ほごログ(文化財課ブログ)

タグ:#かすかべプラスワン

#ハルカイト で #ミュージアムトーク

8月8日、大凧文化交流センターこと「ハルカイト」で、ミュージアムトークを実施しました。 #かすかべプラスワン

今回は、小学生を中心としたお子さんたちが対象で、前半は大凧文化展示室、後半は歴史民俗展示室を案内しました。

前半は、大凧文化交流センターの職員が、大凧揚げの概要や展示室を説明。ドローンで撮影した大凧揚げの様子をビデオで視聴したり、大凧の材料として使用される小川和紙を実際に触ったり、ちぎったりして和紙=大凧の強度を確かめたりしました。

写真:展示室の様子

後半は、資料館の学芸員の出番。

写真:見学の様子

先日、博物館実習生が作成してくれた「ハルカイトマスターへの道」というリーフレットを用いながら、郷土資料館で手掛けた展示室を一巡り。リーフレットはクイズつきのワークシート。

たとえば、「宝珠花小学校で飼育していた動物はなに?」のように、卒業生はわかるかもしれないが、そうでないと知らない問題も、展示資料や展示室・施設内にある様々なモノを探し、よく観察すれば、だれでも解けるものになっています。参加者は、2階の展示室、1階の宝珠花サロン、はたまた、旧昇降口、あるいは建物の外をくまなく、楽しんで(?)見学していただけました。

なかでも、学芸員の特別メニューとして実施した「唐箕の体験」はそこそこ好評だったようです。普段は展示台に陳列され触れない道具を、実際に触って、動かしてもらいました。

写真:唐箕の体験

わずか小一時間、ワークシートに取り組むだけで、本当に、宝珠花地区の歴史を理解するひと時になったのか、心もとないのですが、楽しんでいただけたのでしたら、よかったと思います。

9月には、大人の方を対象にしてミュージアムトークを開催するそうです。お楽しみに。

宮代町郷土資料館見学と体験講座の準備を行いました

本日の午前は宮代町郷土資料館を訪問し、館内を見学させていただきました。

写真:宮代町郷土資料館入口
宮代町は台地ということもあって資料が多く残っており、常設展は迫力のある展示となっていました。個人的には日本独自の技法で作られた仏像が印象に残っています。やわらかい雰囲気をまとっていて、死後の極楽の世界はどんなところなのかという想像がふくらみました。
企画展では宮代町出身の島村盛助について、広報で連載した記事を中心に展示されていました。彼は岩波英和辞典を編集・刊行した人物で、彼がいなければ私たちは今ほど英語が分からなかったかもしれません。
資料館の敷地内にある旧加藤家住宅・旧斎藤家住宅・進修館も見学し、当時の名主が住んでいた家の内部を見ることができました。そこに住んでいた人がいると考えると不思議な気持ちでした。

写真:旧加藤家住宅

写真:旧齋藤家住宅

写真:旧進修館
また、収蔵庫の中も見せていただきました。収蔵能力を超えるほどある資料をどうするかが課題とのことだったのですが、これは春日部市郷土資料館にも共通する点でした。

午後には春日部に戻って、8月10日に行われる体験講座の事前準備を行いました。

写真:準備の様子
縄文土器の文様を使って音楽を作るという珍しい体験講座であり、当日は私たち実習生も参加予定です。
その後は今日までの実習を通して感じたこと、理想の博物館について考え方が変わった部分について話し合いました。

写真:話し合い風景
私自身は、理想を実現するためには現実の様々な試練を乗り越えていかなければならないことを痛感しました。

資料の調書作成・取り扱いについて学びました #博物館実習

本日は午前に寄贈された資料の調書作成、午後には博物館資料の取り扱いと写真撮影について学びました。
調書作成では、先の大凧文化交流センター「ハルカイト」オープンの動きに合わせて以前大凧あげを行う下若組として活動していた市民の方からいただいた資料の調書を作成しました。

調書作成の様子

午後には博物館資料の取り扱い方を実際の美術品や資料を用いて展示の仕方から写真の撮影、資料の梱包方法に至るまで様々なことを学びました。

写真:掛軸の取り扱いについて
写真:巻物の取り扱いについて

写真:資料撮影の様子
写真:資料梱包の様子

本日行った実習は博物館の資料を正確に把握することと、所蔵している資料をいかに美しく見せるか、保存状態を損ねることなく未来へ残せるかという部分につながる重要な事柄であるため、今回実習で学ぶことができて本当に良かったです。
写真:一眼レフで撮影した資料

