ほごログ
博物館実習5日目
今日は13時から、わらじづくりの親子体験講座が行われました。
講座の準備に時間がかかるため、今日はこれまでよりも1時間はやい9時開始でした。まず最初に取りかかった作業は会場づくりです。午後からはじまる本番に備え、道具や材料の下準備を行い、プログラムの流れを確認しました。
講座内で紹介する衣装の確認をしているところです
体験講座は2時間ほどでしたが、2日前に一度自分たちでわらじをつくり、入念に打ち合わせを行いました。
いよいよ本番です。今日のわらじづくり体験講座には、親子3組10名の方々に参加していただきました。ありがとうございました。
私は江戸時代の旅人の衣装を着用し、どのような衣装なのか参加者の方々に紹介しましたが、皆さん熱心に聞いてくださりうれしかったです。
実際に着用した写真です
実習生が参加者に教えます
本日開催されたわらじづくり体験講座は、無事に終えることができました。はじまる前は不安でしたが、ほかの実習生も参加者の方々に上手く教えられたようでよかったと思います。残りの実習日も最後まで頑張りたいと思います。
(令和元年 博物館実習生)
博物館実習4日目
実習4日目に入りました。今日は、埼玉りそな銀行春日部支店にて、「双六からむかしの粕壁を考えてみよう!」という講座を行いました。私たち実習生は、進行役として実際の運営を任されました。
まず、午前中は本番に備えてリハーサルを行い、そこで感じた問題点を話し合っていきました。
また、参加する子どもたちがよりゲームを楽しめるよう、景品も作成しました。
午後3時から講座が始まりました!
使ったものは昔の地図と双六シートです。双六のマスをよく見ると当時存在した店の名前が書かれているので、地図からそれらを探していきました。店が見つからず苦戦している子もいましたが、皆さん真剣に取り組んでいました。
後半は実際に双六に挑戦してみました。このときが一番盛り上がりました!
どの目を出せばゴールにたどり着くかな
この活動を通じて、教育普及にあたっての心構えを学ぶことができました。
なにより、子どもたちの多くが講座に夢中になってくれて嬉しかったです。
(令和元年 博物館実習生)
博物館実習3日目
今日は7月27日(土)に行なう、夏休み体験講座「わらじを編んで江戸の旅に出よう」の準備を行いました。
まず午前中は縄ない(縄をより合わせる)をするために、わらの芯の部分を取り出す作業(わらすぐり)をしました。この作業は時間がかかる作業で、手間のかかる工程でした。
千歯こきを使っている様子
作業中、通りかかった方が声をかけて下さり、話をしたりしましたが、市民の方とこの何気ない会話で、資料館を訪れてもらうひとつのきっかけになっているのかなと感じました。
芯を取り出しています!
午後は、まず取り出した芯を「わら打ち」して、わらが柔らかくしなるようにしました。
砧(きぬた)という道具を使ってたたきます!
ここでやっと、縄ないとわらじ作りの作業に取りかかれます。
編み方を習得すると、簡単に作れます!
実習生みんな、なんとか形になりました(^^)
7月27日(土)体験講座では、わらじ作りのほかに、紙芝居や、江戸を体験できる記念撮影コーナーも用意しています!
ぜひお楽しみに!
(令和元年 博物館実習生)
夏休みイベントのご案内
●7月27日(土)体験講座「わらじを編んで江戸の旅に出よう」
わらじを作ってはいてみます。
日時:7月27日(土)13:00~16:00
対象:小学生、中学生とその保護者 先着15組
持物:はさみ、新聞紙
申込方法:郷土資料館へ直接、または電話(763-2455)で申し込んでください。
●8月3日(土)体験ワークショップ「蓄音機で音楽を聴いて昔のおもちゃを作ってみよう」
蓄音機で音楽を聴いたり、春日部の伝説の紙芝居の上演や簡単なおもちゃ作りをします。
日時:8月3日(土)10:30~、15:00~の2回
対象:小学生まで(保護者同伴可)
申し込み不要です。郷土資料館に直接お越しください。
●8月18日(日)夏休み学芸員教室「土器の拓本をとってみよう」
土器の模様を拓本にとってみます。
対象:小学生、中学生とその保護者 先着15組
持物:はさみ、新聞紙、汚れてもいい服装
申込方法:郷土資料館へ直接、または電話(763-2455)で申し込んでください。
●8月31日(土)企画展示記念講演会「成金鈴木久五郎の時代」
水村 典弘(みずむら のりひろ)さん(埼玉大学経済学部教授)を招き、明治・大正時代に成金や現代の経営倫理などについて、分かりやすくお話しいただきます。
日時:令和元年8月31日(土)午後2時~午後4時(午後1時30分開場予定)
会場:春日部市教育センター 2階視聴覚ホール
定員:100人(申し込み順)
申し込み方法:直接、または電話で郷土資料館にお申し込みください。
博物館実習2日目
実習期間二日目の今日はミュージアムトーク見学から始まりました。まず見学をするにあたっての事前学習を行いました。
ミュージアムトークは「元祖!成金鈴木久五郎-鈴久を生んだ商いのまち春日部-」の展示についてのものです。私は春日部市民ですが、元祖成金が春日部から生まれていたことに驚きました。鈴木久五郎さんについて展示として見るだけではわからないような興味深いお話を聞くことができました。
ミュージアムトーク解説の様子
「元祖!成金 鈴木久五郎」は9月8日(日)までの開催です。この後のミュージアムトークは、8月10日(土)と9月1日(日)に行われます。ぜひご来館ください。
↑記念写真の撮影もできます!!
午後からは土器・石器の洗浄と拓本をやりました。
土器・石器の洗浄では大きな欠片から小さいものまで、実習生全員で一つずつ丁寧に水で汚れを落としていきました。
洗浄中の板碑
拓本作業では、土器の欠片を拓本にしました。初体験の人が多く、一つ一つの作業を手探りながらも無事に作業を終えることができました。
拓本作業中の実習生
拓本完成資料
二日目は実習生同士で会話をすることも増えてきました。明日からも、より一層学芸員の知識と仲間との関係を深められるようにしていきたいです。
(令和元年 博物館実習生)
博物館実習1日目
本日から博物館実習が始まりました。初日ですので、午前は館長からご挨拶を頂き、学芸員の鬼塚さんから施設の説明を聞きました。
その後、施設内を案内して頂きました。燻蒸室や収蔵庫を見せて頂きました。私は収蔵庫や燻蒸室を実際に見たのは初めてだったため、資料の保存の仕方などがよくわかりました。最後に展示室の案内をして頂き、展示物の解説をしてくださりました。
午後からは、最初にディスカッションを行いました。内容は「資料館について」「学芸員資格を取った理由」などです。実習生一人一人意見が出てきたのでお互いの考えがよくわかりました。
次に、資料館が実際に所有している資料を使って、その取扱いを学びました。取り扱った資料は、壺形の土器と巻子、掛け軸です。巻子と掛け軸は学校の授業で取扱いの仕方は教わっていたのでそれなりに扱えていたのではないかと思います。しかし、土器は初めて扱ったので少々苦戦してしまいました。今後のためにもよく復習しておきたいと思います。
(令和元年度 博物館実習生)
7月21日に公開された民俗芸能
午前9時から西金野井香取神社を中心に午後6時まで、幾度も舞が披露された、県指定無形民俗文化財「西金野井の獅子舞」では、1学期から舞やお囃子に取り組んでいる南桜井小学校『伝統芸能クラブ』の皆さまをはじめ、クラブの卒業生である中学生2年生や高校生が児童の舞を後押ししてくれました。4~6年生のクラブ活動に加え、他校の6年生、そして小学校就学前からお父さんと共に獅子舞に参加している2年生と、多彩な構成の後継者が日頃の練習成果を発揮してくれました。
▲天狗役はOBの中学生、獅子役は2年生と5年生、巫女役もすべて小学生で構成。
3年ぶりの辻切りから幕開けした市指定無形民俗文化財の「銚子口の獅子舞」の祭礼では、お囃子役に新たな小学生が加わり、緑豊かな田園風景に篠笛の音色が響き渡りました。午後の銚子口香取神社での公開では、今春にお披露目された女子高校生による子獅子の舞が公開され、日々の練習成果に盛大な拍手をいただきました。
▲忙しい高校生活と地元の伝統芸能の練習を両立に感謝!
