指摘しています。一回目の誕生は、言
までもなく存在するためです。二回目は生きるために生まれると言っています。
 つまり、十四歳この時期は、一人の人間として、全うに生きる大人の出発点であり、また、将来を見通して、現在を考えることができる、大人としての第一歩の時期でもあります。
 皆さんは、立志を迎えるにあたり、『立志記念文集』を発行しました。その中で、一人一人が力強く「立志の誓い」を書いてくれました。その言葉一つ一つに重みがあります。自分を見つめ直す姿、そして、将来の夢や目標を実現するために、努力しようとする決意が読み取れます。とても頼もしく感じられます。ぜひとも、自分の描いた将来像に向かって、努力を怠らず、一歩一歩しっかりと歩んでいってほしいと思います。
 ここで、室町時代に能を大成した世阿弥の言葉を紹介します。「舞台で舞っている自分の他に、舞台で舞っている自分を観客席でみるもう一人の自分がいる。それは肉体を離れたもう一人の自分である。そういう二人の自分をもって能は完成する。」という言葉です。
 これは、主観性と客観性を併せもち、自分の心をコントロールすることを言っているのです。そして、
自分の心をコントロールする、もう一人の自分を見つけることは、努力しないとできないことだと言っているのです。
 皆さんが、それぞれの夢や目標に向かって歩んでいく道程は、決して平坦なものではありません。時として、幾多の障害や困難に直面し、悩み、自信を失い、易きに流されそうになることがあるかもしれません。そのようなときこそ、自分の心を自分でコントロールする、もう一人の自分を見つけてほしいと思います。そして、志を高くもち、自分を奮い立たせ、自分に恥じない、誇りある生き方を見いだしてほしいと思います。
 何事も、自ら求めなければ、道は開けません。皆さんの夢も、自ら求めなければ、実現することはありません。だから、いつでも求めていなければならないのです。自ら求め続けた夢が実現し、皆さんの未来が希望に溢れ、すばらしいものになることを祈っております。
 常に感謝の心を忘れず、先人の教えを大切にしながら、広い視野とより高い志をもって、日々努力できる人になってほしいと思います。
 結びに、本日御臨席を賜りました御来賓の皆様、そして御列席をいただきました保護者の皆様の本校への御支援、御協力に深く感謝申し上げ、式辞といたします。

第7回 全校集会「ぶれない心の座標軸をもとう」

 みなさん、こんにちは。昨日、第53回県郡市町対抗「夢ふるとちぎ路駅伝」が宇都宮ー栃木往復60.02キロのコースで行われました。天候にも恵まれ、選手のみなさんもしっかりと走ることができたと思います。沿道に立ち、小旗を振りながら、声援を送る姿に、「故郷を思う28の絆が、夢を与える光になる瞬間」を見たような気がしました。

 さて、応援に駆けつけてくれた本校の生徒のみなさん、そして先生方、本当にありがとうございました。本校からは1年の髙松美咲さんと2年の谷島碧さんが出場しました。2人とも芳賀郡代表の選考会で選ばれた実力者です。髙松さんは芳賀Aの代表として1区2.7キロを走り(総合7位)、また、谷島さんは芳賀Bの代表として4区3.0キロを走り(総合13位)大活躍しました。

 二人の活躍には、きちんとした裏付けがあります。毎朝7時ごろ登校し、決められた練習を一日も休まず、黙々と走り続けてきました。この駅伝は、学校の部活ではありません。学校からお願いして練習をさせたわけでもありません。断ることができました。しかし、髙松さんとや谷島さんは、断らず、最後の代表選考まで残り、見事選手に選ばれました。そいて、この大会で、自分の責任を果たしたのです。本当に立派です。二人の走る姿は、多くの人の心をとらえ、感動を与えたと思います。

 スペインにオルテガという有名な哲学者がいました。かれは、このように言っています。
 「断れば、断ることができる責務をあえて引き受ける。自分自身に困難を 積み重ねる人間こそ、真のエリートである。」

 人間は、誰でも困難なこと、大変なことは、やりたくありません。しかも、「頼まれても絶対引き受けたくない。」「誰かがやってくれるから、自分は引き受けなくてもいいんだ。」「断れることなら断りたい。」という、逃げ道を用意します。でも、この逃げ道というは、決して自分のためにはならないということです。それは、自分の可能性を閉ざすことになります。また、自分の伸び代を狭めることにもなります。

