ほごログ(文化財課ブログ)

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古文書勉強会の成果(その13)

令和元年9月7日(土)古文書勉強会を開催しました。この勉強会は、市民の方々が主体的に市内神間地区ゆかりの江戸時代の古文書=神間村文書(春日部市郷土資料館所蔵)を解読しています。これまでの成果はこちらからさかのぼって御覧になれます。
写真:勉強会の様子
今回は、寛政7年2月「御鹿かりニ付御廻状写」を講読しました。
この史料は前に講読した「御鹿狩ニ付御触書之写」にも含まれる記事でしたが、若干記述が異なり、復習もかねて、史料の解釈を深めることができました。釈文は以下の通りです。

写真:古文書353表紙
写真:古文書353本文

●神間村文書№353

(表紙)

    御鹿かりニ付御廻状写

                」

 

追而東西葛西領・渕江領・小金領村々より出人足ハ勢

子相済候上、御獲松戸河岸迄持送相勤事ニ付、

御狩相済候ハヽ一纏ニ集り残可申、尤御扶持方ハ

弐人分被下之候

当卯三月五日小金原 御鹿狩勢子人足割

村限出人足書面之通候条、別紙書付之趣

相心得、村毎宰領付添、三月二日朝四時迄別紙帳

面ニ記置候揃所江罷出、勢子差引役人之差図を

請、猪鹿追立ハ勿論立切とも可勤、右之外

村限有人別不残罷出、村内追立可申、老人子

供病人等差出候歟、又ハ遅参不参於致

は急度相咎条、得其意触書村下ニ令請

印飛脚之ものへ可相渡もの也

    三河口太忠

    竹垣三右衛門

 卯二月三日   役所印

           右村々

             名主

             年寄

             百姓代

 

 

 下総国葛飾郡中ノ台村地内字浅間下詰人足

    下総国葛飾郡

一六人     花嶌村

一六人     細野村

一弐十三人   槙野地村

          寺領共

一拾弐人    下木津内村

一拾三人    上木津内村

一六人     目沼村

一十弐人    屏風[  ]

一廿三人    宮前[  ]

一三十五人   鷲巣村

一廿五人    西宝珠花村

一拾四人    木ノ川村

一五拾三人   深輪村

一七拾三人   榎村

一四拾八人   芦橋村

一三拾三人   木崎村

一弐拾六人   西宝珠花村

一五拾壱人   上吉妻村

一三拾八人   下吉妻村

一九拾弐人   神間村

 

人足出方心得書付

一壱村限人足何拾何人何村と認候幟壱本

才料之もの持出人数右幟江引合可申候事

  但シ才料之もの高張烑灯壱張宛持出可申候

一村限出人足ニ応し弁当并呑水等用意

可有事

  但雨天御延引日送り被仰出候節之

ため二日分余慶ニ可持出事

一猪鹿追立用い候長七八尺之竹棒之内

壱人ニ付壱本宛并長三尺位之縄壱筋ツヽ

竹貝・細(ママ)貝之内壱ツ宛持出可申候事

    但ㇱ本文之外鳴物勝手次第持出可申候

一右幟右挑灯弁当持人足は高割人数之外可出候事

右之通り心得無差支様可致候、以上

  卯二月

 



次回の日程は、10月20日(日)14時~、次々回は11月2日(土)14時~を予定しています。

モダンな双六(新収蔵品)を展示しています

令和元年10月1日(火)から始まった「くらしのうつりかわり」展で、新規収蔵品の「粕壁町商売繁栄双六」を展示しました。
写真:粕壁町商売繁栄双六(異本)
この双六は、昭和初めに印刷されたもので、双六のマスが粕壁町の商店の広告になっているものです。以前にご寄贈いただいた「粕壁町商売繁栄双六」とは別のタイプのもので、描かれている商店も異なります。双六については、お子さん向けの講座などで遊んだり、大いに活用させていただいています。まだまだ別系統の異本がある可能性もあります。

今回展示した双六に記載されている商店名は、以下の通りです。
油宗呉服店、島村忠太郎商店、伊勢三箪笥店、木崎六之助商店、大竹青松堂、丸清、泉屋商店、中村屋(洋品)、山幸商店、魚六、中野屋(食堂?)、幸松屋時計店、外島医院、岡田(そば屋)、後藤書店、永井商店、橋本薬局、正木洋品店、鍋屋(新聞?)、吉田屋(学用品)、文化堂、越沼自動車、興文堂、春日屋支店、正木洋服店、入舟、オータヤ靴店、丸八酒店、中井洋品店、中屋、岡村時計店、千歳、美ツ和食堂、産婆関根、松本洋服洋品店、鳥松商店、永島茶舗、アヅマ写真館