倉常地区では、市指定無形民俗文化財「倉常の神楽ばやし」が午前の辻切り、そして夕方からの地域の夏祭りで公開されました。
地域の皆さまのご協力で、例年、飲食の屋台、そしてビンゴゲームと、神社を会場とした、地域一体となった”夏祭りの原風景がここでは継承されています。
▲親子2代、さらには祖父と孫と、代々の伝統の音色が継承されています
お囃子の打ち鳴らしでは小学生3年生、さらには中学生3年生が加わり、親子2代、3代の共演が実現されました。
全国的には伝統芸能の継承に大変な危機感が広がっています。春日部市ではどの保存会でも創意工夫のもと、後継者の養成が着実に芽生えつつあります。秋の祭礼での公開に加え、12月には複数の団体による公開事業の開催を予定しております。出演団体やテーマなど、詳細が決まりましたら、追ってお知らせいたします。
7月14日に公開された民俗芸能
榎集会所で「榎の囃子神楽」が公開され、親子二代、三代の共演もありました。
▲小学生によるテンコ(狐)の舞。お父さん、おじいちゃん、妹さんのお囃子に合わせて軽快な舞が披露されました。
▲例祭のトリの「大黒舞」。艶やかな衣装を身にまとい、背後では娘さんの締め太鼓が軽やかに響きました。
秋の富多神社の祭礼(10月15日)でも公開されます。
赤沼地区の集会所では、赤沼の獅子舞が公開されました。
▲子供獅子の太夫を先頭に三匹獅子が元気よく舞われました。今年も6年生を中心に一生懸命練習した成果が拍手喝采をいただきました。
▲約30年ぶりに祭礼が雨天により集会所で開催され、ほぼ初めての屋内での「弓くぐり」。カメラが追い付かないほどのスピードで弓を無事にくぐる様は圧巻でした。今年の豊作が祈願されました。
赤沼の獅子舞も10月中旬に秋祭礼が予定されています。秋には豊作に感謝し、楽しく滑稽な「神楽」の演目が多数演じられます。
各団体の公開日は当ホームページでお知らせいたします!
公開日迫る!西金野井の獅子舞の練習
▲2組の舞手7名が額に汗を流しつつ「芝舞」の形を復習
▲舘野校長先生も毎晩、練習に足を運んでくれています。また、クラブOGの中学生1年生も練習に加わり、後輩たちに笛の指導をしてくれています!頼もしいかぎり。
▲保存会の方々も子供たちの見本になるよう、必死に形の仕上げに入りました。
公開に向けた練習は今秋金曜19日まで続きます。21日は午前10時から「西金野井香取神社」拝殿で行われ、午後5時まで幾度か舞われます。
年1回の公開、そして南桜井小学校の児童の皆さんの愛らしい舞もございますので、是非、足を運んでみてはいかがでしょうか。
やったり踊りが公開されました
例年、梅雨が明けた頃に祭礼を迎えますが、今晩は小雨まじりの中、大畑地区の皆さんが伝統の舞を披露いただきました。
▲祭礼前に石川市長が激励に。揃いの浴衣、赤の手ぬぐいが伝統の装束です。
▲保存会会長・若衆総頭・神主を先頭に香取神社までの「練り込み」。
県道と東武線の踏切をわたるため、地域のみなさん、春日部警察署と多くの方々に協力いただいております。今晩もありがとうございました。
▲若衆による躍動感あふれる「扇子踊り」。
このほか、小学生1年生から中学生で構成される「小若」の舞も堂々と披露されました。
若衆の皆さまにあっては2か月間にわたる練習指導、さらには将来にわたって伝統芸能を担う後継者の育成にご尽力いただき、深く感謝!!
また、今晩、見逃してしまった方は、是非、来年、足を運んでみてはいかがでしょうか。公開日のお知らせは当ブログでご覧ください。
「元祖!成金 鈴木久五郎」を開催します
8月16日(金)ミュージアムトークの情報を更新しました。
7月23日(火)より、第61回企画展示「元祖!成金 鈴木久五郎ー鈴久を生んだ商いのまち春日部」展を開催します。
鈴木久五郎(すずききゅうごろう・1877年生、1943年没))、通称「鈴久(すずきゅう)」は、春日部市八丁目出身の実業家です。「元祖成金」とも称された鈴木久五郎のゆかりの資料を展示し、「鈴久」の実像に迫ります。
会期:令和元年7月23日(火)~9月8日(日)
休館日:7月29日(月)、8月5日(月)、8月11日(祝日)、8月12日(月・振替休日)、8月19日(月)、8月24日(土)12時以降、8月25日(日)、8月26日(月)、9月2日(月)
*8月24日(土)12時以降、8月25日(日)は、教育センターが埼玉県知事選挙の投票所となるため休館します。
会場:郷土資料館 企画展示室(春日部市粕壁東3-2-15 教育センター1階)
観覧料:無料
<関連イベント>
●企画展示記念講演会「成金鈴木久五郎の時代」
水村 典弘(みずむら のりひろ)さん(埼玉大学経済学部教授)を招き、明治・大正時代に成金や現代の経営倫理などについて、分かりやすくお話しいただきます。
日時:令和元年8月31日(土曜日)午後2時~午後4時(午後1時30分開場予定)
会場:春日部市教育センター 2階視聴覚ホール
定員:100人(申し込み順)
申し込み方法:直接、または電話で郷土資料館にお申し込みください。
●「元祖!成金鈴木久五郎」展ミュージアムトークー好評につき回数を増やしました
企画展示(第61回)「元祖!成金鈴木久五郎-鈴久を生んだ商いのまち春日部」の展示資料について担当の学芸員が解説します。
日時
令和元年7月24日(水曜日)
令和元年8月10日(土曜日)
令和元年8月16日(金曜日)
令和元年8月22日(木曜日)
令和元年9月1日(日曜日)
いずれも午前10時30分~、 午後3時~(各30分程度)
会場:郷土資料館 企画展示室
申し込み:不要。直接ご来館ください。元祖!成金 鈴木久五郎展リーフレットPDF(407KB)
「指定文化財でめぐる春日部」展示ガイド
ご来館いただいた皆様、誠にありがとうございました。
会場で配布しておりました「指定文化財でめぐる春日部展示ガイド」をPDFにて掲載いたします。どうぞご利用ください。
指定文化財でめぐる春日部展示ガイド(pdf 751KB)
展示最終日には、2回のギャラリートークを実施いたしました。
ご質問いただいた中で、間違えてお答えした部分がございますので、正しいお答えをこちらに掲載し、お詫びいたします。
「西金野井香取神社領朱印状」に関連して、「朱印と黒印のちがい」についてご質問をいただきました。
徳川将軍代々の「朱印」は、10万石未満の領主の所領認定や特定大寺院以外の寺社領地の認定などで用いられました。なお10万石以上の領主の所領認定には、花押が使用されていました。
対して「黒印」は朱印を押す朱印状よりも簡易な文書に使われたようです 。使い分けについてははっきりしていない部分もありますが、朱印の方が黒印より相手に対してより丁寧であると考えられています。(『岩波 日本史辞典』1999)
千葉大学の学生さんが来ました!
