2019年10月の記事一覧
【常設展】縄文時代のヒョウタン
ヒョウタンは、ウリ科の植物で、果実は苦みが強く、果皮は非常に堅くなります。原産地はアフリカと考えられていて、野生種はアフリカにのみ存在します。
世界の歴史をみると、ヒョウタンの果実は、容器のほか、農具や漁具、楽器と非常に多くの用途で使われました。そのシンボリックな形から、お祭りの道具にもなったようです。
福井県の鳥浜貝塚では、約8500年前の縄文時代早期のヒョウタンの種子や果皮が発見されており、すでにこの時期には日本に持ち込まれ、栽培されていたようです。他にも青森県の三内丸山遺跡、また縄文時代だけでなく、弥生時代や古墳時代、古代の遺跡からも発見例があり、日本でも人間の生活に欠かせない植物であったことがわかります。
竪穴住居模型の奥の壁にヒョウタンを3個展示しています
郷土資料館体験講座「ミニぞうりを作ろう」を開催しました
長さ3mの江戸打ち紐を3本使い、10cmほどの可愛いミニぞうりを作りました。ぞうり本体は、江戸打ち紐を互い違いに編んで作り、最後に鼻緒を、かぎ針を使い本体に編み込んで完成させます。
参加者の皆さんからは、「自宅で、もっと小さな物を作ってお財布の飾りにしよう」「すごく楽しかった」と喜んでいました。
次回体験講座「しめ縄を作ろう」は、12月15日(日)・12月21日(土)です。ご参加をお待ちしております(事前申込必要)。
【常設展・ぷち展示替】明治43年の水害資料
展示替えした資料は、明治43年(1910)の水害を記録した「幸松村水害誌」です。
この資料は、編者の幸松尋常小学校の教員によって「後日ノ参考備忘ニ供スル」ため編さんされたもので、幸松村の被害状況などが克明に記録されています。
今回は、浸水の状況・面積・罹災した戸数・人口の箇所を展示しています。
なんと、村民の99%、村の土地面積の99%が浸水被害にあい、8月11日・12日に浸水した水が完全に引いたのは10月20日だったといいます。
「うめわかくん」の展示解説も付しましたので、あわせてご覧ください。なお、「幸松村水害誌」は定期的に展示替え(ぷち展示替)をする予定です。お楽しみに。
白鹿小学校の児童への送別会 ~江戸川小中学校の神楽の舞~
江蘇省といえば「漢字」の「漢」を建てた「劉邦」の出身地。
悠久の中国の歴史を感じることができる場所です。
一方、こちらは埼玉の「春日部」。
もちろん「漢」には負けられません(笑)
日中の児童の皆さんが様々な催しで友好を深められたようです。今日が最終日で午後には体育館で開催されたお別れの会で、
江戸川小中学校の皆さん達が日本の伝統「神楽」を披露。
※演目は「おかめひょっとこ」と「大黒天」。
地域で伝承されている、市指定無形民俗文化財「榎の囃子神楽」について、日頃、江戸川小中学校3、4年生は『総合的な学習の時間』をとおして練習に取り組んでいます。皆さんの一生懸命な演舞に白鹿小学校の皆さんも、盛大な拍手を送ってくれました。
日中両校、お互いとても良い思い出になったようでした♫
再見、白鹿小学校♬
古文書勉強会の成果(その14)
くずし字の解読を自主学習されてきた新たな方も加わり、20名の方が出席されました。
解読に先立って、参加者の方から、以前読んだ寛政7年(1795)の御鹿狩の古文書に登場した「竹貝」を自ら作ってみました、と本物の「竹貝」をご披露いただきました。
「竹貝」については、「竹貝」と読むか、「竹具」と読むか、古文書解読で意見が分かれたところでした。
あわせて「竹貝」の演奏の実演も。ほら貝のような音色に一同驚きました。東日本ではほら貝が取れないため、古くから竹を加工した「竹ぼら」という楽器が使われたそうです。
郷土資料館でやるべきことを、市民の方に実践していただき、頭が下がります。機会をみて、解読した古文書とともに展示させていただければと思います。
さて、今回解読したのは、寛政7年(1795)2月「御鹿狩野場賄諸入用取立覚帳」(神間村文書№346)です。御鹿狩の費用銭18貫文の負担を神間村の村人たちで割り合ったものです。帳簿なので、決して丁寧とはいえないくずし字に苦戦し、判読不能の文字もありましたが、何とか読み終えました。
ここで当日参加された方への事務連絡です。「弐」なのか「八」なのか読めない字は、計算してみましたが、そもそも計算が合いませんでした。なので「八」と読んでいます。