 自分の体力、気力、そして熱意が続く限り、真のエリートを求め続けてほしいと思います。困難なこと、大変なことをすぐに避けようとするのではなく、あえて引き受けてみようとする「心の座標軸」をもってほしいと願っています。

平成23年度 第3学期始業式

 みなさん、明けましておめでとうございます。
 18日間の冬休み、みなさんはどのように過ごしましたか。3年生はお正月気分ではなかったかもしれません。私立高校の受験があり、自分を奮い立たせ、勉強一直線だったことでしょう。1・2年生のみなさんは、部活動と勉強をバランスよく行っていたことでしょう。また、お正月ということで、お手伝いを頑張った人、お客さんにしっかり挨拶ができた人など、みなさん一人一人が家族の一員としての役割を果たすことができたことと思います。

 さて、この冬休み中、みなさんの立派な行為、すばらしい生活態度に大変感心したことがあります。
 その一つは、吹奏楽部や弓道部などが中心となり、校庭南の側溝に詰まった落ち葉を取り除く作業をしてくれたことです。かなりの重労働でしたが、みなさんが一致協力して取り組んでくれたお陰で大変きれいになりました。
ありがとうございました。
 二つ目は、交通事故や事件などに巻き込まれることなく、規則正しい生活を送ったことです。生活のきまりを守ること、これは自分の身を守ることでもあります。事故も怪我もなく、本当によかったです。
 三つ目は、みなさんはどこで会っても、親しく挨拶をしてくれることです。
益子に限らず、真岡や宇都宮などのお店で会うと、自分だけでなく家族まで紹介して、挨拶をしてくれます。あいさつはしても、されてもうれしいものです。とても気持ちが温かくなります。

 いよいよ今日から3学期です。3学期は、みなさんにとって学年・学級の集大成の学期でもあります。集大成は学業だけではありません。大切な仲間と築き上げてきたクラスも集大成をさせなければなりません。そのためには、自分のクラスは自分に何をしてくれたかではなく、自分はクラスのために何をしなければならないかを真剣に考え、行動に移してほしいと思います。

 今年は辰年です。「竜の雲を得る如し」という諺があります。竜が雲を得て天に昇るように、みなさんが様々な機会を得て大活躍する1年であってほしいと願っています。先生方はみなさんのよき応援者であることを忘れず、この3学期も、自分の伸び代を広げていきましょう。
 

平成23年度 第2学期終業式

 みなさん、こんにちは。みなさんと元気に第2学期の終業式を迎えられたことを大変うれしく思います。この2学期は、76日学校に来る日がありました。みなさんの出席日数は、何日でしょうか。1日も休まず登校出来た人は、とてもすばらしいです。

 さて、この2学期は、みなさんをどのように成長させてくれたでしょうか。
2学期は、運動会や聖が丘祭などの学校行事、新人各種大会や駅伝競走大会、
音楽祭合奏や合唱、そして美術展や陶芸展などの部活動での活躍。みなさんが様々な場面において活躍し、自らの伸び代を広げられたことは、本当に喜ばしいことです。

 でも、みなさんを成長させたものは、それだけではありません。「正しいと誰もが思うことを、恥ずかしがらずに堂々と行おうとする心」です。それは、具体的にどんな心でしょうか。
 1つ目は、大きな声で自分から進んで行う「あいさつ」の心です。
 2つ目は、しばらく休んでいた友達を、毎日顔を合わせているかのように仲よくできる「フレンドリーシップ」です。
  3つ目は、霜がおり、吐く息も白く寒い朝、一人でも黙々と掃除をする奉仕の心です。
 4つ目は、友達の活躍を妬むことなく、自分のことのように声を出して喜べる温かい心です。
 5つ目は、他人に左右されず、失敗を恐れず、自分の意志で手上げ、しっかり答えようとする前向きな心です。

 これらの5つの心が、みなさんを一回りも、二回りも成長させてくれたものと思います。

 さて、あと10日後には、いよいよ2012年を迎えます。辰年です。
3年生とっては、新年早々、私立高校の受験が始まります。これまでの努力を十分発揮できるよう頑張ってほしいです。また、2年生、1年生は、「1年の設計図を思い描く絶好の機会」ですので、1年の目標とそれを達成するまでの方法をじっくりと考えてほしいと思います。

