活動報告

令和7年度

栃管協結成60周年記念教育講演会

去る11月29日(度)栃管協・栃教協共催の教育講演会を開催しました。栃管協からは、会員、市町管協会長、役員合わせて約170人が参加していただきました。

今年は、栃管協が結成60周年を迎えたため記念講演会とさせていただきました。開会行事では、両団体を代表して鍋谷会長が、

「栃管協・栃教協は、給与勤務条件の改善・教育環境の整備などを活動の柱に掲げていますが、本日の講演会はその柱の一つ、教育専門職としての研修の充実に当たるものです。国では次期学習指導要領の論点整理が出され、各ワーキンググループで審議がされております。文部科学省では学校現場における生成AIの利用についてというサイトを立ち上げ、生成AIの利活用に関するガイドラインが示されています。今後、教育現場では、さらにギガスクール構想の推進とともに 働き方改革と教育の情報化へ。 具体的にはAIの公務利用から教育利用へ。この活用が加速していくと予想されます。 本日は講師として池谷裕二氏をお招きして、ご講演をいただきます、とても興味深いテーマであり、私もとても楽しみにしているところです。この講演会がこれからの栃木の教育を担う 教育専門職としての皆様にとって、 ご自身を更にバージョンアップされる機会としていただけますよう祈念いたします。」と挨拶しました。

講演会では、東京大学薬学部教授 薬学博士・脳研究者 池谷裕二 氏に、

「AIがもたらす未来~人工知能の現在とこれからの社会~」

と題して、ご講演をいただきました。 

 講演内容のごく一部ですが、要約してご紹介します。

人間らしさとして、直感・創造・発想・芸術を挙げる人は、人間らしさをきちんと理解していない。AIは、人よりも高いレベルで直感・創造・発想・芸術を発揮できる。

ChatGPTよりも創造性の高い人は9.4%しかいないというデータがある。世界のトップ9.4%の人類に入る自信がない人はChatGPTを使わない理由がもはやない。

「気が利く」という単語があるのは、人は気が利かないから。みんながみんなすごく気が利くなら、「気が利く」という言葉は必要ない。人間は基本的に気が利かないし、気遣い下手。気が利くとか気遣いって、恐ろしく機械的な作業である。人間は機械的な作業が苦手である。

アメリカなどでは、カウンセリングで7割の患者が生身の医者よりAIを選ぶ。なぜか。AIは、我慢強い。長い時間拘束しても、絶対に貧乏揺すりしない。時計チラチラ見ない。顔に出ない。うっかり発言をしない。所詮ロボットなので、人には言えないプライベートで恥ずかしいことでも全部さらけ出せる。どうして患者たちが生成AIを欲するのかを見ることによって、人間の医者に何が足りていなかったのか分かってくる。「AIの振り見て、我が振り直せ」である。これは別に精神科医だけの話ではなく、全ての仕事もそうだ。

人間らしさとは、人間がまるで息をするかのように自然に実現できること。それは、自然にできているから思い当たらない。例えば、人間は身体を持っている。しなやかな運動と豊かな感覚は、AIにはない。楽しんで 生きるというのも人間の特徴。人間とAIはかなり違っていて、得意とする分野も違う。両者が協働して、お互いに苦手なものを補いながら、さらに高めていくことが大切。

今年「東大理3合格者」の8割以上がChatGTPを使って勉強していた。これは、生成AIを使わないで、もし勉強する生徒がいたら、明らかに時代遅れということを意味している。宿題を「AIなんか使ってやっちゃダメだよ。」と言っている先生は、もう先生じゃない。むしろ先生はどうやって使うかを教えてあげなければいけない。悪い使い方は「答えを出してもらう」「代わりに宿題やってもらう」これだけ。楽するために使っちゃダメ。理解を深める支援者として使う。自分の考えを深めたり、新しい概念を習得したりするのに使うこと。

※これからの時代は、AIを使って学習するのが当たり前の時代になると池谷先生はおっしゃっていました。教員は、AIを児童生徒が正しく使えるように指導する必要があります。それだけではなく、「子供たちがAIを使って思考力を高める(AIを正しく使う=答えを丸写ししない)」そんな授業をデザインする能力が求められるいます。