午前は、館の概要・特徴を案内したのち、体験ワークショップ(記事は午後の部)に参加し、子どもたちと一緒にブンブンゴマを製作しました。コマを回せた人と回せなかった人がいたようです。結構難しいですよね。
午後は、館蔵の資料整理にご協力いただきました。未整理の文書箱を開梱して、資料の概要調査の調書を作成してもらいました。
今回整理した資料は、市内の商家からいただいた明治時代から昭和50年ごろまでの文書群です。われわれ職員も初めてみる資料がザクザク。春日部の近現代史は、まだまだ深められそうです。
みなさんも各自の関心で興味深く資料を拝見されていたようなのでした。
引率された先生をはじめ、学生のみなさん、お疲れさまでした。
学芸員の卵のみなさんにとって、有意義な時間になりましたでしょうか。
指定文化財の古文書ー指定文化財でめぐる春日部
今回の「指定文化財でめぐる春日部」で展示している指定文化財の古文書をご紹介します。
「北条氏政の感状(ほうじょううじまさのかんじょう)」
永禄12年(1569)3月14日に北条氏政から春日部の多田新十郎に、戦功を賞して与えられたものです。
「西金野井香取神社領朱印状(にしかなのいかとりじんじゃりょうしゅいんじょう)」
徳川将軍家から与えられた神社の10石の土地を保証するための文書です。天正19年の徳川家康をはじめ、歴代の朱印状12通が伝わっています。
8代将軍徳川吉宗の朱印状
「小流寺縁起(しょうりゅうじえんぎ)」
小流寺に伝わる縁起で、江戸川開削の基本資料として評価されています。
「長久記(ちょうきゅうき)」
西宝珠花村の旧家、芝田家に伝来する古文書で、文化11年(1814)から大正11年(1925)までの約100年間、代々の当主によって書き継がれたものです。
「粕壁宿検地帳(かすかべじゅくけんちちょう)」
江戸時代の粕壁宿の耕地や屋敷地を測量した際に作られ、元禄10年(1697)の検地帳5冊のほか、その後の新田開発に関わる検地帳が残されています。
寛永6年(1629)の検地帳
また、展示している指定文化財の歴史資料をご紹介します。
「西金野井香取神社の棟札(にしかなのいかとりじんじゃのむなふだ)」
徳治元年(1306)に破損した香取神社の板屋根を修理したという内容が書かれたものです。徳治元年から神社が存在していたことなどを伝えます。
いずれも、中世から近世の春日部の人々が残した貴重な記録です。この機会にぜひご覧ください。皆さまのご来館をお待ちしております。
郷土資料館体験ワークショップを開催しました♪
春日部の伝説をもとにした紙芝居や、蓄音機によるレコード鑑賞を楽しんだあと、昔のおもちゃ「ぶんぶんごま」を作りました。
自分で選んだ色鉛筆で台紙に色を塗り、ハサミ・のりを使って一生懸命作り、最後は出来上がった”ぶんぶんごま”を回し”ぶーん・ぶーん”と音を鳴らしながら遊んでいました。
ワークショップは、小学生までを対象とした、昔の遊びを気軽に体験できるイベントです。事前申込み不要、当日の飛び込みも大歓迎です。
次回ワークショップは、令和元年8月3日(土)に「からくり屏風」を作ります。ご参加をお待ちしています。
木櫛製作用具ー指定文化財でめぐる春日部
春日部市の木櫛作りは、明治初期に藤塚村六軒(ふじつかむらろっけん/現・六軒町)で農家の副業として始められたのが最初といわれます。戦前まで木櫛製作を行う家が18軒ほど存在したようです。
春日部市有形民俗文化財「木櫛製作用具」は、春日部市緑町で3代続いた木櫛職人に伝えられ、市内最後の職人である故・塚田蔵吉(つかだくらきち)氏が平成10年まで愛用したものです。
各用具をみると、職人自ら用具に工夫を加え使いやすくしていることがわかります。
榎囃子神楽連面芝居用具-指定文化財でめぐる春日部
「榎囃子神楽連面芝居用具(えのきはやしかぐられんめんしばいようぐ)」は、榎囃子神楽連に伝わる「面芝居」の道具類です。面27点をはじめ、衣装、幕、台本などが残されています。榎囃子神楽連では、江戸の神楽師から、「面芝居」を伝授され、大正時代から昭和初期にかけて盛んに行われました。写真の面は有名な日本三大仇討ち(あだうち)と言われる『曽我物語』の曽我五郎の面です。
現在は残念ながら、榎囃子神楽連に面芝居を演じられる方はいらっしゃいませんが、これら道具類が往時の様子を伝えてくれます。
『曽我物語』の曽我五郎の面
神明貝塚の巡回展が庄和図書館で始まりました!!
巡回展のなかでも最大級のスペースを確保していただいたため、これまで展示できなかった解説パネルの追加ができ、神明貝塚の縄文人により迫った内容となっています。
夏休み期間いっぱいの展示となりますので、自由研究のテーマなどにいかがでしょうか。お立ち寄りの際には関係図書による縄文の世界の学習とあわせて、ぜひご覧ください。
また図書館や庄和総合支所1階情報コーナーで神明貝塚のDVDが視聴できます。こちらもぜひご利用ください。
場所:庄和図書館1階ふれあいギャラリー(庄和総合支所内)
期間:令和元年7月3日~9月2日
ギャラリートーク開催のお知らせー指定文化財でめぐる春日部
第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」の最終日、7月7日(日)10時30分~と15時~、展示担当学芸員によるギャラリートークを行います。
ギャラリートークでは、展示室にて、展示品を1点ずつ丁寧に解説いたします。時間はおおむね30分程度を予定しておりますが、出入りはご自由にして頂いて結構です。また皆様からのご質問も随時受け付けます。
第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」、最後のイベントになります。ぜひお誘いあわせの上、ご参加ください。
5月25日のギャラリートーク
6月9日のギャラリートーク
今回の企画展示では、5月29日と6月9日にギャラリートークを行いました。ご参加いただきまして誠にありがとうございました。
「鈴木久五郎」展のチラシできました!
記念講演会は8月31日(土)に埼玉大学の水村典弘先生をお招きして開催します。また、7月24日(水)、8月10日(土)、9月1日(日)には、ミュージアムトークも開催いたします。
チラシは各所で配布、ポスターは掲示される予定です。お楽しみに!