#大凧文化交流センター 「 #ハルカイト 」オープン

本日8月1日より、旧宝珠花小学校跡地に「ハルカイト」がオープンしました。 #かすかべプラスワン

市民の皆さん、地域の皆さんが交流する施設として、また、西宝珠花に伝わる大凧揚げを紹介する大凧会館の後継機能をもつ施設として、期待されています。

郷土資料館では、西宝珠花や旧庄和地域の歴史民俗を紹介する展示室の設営に関わりました。郷土資料館では展示しきれない大型の資料や、旧大凧会館でも展示していた考古資料や民俗資料、庄和北部地域の木崎出身の大衆作家三上於菟吉のこと、また、国史跡神明貝塚について、資料を余すところなく展示・紹介しています。

展示室の状況は、一昨日昨日の博物館実習生のブログにも一部紹介されています。思いがけず、先を越されてしまった感が強いので、展示室の紹介については、後日展示設営の秘話を交えながら、追々詳しく紹介したいと思います。

今回のミソは、この施設がかつて宝珠花小学校として使われていたこと。

写真:かつての宝珠花小学校

宝珠花小学校は、明治初期に開校した伝統ある小学校でしたが、平成31年(令和元年)に江戸川小中学校に統廃合されました。

大凧文化交流センターには、小学校の名残り、形跡が各所にみられます。全部なかったことにして、施設を綺麗にしてしまう。綺麗な施設、使いやすい施設に造り替えることは、望ましいことで、簡単ではありますが、子どもたちが通い、賑わっていたことを知れば知るほど、どこかむなしく、そして悲しく思います。むしろ、小学校であったことを活かさない手はない、というのが郷土資料館のスタンスです。

ということで、小学校であったことを感じられ、楽しんでいただける仕掛けもありますので、小難しい歴史が苦手な方もお楽しみいただけるものとなっています。

ぜひ、遊びにいらしてください。

写真:現在のハルカイト

彩の国東・北部ミュージアムスタンプラリーはじまる

今年もやります。ミュージアムスタンプラリー。埼玉県東部・北部の博物館をめぐって、オリジナルグッズをもらおう。

埼玉県博物館連絡協議会の加盟館のうち、埼玉県の東部地区、北部地区の博物館(開催館は以下の通り)でスタンプラリーを実施します。

R6_埼博連スタンプラリー台紙(両面印刷用).pdf画像:スタンプラリー台紙

期間は、令和6年8月1日(木曜日)~令和6年9月29日(日曜日)(期間中でも景品がなくなり次第、終了します)。

夏休みの企画なので、参加は中学生以下の方に限りますのでご注意を。

スタンプの台紙は、実施館で配布するほか、こちら(R6_埼博連スタンプラリー台紙(両面印刷用).pdf)から印刷して参加しても大丈夫。
景品は、スタンプ3個で、シャープペンシル。スタンプ5個で、オリジナルトートバック。

開催館は次の25館です。
春日部市郷土資料館、三郷市立郷土資料館、宮代町郷土資料館、ミニ博物館”地球&宇宙”、草加市立歴史民俗資料館、八潮市立資料館、久喜市立郷土資料館、日本工業大学工業技術博物館、白岡市立歴史資料館、蓮田市文化財展示館、幸手市郷土資料館、行田市郷土博物館、埼玉県立さきたま史跡の博物館、さいたま水族館、(公財)長島記念館、立正大学博物館、羽生市立郷土資料館、埼玉県立川の博物館、鉢形城歴史館、熊谷市立熊谷図書館 美術・郷土資料展示室、本庄早稲田の杜ミュージアム、早稲田大学考古資料館、上里町立郷土資料館、神川町文化財展示室 

手づくりおもちゃクラブを行いました #博物館実習

7月28日(日)は、午前、午後に手づくりおもちゃクラブを行いました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
蓄音機を聞いている場面


今回のおもちゃクラブでは、私たち博物館実習生の3人も設営・補助に加わりました。私たち実習生は、参加いただいた皆さまに、春日部市飯沼にまつわる伝説の紙芝居を読み聞かせを行いました。読み聞かせは前日から練習を行った成果が出て、話すスピードや声量、読み聞かせ最中の目線の意識など参加した皆さまに最も良い結果で披露できたのではないかと思います。

写真:読み聞かせしているところ
その後の手づくりおもちゃ・缶バッジの作成では、参加した皆さまは、みんな笑顔でケガをすることなく無事に終えることができました。重ねまして、本日ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
写真:手づくりおもちゃの制作