※AIを使うに当たっての注意点等については、12月10日発行の会報179号にてご紹介させていただきます。是非ご覧になってください。

第4回理事会

11月27日(木)に第4回理事会を実施しました。

今回の理事会では、第2回対県正式協議において、県教委からいただいた回答の確認とそれを受けて次年度の要望をどうするか検討を行いました。

今年度の要望を継続するのか、削除するのか、要望の文言を変えてはどうか、新規に要望を入れてはどうかなど様々な意見がでました。理事会の結果をまとめ、1月の第5回理事会で令和8年度の要望を検討します。会員の皆様からも要望したいことがありましたら、事務局までご連絡ください。検討させていただきます。

管理職の処遇改善は、少し前進しましたが、教育現場をめぐる情勢は未だ厳しい状況にあります。

会員の皆様の困り感が、要望活動を原動力です。みんなで力を合わせて栃木の教育振興に努めて行きましょう。

署名簿提出

栃管協会員の皆様にご協力いただきました署名を11月19・20日に内閣総理大臣と衆議院議長に全日教連本部役員が提出してまいりました。

○ 内閣(高市早苗 内閣総理大臣) 11月20日(木) 木原稔内閣官房長官へ提出  25,022筆

○ 国会(額賀福志郎 衆議院議長) 11月19日(水) 紹介議員 岸信千世議員   24,890筆

  計 49,912 筆

会員の皆様には、ご協力いただきありがとうございました。改めて感謝申し上げます。

第2回対県正式協議

11月17日(月)13時30分から、県庁北別館401会議室において、県教委と第2回対県正式協議(交渉)を実施しました。6月20日(金)の第1回対県正式協議(交渉)において、栃管協が要望した25項目に対して、県教委から最終回答がありました。

 栃管協からは、鍋谷会長をはじめ、13名の役員が出席しました。県教育委員会からは、中村教育長、武藤教育次長(管理)、大髙教育次長(指導)をはじめ22名が出席されました。

挨拶する中村教育長               挨拶する鍋谷会長

 中村教育長からは「財政状況が厳しい中、法令・制度上の観点からも直ちに設置・改善がなかなか困難な状況にございます。ご意見の趣旨に沿ってできるとことから少しでも改善を図れるよう、また一歩踏み出せるよう頑張ってまいりたい思っておりますので、今後ともご理解ご協力をよろしくお願いいたします。」というお話しをいただきました。

 鍋谷会長は、県教委からの回答に対して「働き方改革リーフレット作成、オンライン研修の増加、介護休暇の法整備、人材確保に向けた取り組み等を年度内に実施いただいたこと。35人学級の継続、加配教員の推進等を確認することができました。また、栃管協と同じ思いをもって、国へも要望をしてくださっていることも確認いたしました。栃管協は、全日教連を通じて、国へ要望を行ってまいります。短期、中期、長期の視点から要望内容を精査し県にも同じく要望を継続してまいります。今後とも、よろしくお願いいたします。」と述べました。

また、中村教育長からは夏以降に立て続けに起こっている教職員の不祥事について、「不祥事の根絶に向けましては、機会あるごとにお願いしてまいりました。不祥事が相次いで発生する状況になっているが、なぜだろうという強い疑問が沸いてまいります。県教委として、この事態を受けて、改めて県内の学校の教職員一人一人に対して、教職員は児童生徒を守り、その成長を支えていく立場にあると、その覚悟と今後不祥事を絶対に起こさない。起こさせない。という覚悟を教職員一人一人に浸透させなければならないと考えております。先月24日には、教職員による不祥事の根絶に向けたメッセージを各学校に配付いたしましたが、各学校事でそれぞれのご対応をしていただいていると伺っております。管理職の皆様方も、是非部下職員一人一人の危機意識を管理職と同レベルまで高めていただき、不祥事を起こさない学校風土作りにお力添えをお願いしたいと思っております。教職員一人一人が高い志をもち続けること、それから情熱をはき違えないこと、そういったことなどを人材育成の観点からも面談や教職経験に応じた働きかけが必要と考えております。何にしても何らかの予兆なり、前触れといったものが考えられます。是非とも、次の時代を担う優秀な人材の確保に向けましても、教職・教員の魅力を我々教員自らが発信できるように管理職員協議会の皆様方からのご支援を引き続きお願いいたします。」とのお話もありました。