講演会「春日部の指定文化財ー史跡・考古資料」
6月29日、第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡・考古資料」を開催しました。
あいにくの天気にも関わらず、大変多くの方にご参加いただきました。
講師は、考古学がご専門で春日部市文化財保護審議委員の杉崎茂樹先生にお願いいたしました。
文化財保護の制度の歴史や史跡と考古資料について、一つずつ詳しくご解説いただきました。さらに、各文化財に関連する学史や最近の調査情報などについてお話いただきました。
会場の皆さんも熱心に受講していただき、質疑の時間では文化財の指定についての話題や縄文土器の型式の話題、埴輪の話題など多岐にわたりました。
春日部市郷土資料館では、7月7日まで第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」を開催中です。この機会にぜひ郷土の指定文化財をご覧ください。
浜川戸遺跡出土の板石塔婆ー指定文化財でめぐる春日部
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。
浜川戸遺跡は、浜川戸の自然堤防、河畔砂丘がある八幡公園周辺に所在します。
浜川戸遺跡出土の板石塔婆(いたいしとうば)は、昭和62年(1987)に行なわれた浜川戸遺跡の発掘調査で、河畔砂丘の上で発見された墓の跡から出土しました。
板石塔婆には、最も古い弘安6年(1283)をはじめとして、13~14世紀の年代が刻まれています。これらの板石塔婆から、13世紀ごろには砂丘上で人々が活動を始めていたことがわかり、河畔砂丘の形成時期を考える上で重要な資料です。
本日14時から、第60回企画展示記念講演会として、講師に、杉崎茂樹先生(春日部市文化財保護審議委員)をお招きし、浜川戸遺跡出土の板石塔婆などの市内の史跡・考古資料の指定文化財についてご講演いただきます。
ぜひご来場ください。
記念講演会「春日部の指定文化財―史跡と考古資料」
日時:令和元年6月29日(土)14時~16時
場所:春日部市教育センター
定員:100名(先着順)
費用:無料
定員に余裕はありますので、会場で直接お申し込みください。
貝の内遺跡出土の下総国分寺軒平瓦ー指定文化財でめぐる春日部
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。
貝の内遺跡は、西宝珠花の下総台地上、宝珠花小学校周辺に所在します。これまでに奈良時代、平安時代の竪穴建物跡が約140軒調査されています。
「貝の内遺跡出土の下総国分寺軒平瓦(しもうさこくぶんじのきひらがわら)」は平成4(1992)年に行なわれた調査で、煮炊きを行うカマドの内部から出土しました。
軒平瓦は、屋根の最下部に文様が見えるように葺かれます。この瓦の文様は、「宝相華文(ほうそうげもん)」という下総国分寺(市川市)と同じ文様です。また文様を付ける際に使われた范型(はんがた・文様が彫られた木などで作られた型)の傷の位置が、下総国分寺で出土した瓦の中に共通するものがあることから、下総国分寺の瓦と同様に、現在の市川市周辺で作られた瓦と考えられます。
貝の内遺跡出土の下総国分寺軒平瓦
6月29日(土)14時から、第60回企画展示記念講演会として、講師に、杉崎茂樹先生(春日部市文化財保護審議委員)をお招きし、貝の内遺跡出土の下総国分寺軒平瓦などの市内の史跡・考古資料の指定文化財についてご講演いただきます。
ぜひご来場ください。
記念講演会「春日部の指定文化財―史跡と考古資料」
日時:令和元年6月29日(土)14時~16時
場所:春日部市教育センター
定員:100名(先着順)
費用:無料
郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。
小渕河畔砂丘出土の須恵器大甕ー指定文化財でめぐる春日部
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。
小渕河畔砂丘(こぶちかはんさきゅう)は、小渕の古利根川沿いに形成された砂丘です。古代から中世の時期、利根川本流を流れてきた砂が河原にたまり、北西からの強い季節風によって巻き上げられ形成されたと考えられています。
須恵器大甕(すえきおおがめ)は、昭和31年(1956)に小渕河畔砂丘の下部から発見されました。口の直径33.8㎝、高さ54.6㎝、底の直径20.5㎝の大きなもので、ほぼ欠けることなく発掘されました。須恵器に使われた粘土の特徴から群馬県方面の窯で作られた製品と推定されています。
砂丘下部から出土していることから、河畔砂丘の形成時期を考える上で重要な資料です。
小渕河畔砂丘出土須恵器大甕
6月29日(土)14時から、第60回企画展示記念講演会として、講師に、杉崎茂樹先生(春日部市文化財保護審議委員)をお招きし、小渕河畔砂丘出土須恵器大甕などの市内の史跡・考古資料の指定文化財についてご講演いただきます。
ぜひご来場ください。
記念講演会「春日部の指定文化財―史跡と考古資料」
日時:令和元年6月29日(土)14時~16時
場所:春日部市教育センター
定員:100名(先着順)
費用:無料
郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。
かすかべの牡丹と成金鈴久
春日部市郷土資料館にて、令和元年7月23日(火)から開催予定の「元祖!成金鈴木久五郎」展の準備を進めています。今回は展示資料を少しご紹介します。
春日部は古くから「藤のかすかべ」と称されてきたように、国特別天然記念物の「牛島の藤」を筆頭として、藤の花は市のシンボルとして現在も親しまれています。今回は「藤だけじゃなかった!」というお話です。
「粕壁の牡丹」といっても、今は知る方もほとんどいないのかもしれませんが、戦前には東京近郊の名所として知られていました。
はじめに、市域で牡丹が有名になったのは、備後村の医師石井家です。石井家は牡丹栽培で著名な人で、明治14・15年に牡丹の接木技法を発明したといい、同家の庭園では、接ぎ分けを望む人が近隣や東京からも訪れたといいます。
この牡丹を株分けしたのが、幸松村の鈴木兵右衛門(久五郎の実兄)です。邸宅に造られた牡丹園は政治家を招く社交の場として利用されました。五月からその末にかけては、毎日のように、粕壁の町に用はなくても、牡丹園があるがために東京から「政客」がやってきたそうです。警察の定員が増え、町にいいお茶ができたのも、鈴木邸の牡丹園のおかげだといわれました。鈴木邸は粕壁町の近在であったため、「粕壁の牡丹園」と呼ばれました。
しかし、鈴木銀行が破たんに追い込まれ、大正7年(1918)に屋敷・牡丹園は売却されると、粕壁の古刹最勝院に牡丹が株分けされ、境内に牡丹園が開園しました。
最勝院の牡丹園は、一般の客でも自由に出入りができたようで、「粕壁町春日部牡丹園」と呼ばれます。最勝院の牡丹園は古い写真絵葉書があり、当時の様子がうかがえます。
絵葉書の裏面には「大正七年五月」とメモ書があり、牛島の藤とセットで巡った方の持ち物だったようです。
その後の牡丹園の足跡はよくわかりません。しかし、かすかべの観光名所には藤だけでなく牡丹があり、そして牡丹には成金鈴久の生家鈴木家が深くかかわっていたこと、牡丹の栽培名人が武里にいたことも「粕壁の牡丹園」の成立の背景にあったことが、鈴木久五郎を調べるなかで明らかになってきました。
そんな、鈴木久五郎について紹介する、展示会は、令和元年7月23日(火)~9月8日(日)まで。乞うご期待。
塚内4号墳出土遺物ー指定文化財でめぐる春日部
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。
内牧の小字「塚内」には、19基の古墳からなる古墳群があり、内牧塚内古墳群と呼んでいます。春日部市指定文化財「塚内4号墳出土遺物」は、昭和52年(1977)に行なわれた内牧塚内4号墳の墳丘部分の発掘調査で出土したもので、鉄刀、鉄鏃、ガラス小玉、須恵器壺、人物埴輪、円筒埴輪、朝顔形埴輪からなります。