写真:缶バッチの制作

令和6年度博物館実習初日の活動

令和6年度の博物館実習が始まりました。今回のブログは実習生が担当いたします。
実習初日の午前中は、明日の子供向けワークショップに向けての準備を行いました。他の実習生や指導してくださった郷土資料館の学芸員の方と共におもちゃの作成や明日行う紙芝居の練習をしました。

写真:ぶんぶんゴマの作成の様子

特にぶんぶんゴマの遊び方には意外と苦戦しましたが、明日のワークショップでは子どもたちのいい体験になるように楽しんで帰れるように頑張りたいと思います。

午後には、まず、収蔵庫の見学を行い、資料の収蔵までのプロセスや保管方法について説明して頂きました。

写真:収蔵庫見学の様子

収蔵庫には、実際に春日部郷土資料館の展示でみられる資料よりも多くの資料が保管されており、なかなか見られることのない資料館の裏側が見られてとても貴重な体験になったと思います。

その後は、博物館に関するディスカッションを行いました。

写真:ディスカッションの様子

ディスカッションでは、理想の博物館について、そして春日部郷土資料館についてどう考えるかというテーマで話し合いました。
理想の博物館については、「地域を身近に感じることができる館」が理想であるという考えが多く出ました。
一方で、春日部市郷土資料館については、「体験的なワークショップが行われている点が良い」「狭いスペースでありながらも地域についてわかりやすい展示がされている」といった意見が出ました。
郷土資料館での実習期間を通して、地域を身近に感じられる、地域を知ることができる博物館とはどのような博物館であるのか。そのような博物館を作り上げていくには自分たちはどのようにしていくべきなのかを考えられたらと考えています。

#夏休み #自由研究 のお手伝い

いよいよ夏休み。多くの子どもたちが初日を迎えた7月20日。早速、郷土資料館に夏休みの自由研究のお問い合わせが。。。宿題をすぐにやるタイプですね。素晴らしい。 #かすかべプラスワン

問い合わせの一つは、自分の先祖調べ。身近な歴史を調べるという、学校の夏休みの宿題が出されたそう。昔の地図や絵図の調べ方、先祖の調べ方について、簡単にレクチャーしました。

もう一つは、自分の住んでいる地区の形(境界)がなぜそのようになっているのか、というもの。非常に難しいのですが、多くの場合は、江戸時代の検地(土地丈量・測量)に境界が定められ、こんにちに至っていると考えられます。水路や道が境界となったり、村に属する人(家)の所持地が境界となる場合もあります。近代や現代の開発などによって、境界が再設定されることもあるようですが、個別のケースを追跡するのは、限界があります。が、境界について考える資料を提供することができました。

夏休みの自由研究は、理科的分野がテーマとして設定されることが多いようです。たしかに、実験とか観察とか楽しいですからね。

けれども、夏休みにおうちの方といっしょに、自分のルーツ、住んでいる土地のルーツを調べてみるのも、悪くないと思います。そうした学習は「調べ学習」とか「郷土学習」とか言われ、地味で、大変そうですが、自分のルーツについて深く知ることで、ルーツについて誇りをもち、2学期を迎えることができるのではないでしょうか。

そうした「調べ学習」「郷土学習」に対するお問い合わせ、レファレンスに、郷土資料館は力を惜しみませんので、自由研究を何にしようか悩んでいるあなた、ぜひ挑戦してみてください。ただし、資料がなく、わからないこともあります(それが人文学の醍醐味ですが)。その点、ご了解ください。

#展示替 100年前の春日部夏祭り

週末は、夏の恒例 #春日部夏祭り というわけで、常設展の一部を展示替しました。 #かすかべプラスワン

写真:展示ケース

といっても、せま~いので、ケース一つ分です。企画展示の展示替えもあり、急遽、スペースができたので、構想と準備は半日、という突貫展示です。

春日部夏祭りは、もともと、粕壁宿(町)の牛頭天王社(八坂神社)の祭礼を起源とします(詳しくは以前の記事参照)。古くは江戸時代の記録もありますが、資料館収蔵品には、大正10年(1921)の古写真や記録があり、すでに知られている写真絵葉書も一同に会します。そして、初公開の資料も。

写真:大正10年上町子どもたち

この写真は、大正10年の上町の子どもたちの集合写真です。みな、着飾って、女の子は化粧をしています。

上町の「油米」「永庄」「厚見本店」などの半纏を着た保護者(?)が後方に立っており、粕壁町を代表とする上町の商家の子息たちのようです。初公開です。

夏季の期間には展示していますので、夏祭りを楽しむ方(事後・楽しんだ方)は要チェック。資料館に涼みに来たついでにご覧ください。

企画展が終わりました(反省)。そして、次期展示へ。

7月7日(日)で「まちをみつめて50年」展が終了しました。次期の企画展示がまもなく始まりますので、企画展示室を早速撤収しました。 #かすかべプラスワン #展示の反省

