学校長の窓

1. 卒業式 式辞

投稿日時: 2012/03/12 益子中学校

  そこはかと、春の息吹が感じられる、今日の佳き日に、益子町副町長 法師人 弘 様、 益子町議会副議長黒子秀夫 様をはじめ、多数の御来賓の皆様の御臨席と、保護者の皆様の御列席を賜り、ここに平成23年度卒業式が盛大に挙行できますことは、私たち教職員にとりましても、この上ない喜びであります。御臨席賜りました皆様に、心より御礼申し上げます。
 さて、128名の卒業生のみなさん、そして保護者の皆様、卒業おめでとうございます。みなさんの晴れの門出を祝福します。
 ただ今、一人一人に卒業証書を渡しながら、みなさんと共に過ごした、この一年間の充実した日々を思い出していました。卒業生のみなさんは、校訓「聖心」を胸に、学習、部活動、行事、募金活動や勤労・奉仕活動などに熱心に取り組みました。そして、一人一人がもてる力を出し切り、自分自身の伸び代を広げてくれたことに、大きな喜びとうれしさを感じています。
 昨年3月11日には、未曾有の東日本大震災が起きました。その直後に、「空はつながっていますから、元気を出して、がんばってください。」と、みなさんは、被災地の人たちのために、いち早く義援金の協力に立ち上がりました。とても感動しました。そのような「気持ち」を「形」にする真摯な行為は、益子中学校のよき伝統であり、みなさんがこれまで実践を積み重ねてきた「自主的な活動」そのものであります。
 私はみなさんと、すてきな出会いをしてから早1年、この間、みなさんのすばらしい自主的な活動に触れ、多くの喜びとうれしさを味わいました。みなさんに出会えて、本当によかったと実感しています。
 自主的な「あいさつ運動」では、元気と明るさを学校だけでなく、地域にも広げようと、年間を通じて実践してくれました。その取組の様子は、新聞にも掲載され、地域のみなさんから賛辞をいただきました。みなさんにとっても、うれしかったに違いありません。
 また、自主的な「勤労・奉仕活動」についても、みなさんのリーダーシップのお陰で、校舎周辺の掃除から側溝掃除へと、活動の範囲が広がりました。台風直後の側溝は、詰まった落ち葉や小枝で、水があふれ出すという状況が続いていましたが、それをみなさんは、時間をかけて、きれいに取り除いてくれました。どれほどありがたかったか、言葉では言い尽くせないものがあります。
 それから、自主的な活動として、部活動や学校行事での活躍があげられます。ソフトテニス部の関東大会出場をはじめ、多くの部が郡市大会や県大会で大活躍しました。文化活動もすばらしいものがありました。学校音楽祭や県吹奏楽コンテスト、下野教育美術展や陶芸展などでも、優秀な成績を収めました。遅くまで自主的に取り組み、努力した結果だと思います。
 そして、運動会では、「元気を発信!クール益中~聖が丘の頂点へ~」のスローガンの下に、クラスの力を結集し、全力で優勝を目指しました。聖が丘祭の合唱コンクールでは、さすが三年生と、感動させてくれた各学級の歌声の深さに、胸がいっぱいになりました。
 これらすべてのことに、共通していたことがあります。それは、「よりよく生きるために」全力を尽くすということです。どんなことでも、心を一つにしてやれば、ここまでできるのだということを、様々な自主的な活動を通して、後輩である1・2年生に示したと思います。私はみなさんと出会えて、本当に、本当によかったと思います。
 さて、みなさんは、いよいよ自分の選んだ道へ、新たな第一歩を踏み出します。みなさんの門出に当たり、二つのことを話します。
 一つ目は、「失敗を恐れずに、チャレンジしてほしい」ということです。みなさんにとって望ましいのは、失敗を恐れたり、困難から逃れることではなく、それを乗り越えていくたくましさであり、行動力だと思います。迷いや苦しみ、挫折などに出会いながら、その底を流れる本当の自分の願いや生き方に目覚めることに大きな意義があります。
 スペインの哲学者オルテガは、「断れば断ることができる責務を受諾する。自分自身に困難を積み重ねる人が、本当のエリートである」といっています。人間は、誰でも困難なこと、大変なことは、やりたくありません。しかも、「頼まれても、絶対引き受けたくない。」「断れるものなら、断りたい。」という、逃げ道を用意します。この逃げ道は、決して自分のためにはならないということです。それは、自分の可能性を閉ざすことであり、自分の伸び代を狭めることにもなります。どうか、失敗を恐れずに、チャレンジしてほしいと思います。
 二つ目は、「感謝の気持ちを忘れないでほしい」ということです。みなさんが今日こうして、卒業の日を迎えられたのは、決してみなさん一人だけの力ではありません。いつも身近にいて、温かく励ましてくださったお父さん、お母さんや家族の愛情を忘れてはなりません。みなさんをいつも大きな心で、見守ってくださっていた、地域の方々の存在を忘れてはなりません。常に、周りの人に対して「おかげさまで、ありがとう」という感謝の気持ちを持ち続けてください。また、今までお世話になった、家族や地域のために、貢献できる人になってほしいと思います。
 ここで、保護者の皆様に申し上げます。お子様の御卒業、誠におめでとうございます。お子様の立派に成長した姿を目の当たりにし、感無量のことと思います。心よりお慶び申し上げます。また、この3年間、本校教育に対し、格別の御理解と御協力を賜り、深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
 卒業生のみなさん。私はみなさんと出会い、たくさんのすばらしい思い出をつくることができました。また、多くの感動を味わうこともできました。本当にありがとう。みなさんは、私の希望です。そして、益子中学校の希望です。卒業生のみなさんの限りない前途を祝し、式辞といたします。