鉄刀は3振りが出土し、それぞれ全長が32.5㎝、100.3㎝、95.6㎝の長さです。埼玉古墳群の稲荷山古墳から出土した有名な「金錯銘鉄剣(きんさくめいてっけん)」は、諸刃(もろは)の「剣」ですが、塚内4号墳のものは片刃の「刀」です。また長いものは、平安時代ごろ登場する反りがある「日本刀」ではなく、反りがない直刀(ちょくとう)です。
いずれも木の残存物が付着しているので、副葬された当時は、木製の柄(つか)が付けられ、木製の鞘(さや)におさめられていたものと考えられます。
塚内4号墳出土の刀
6月29日(土)14時から、第60回企画展示記念講演会として、講師に、杉崎茂樹先生(春日部市文化財保護審議委員)をお招きし、塚内古墳群などの市内の史跡・考古資料の指定文化財についてご講演いただきます。
ぜひご来場ください。
記念講演会「春日部の指定文化財―史跡と考古資料」
日時:令和元年6月29日(土)14時~16時
場所:春日部市教育センター
定員:100名(先着順)
費用:無料
郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。
米島貝塚出土黒浜式土器ー指定文化財でめぐる春日部
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。
米島貝塚(こめじまかいづか)は、市域東部の米島地区、下総(しもうさ)台地上に立地します。
昭和36年(1961)に、住宅地造成に先立って行われた発掘調査では、12軒の竪穴住居跡が発見され、住居跡が埋まっていく際に、貝が捨てられたことにより、貝塚をともなっているものもありました。
これらの住居跡からは、蓮田市の黒浜貝塚出土土器をもとに設定された黒浜式土器と同型式の土器が多く出土しました。米島貝塚では、黒浜式土器の中でも、古い要素をもつ一群と新しい要素をもつ一群が出土していたことから、報告書では、黒浜式土器の時間的な移り変わりが研究され、学史に貢献しています。
昭和36年発掘調査の状況
米島貝塚10号住居跡の貝層
米島貝塚出土黒浜式土器
展示解説講座「春日部と円空」を開催しました
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。
6月23日(日)、展示解説講座「春日部と円空」を開催しました。
現在開催している第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」では、郷土資料館でお預かりしている円空仏3体を展示しています。
講座では、円空仏の中でもその大きさと完成度の高さで知られる小淵山観音院の円空仏や円空の生涯、修験寺院と円空のかかわりなどについて解説しました。
市内の方だけではなく、市外からも大変多くの方にご参加いただき、円空の人気を再確認いたしました。
「やったり踊り」の練習が進んでいます
7月13日(土)午後8時から大畑香取神社で例祭が開催される、埼玉県指定無形民俗文化財『やったり踊り』の練習です。今期5回目の小若の練習が行われ、取材に伺ってきました。
▲大太鼓と笛を先頭に大畑香取神社へ向かう『練り込み』
▲扇子を携え躍動感のある『扇子踊り』
▲哀愁をおびた念仏調のお囃子で舞われる『手踊り』
この日は小学生1年生から中学生1年生までの約30名が保存会の若衆方の指導のもと、元気な掛け声と躍動感のある舞をめざし、大粒の汗を流しつつ一生懸命に取り組みました。
また、『大畑いきいきクラブ』の大先輩の見学もあり、陣中見舞のお菓子の差し入れには大きな歓声があがりました。
練習は毎週土日に行われ、祭礼当日には江戸時代から引き継がれる伝統の舞が披露されるよう、期待しています!!
展示解説講座「春日部の弥生時代ー須釜遺跡」を開催しました
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。
6月16日(日)、展示解説講座「春日部の弥生時代ー須釜遺跡」を開催しました。
春日部市内の弥生時代の遺跡は現在のところ、北部の倉常(くらつね)地区にある須釜(すがま)遺跡のみです。「再葬墓(さいそうぼ)」と呼ばれるお墓のあとが発見され、約30個体の完全な形に近い弥生土器が出土しています。また土器に稲もみが付着していた痕(あと)が残されていて、春日部の地でも弥生時代に稲作が伝わっていたことがわかります。
なぜ、春日部の地に墓を営んだのかなどまだわからないことが多く、疑問は尽きませんが、皆さんに熱心に聴講いただきました。
6月23日(日)には、円空仏(えんくうぶつ)について展示解説講座を行います。ご興味がある方はぜひご参加ください。
展示解説講座(その2)「春日部と円空」
日時:令和元年6月23日(日)10時~11時30分
場所:教育センター
講師:当館館長
定員:50名
費用:無料
郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。
【未来の先生たち】文教大の皆さんが見学にきました
学生の皆さんは現在3年生で社会科の教員を目指しているそうです。地域教材の発掘や活用法の習得のため、ゼミでご来館され、先生のご指導のもと、常設展示室の展示資料を解説し合いながら、展示を見学していました。
快く顔出しOKで、解説中の模様を撮影させていただきました。
学生のうちも、学校の先生になっても、またのご利用をお待ちしております!
市民の皆さんと古文書を読んでいます。
この会では、市民の方々が主体的に市内神間地区ゆかりの江戸時代の古文書=神間村文書(当館所蔵)を解読しています。
今回も前回に引き続いて、寛政7年「御鹿狩ニ付御触書之写」を文字と意味を確認しながら読んでいます。今回担当だった皆さんはこの会が立ち上がった時から参加されているベテランの方々でスムーズに読み進めることができました。内容としては、触書写のパートが終わり、日記形式の記事に入っていきました。「右之通りニ御座候」の解釈をめぐって、激論が交わされました。
あと、1・2回ですべて読み終える予定です。
次回は7月13日(土)14時~となります。
ご興味ある方のご参加もお待ちしています。
臨時休館のお知らせ
円空仏群ー指定文化財でめぐる春日部
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。
円空仏は、江戸時代の修験僧(しゅげんそう)、円空によって作られた仏像、神像です。春日部市内では、円空仏が22体確認されています。これらは、円空が日光道中や日光御成道(にっこうおなりみち)を使って旅をした際に、彫ったものといわれています。
今回の企画展示では、かつて寺院だったお宅に伝わった迦楼羅(かるら)像と護法神(ごほうじん)像2体の計3体を展示しています。
「護法神」は仏法を護(まも)る神という意味で、梵天(ぼんてん)、帝釈天(たいしゃくてん)、四天王、十二神将、十六善神、二十八部衆などを総称したものです。「護法神像」は、円空の作品に多く、さまざまな姿で登場します。
「迦楼羅」は、インド神話に登場するガルダをもとにしたといわれる鳥の姿をした仏教の守護神です。「護法神」とされる二十八部衆にも加えられています。口から炎を吐き、龍を食べる大きな鳥で、迦楼羅が変化して天狗になったという説もあります。
また、迦楼羅像と25.7㎝の護法神像には、背面に墨書があります。特に護法神像の墨書は、「護世童子(ごせどうじ)」と肉眼でも読み取ることができます。円空の像には、背面などに円空が書いた墨書を残すものが多くあります。
円空仏について6月23日(日)に展示解説講座を行います。ご興味がある方はぜひご参加ください。
展示解説講座(その2)「春日部と円空」
日時:令和元年6月23日(日)10時~11時30分
場所:教育センター
講師:当館館長
定員:50名
費用:無料
郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。
【情報求む】元祖成金鈴木久五郎をご存じ?