設営のときは、あーでもない、こーでもないと試行錯誤をしながら時間に追われ展示していくのですが、撤収はあっという間に終わります。

写真:からっぽの展示ケース

撤収作業のなかで、今回の企画展について、いろいろと顧みながら、反省もしました。

今回は、旧春日部市の市制施行70周年の区切りの年であり、新しい庁舎で業務が始まった年でありましたので、おおよそ70年間の市政の歩みについて紹介する企画でした。とくに、昨年度閉庁した旧庁舎にスポットをあて、市制の周年事業を柱にたてながら、展示を構成しました。

郷土資料館としては、企画展「1960年代の春日部」以来の現代史の展示になりましたが、1960年代の春日部にも重なる部分も多く、展示資料に苦労しましたし、昭和30年代から平成初頭に至るまでの資料が限られ、『広報かすかべ』の縮刷版が頼りであることや、縮刷版が出ていない平成10年代は資料がさらに限られており、現代史としての市政の歴史を見ていく限界を感じながら、展示をつくりました。

市政の歩みについては、油断すれば、市役所の建設に象徴されるように、建物(ハコモノ)やインフラの整備が進んだこと自体に目が移りがちになってしまいます。市が作成した市政の各種の年表も、おおざっぱにいえば、ハコモノやインフラの建設年表になっています。

資料館の展示としての目指すべき理想像は、市政に関わる人・人の顔がわかるような展示ですが、これも広報縮刷版や、わずかな行政資料では限界があり、また現代の方々のプライバシーなどに配慮すべきこともあり、展示ではうまく表現ができませんでした。また、何よりも市政の歴史的に歴史的な評価を下すことが難しい。現在にモロに直結する現代史の難しさを痛感しました。

そういうわけで展示は、旧庁舎と周年事業を柱立てにして構成しました。というより、せざるを得なかったというべきでしょう。暗澹たる思いで準備をはじめましたが、腹をくくって、市制40周年の「かすかびあん」にスポットを当てようと密かに画策して展示を設営しました。

「かすかびあん」については、前にも触れた通りですが、今年で「かすかびあん」誕生からちょうど30年の年でもありました。様々なグッズがあるなかで、実際に展示するなかで、おっ!と思ったのはこちら。

画像:ティッシュボックス

市制施行40周年で特産品協議会が制作したこのティッシュボックス。

正面には「かすかびあん」が。

この箱は、当然、春日部市の特産品である桐箱です。

だけど、ポピュラーな印籠蓋ではない。背面をみると・・・

写真:背面

なんと、茶道具や木彫などを入れる「オトシド」と呼ばれる技法の蓋になっています。

手がかかっているといえるでしょう。

さらに、天板と側面もよくみると・・・

写真:天板と側面

ティッシュの出し口は麦わら帽子の形で、縁には麦わら真田が付されています。

「かすかびあん」もよくみると、少しモッコリしています。これは、押絵羽子板の押絵の技法で作られています。

いわずもがな、麦わら帽子も押絵羽子板も、春日部市の特産品です。

何気ない周年グッズだと思いきや、特産品の技術が集約されたティッシュボックス。市制の資料としても、伝統工芸の資料としても、春日部市を象徴するとても良い資料です。展示室が広ければ、常設展示に出してもおかしくない、「優品」です。

 

といった具合に、展示の準備をしながら、様々な発見が今回もありました。資料を実見していると、当時の人たちの思いや考えがヒシヒシと伝わってきます。市政の歩みとは、過去の人たちの様々な思いの積み重なりである、と改めて実感しました。展示で、その思いが皆さんに伝わったかどうかはわかりませんが、ご覧いただいた方には、過去の市政の歩みを振り返りながら、今の春日部市について考えていただく機会に少しでもなったのならば幸甚です。ただ、現代史の展示は、しばらくは勘弁してほしいなぁというのが本音ですが。

 

長くなりましたが、次期展示は絶賛準備中。ご期待ください。

春日部市郷土資料館 第70回企画展示

東部地区文化財担当者会40周年記念リレー展示「都鳥が見た古代ー埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代」

会期:令和6年7月20日(土)から9月1日(日)

開館時間:午前9時から午後4時45分

休館日:毎週月曜日・祝日

会場:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15・048-763-2455)

共催:東部地区文化財担当者会