それを受けて、鍋谷会長は「教育長のお言葉を重く受け止め、本日の協議内容と合わせて、会員に伝えていく。」と述べました。

本会の目的は、「学校管理職員等が教育に専念し、教育効果を高めるために、その地位の向上をはかり、もって栃木県教育の振興に寄与すること」です。度重なる不祥事は、この目的達成に大きな障害となります。改めて会員一人一人が、不祥事を起こさせない学校風土作りを推進し、安心・安全、そして信頼される学校を作ってまいりましょう。

なお、協議の結果については、会報にて報告させていただきます。

第9次中央要請行動(国会議員)

11月4日、5日に全日教連役員及び各単位団体専従は、第9次中央要請行動として、国会議員に対して教育施策に関する要望を行いました(秘書対応及び要望書のお渡しのみも含む)。栃管協からは吉田事務局長が参加しました。

国会議員の方々は全日教連の要望内容に理解を示してくださり、非常に有意義な意見交換を行うことができました。

要望内容1:学級編制標準の引下げと教職員定数の改善を!

◆ 学級編制標準の引下げ

→ 高等学校での35人学級化の実現

→ 小学校・中学校の更なる少人数学級化の検討

◆ 教職員定数の改善

→ 多様化する教育課題に対応した定数算定

→ 小学校教科担任制の拡大

→ 「若年層サポート教員(仮称)」の配置

要望内容2:働き方改革の更なる推進を!

◆ 「学校と教師の業務の3分類」に基づく業務適正化

→ 学校以外が担うべき業務の切り離し

◆ 支援人材の配置拡充

 → 教員業務支援員・学習指導員

 → 副校長・教頭マネジメント支援員

 → スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー

 要望内容3:教師不足を解消するための処遇改善を!

◆ 教職調整額の引き上げ

 → 10%への速やかな引上げ

◆ 諸手当の新設・拡充

 → 管理職手当等の拡充

 → 特別支援教育コーディネーター手当等の新設

 要望内容4:教職員のメンタルヘルス対策を!

◆ 教職員が心身ともに健康を維持して教育に携わることができる環境づくりを

 → 「学校問題解決支援コーディネーター」の配置拡充

 → 「スクールロイヤー」の配置支援

 要望内容5:教育DXに関する環境整備を!

◆ 安定した利活用のための通信環境の整備

◆ 校務DXに向けた環境整備

 → 次世代校務DX環境への移行

 → 高校入試事務のデジタル化

 → 調査のオンライン化

 要望内容6:安全・安心を保障する環境整備を!

◆ 支援相談体制の拡充

◆ 登下校中を含む教育活動中の事件事故から子供たちを守る方策

◆ 教師が安心して教育活動に専念できる環境づくりを

◆ 学校施設の改修整備

要望内容7:教育格差のない教育の実現を!

◆ 地財措置された経費の確実な予算化を

 → 地方自治体に積算された経費を教育予算として活用

要望内容8:学校教育の充実に向けた法整備の実現を!

◆ 義務教育費国庫負担制度の改正

 → 教材費等の義務教育に係る費用の全額国庫負担

◆ 教育基本法改正

 → 「高等学校」について明記

◆ 憲法改正

 → 国の教育に対する責務について言及

 今回の要望では、120名(秘書対応含む)の国会議員の方々に現場の声を届けてまいりました。栃管協は今後も全日教連とともに教育環境改善等について要望をし、教職員の魅力向上を図るとともに、子供たちへの教育充実を目指してまいります!

 

第243回執行委員会

11月2日・3日に、鍋谷会長が全日教連の第243回執行委員会に参加しました。令和8年度の定期大会議案書の運動方針について協議を行ないました。
また、執行委員会後に「給与法制局」に参加し、文科省や、財務省、国会議員等への要望内容を話し合いました。
全日教連の次年度の活動に向けて非常に熱い協議が重ねた2日間となりました。

令和8年度教育予算要望

 9月8日(月)県教育長・知事に対して、栃管協会長・副会長・事務局長・事務局次長の8名で、令和8年度の予算編成に向けての教育予算要望を行いました。

   中村教育長に要望書を手渡す鍋谷会長         要望内容について説明する会長

 教育予算要望は、6月20日の第1回対県協議(交渉)で要望させていただいた内容と重なる部分が多くあります。教育長からは働き方改革について、「保護者・地域に協力を呼び掛けるためのリーフレットを作成し、発送したところである。」というお話をいただきました。県教委が、我々の要望に対応して作成したリーフレットですので、大いにご活用ください。