今回は、展示会でも出品される久五郎の貴重な肖像写真(大磯町郷土資料館所蔵)と、その事績を紹介します。
鈴木久五郎については、『埼玉人物事典』(埼玉県、平成10年)に次のように紹介されています。
明治10年生。昭和18年8月16日没。
株仲買商・衆議院議員。獅子文六『大番』のモデル。八丁目村(春日部市)生まれ。酒造業6代目鈴木兵右衛門の2男。5代目兵右衛門の弟中村清蔵の許で築地商業学校を卒業。兄の7代目兵右衛門が家を継いで明治30年(1897)越ケ谷町(越谷市)に鈴木銀行を設立、同36年久五郎は同銀行草加支店長となった。日露戦争中の37年、株の売買を始めて大儲けをし、成金王の一人となった。中でも、鐘紡の株をめぐる中国人との勝負は、取引所始まって以来のすさまじさといわれた。この年東京小網町(東京都中央区)に同行東京支店が開設されたが、翌38年日比谷焼打ち事件で株式は暴落したため、東京支店の預金を使い、取付け騒ぎが起こった。その後株価は上昇し、39年兜町に株仲買店丸吉を開業、滝沢吉三郎を店主に置き、株式界に本格的に乗り出した。東京鉄道の株を買い占めた後、株式取引所株を買い占めるため、「丙午会」を組織し、増資に成功した。次いで日本精糖株を買い占め、会社役員を辞任に追い込み、監査役に就任、大日本精糖と社名を改称した。このほか、豊鉱石油、日本坩堝各取締役を兼ねた。しかし、40年の日露戦争後反動恐慌によって株式は大暴落し、没落に追い込まれた。41年群馬県高崎市選挙区から中央倶楽部に所属して、衆議院議員に当選、1期務めた。中国の孫文を始め、大隈重信・犬養毅・桂太郎等政界にも交友関係があった。当時の日本を代表する「相場師」の一人である。享年67歳。(参考文献:『一代記鈴木久五郎』
以上の事典の記事は、鈴久の本格的な調査研究はないにもかかわらず、ここまで端的に彼の半生を書いているのは素晴らしいです。しかし、今回展示会開催のための調査を進めていくと、いくつかの新たな事実を確認することができました。今後も、鋭意調査を進めて、展示内容を充実させていきます。
展示会は令和元年7月23日(火)~9月8日(日)を予定しています。乞うご期待。
須釜遺跡再葬墓出土遺物一括-指定文化財でめぐる春日部
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。
今回は埼玉県指定有形文化財「須釜遺跡再葬墓出土遺物一括」をご紹介します。
須釜遺跡再葬墓出土の土器
須釜遺跡は市内北部の倉常に位置します。
「再葬墓」とは、縄文時代の終わりごろから弥生時代の中頃にかけて関東地方から東北地方において広まったお墓の形です。人が亡くなった際、一度、遺体をそのまま土に埋めたりして葬(ほうむ)りますが、一定の時間がたったのち、その遺体を掘り出して、さらに骨だけにし、再び葬るものです。「再び葬る」ことから「再葬墓」と呼ばれています。
今回の展示では、3号再葬墓(A・B)から出土している土器4点、さらに常設展示に、1号再葬墓出土土器を展示しております。
須釜遺跡の弥生土器のうち、特に壺形土器の文様は、縄で付けた縄文や棒状の工具を引いてつけた沈線(ちんせん)と呼ばれる線、棒状の工具で突き刺すようにつけた刺突(しとつ)と呼ばれる穴などの文様要素から構成されます。
特に「刺突」は、つけられる土器とつけられない土器が遺構ごとにはっきりと分かれて出土しています。展示したものでは、1号再葬墓と3号再葬墓Aのものは刺突されますが、3号再葬墓Bのものは刺突されません。
須釜遺跡について、6月16日(日)に展示解説講座を行います。ご興味がある方はぜひご参加ください。
展示解説講座(その1)「春日部の弥生時代―須釜遺跡」
日時:令和元年6月16日(日)10時~11時30分
場所:教育センター
講師:当館学芸員
定員:50名
費用:無料
郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。
企画展示記念講演会のお知らせ
今回は、講師に、杉崎茂樹先生(春日部市文化財保護審議委員)をお招きして、市内の史跡・考古資料の指定文化財についてお話しいただきます。
ぜひご来場ください。
記念講演会「春日部の指定文化財―史跡と考古資料」
日時:令和元年6月29日(土)14時~16時
場所:春日部市教育センター
定員:100名(先着順)
費用:無料
郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。
そのほか、当館職員による下記の講座も、参加者を受け付けております。いずれも郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。
展示解説講座(その1)「春日部の弥生時代―須釜遺跡」
日時:令和元年6月16日(日)10時~11時30分
場所:教育センター
定員:50名
費用:無料
県指定文化財が出土した須釜遺跡と弥生時代について解説します。
展示解説講座(その2)「春日部と円空」
日時:令和元年6月23日(日)10時~11時30分
場所:教育センター
定員:50名
費用:無料
市域に多く伝来する円空仏について解説します。
ギャラリートーク・古文書勉強会などなど
【その1】ギャラリートークを開催しました。
第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」について、担当の学芸員が資料を解説しました。小学校2年生の男の子も参加して、興味深そうに資料を見つめていました。次回のギャラリートークは、6月9日(日)、7月7日(日)です。ぜひともご参加ください。
【その2】古文書勉強会
引き続き、「寛政七年御鹿狩ニ付御触書之写」(神間村文書№344)を講読しています。
まだ、読了しないので成果は後日。本日も新たに参加される方が2名加わりました。出席者は18名でした。とくに「竹貝」や「悉」の読み方で、皆さん議論を交わし、史料の内容について理解を深めるひと時になりました。次回は6月9日(日)14時~です。
【その3】団体見学
旅行会社の「日光街道をめぐる」ツアーの団体のお客さんのほか、日本工業大学のゼミナールの学生さんが粕壁の町並みの景観について研究するため来館されました。
春日部の旧石器時代―指定文化財でめぐる春日部
今回は、企画展示で展示中の春日部市指定文化財、「坊荒句(ぼうあらく)遺跡出土旧石器時代旧石器時代石器群」、「慈恩寺原北(じおんじばらきた)遺跡出土旧石器時代石器群」、「風早(かざはや)遺跡出土旧石器時代局部磨製石斧(きょくぶませいせきふ)」を中心に、春日部市域の旧石器時代をご紹介します。
風早遺跡の局部磨製石斧
これらの石器が使われた約3万年前、地球は最終氷期にあたり、現在よりも気温が6~7℃低く、海水面も80mほど低かったと考えられています。北海道はサハリンを通じてユーラシア大陸とつながっていました。
春日部市域では、展示されている3遺跡とともに、10遺跡から旧石器時代の石器が発見されています。いずれも関東ローム層と呼ばれる土の中から石器のみが出土しています。
さらに、約2万8000年前に噴火した鹿児島県の姶良(あいら)カルデラの火山灰は広域に飛散し、この火山灰の堆積層(AT層)を境に、旧石器時代の新旧が分けられています。
坊荒句遺跡の旧石器
展示されている春日部市域の石器群は、AT層よりも下層から出土したもので、約3万年前のものと考えられています。またAT層よりも上層からは、ナイフ形石器や細石器と呼ばれる石器が出土しています。
石器に使われる石材は、黒曜石やチャート、珪質頁岩など様々です。慈恩寺原北遺跡では、玉髄やガラス質黒色安山岩など実に6種類の石材が使われています。
石材の中で特に黒曜石は、産地の研究が進んでおり、春日部市域の遺跡で発見された石器には、栃木県の高原山や長野県の和田峠、伊豆諸島の神津島などの石が使われていることが判明しています。
慈恩寺原北遺跡の旧石器
風早遺跡の局部磨製石斧『新編図録春日部の歴史』からのご紹介53
ベールに包まれたこれ。何でしょうか。
今日は、資料を展示するまでの裏側を少しだけ紹介します。
次の写真、何だかわかりますか?
