ほごログ(文化財課ブログ)

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【常設展・展示替】水害の歴史を伝える資料を展示

春日部市郷土資料館の常設展示の一部を展示替し、明和3年(1766)の水害関係資料を出品しました。
写真:樋籠村年貢仮免状
明和3年6月下旬から大雨が続き、江戸川・庄内古川(中川)が「満水」となり、江戸川は西親野井の堤防、庄内古川は永沼の堤防がそれぞれ決壊しました。このとき市域は水害を蒙りました。
展示資料は、明和4年5月「樋籠村年貢仮免状」(当館所蔵)です。
この資料は、”関東郡代”伊奈備前守役所から、樋籠村の前年の年貢取り立て額を通達するものですが、水害により「水損」した田んぼの年貢米は「米なし」と全額免除されています。水害によって田んぼの作物は全く収穫できなかったことがうかがえます。

令和元年(2019)10月12日未明に上陸した台風19号により、日本列島は近年まれにみる広域的な水害に遭いました。市内では河川の決壊・氾濫は免れましたが、浸水の被害が少なからずありました。
こうした経験を得た私たちは、いまこそ資料が物語る郷土の水害の歴史を見つめなおしてみてもよいのかもしれません。