 9日(火)には、県議会議長に対しても、要望書を提出しました。

    池田議長に要望書を手渡す鍋谷会長          要望内容を説明する会長

 池田議長におかれましては、我々の要望にじっくりと耳を傾けていただき、要望の趣旨と学校現場の窮状を御理解いただきました。

 今後は要望書の写しを、栃管協役員と市町管協役員が、教育事務所長・市町教育長・県議会議員に届け、要望への後押しをお願いします。

今回の要望書の内容は以下の通りです。

1 教職員配置の維持・改善

(1) 学校現場の必要に応じた教員の迅速な配置及び安定した確保

学校現場では、出産・育児に関わる休暇(育児短時間勤務や男性教員の育児休暇も含む)や傷病休暇などを取得する教員が増加しており、必要な補充教員が慢性的に不足している実態があります。児童生徒や保護者に不安が広がっていることから、必要に応じて正規採用教員並びに臨時採用教員を迅速に学校に配置できるよう、その安定した確保をお願いします。

(2) 中学校全学年の35人以下学級の継続

本県においては、他県に先駆け中学校35人以下学級が実現しておりますが、引き続き生徒が生き生きと学習や生活に励むことができる教育環境を維持するために、本県独自の少人数学級の継続を求めます。また、継続に当たっては加配教員の数が削減されることがないよう強くお願いします。

(3) スマイルプロジェクトの拡充

スマイルプロジェクトについては更なる拡充を行い、児童生徒指導上の問題や指導困難校等(特別支援学級児童の交流時35人を超える場合も含む)に対して非常勤講師の確実な配置をお願いします。

(4) 小学校専科教員の増員

小学校高学年の教科担任制に加え、小学校4年生への教科担任制の拡大を見据えて、小学校への専科教員の配置促進をお願いします。

(5) 栄養教諭・学校栄養職員の増員

栄養教諭や学校栄養職員が配置されていない学校では、専門知識を有さない教職員が、食物アレルギーに対応しています。児童生徒の安全・安心を最優先とする対応を進めるために、食物アレルギーを有する児童生徒が多い学校及び給食センターに対して、県単措置として栄養教諭や学校栄養職員を配置・増員することをお願いします。

(6) 外国人児童生徒に対しての日本語指導担当教員の配置拡充

外国人労働者の雇用拡大に伴って、学校現場では、日本語指導を必要としている児童生徒が増えており、多言語化・散在化が進んでいます。今後も外国人児童生徒が増加していくことを踏まえて、本県独自の日本語指導担当教員の配置の拡充をお願いします。

 2 教育環境の整備・充実

(1) 特別支援教育の充実

学校現場において、特別支援教育を必要としている児童生徒数は年々増加しています。保護者の理解が進む中で、より充実した特別支援教育を望む声も大きくなっています。県として特別支援学級(特に自閉・情緒学級)の編制基準の緩和とともに、通級指導教室を必要とする全ての学校に設置するようお願いします。

(2) スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの増員

社会や経済の変化に伴い、子供や家庭、地域社会も変容し、学校が抱える課題は、複雑化・多様化しており、教職員だけの対応では、解決できないケースが増えています。併せて不登校やいじめ防止、児童虐待やヤングケアラー等の対策のために、スクールカウンセラーの常勤化及びスクールソーシャルワーカーの配置促進をお願いします。

(3) 不登校対策の強化

不登校を未然に防止するとともに不登校児童生徒の登校復帰を支援するために、校内教育支援センターの設置を促進するとともに、県単措置として教員及び学習指導員の配置拡充をお願いします。

(4) ICT支援員の学校への配置拡充に向けた支援

デジタル教科書の普及やオンライン学習の活用等が進む中で、教員のスキルに格差があったり、端末の維持管理の対応が容易でなかったりするため、人的なサポートは不可欠です。児童生徒の利用促進並びに教員の負担軽減を図るため、県としてICT支援員の配置拡充に向けて、市町に対する財政並びに人材発掘や確保などの支援をお願いします。