以下、釈文です。
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●神間村文書№346
(表紙)
「 寛政七年
御鹿狩野場賄諸入用取立覚帳
卯二月吉日 」
覚
一、銭拾八貫文
此わり
一、五百五拾六文 吉左衛門
一、五百八十一文 同人
壱分取、三百三十八文返し
一、百四十四文 惣左衛門
一、三百四十一文 源蔵
弐朱受取
三百九十一文返シ
一、弐百三十文 冨五郎
一、弐百三十五文 同人
一、三十五文 常右衛門
一、四百七十五文 茂七
一、四百七十一文 長右衛門
弐朱ト八十三文返シ
一、三百五十弐文 同人
一、七百三十弐文 義助
弐朱取、四文返シ
一、七百八十文 忠右衛門
一、百十五文 平治郎
一、百九文 同人
一、七百四十文 与□(四カ)右衛門
一、壱貫百廿六文 半右衛門
壱分取
三百四十六文返シ
一、八百十文 常右衛門
弐朱ト百九文
一、六百十五文 弥右衛門
一、五百十六文 平七
弐朱取
二百廿文返シ
一、四百四十五文 藤蔵
一、百八十三文 浄□坊
弐朱取
五百四十九文返シ
一、三百六文 重左衛門
一、三百廿六文 甚五兵衛
一、六百廿八文 忠七
弐朱取
[ ]八文返シ
一、六百八十八文 幾右衛門
一、六百廿弐文 恒七
弐朱請取
百拾六文返シ
一、六十三文 磯七
一、壱貫弐百四十六文 三郎右衛門
百六十弐文ふそく
一、三百五十文 忠蔵
一、廿六文 愛宕山
一、弐百四十三文 兵左衛門
弐朱取
四百八十九文返シ
一、七百六文 同人
一、五百弐文 吉五郎
弐朱取
弐百三十四文返シ
一、四百六十七文 重左衛門
一、壱貫十四文 藤右衛門
一、七十四文 直次郎
一、四百文 三右衛門
一、七十四文 念相いん
一、五十七文 文右衛門
一、七百廿九文 同人
〆十八貫百六十四文
百六十四文取立過
[ ]達而
相談之通り
割合致候間
来ル廿九日九ツ時
無間違念相院へ
御持参可被成候、以上
卯二月廿七日
取立〆金弐両三分ト
壱貫七百六十九文
-----------------以上です。次回は11月2日(土)14時~。次々回は12月15日(日)14時~を予定しています。
後継者の舞が披露されました
『赤沼の獅子舞』では力強い三匹獅子に加え、小学生の児童による日頃の練習成果が堂々と舞われました。
▲子供獅子の太夫による「弓くぐり」
特に今秋の例大祭では、子供獅子の卒業生である女性3名が三匹獅子を担い、赤沼の獅子舞の特徴である”勇壮”と”華麗”の舞を披露してくれました。
▲勇壮的な所作の中でも女性による柔らかさを兼ね備え、新たな魅力を発信してくれました。
『銚子口の獅子舞』では昨年一足先に女子高校生が舞手としてデビューしましたが、今秋には新たに一人が加わり、本日、小獅子役で舞を披露してくれました。
▲昨年までは笛役で活躍していましたが、「小獅子の舞」でデビュー。緊張せずに練習とおり舞うことができ、楽しかったという感想をいただきました。
▲舞手2年目を迎えた2年生の女子高校生は新たに中獅子で「さんぎりの舞」を披露。アップテンポのお囃子で息を切らしていましたが、力強さと柔らかさの特徴を思う存分表現してくれました。
両団体共に300年を越す伝承の歴史を誇りますが、伝統芸能の課題である昨今の後継者不足に対応するため、門戸を開け、地域一帯となった継承と保存に取り組んでいます。引き続き、皆様の暖かい応援と現地での観覧をよろしくお願いいたします。
※銚子口の獅子舞は12/15(日)開催の第9回春日部市民俗芸能公開事業でも舞を披露していただきます!本事業については広報紙や本ホームページでも詳しくご紹介いたします。
【常設展・展示替】水害の歴史を伝える資料を展示
明和3年6月下旬から大雨が続き、江戸川・庄内古川(中川)が「満水」となり、江戸川は西親野井の堤防、庄内古川は永沼の堤防がそれぞれ決壊しました。このとき市域は水害を蒙りました。
展示資料は、明和4年5月「樋籠村年貢仮免状」(当館所蔵)です。
この資料は、”関東郡代”伊奈備前守役所から、樋籠村の前年の年貢取り立て額を通達するものですが、水害により「水損」した田んぼの年貢米は「米なし」と全額免除されています。水害によって田んぼの作物は全く収穫できなかったことがうかがえます。
