ほごログ(文化財課ブログ)

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3年ぶりに獅子舞の公開-西金野井の獅子舞ー

 7月17日(日)、県の無形民俗文化財に指定されている”西金野井の獅子舞”が西金野井香取神社で3年ぶりに舞が公開されました。伝統の舞を継承されている保存会、そして神社氏子会の皆さまも新型コロナウイルスの感染防止を徹底し、さらに10年ほど前から地元南桜井小学校の4~6年生を対象に指導を続けている「伝統芸能クラブ」の皆さんも日頃の練習成果を遺憾なく発揮してくれました。

辻斬り

 

 

 

 

 

 

▲天狗役を先頭に鳥居前での辻斬り 

▼太夫獅子の舞を真剣に見入る子供たち

太夫獅子の舞

 子供たちによる「辻廻り」の舞(左下)。5年生もこの4月からの練習成果を堂々と披露してくれました。祭礼最後には保存会のに子供獅子も加わりました(右下)。

引き続き将来にわたって地域の子供たちが伝統の技と舞を継承してくれるよう願うばかりです。

当日はクラブ員全員が「辻斬り」や「芝廻り」の演目に取り組むことができました。顧問の先生方も暑い中、ご支援ありがとうございました。さらに保護者の皆さん、歴代校長先生と多数の方々の応援に心から感謝申し上げます。
三匹獅子

子供たちの三匹獅子

【ハミ出し夏季展示】巡幸の記録にみる粕壁宿の町並み

7月20日(水)から始まる「明治天皇と春日部」展の一部を常設展示にハミ出して展示しています。 #展示替 #粕壁宿 #かすかべプラスワン

ハミ出し展示は、昨年度の夏季展示から恒例になったもの(昨年はプレ夏季展示といっていました)。春日部市郷土資料館の狭い企画展示室では収まりきれないので、ちょっとみっともないですが、苦肉の策で始めたもの。今回のハミ出し展示は、「明治天皇と春日部」展のテーマの三本柱の一つ「明治天皇の巡幸」に関する展示です。以前にも宿場模型に昼食所を表示したことを紹介しました。

今回は、ケース1つ分に、宮内庁宮内公文書館所蔵の巡幸に関する記録を展示しました。粕壁宿には、明治9年と同14年の巡幸のご一行がやってきましたので、両年の記録を陳列しています。

おすすめは、「明治天皇御紀資料稿本」。明治天皇紀の編修事業により、宮内省が収集した史料を収載した文書です。後年に編修されたものとはいえ、宮内省の公文書類を所蔵する宮内公文書館ならではの資料といえるでしょう。そのほかにも、貴重な文書が並んでいます。供奉した人々がどのように粕壁宿を描いているか、興味深い記述が満載です。

写真:展示風景

展示はいよいよ、7月20日からとなりました。

宮内庁の皆さんのご尽力もあり、何とか展示会期に間に合いそうです。

会期からフライングではじまったハミ出し展示は、会期前にもご覧いただけますので、予習でご来館されてはいかがでしょうか。

「オンライン土器作り教室」の応募を締め切りました

昨日をもって、「オンライン土器作り教室」の応募を締め切りました。

今回は定員40名のところ、44組92人の数多くの応募をいただき、誠にありがとうございます。

 

定員を大きく上回っていたため、これから参加者の抽選を行います。抽選結果につきましては7月15日(金)にメールでお知らせいたします。

 

 落選となってしまった皆様には申し訳ありませんが、またの機会にお申込みいただければと思いますので、よろしくお願いします。

豊野小6年生”縄文体験”授業を行いました!!

 7月13日(水)、出張授業「縄文体験」の7校目、豊野小学校6年生の2クラスで実施しました。学校付近には未だ発掘調査を行ったことがない沼廻(ぬままわり)遺跡がありますが、子ども達はその存在すら初耳。ちょうど歴史の授業で学習している古墳時代や奈良時代の遺跡であること、土器と漁で使われたのおもりが発見されていることでも驚きの声があがりました。さらに市内には多くの縄文時代の貝塚が存在すること、その最大規模が史跡になった神明貝塚であること、また外郭放水路の工事の際には縄文時代と、はるか12万年前の地層にも海が押し寄せた証として多くの貝が発見され、市域は過去2度、海原に覆われたことを導入で伝えました。

授業導入

 

 

 

 

 

▲導入では「神明貝塚」紹介動画と、学校近くの遺跡について紹介。併せて授業の振り返り。「狩りを中心とする生活だったから食べ物に困っていた印象が強い」という声がありました。

 

 実物に触れた体験では、「なぜ?」「どうして?」「どのように?」と考え深めたところ、「結構食べ物の種類が多かった」「貝塚だけでなく植物や動物と、バランスが取れていたのでは」と、縄文時代の印象が変わったようです。

体験学習1

石器体験

▲体験は3コーナーを設け、「土器」「貝殻・獣骨」「石の道具」。触れるだけでなく、使い方を考え、どのような生活であったのか、 グループディスカッションの場にもなります。

引き続き、このような機会をとおして市内の縄文時代や史跡新明貝塚での暮らしが広まるよう、学校での出張授業や市民の皆さまへの講座などを進めていきます。

「明治天皇と春日部」展の展示設営が始まりました

7月20日(水)を初日とする「明治天皇と春日部」展の資料陳列の作業が始まりました。今回は、共催展示なので、宮内庁宮内公文書館の皆さんと協力しながら進めています。「展示なんてただ並べるだけでしょ」と思った方、違いますよ。 #博物館 #学芸員

資料は、一つずつ丁寧に梱包されておりますので、まず、それを一つずつ開梱(かいこん)するところから始まります。

写真:開梱作業

資料は薄葉紙(うすようし・うすばがみ)という品物を梱包するときにつかう専用の紙で梱包してあります。開梱しながら、資料の状態を確かめ、資料の性格を踏まえ、どのように展示したらよいのかを考えて、陳列するのです。上の写真は開梱の様子です。

資料の形状や状態を鑑みながら、資料に負荷・負担がかからないように、ケアしながら、資料を並べます。

下の写真は、冊子状の資料の下にあてがう、通称「マクラ」を製作しているところです。分厚い冊子を開いて展示すると、開いた箇所に負荷をかけることになります。そこで、冊子が水平になるように「マクラ」をあてがい、負荷がかからないようにするのです。マクラづくりは、展示現場でないと高さや大きさがわからないので、その場で製作するのです。

写真:マクラづくり

大きな博物館であれば、ゆったり陳列できますが、春日部市郷土資料館は、小さな博物館なので、どれだけ見栄えよく陳列できるかが勝負です。宮内庁宮内公文書館の皆さんも、これまでの展示経験から、ギッチリ並べて見せる派のようで、その意味では当館のやり方と親和的でした。下の写真は絵図を展示しているところです。展示台にどれだけのせられるかを確認しています。また、見栄えとともに、地震などへの対応、資料保護などの点にも注意します。なお、美術館では、作品をじっくり鑑賞していただくため、高さや位置に気を配りながら、一点一点の作品間の距離を適度に保つような展示法をとります。このように展示会のテーマ・内容や展示する資料・作品の違いによって、展示の方法は異なってきます。

絵図の展示

展示作業初日の今日は、宮内庁さんの展示技術や展示哲学に接し、また、こちらからも展示技術や哲学を伝え、刺激的な一日となりました。このように「あーでもない」「こーでもない」と話し合いながら、試行錯誤して、展示設営作業を進めています。果たして会期までに間に合うのでしょうか。