(5) GIGAスクール構想(第2期)の着実な推進を踏まえた環境整備

全ての学校においてICTを日常的に活用し、その環境を基盤として、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図るとともに情報活用能力を育成するために、端末の更新や通信回線の帯域確保に市町間の格差が生じることがないよう、県として継続的な支援を行うようお願いします。

(6)「とちぎ海浜自然の家」利用学校に対する補助金の復活

本県児童生徒の海に対する貴重な体験の場を提供している「とちぎ海浜自然の家」の有効活用策として、利用継続可能な補助金の復活をお願いします。

(7) 県有施設における教育活動時の無料化

県有施設は、学校外の教育活動の場として有効であり、積極的に役立てることが重要です。本県の児童生徒の健全育成を図るために、全ての県有施設において県内の公立学校が教育活動等で利用する際には無料とし、学校や保護者の負担を軽減するようお願いします。

 3 教職員の待遇改善

(1) 定年延長に伴う制度の整備

定年延長により、管理監督職勤務上限年齢制(役職定年制)が導入されましたが、学校経営を担ってきた校長や教頭が降任することは、学校現場に大きな影響を与えると考えられます。管理職として培った能力や経験を十分に活かすことができる新たな職を設けるようお願いします。

(2) 暫定再任用制度の整備・充実  

定年延長の改正法が成立しましたが、当分の間、再任用制度は継続されます。その期間において、再任用者の能力や意欲を高めるとともに、組織の活性化を図るために職務や勤務形態の選択肢を拡大し、雇用と年金の接続が確実に図られるようお願いします。

(3) 管理職員特別勤務手当の適用枠の拡大

台風などの自然災害時に、休日や深夜であっても、災害に巻き込まれる恐れがある中を、校長や教頭は避難所となる学校に向かい、避難してきた住民を受け入れるとともに、全ての避難住民が退所するまで学校にとどまります。これらの業務について、管理職員特別勤務手当の支給対象とするよう適用枠の拡大をお願いします。

4 勤務環境の改善

(1) 「学校における働き方改革推進プラン(第2期)」に沿った取組の推進

県教委が策定した「学校における働き方改革推進プラン(第2期)」に沿った取組の推進とともに、中教審答申の「学校・教師が担う業務に係る3分類」について、県がリーダーシップを取って、保護者や地域に対して積極的な啓発活動を行い、役割分担や適正化を推進するようお願いします。

(2) 部活動指導員の配置促進並びに地域移行の推進

部活動は、教員の長時間労働の要因とされており、指導経験のない教員には、大きな負担になっていることから、部活動指導員の配置促進をお願いします。さらに、県内のモデル校の実績をもとに、休日の部活動について、段階的な地域移行を推進するようお願いします。

(3) 教員業務支援員等(副校長・教頭マネジメント支援員を含む)の配置拡充

教員業務支援員については、学校の働き方改革等に不可欠なものであり、学校現場から配置拡充を求める声が届いています。市町が1/3を負担するため、市町により配置の格差が生じることがないよう、県としても独自の支援をお願いします。

(4) 勤務間インターバルの導入

十分な生活時間や睡眠時間を確保し、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることを可能にするため、終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保する、いわゆる「勤務間インターバル」の導入を検討するようお願いします。

第45回市町管協会長研修会

8月23日(土)に、第3回理事会に続けて、第45回市町管協会長研修会を開催しました。

      開会のことば(西海副会長)         会長あいさつ(鍋谷会長)

研修会の内容は以下のとおりです。

(1)講話「中央情勢について」

      講師 全日本教職員連盟委員長 渡辺 陽平 様

   中央情勢について報告する渡辺委員長       話を聞く市町会長と栃管協役員

◎ 渡辺委員長からは、今年度の全日教連の活動や改正給特法、中教審「教師を取り巻く環境整備特別部会」の内容等についてお話をしていただきました。参加された皆様も、栃管協の要望と全日教連の活動が密接に結びついていることを理解していただいたと思います。