今回展示した資料は、いずれも普段は、収蔵庫で大切に保管されています。移動時には、前の写真のような感じで、薄様紙(うすばがみ・うすようし)や綿布団(わたぶとん)をつかって、移動中の衝撃などで資料に傷がつかないように、また光・ホコリなどで劣化したり、汚れないよう、梱包します。また、虫やカビから資料を守るために、密閉性が高く、適切な温湿度管理がされた収蔵庫で保管しています。
上の白い物体。展示の準備の最後の最後に、荷解きをし、設置しました。以下、その模様です。
梱包は、ただ薄葉紙やクッションの役割を果たす綿布団で単純にくるんでいるのではなく、デリケートな部位は丁寧にケアしながら、何重のも薄葉紙で包まれています。
荷解きをして、徐々に資料の姿があらわになります。
白い物体の正体は、江戸川の開削や庄内領の新田開発で功績をあげた、小島庄右衛門さんの座像でした(「小島庄右衛門坐像」小流寺寄託)。第49回「江戸川!」展のとき以来、展示させていただき、お預かりしてから、実に約4年ぶりの公開です。
この「小島庄右衛門坐像」は、実は指定文化財ではありません。市指定文化財「小流寺縁起」の関連資料として参考展示させていただきました。「小島庄右衛門坐像」も「小流寺縁起」も、著名な資料で、県立歴史と民俗の博物館をはじめ、各地の博物館にはレプリカが展示されています。江戸時代の人物の肖像を木像にしたものとして貴重ですし、「江戸川を造った男」=郷土の偉人ですから、春日部にとってはなお貴重です。行政による文化財指定を受けていなくても、一つ一つの文化財はかけがえのないものなのです。
話が少しそれていますが。ぜひ、普段は収蔵庫で控えている”本物”の資料を間近にご覧いただければ幸いです。
企画展示「指定文化財でめぐる春日部」展は、郷土資料館の収蔵(寄託も含む)する指定文化財などの貴重な資料を一同に公開しています。会期は7月7日(日)までです。お見逃しなく。関連イベントもあります。
神明貝塚巡回展 絶賛開催中!
市役所庄和支所から始まり、正風館(庄和地区公民館)と巡回し、今回はじめて庄和地域を離れ、春日部地域へとやってきました。
神明貝塚は西親野井(にしおやのい)に営まれた縄文時代のムラで、春日部市内でも北東部に位置しています。春日部地域の方にとってはあまり馴染みのない地域かもしれませんが、今回の巡回展を通じて、市内に縄文時代を代表するような貝塚が存在することをお伝えできればと思います。ミニ展示ですが、縄文のムラを復元したジオラマが見どころです。
公民館にお立ちよりの際には是非ともご覧になってみてはいかがでしょうか。
期間:令和元年5月11日(土)~6月30日(日)
場所:中央公民館(粕壁6918-1) 1階ロビー
古文書勉強会の模様
今回も新たに参加される方が加わり、17名の参加がありました。
今回は、前回に引き続いて、神間村伝来の寛政7年「御鹿狩ニ付御触書之写」を講読しています。一字一句丁寧に文字と意味を確認しながら、読んでいますので、まだまだ読み終えません。読んだ成果はまとめてご披露したいと思います。
次回は5月25日(土)14時~となります。ご興味のあるかたのご参加もお待ちしています。
企画展準備中。関連イベントも
さて、今回は、盛りだくさんの関連イベントをご紹介します。
①記念講演会「春日部の指定文化財―史跡と考古資料」
日時:令和元年6月29日(土)14時~16時
講師に、杉崎茂樹先生(春日部市文化財保護審議委員)をお招きして、市内の史跡・考古資料の指定文化財についてお話しいただきます。要申し込み。
②展示解説講座(その1)「春日部の弥生時代―須釜遺跡」
日時:令和元年6月16日(日)10時~11時30分
展示担当の当館学芸員による解説講座。県指定文化財が出土した須釜遺跡と弥生時代について解説します。要申し込み。
③展示解説講座(その2)「春日部と円空」
日時:令和元年6月23日(日)10時~11時30分
当館館長による解説講座。市域に多く伝来する円空仏について解説します。要申し込み。
④ギャラリートーク
日時:令和元年5月25日(土)、6月9日(日)、7月7日(日)
各日2回(10時30分~、15時~ 各回30分程度)
展示担当学芸員が展示を解説します。時間までに展示室お集まりください。申し込み不要です。
いずれも会場は春日部市教育センター(郷土資料館)、費用は無料です。ぜひご参加ください。
60回目の企画展示!
展示会名:企画展示(第60回)収蔵品展16「指定文化財でめぐる春日部」
展示会期:令和元年5月18日(土)~7月7日(日) 月曜日休館
午前9時~午後4時45分まで
展示会場:春日部市郷土資料館企画展示室
会期中は、講演会・講座・ギャラリートークなど関連イベントも満載です!追ってお知らせしますので、お見逃しなく!
ミニ展示は4月28日(日)まで
最後の告知では、平成最後、令和の改元にふさわしい(?)資料を紹介します。
今回紹介するのは、明治の恩赦に関する資料です。
この資料によれば、某村の音五郎は、慶応3年(1867)幕府役人に博打に携わったとして捕えられ、八丈島に遠島を命じられましたが、「朝廷御元服御大礼」が執り行われたことにより、罪を赦されることになり、市内の某村に身柄が引き渡された、というものです。「朝廷御元服御大礼」とは、明治天皇の元服、即位の礼を指しています。
現代では、10月の新天皇即位をうけ、今秋に軽微な犯罪の刑罰を消失もしくは減刑させる「恩赦」の実施が検討されているそうです。
改元や新天皇の即位は、今も昔も時代の節目を象徴する出来事として、人々に受け入れられているのかもしれません。
「恩赦」の資料の展示は、平成31年4月28日(日)まで。
郷土資料館は4月29日(月)~5月6日(月)が休館日になりますので、ご注意ください。
勝海舟と春日部
勝海舟は、幕臣・政治家として、とくに西郷隆盛と交渉した江戸無血開城で著名な人物ですが、実は春日部ともつながりがあります。
春日部マニアの方ならご存じかもしれませんが、大場香取神社には、勝の直筆の幟(のぼり)と額が奉納されています。
ミニ企画展示では、新たに発見された、大場村の人々が勝海舟に揮毫(きごう・文字や絵を書くこと)を依頼した経緯に関する記録を展示しています。
この記録によると、明治27年(1893)3月7日に大場村の人々は、勝海舟に村の鎮守香取神社の幟の揮毫を依頼したところ、面会を断られました。面会はダメだが、「揮毫ハ許容アリタリ」(揮毫の脈はありそう)なので、どう交渉したらよいのか、大場村の人々は、隣村の備後村の医師・知識人の石井氏に相談します。石井氏は、勝海舟の著書『流芳遺墨』の感想を和歌にして勝に呈上し、もう一度「誠心」(まごころ)をこめて依頼してみたらどうかと提案したようです。
大場の人々が、和歌を詠んだかどうかわかりませんが、明治27年3月付の直筆の幟が現在神社に伝わっていますので、きっと誠意を示して、念願の幟を入手できたのでしょう。
こんな小噺を紹介するのもミニ企画展示ならでは?