今回の展示では、これらの商店と以前いただいた双六の商店を、昭和48年(1973)の住宅地図(春日部市内では最古です)で所在地を示してみました。
昭和48年にの地図では見つからないお店、現在も続く老舗のお店など、粕壁の町並みの移り変わりがよくわかります。

いろいろ調べても、所在地や詳しい業種がわからない商店もありました。ぜひごらんいただき、わかることがあれば教えていただければ幸いです。

くらしのうつりかわり(小学校地域学習展)を開催します

令和元年10月1日(火)より、第36回小学校地域学習展「くらしのうつりかわりー懐かしい昔の道具展」を開催します。

小学校3年生の社会科で学ぶ「地域学習」に即し、主に明治から昭和時代に実際に使われた、日常的な道具や農作業用具を展示します。
小学生だけではなく、ご高齢の方や若い方も、懐かしい道具をご覧になって楽しめる内容となっております。

この機会にぜひ、ご家族お誘いあわせの上、ご来館ください。

<第36回 春日部市郷土資料館小学校地域学習展「くらしのうつりかわり」>
会期:令和元年10月1日(火)~令和2年3月22日(日)
会場:郷土資料館 企画展示室(春日部市粕壁東3-2-15 教育センター1階)

観覧料:無料

地域学習展ポスター
地域学習展ポスター(PDF:460KB)

春日部市郷土資料館9月の休館日のお知らせ

郷土資料館は9月中、下記のとおり休館いたしますので、ご来館の際はご注意ください。
<9月の今後の休館日>
16日(月・祝)・17日(火)
21日(土)・22日(日)・23日(月)・24日(火)
30日(月)

9月21日(土)~24日(火)は、館内燻蒸作業を行うため臨時休館いたします。
ご迷惑をおかけいたします。

出張展示 庄和図書館 三上於菟吉と春日部展

三上於菟吉顕彰会と庄和図書館との共催による、連続講座「三上於菟吉と春日部」が、10月12日(土)、11月9日(土)、12月8日(日)、いずれも14時~15時30分に開催されます(定員30名・申込順 お申込みと会場は庄和図書館048-718-0200)。

これに先立ちまして、春日部市郷土資料館では、庄和図書館にて、ミニ展示「三上於菟吉と春日部 ~時代物・現代物・翻訳・随筆 多彩な作品たち~」展を9月12日(木)から開催中です。




三上於菟吉は、明治24年(1891)庄和地区木崎に生まれ、昭和19年(1944)に幸松地区八丁目で亡くなりました。代表作『雪之丞変化』をはじめ、映画化された作品多数のベストセラー作家でした。直木賞の初代選考委員を務めたほどです。庄和図書館での出張展示も3回目となります。

会場では、三上於菟吉の処女作『春光の下に』や宝珠花付近が舞台の『百萬両秘聞』、その他初期の翻訳本『獣人』、現代物の『白鬼』、唯一の随筆集『随筆 わが漂泊』、妻長谷川時雨の『近世美人傳』などの貴重書を展示しております。



また、今回はお手に取って、皆さまに触れていただける本を増やしました。処女作の複写本や翻訳『三銃士』、ご当地の時代小説『百萬両秘聞』、代表作『雪之丞変化』ほかの諸書をご覧になれます。



会期は9月30日(月)までとなっております。
郷土ゆかりの作家である三上於菟吉の世界に、ぜひ触れてみてください。

【常設展】日光道中の道標

常設展示にある道標(どうひょう)2基は、日光道中沿いに建てられていたものです。
向かって左側の背の高いものの実物(展示はレプリカ)は、位置は移動していますが、今でもかつて粕壁宿であった「かすかべ大通り」に建てられています。正面に「東 江戸、右之方 陸羽みち」、右面に「北 日光」、左面に「西南 いハつき」(西南 岩槻)、背面には、天保5年(1834)二月に、それまであった木の道標から、石の道標に変えたことが刻まれています。粕壁宿の西方、新町橋方面と岩槻方面に道が分かれる辺りに建てられていたものと考えられます。

右側のものは、古利根川の川ざらいの際に発見された実物です。正面に「向 江戸道」、右面に「此方 金ノ井 一里半 岩井 四里 宝珠花 二里 野田 三里」、左面に「此方 日光道中 関宿道 四里八丁 是ヨリ三町先庚申塔ヨリ右ヘ□」と刻まれます。背面には、嘉永6年(1853)に亡くなった女性のために、安政4年(1857)に建てたとあります。新町橋の八丁目側あたりに建てられていたものと考えられます。


道標レプリカ

8月31日(土)土器作り教室を開催しました!

