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令和6年度教育講演会「自分を支える心の技法」
11月30日(土)、教育会館大ホールにて、精神科医であり、テレビやラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中の名越康文氏を講師に迎え、栃管協・栃教協共催の教育講演会を開催しました。栃管協からは、会員及び市町管協会長、役員等を含め約160名の皆様に御参加いただきました。
名越先生には、「自分を支える心の技法」として、睡眠、呼吸法、朝を大切にすること、コミュニケーションの取り方等、多岐に亘る話をいただきました。話の一部を要約して御紹介します。
日本人は睡眠不足
日本人の平均睡眠時間は、アメリカ人に比べて-90分。明らかに睡眠不足。睡眠不足の明くる日は、IQが10は落ちる。6時間以下の人は、4日続くと免疫も落ちる。風邪を引きやすくなる。6時間以下が慢性的になっている人は、認知症になる確立が4倍上がる。寝ている間に脳の中の老廃物が排除されるが、寝ていないと老廃物が溜まっていくので、いわゆるアルツハイマーの脳に近づいていく。6時間以下の人は、あらゆる精神病、認知症が近づいている。本気で7時間の睡眠時間を確保して、今日からライフスタイルを変えていただきたい。
子供たちには、「よく勉強せいよ。」という2倍「よく寝ろよ。寝ないと脳が発達しないぞ。」「将来あなたたちが精神疾患、鬱になったり、精神症になったり。もしかしたら夜更かしが原因で脳の発達が未熟だから、バランスの悪い脳になる可能性があるぞ。」と言って欲しい。成長期の睡眠不足は、取って返せない。皆さんが睡眠時間の常識をちょっとずつ変えていっていただけると嬉しい。
一日のコンディションを整える呼吸法
ほとんどの方が、30代後半から40にかけて、コンディション(体調)の悪さを一度は経験する。加齢が原因。老化の本体は、自律神経。自律神経には、交感神経と副交感神経の二種類あるが、副交感神経の方が先に老化する。それが大体30代。大人になると頑張りがきかないのではなく、リラックスできなくなる。それを防ぐ方法がある。それは「体を動かす」こと。そんなに体を動かせないという方には呼吸法。4・4・8呼吸法。4秒吸って、4秒止めて、8秒で吐く。これを3回ぐらいやると気持ちが落ち着く。日頃からこれを実践すると健康になる。寝付けないときには、5回から10回やると、すっと眠れる。自律神経失調ぎみ、あるいは、人前でものすごく緊張する子が、クラスに一人二人いると思うが、この呼吸法を一緒にやってあげて欲しい。特に8秒かけてゆっくり吐くというのが、自律神経を安定させる。自分でも暇なときやると、考えがまとまったり、疲れが取れやすくなったりする。
朝を大切に
一日の過ごし方の内で最も大切なのは朝。多くの偉人が、「朝を制するものは自分の人生を制する。」「成功を手に入れたいのであれば、朝をコントロールしろ。」と言っている。具体的には、朝起きたら光を浴びる。朝、光を浴びると体の中にあるトリプトファンという物質がセロトニンという物質に変わる。鬱病の患者は、セロトニンがすごく少なくなっている。「この頃鬱だ」「なんか気分が晴れないな」と思う人は、科学的にたぶんセロトニンが足りてない。人生にはいろいろな問題がある。セロトニンが出てくると問題解決がしやすくなるのは確か。だから朝から光を浴びる。セロトニンさえ出れば、一日勝ったも同然。セロトニンが出るとそれから12時間後、あるいは14時間後にメラトニンに変わる。メラトニンはかなり強力な睡眠薬。しかも、決して癖にならない。朝、光を浴びて、ちょっと運動して、そうすると睡眠薬よりも強力なメラトニンが出て、眠れるようになるというのが、平均的な医者の答え。
朝ご飯を食べよう
トリプトファンを取り入れるのは、朝ご飯。なかなか食べられない人は、バナナだけ食べて。バナナはトリプトファンの宝庫。自分が考える理想的な朝ご飯は、トリプトファンがいっぱいで滋養もついて、腸内環境を整える味噌汁と納豆。発酵食品です。毎朝味噌汁を飲みましょう。納豆を食べましょう。
とにかく、自分も子供たちにも、朝はしっかり食事を摂って、夜は早く寝る。勉強は後でもできるけど、無くした健康を回復するには何年もかかる。子供たちの健康は親の責任で、先生方の責任ではないが、子供たちに幸せな人生を送らせてあげたいなら、担任の先生の貴重な一言でその子の人生が変わると思う。「よく寝ろ。朝ご飯をちゃんと食べろ。どうしても食べられないときは、バナナだけ食え。」これがキーワード。
上手なコミュニケーションを取るために
上手なコミュニケーションを取るために、万能だと思うのは、その人を尊敬できるかということ。目の前の人を、「今、尊敬して話しているだろうか」「この人の人生が良きものになっていくということを信じているだろうか」ということだけ気にして。それ以外何もない。
三句の法門
あなたが本気で自分の人生が幸せになりたいと思うなら、三句の法門を実践すれば、あなたの成功は間違いないと古い仏典(4世紀に書かれた大日経)は、僕たちの教えてくれている。
「菩提心を因となし、大悲を根となし、方便を究竟(くきょう)となす」
意味は、「仏の心を根底に持ち、生きとし生けるものへの慈悲を共有し、人びとのために活動する」
謝辞を述べる内村会長