ミニ企画展示「幕末・明治維新と春日部」展は4月28日まで。
お見逃しなく。
ミニ展示に東山道鎮撫総督布告を追加しました。
今回ご寄贈いただいた資料は、慶応4年(1868)正月の東山道鎮撫総督による布告です。旧幕府軍の追討軍のうち、東山道(中山道)を進軍した軍隊の総指揮官(東山道鎮撫総督)による沿道の人々に通達したもので、内容はこれまでの旧領主の苛政(厳しい政治)があれば訴え出るようにと知らしめたものです。
内容から、市内の伝来史料ではないようですが、参考資料として展示させていただきました。
ご寄贈いただいた市民の方は、古文書等の古物を収集されることをご趣味にされており、3月30日の箱石先生のご講演に感化されて、このたびご寄贈いただくことになりました。
このたびは貴重な資料をご寄贈いただき、どうもありがとうございました。この場をかりてお礼申し上げます。
看護専門学校が郷土資料館を見学しました
竪穴式住居や粕壁宿の模型などを学芸員の説明を聞きながら見て、郷土の歴史や変化を身近に感じていました。
生徒達は、疑問に思ったことを質問したりして、春日部市について興味をもってくれたようです。
お時間があればまたお越しください。
古文書勉強会の成果(その12)
平成31年3月23日(土)に古文書勉強会を開催しました。市民の方々が主体的に市内神間地区ゆかりの江戸時代の古文書=神間村文書(春日部市郷土資料館所蔵)を解読しています。これまでの成果はこちらからさかのぼって御覧になれます。
今回は、神間村文書のほか、現在開催中のミニ企画展示「幕末・明治維新と春日部」展での陳列資料を解読しました。
まずは、神間村文書から。
【史料番号35】
質物ニ相渡シ申田地証文之事
一中畑壱反六歩 茨田耕地
一下畑四反壱畝拾歩 右同断
一屋鋪弐反八畝弐拾四歩
田畑屋敷合八反拾歩 御水帳面六左衛門名前
右は当卯御年貢其外払方ニ差詰リ申候ニ付、右
田地貴殿江質物ニ相渡シ金子弐拾三両弐分・永七文借用仕、
只今慥ニ受取申所実正也、但シ返済之儀ハ来辰ノ十二月ニ
相成申候ハヽ本金不残返済可致候間、右田地不残御戻シ
可被下候、若其節金子調達相成兼請返シ申義不罷
成候ハヽ流シ可申候間、 御年貢諸入用貴殿方ニ御勤
被成、此証文を以貴殿御所持可成候、又ハ御勝手ニ
而何方へ何程之質物ニ御渡シ被成候とも、われ等加判之
者致印形質物ニ為入替可申候、此田地ニ付横合より
故障申もの無御座候、万一何様之六ケ鋪義出来
いたし候共、加判之者何方迄も罷出、急度埒明貴
殿質物ニ可致候、為其五人組加判質地証文相渡シ申候
所如件
神間村
文化四卯十二月 地主
藤右衛門㊞
五人組
佐助㊞
同
重右衛門㊞
与頭
太兵衛㊞
同村名主
源右衛門殿
(ひとことメモ)
文化4年(1807)の質地証文。地主藤右衛門が名主源右衛門に田畑屋敷8反余を23両余で質入れした証文。
続いて、樋籠の古文書を読みました。
【樋籠・田中家文書№642】
(包紙)
「 薩州
陣営より
大急達書
武州粕壁宿在
廣尾村名主方へ」
武州粕壁宿在
廣尾村名主
又兵衛
右は急御用談之趣有之間
村役人差添早々江戸小川町
陣営へ可罷出、若同所陣替
之節は芝本営へ可相届
可申、於不参は急度可申付
者也
薩州陣営
辰四月廿四日 器械掛
右村
役人中へ
【樋籠・田中家文書№643】
別紙急御用向粕壁宿
在廣尾村名主迄申達間
千住宿宿継早々可相届事
辰四月廿四日 薩州陣営
千住より粕壁迄
宿々
役人中へ
(ひとことメモ)
慶応4(1868)辰年4月24日、薩摩藩陣営の器械掛より樋籠村名主又兵衛に対して、「急御用談」があるので、村役人を付添えて、江戸小川町の陣営に出頭するようにと命じた書付。№642は、包紙に包まれて回送された。№643はその添え状で、千住宿から粕壁宿に書付(№642)の宿継を命じたもの。当時は戊辰戦争の最中で、江戸から北関東や東北地方に新政府軍が派兵されていた。薩摩藩は軍資金の調達のために市域屈指の地主樋籠村の名主又兵衛を召還したものと考えられる。地名の樋籠(ひろう)を「廣尾」(ひろお)という字を当て書いていることから、薩摩藩と又兵衛の面識はなかったと考えられます。
田中家文書については、現在ミニ企画展で展示中です。ぜひ皆さんの解読の成果をご覧ください。
次回の勉強会は、4月27日(土)に開催予定です。
講演会「戊辰戦争と埼玉東部地域」とミニ企画展
歴史文化講演会では、東京大学史料編纂所の箱石 大(はこいし ひろし)先生をお招きして、「戊辰戦争と埼玉東部地域―東山道総督府の鎮撫活動期間を中心に」と題して、ご講演いただきました。
関東地方にやってきた新政府軍(東山道総督府)の組織や進軍の動向、埼玉東部地域における鎮部活動や軍政の実態について、豊富な史料を背景にして詳しくお話しいただきました。埼玉県東部地域は、下野梁田戦争や羽生領の打ちこわし、あるいは官軍通行による人馬負担の増加など、地域の支配行政や治安が不安定になりました。市域は、東山道総督府の軍政下に置かれ、県内に所在する岩槻藩や忍藩が局地的に治安を取締まっていましたが、戊辰戦争の戦局が推移するなかで、武蔵知県事などの知県事支配体制が確立されていきました。箱石先生は、武蔵知県事に任命される山田一太夫が忍藩士であったことや、東山道総督府の軍政が知県事支配に引き継がれていったことを指摘されました。
新政府軍の組織や統治の過程について、最先端の成果がうかがて、勉強になりました。
ところで、質疑応答の時間には、受講者から「地域の実態について、教えてほしい」との質問がありました。実は、戊辰戦争期の市域の実態については、ほとんど明らかにされていません。
郷土資料館では、箱石先生のご講演にあわせて、戊辰戦争期の地元春日部の様子をうかがえる古文書を展示するミニ企画展「幕末・明治維新と春日部」展を開催しています。
所蔵資料のみ、かつ展示室の半分という限界はありますが、古文書から新たに明らかになったことなどを詳しく・細かく解説し、読み応えのあるパネルを並べています。
箱石先生の講演のなかでも、「貴重な地元の史料が展示されている」と紹介していただき、講演後には展示室がにぎわいました。
展示は4月28日(日)まで(月曜日休館)開催しています。ぜひ、ご覧ください。
今後、ブログでも展示資料について紹介したいとおもいます。