8月31日(土)は午前10時から内牧公園にて、「土器作り教室」2日目を開催しました。

8月4日(日)の1日目に笠間産の粘土をこねて、縄文時代と同じ粘土ひもを積み上げる「輪積み」技法で思い思いの土器を作りました。

土器の水分を乾燥させるため、約一か月間、教育センターで預かり、少しずつ、慎重に土器を乾燥させました。思ったよりも時間が必要なんですね。


土器を焼いている様子
土器を焼いている様子。熱気があたりを包んでいました。約600から700度で焼き上げます。

土器を焼いている間、希望する方は「ブルーベリー」の収穫体験を楽しんだり、「ろう石」をけずって「勾玉」を作ったり、火おこし体験と、様々な体験を行っていただきました。
ブルーベリー収穫体験
内牧公園の近くの農園さんのご協力でブルーベリー収穫体験を行いました!農業振興課や観光振興課の職員も加わった庁内のコラボ事業です!

お子さん以上に一生懸命になって楽しんでいただいた保護者の方もいました。

参加者の皆さんが「夏休み最後に貴重な体験をできた」と喜んでくださいました。
肝心の土器焼きは不安定な天候にもかかわらず、ほぼ原形をとどめ、無事に焼き上がりました。
参加者の皆さま、ありがとうございました。来年も開催しますので、興味のある方、お待ちしております^・^

内牧地区にて開催中!

夏休み期間中、ご好評いただいた庄和図書館での巡回展が終了し、今回は内牧地区公民館で神明貝塚の巡回展を開催しています。

内牧地区は塚内古墳群をはじめ、内牧公園など周辺でも神明貝塚と同じ縄文時代の遺跡も数多く確認されており、春日部市内でも歴史的に古くから人々が暮らしていた地区でもあります。

暑さも和らぎつつあるこの季節、内牧地区公民館で神明貝塚の展示をご覧いただいた後、内牧地区の歴史散策などはいかがでしょうか?

巡回展の様子

場 所:内牧地区公民館 1階ロビー(講堂前)
会 期:令和元年9月3日(火)~12月中旬(予定)
休館日:月曜日・祝日(月曜日が祝日の場合はその翌日)
その他:文化祭などの公民館行事の際は展示を一時休止することがあります

記念講演会・ミュージアムトークを開催しました

8月31日(土)、埼玉大学大学院の水村典弘先生をお招きして、記念講演会「成金鈴木久五郎の時代」を開催しました。この講演会は、春日部市郷土資料館で現在開催中の企画展示を記念して開催したものです。
写真:記念講演会の様子
満員御礼となった会場では、当日どうしても拝聴したいというお客様も多くお見えになり、122名もの方にお集まりいただきました。
水村先生のご講演は、鈴木久五郎がこれまでいかに評価されてきたか、久五郎が口述した資料から、彼の投資哲学を読み解くお話でした。先生は、久五郎が、ただの「相場師」「成金」ではなく、企業の合同や信託会社の設立など日本の経済界のうねりのなかで大きな信念をもって株に投資していたことを評価され、久五郎には才覚や株取引のための努力を惜しまなかったのではないか、とその人間像に迫った意欲的なお話しでした。日頃より、企業経営者や投資家の方々とご交流があり、経営学の専門家である水村先生ならではの重要なご指摘で、大変有意義なひと時となりました。
写真:水村典弘先生

個人的には、戦後から平成のバブル崩壊まで、久五郎がいかにマスメディアにとりあげられてきたのか、という問題を興味深く拝聴しました。展示担当者は無自覚ですが、2019年の今、春日部市郷土資料館が「鈴木久五郎」をテーマに据えた歴史的な意義も、実はあるのかもしれませんね。

受講者からは「成金のイメージが覆され、面白かった」「人柄や考え方を知れてよかった」「春日部に偉大な人物がいて驚いた」など、ご感想をいただきました。

翌日9月1日(日)にはミュージアムトークも開催し、関連事業は、おかげさまでご好評のまま、すべて終了しました。
写真:9月1日ミュージアムトーク
企画展示「元祖!成金鈴木久五郎」展も、残りあとわずかです。
鈴木久五郎を春日部でみられるのは、9月8日(日)まで。

8月31日の記念講演会は受付を終了しました

8月31日開催の記念講演会「成金 鈴木久五郎の時代」は、ご好評につき、定員に達しましたので受付を終了しました。
たくさんのお申し込みを頂き、誠にありがとうございました。

講演会当日、お申込みいただいた方の出欠状況を確認した上で、当日受付を行います。ご希望の方は、13時55分に春日部市教育センター2階、視聴覚ホール入口にお集まりください。
なお当日受付の場合、机が無いイスのみのご案内になる場合があること、またご期待に沿えない場合があることをあらかじめご了承ください。

●企画展示記念講演会「成金鈴木久五郎の時代」
講師:水村 典弘(みずむら のりひろ)さん(埼玉大学経済学部教授)
日時:令和元年8月31日(土)午後2時~午後4時(午後1時30分開場予定)

会場:春日部市教育センター 2階視聴覚ホール