(2)対県協議(交渉)について

◎ 事務局長から今年度の対県協議の要望内容について説明をいたしました。 

(3)各市町管協の活動について

      宇都宮市 二宮会長               鹿沼市 長島会長

        真岡市 菅野会長              壬生町 金久保会長

        矢板市 大野会長             大田原市 久保寺会長代理

       佐野市 亀田会長               足利市 橋本会長

◎ それぞれの地区の活動や要望内容について発表していただきました。地区ごとの事情は異なりますが、今後の活動の参考にしていただきたいと思います。

報告・連絡内容は以下のとおりです。               

(1)令和8年度教育予算要望について     

(2)教育講演会の動員について  

(3)栃管協結成60周年記念式典の動員について

(4)年度末退会者の報告について   

(5)署名活動について

(6)全日教連教研全国大会の提案について

(7)栃管協調査部アンケートについて

(8)令和7年度人事院勧告について

(9)その他

◎ 教育講演会や栃管協結成60周年記念躍進大会の動員を各市町会長様にお願いいたしました。市町の会長様からお声がかかった際には、ご協力よろしくお願いいたします。

第3回理事会

8月23日(土)に第3回理事会を開催しました。

協議内容並びに報告事項は以下の通りです。

(1)協議事項

   ① 令和8年度教育予算要望について

   ② 市町管協会長研修会について

   ③ 年度末退会予定者の報告について

   ④ 署名活動について

   ⑤ 令和7年度教育講演会について

   ⑥ 栃管協調査部アンケートについて

   ⑦ 令和7年度日台訪問研修について

   ⑧ 教育ウェビナーについて

   ⑨ 栃管協結成60周年記念躍進大会について

 (2)報告事項

   ① 第2回対県正式協議(交渉)について

   ② 全日教連教研全国大会徳島大会の提案発表について

   ③ 令和7年度人事院勧告について

理事会で協議された内容に従って、今後の活動を進めて参ります。会員の皆様には、署名活動や調査部アンケート等で御協力をお願いすることがありますが、どうぞよろしくお願いいたします。

第42回教育研究全国大会(岐阜大会)

8月3日(日)に、岐阜県岐阜市で、全日教連主催の第42回教育研究全国大会(岐阜大会)が開催されました。

栃管協から事務局を含め役員14名が参加して参りました。

  

大会のテーマは、以下のとおりです。

学びの保障に向けた不登校対策を考える

~児童生徒一人ひとりに応じた指導支援体制の充実~

コーディネーターとパネリストの提言は、以下のとおりです。

コーディネーター 明石 要一 氏 千葉大学名誉教授・敬愛短期大学名誉教授

 提言「不登校問題をどう捉え解決するかの方策を探る」

 不登校の児童生徒が約35万人(R5)、高校生を含む と約41万人(R5)に達する。なぜこんなに増えてきたのだろうか。その背景と対応を考えていく。

 1  子供の変化を捉えなおす

 クラスの中にタイプの違う子供は何種類いるだろうか。「ハイタレントをもった子供」「発達障害がある子供」 「不登校気味の子供」「外国籍のある子供」などこれまで 存在が知られた子供たちが出現しはじめている。クラスは多様な子供たちがいる状態になっている。

 2  不登校の名称の変化

 昭和30年代の中ごろは、対象が高校生が中心で「登校拒否」という言葉が使われている。それが、特定の子供ではなく誰でもどこでも学校に行かなくなることから 「不登校」という言葉が使われ始める。そして今では保坂先生が提案する「長期欠席」という言葉も生まれている。

 3  不登校の児童生徒にどのような支援が可能か

 特定の先生にだけ支援を押し付けるのではなく、学校内でどのような支援策が可能か、学校外(家庭、専門機関、教育委員会など)の支援を仰ぐにはどうすればよいか考えていきたい

 

パネリスト 藤崎 育子 氏 開善塾教育相談研究所所長 現在茨城県就学前教育,家庭教育推進会議委員および訪問型支援スーパーバイザー。

提言「教師によるアウトリーチ」

 子どもの数は減る一方ですが、不登校の子どもの数は増えるばかりです。ひきこもりは146万人を超えると言われています。新型コロナの影響もありますが、無理をして学校に行かなくても構わないという風潮が、保護者にも、学校の先生にも影響を与えてしまったことが大きいと思います。全国で学校に代わる居場所の増設が行われてきました。多様な教育の場が増えることは歓迎すべき面もありますが、誰もが通えるわけではありません。

 今、多くの先生達が、働き方改革の名のもとに、苦しむ子どもの所へ足を運ぶことをやめてしまっています。登校刺激が子どもを自殺に追い込んでしまうのではないかという考え方の影響も背景の一つにあるのではないかと思います。学校に行きたくないと訴える子どもの気持ちをただ受け入れ、このまま社会全体で不登校を容認し続けて本当にいいのでしょうか。学校をどの子も行きたくなるように変えていくことが急務ではないでしょうか。