 冬休みは1月9日までの18日間です。年末は大掃除やお正月の準備など、忙しくなりますので、みなさんも家族の一員として、ぜひ手伝いをしてください。

 それでは、健康に気を付け、事件・事故にあわないよう、有意義な冬休みにしましょう。1月10日には、406名のみなさんと、元気に、笑顔で会えることを楽しみにしています。どうぞ良いお年をお迎えてください。終わります。

第6回 全校集会 校長講話

 みなさん、こんにちは。みなさんは、すでにテレビや新聞の報道で、タイの大洪水(チャオプラヤ川の大洪水)のことを知っていると思います。世界遺産として知られるタイ有数の観光地で、同国製造業の一大中心地でもあるアユタヤを飲み込んだ大洪水です。
 タイには、大小合わせて7,000社近い日系企業が進出しています。特に、洪水被害の激しいアユタヤには、ホンダ、キヤノン、ニコン、ソニーなどの大企業が拠点を構え、部品から完成品までをつくりあげています。
この大洪水のために、企業は生産ができなくなってしまいました。
 実は、今年の4月から本校の古谷和子先生が、タイのバンコク日本人学校に勤務しています。古谷先生からタイの様子をメールで送っていただいていますが、この洪水から避難するため、一時帰国する日本人も多くなったそうです。古谷先生の勤務するバンコク日本人学校も臨時休校となりました。
 臨時休校から約1か月経過し、やっと11月21日に学校は再開となり、約900人が登校しました。全校の児童・生徒は約2,600人ですから、3分の1の登校となります。生徒たちは友人や担任との再会を喜び、笑顔がもどってきました。古谷先生も、生徒たちと久しぶりに再会し、感激のあまり涙があふれ出たそうです。通常授業は11月22日から再開し、休校で不足した授業時数は土曜日を使って補うということです。
 さて、ここでみなさんに考えてほしいことがあります。これは古谷先生からの宿題でもあります。どうしてこのような大洪水が起こったのか。その原因を考えてほしいということです。原因は一つであるとは限りませんが、みなさんが考える最大の原因を教えてください。友達と相談したり、新聞を読んだり、あるいは、インターネットで調べたりするなど、いろいろな方法で自分なりの考えをまとめてみてください。お願いします。
終わります。

第4回 全校集会 校長講話「よき友よき友情について」

  みなさんの笑顔があふれる瞬間、私はとてもうれしくなります。笑顔の人のそばにいるだけで、楽しく幸せな気持ちになります。笑顔は人の心を和ませてくれます。その笑顔の人が、友達であったり、好きな人であったりしたら、みなさんはどんな気持ちになりますか。ずっとそばにいたいでしょう。

 ある中学校の「学級だより」にこんな記事がありました。
 まず、友達ができたきっかけベスト5が紹介されていました。
    1  いつも笑顔で、一緒にいると楽しいから。
  2 部活動が一緒だから。
    3 性格がなんとなく合うから。
    4 趣味や関心事が同じだから。
    5 話題が豊富でおもしろいから。
  どれもみな、「なるほど」と思いますか。このベスト5から、友達の存在を再確認するのもよいと思います。

  次に、友達関係がうまくいかないときベスト5が紹介されていました。
    1 相手に劣等感を抱くようになったとき。
    2 約束事を守らないとき。
    3 秘密にしていることを他人に話されたとき。
    4 真剣に相談相手になってくれないとき。
    5 嘘をつくとき。
  これはどうでしょう。納得しますか。確かに、友達からこれらのことをされたら、いやな気持ちになるでしょう。これまでの友情が冷めてしまうこともあるでしょう。

 さて、みなさんにとって、友情とはどのようなものでしょう。親友と呼べる友達はいますか。今日はみなさんに「よき友よき友情」について考えるのに、とてもよい本を紹介します。太宰治の作品『走れメロス』です。もうすでに読んだ人もいるでしょう。ぜひ、もう一度読んでみてください。

 村の牧人メロスと竹馬の友、石工のセリヌンティウスとの友情が描かれています。国語の教科書にもあります。その作品を通して、「友情とは何か」を考えてみてください。私は、友情とは「相手を信じることだ」と思います。みなさんはどうでしょう。終わります。