厳しい冬の寒さに、じっと耐えてきた校庭の木々も、新しい芽を膨らませ、早春の息吹が感じられる季節になってまいりました。
本日は、公私御多用の中を、益子町長 大塚朋之 様、益子町議会副議長 黒子秀夫 様をはじめ、多数の御来賓の皆様の御臨席と、保護者の皆様の御列席を賜り、ここに平成二十三年度立志式が挙行できますことを大変うれしく思います。心より厚く御礼申し上げます。
立志を迎えた百三十二名の二年生の皆さん、おめでとうございます。そして、保護者の皆様、誠におめでとうございます。
さて、本日の立志式は、皆さん一人一人の成長の節目の日であります。真っ直ぐに伸びている竹には、必要なところに、規則正しく節ができているので、高く、しなやかな竹に成長できたのです。私たち人間の成長のそれぞれの節目にも、植物の節に当たる行事が準備されています。
本日の立志式はその一つで、昔から「十五にして学に志す」と言われてきたように、やがて十五歳になる皆さんが、これからの自分の生き方を学び、身に付けていくという、新しい成長の出発点となる大事な行事なのです。
教育思想家であるルソーは、『エミール』という書物の中で、十四歳のこの時期を「第二の誕生」の時期であると指摘しています。一回目の誕生は、言
までもなく存在するためです。二回目は生きるために生まれると言っています。
つまり、十四歳この時期は、一人の人間として、全うに生きる大人の出発点であり、また、将来を見通して、現在を考えることができる、大人としての第一歩の時期でもあります。
皆さんは、立志を迎えるにあたり、『立志記念文集』を発行しました。その中で、一人一人が力強く「立志の誓い」を書いてくれました。その言葉一つ一つに重みがあります。自分を見つめ直す姿、そして、将来の夢や目標を実現するために、努力しようとする決意が読み取れます。とても頼もしく感じられます。ぜひとも、自分の描いた将来像に向かって、努力を怠らず、一歩一歩しっかりと歩んでいってほしいと思います。
ここで、室町時代に能を大成した世阿弥の言葉を紹介します。「舞台で舞っている自分の他に、舞台で舞っている自分を観客席でみるもう一人の自分がいる。それは肉体を離れたもう一人の自分である。そういう二人の自分をもって能は完成する。」という言葉です。
これは、主観性と客観性を併せもち、自分の心をコントロールすることを言っているのです。そして、
自分の心をコントロールする、もう一人の自分を見つけることは、努力しないとできないことだと言っているのです。
皆さんが、それぞれの夢や目標に向かって歩んでいく道程は、決して平坦なものではありません。時として、幾多の障害や困難に直面し、悩み、自信を失い、易きに流されそうになることがあるかもしれません。そのようなときこそ、自分の心を自分でコントロールする、もう一人の自分を見つけてほしいと思います。そして、志を高くもち、自分を奮い立たせ、自分に恥じない、誇りある生き方を見いだしてほしいと思います。
何事も、自ら求めなければ、道は開けません。皆さんの夢も、自ら求めなければ、実現することはありません。だから、いつでも求めていなければならないのです。自ら求め続けた夢が実現し、皆さんの未来が希望に溢れ、すばらしいものになることを祈っております。
常に感謝の心を忘れず、先人の教えを大切にしながら、広い視野とより高い志をもって、日々努力できる人になってほしいと思います。
結びに、本日御臨席を賜りました御来賓の皆様、そして御列席をいただきました保護者の皆様の本校への御支援、御協力に深く感謝申し上げ、式辞といたします。
1. 立志式 式辞
投稿日時: 2012/02/09
益子中学校