 先生と保護者が協力し合い、子どもに恥をかかせることなく、自己肯定感を育みながら家庭訪問を続ければ、不登校の子どもは学校に戻ることができる! 鍵を握っているのは専門家ではなく先生です

 

パネリスト 保坂 亨 氏 千葉大学名誉教授・教育学部グランドフェロー。

 提言「不登校支援の方向性と視点」

1 「不登校」支援における2つの方向性

  現時点では「不登校」問題に対して2つの方向性が共存。

①「不登校」について「問題行動」から「問題行動ではない」へとその認識が大きく変化し、「学校に行くこと」という常識、とりわけ「厳格な一条主義」がゆらぎ始めている。それはまた、学校外の教育機関や家庭など学校以外の場における学力保障に注目する動きとなった。

 ②不登校によって学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意しなければならないと警告する。そして、学校教育の一層の充実を図るための取り組みが重要として、義務教育としての学校の役割を再認識するよう求めている (予防・早期発見、早期対応)。

 2 多様な「不登校」を捉える視点(仮説的な分類)

①神経症型不登校 (=心理的な要因):従来の「登校拒否」、「学校恐怖症」

②脱落型不登校 (=家庭の養育能力の問題): 虐待につながる「危険な欠席」

 3 積極的(意図的)不登校(=学校より他に優先するものがある):スポーツ・芸能活動などを優先

 

パネリスト 水川 和彦 氏 岐阜市教育委員会教育長、岐阜県都市教育長会会長、全国都市教育長協議会理事、東海北陸都市教 育長協議会理事、日本義務教育学会理事。

 提言「ありのままの君を受け入れる~岐阜市の新たな教育の展開と不登校対策~」

【学びの多様化学校 草潤中学校の取組】

 令和3年4月に開校した草潤中学校は「学校らしくない学校」をコンセプトに、生徒が常に「主語」となる教育を展開してきた。毎年約80%近い生徒が登校する成果を上げ、実践を通し、生徒のエネルギーが再び満ちるために何が必要であるかが分かってきた。それは、「①安心できる居場所」が保障され、ありのままの自分を受け入れてくれる、「②信頼できる大人の存在」があり、 活動内容を自分で決めて行動する、「③『選択と行動』のプログラム」があることの3点である。

 【校内フリースペース、オンラインフリースペースの取組】

 本市では、草潤メソッドを水平展開する目的で、市内学校に「校内フリースペース」を整備してきた。各校では、草潤メソッドを基本に、地域や学校のリソースを生かし、独自の取組を展開することで、約70%の生徒に欠席日数の改善がみられている。さらに、メタバースを活用した「オンラインフリースペース」を令和6年度から実施しており、児童生徒の様々な状況や態様に対応した全方位の施策を展開している。

【こころとからだの健康アプリ『ここタン』】

 子どもたちの不安や悩みを早期に対応し、子どもたちが相談しやすいと感じる学校風土の醸成のために、心と体の健康アプリ『ここタン』を導入している。『ここタン』 は大きく2つの機能を持っており、一つは、見えにくい心と体の状況を5段階で可視化すること、二つ目は「聞いてほしいボタン」の機能により、どの教職員にでも SOS発信ができるようにすることである。利用した児童生徒の9割が「相談してよかった」と回答しており、 子どもたちの安心・安全を支える重要なツールとなっている。

  どの先生方の提言も大変参考になるものでした。特に岐阜市の草潤中学校の実践については、不登校特認校や校内教育支援センターの運営に関して大いに示唆に富んだ話でした。草潤中学校を紹介する本が時事通信社から発売されているそうです。 タイトルは『風穴をあける学校 不登校生が通う特例校 草潤中が切り拓く子どもたちの未来』です。夏休みに是非お読みになって見てはいかがでしょうか。今後の不登校対応の一助になることと思います。

 参加された役員の皆さんも一様に素晴らしいシンポジウムだったと話されていました。この大会の詳細については、今年度末に発効される「教育創造」に掲載される予定です。時期的には遅くなってしまいますが、来年度の不登校対応の一助にして頂ければ幸いです。