令和元年(2019)10月12日未明に上陸した台風19号により、日本列島は近年まれにみる広域的な水害に遭いました。市内では河川の決壊・氾濫は免れましたが、浸水の被害が少なからずありました。
こうした経験を得た私たちは、いまこそ資料が物語る郷土の水害の歴史を見つめなおしてみてもよいのかもしれません。
藤塚小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました
明治から昭和期の民具・農具を見たり、実際に千歯こきを使い脱穀し、少し前の農家の仕事を体験しました。
郷土資料館では、3月22日(日)まで「くらしのうつりかわり―懐かしの暮らしと道具展」を開催しており、昔の懐かしい道具や写真を展示しています。小さなお子様からご年配の方まで、一緒に楽しめる展示となっております。ぜひ遊びにいらしてください。
【お知らせ】11月10日歴史文化講演会の募集〆切
なお、11月16日・30日(全2回)に開催する歴史文化講演会「万葉の世界」の受講者募集は引き続き、受け付けております。お申し込みをお待ちしております。
桜川小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました
館長に兜をかぶせてもらったり、昔の春日部の写真を見て 今との違いに驚いたりしていました。
郷土資料館では、3月22日(日)まで「くらしのうつりかわり―懐かしの暮らしと道具展」を開催しており、昔の懐かしい道具や写真を展示しています。小さなお子様からご年配の方まで、一緒に楽しめる展示となっております。ぜひ遊びにいらしてください。
緑小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました
少し昔に使われていた道具を実際に手に取ったり、千歯こきを使い脱穀を体験したり、懐かしい道具を触ったりしました。
郷土資料館では、3月22日(日)まで「くらしのうつりかわり―懐かしの暮らしと道具展」を開催しており、昔の懐かしい道具や写真を展示しています。小さなお子様からご年配の方まで、一緒に楽しめる展示となっております。ぜひ遊びにいらしてください。
【お知らせ】10月12日の古文書講座中止します
初回は11月9日(土)に繰り越しとなります。時間・会場は同じです。
なお、補講の予定は未定です。
受講者の皆様にはお電話にてお知らせしておりますが、念のためお知らせいたします。
豊野小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました
時代とともに変わっていった春日部を学芸員から説明を聞いたり、少し昔である昭和期の生活について、説明を聞くだけでなく、当時使っていた物を触ったりして体験しました。
郷土資料館では、10月1日(火)から3月22日(日)まで「くらしのうつりかわり―懐かしの暮らしと道具展」を開催します。
昔の懐かしい道具や写真を展示し、小さなお子様からご年配の方まで、一緒に楽しめる展示となっております。ぜひ遊びにいらしてください。
↑ 白黒映像が興味津々な児童たち♪
第9回民俗芸能公開事業の開催にむけて
第9回目を迎える今年度は、県の指定文化財である”西金野井の獅子舞”と市の指定文化財”銚子口の獅子舞”に出演いただきます。両団体は市内でも長き伝統を誇る獅子舞で、また、西金野井の獅子舞は地元の南桜井小学校で伝統芸能クラブをとおした後継者の育成を、銚子口の獅子舞でも地元の子供たちへの継承に力点を置いて取り組んでいただいていることから、『地域で育まれた獅子』と題したテーマを設けています。
▲舞台袖で当日の運営方法を両団体で協議・調整しました
●開催日時:令和元年12月15日(日)午後1時~4時
●会 場:庄和地区公民館(正風館)大ホール
▲舞台上で一連の流れを確認
詳細は広報かすかべ11月号や市公式ホーム、当ページでもお知らせしてまいります。
事前の申し込み等は不要ですので、是非、この機会に両団体の勇壮、かつ伝統の舞と地域の子供たちの練習成果をご覧になってみてはいかがでしょうか!おまちしております。
11月の歴史文化講演会のお知らせ
●11月10日「古地図で読み解く明治期の粕壁」※募集は〆切ました
日時:令和元年11月10日(土)10時~12時
場所:春日部市教育センター
講師:大川明弘氏(元春日部市史調査員、近現代歴史研究者)
定員:45名(先着順)
費用:無料
郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。
●11月16日、30日(全2回)「万葉の世界」
日時:(全2回)令和元年11月16日(土)、30日(土)14時~16時
場所:春日部市教育センター
講師:堀越令子氏(文学研究家)
定員:100名(先着順)
費用:無料
郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。
古文書勉強会の成果(その13)
今回は、寛政7年2月「御鹿かりニ付御廻状写」を講読しました。
この史料は前に講読した「御鹿狩ニ付御触書之写」にも含まれる記事でしたが、若干記述が異なり、復習もかねて、史料の解釈を深めることができました。釈文は以下の通りです。
●神間村文書№353
(表紙)
「
御鹿かりニ付御廻状写
」
追而東西葛西領・渕江領・小金領村々より出人足ハ勢
子相済候上、御獲松戸河岸迄持送相勤事ニ付、
御狩相済候ハヽ一纏ニ集り残可申、尤御扶持方ハ
弐人分被下之候
当卯三月五日小金原 御鹿狩勢子人足割
村限出人足書面之通候条、別紙書付之趣
相心得、村毎宰領付添、三月二日朝四時迄別紙帳
面ニ記置候揃所江罷出、勢子差引役人之差図を
請、猪鹿追立ハ勿論立切とも可勤、右之外
村限有人別不残罷出、村内追立可申、老人子
供病人等差出候歟、又ハ遅参不参於致
は急度相咎条、得其意触書村下ニ令請
印飛脚之ものへ可相渡もの也
三河口太忠
竹垣三右衛門
卯二月三日 役所印
右村々
名主
年寄
百姓代
下総国葛飾郡中ノ台村地内字浅間下詰人足
下総国葛飾郡
一六人 花嶌村
一六人 細野村
一弐十三人 槙野地村
寺領共
一拾弐人 下木津内村
一拾三人 上木津内村
一六人 目沼村
一十弐人 屏風[ ]
一廿三人 宮前[ ]
一三十五人 鷲巣村
一廿五人 西宝珠花村
一拾四人 木ノ川村
一五拾三人 深輪村
一七拾三人 榎村
一四拾八人 芦橋村
一三拾三人 木崎村
一弐拾六人 西宝珠花村
一五拾壱人 上吉妻村
一三拾八人 下吉妻村
一九拾弐人 神間村
人足出方心得書付
一壱村限人足何拾何人何村と認候幟壱本
才料之もの持出人数右幟江引合可申候事
但シ才料之もの高張烑灯壱張宛持出可申候
一村限出人足ニ応し弁当并呑水等用意
可有事
但雨天御延引日送り被仰出候節之
ため二日分余慶ニ可持出事
一猪鹿追立用い候長七八尺之竹棒之内
壱人ニ付壱本宛并長三尺位之縄壱筋ツヽ
竹貝・細(ママ)貝之内壱ツ宛持出可申候事
但ㇱ本文之外鳴物勝手次第持出可申候
一右幟右挑灯弁当持人足は高割人数之外可出候事
右之通り心得無差支様可致候、以上
卯二月
次回の日程は、10月20日(日)14時~、次々回は11月2日(土)14時~を予定しています。
モダンな双六(新収蔵品)を展示しています
この双六は、昭和初めに印刷されたもので、双六のマスが粕壁町の商店の広告になっているものです。以前にご寄贈いただいた「粕壁町商売繁栄双六」とは別のタイプのもので、描かれている商店も異なります。双六については、お子さん向けの講座などで遊んだり、大いに活用させていただいています。まだまだ別系統の異本がある可能性もあります。
今回展示した双六に記載されている商店名は、以下の通りです。
油宗呉服店、島村忠太郎商店、伊勢三箪笥店、木崎六之助商店、大竹青松堂、丸清、泉屋商店、中村屋(洋品)、山幸商店、魚六、中野屋(食堂?)、幸松屋時計店、外島医院、岡田(そば屋)、後藤書店、永井商店、橋本薬局、正木洋品店、鍋屋(新聞?)、吉田屋(学用品)、文化堂、越沼自動車、興文堂、春日屋支店、正木洋服店、入舟、オータヤ靴店、丸八酒店、中井洋品店、中屋、岡村時計店、千歳、美ツ和食堂、産婆関根、松本洋服洋品店、鳥松商店、永島茶舗、アヅマ写真館
今回の展示では、これらの商店と以前いただいた双六の商店を、昭和48年(1973)の住宅地図(春日部市内では最古です)で所在地を示してみました。
昭和48年にの地図では見つからないお店、現在も続く老舗のお店など、粕壁の町並みの移り変わりがよくわかります。
いろいろ調べても、所在地や詳しい業種がわからない商店もありました。ぜひごらんいただき、わかることがあれば教えていただければ幸いです。