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圓福寺所蔵の市指定有形文化財が公開されました

4月6日(日)、一ノ割の圓福寺(えんぷくじ)にて「圓福寺まつり」が開催され、大勢の人で賑わいました。

それにあわせて、市指定有形文化財群の、年に一度の公開が行われました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

圓福寺の境内にある曼荼羅堂には、「木彫当麻曼荼羅図(もくちょうたいままんだらず)」「木彫釈迦涅槃図(もくちょうしゃかねはんず)」「木彫閻魔王宮並びに八大地獄図(もくちょうえんまおうきゅうならびにはちだいじごくず)」が安置されています。これらの作品はすべて、圓福寺の九世住職であった光世上人が元禄年間(1688~1704)に、「木彫当麻曼荼羅図」と「木彫釈迦涅槃図」は6年間、「木彫閻魔王宮並びに八大地獄図」は2年間の歳月をかけて制作したものになります。

一般的には曼荼羅図は絵画によるものが多く、圓福寺所蔵の曼荼羅図のような木彫・立体のものは非常に珍しいものといわれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

制作されて320年以上が経過している貴重な文化遺産を今日まで保管し、公開の機会を設けていただいている関係者の皆様に感謝申し上げます。

 

地学さんぽ講座3「大河古隅田川を探ろう」を開催しました

 3月30日(日)、穏やかな春の日差しに恵まれ、地学さんぽ講座の3回目、「大河古隅田川を探ろう」を開催しました。 今回は、古隅田川の流路をたどり、豊春駅から八木崎駅に向かうルート(古隅田野鳥の森、古隅田公園、古隅田川緑道)を散策しました。古隅田川は、下総国と武蔵国の国境であり、中世の頃までは川の流れが現在と逆で、古利根川から古隅田川へ向かって流れていました。また、古隅田川とすでに「古」がつくのに、さらに「旧」がつく旧古隅田川があることなど謎に満ちた川です。こうした謎に迫るため、古隅田川の流れの変遷、かつて暴れ川だった痕跡の押堀(おっぽり)(注1)クレバススプレー(注2)、やじま橋や満蔵寺のお葉附きイチョウなどの文化財、梅若塚の伝承、昭和の河川改修による流路変遷などを数多くの見所のある箇所を散策しました。参加された皆さんは、所々で咲き始めたサクラの花を愛で、講師の先生の案内で、地学の探求者として、古隅田川の滔滔としたかつての流れに想いをはせ、様々な謎にみちた川について意見をかわしながら、長い行程の道のりを歩かれました。次回は、地学さんぽ講座の4回目、生きている化石植物の観察場所としてレジデンシャルパーク(庄和総合公園)、10万年前の地層を展示する龍Q館(地下神殿(調圧水槽)の見学は行いません)などを散策する予定です。参加希望の方は広報かすかべ4月号17面をご覧の上、お申し込みください。

注1:押堀(おっぽり) 川の洪水によって堤防を越えたり、破って氾濫した平野部に水が勢い流れた時に水の圧力で地面が掘られた跡。そのまま水がたまって池になったり、湿地として残ることがありますが、現在は、ほとんどは埋め立てられて目にすることは少なくなっています。

注2:クレバススプレー 川の流れに沿って形成された自然堤防が洪水によって破堤し、勢いよく流出した濁流によって引き起こされた地形です。

旧古隅田川(川面橋)で川の流れの確認

古隅田川堤防跡(古隅田野鳥の森)

古隅田川の堤防跡での解説(古隅田野鳥の森)

やじま橋(市指定文化財)

 

 

 

 

 

 


 

3月の考古学関係展示会、イベント情報

3月の近隣博物館・資料館の考古学情報をお届けします。
(毎月28日ごろに掲載します。随時、情報を更新します。)

(東部地区文化財担当者会リレー展示ー都鳥が見た古代)
・3月15日(土曜日)~4月8日(火曜日) 白岡市立歴史資料館(資料展示)
・4月12日(土曜日)~4月29日(火曜日・祝日) 吉川市中央公民館(パネル展示)

 

(展示会_閉会日順)
・4月20日(日曜日)まで 取手市埋蔵文化財センター(茨城県取手市)
埋蔵文化財センター第54回企画展 「近世を掘る―地下からわかる取手宿―」


・4月20日(日曜日)まで 桶川市歴史民俗資料館(桶川市)
令和6年度企画展示「ようこそ はるばる おけがわへ~縄文時代のモノと移動~」


・5月6日(火曜日)まで 朝霞市博物館(朝霞市)
第38回企画展「根岸古墳群と内間木古墳群~朝霞の古墳時代」

 

・5月25日(日曜日)まで さきたま史跡の博物館(行田市)
令和6年度テーマ展 埼玉の遺跡「小敷田遺跡―低地集落に生きた人びと」

・5月25日(日曜日)まで 藤岡歴史館(群馬県藤岡市)
令和6年度春季企画展「群馬県指定史跡指定記念 ムラと歩んだ古代の寺―牛田廃寺の時代」


・5月25日(日曜日)まで 本庄早稲田の杜ミュージアム(本庄市)
企画展「古代エジプトの棺と埋葬」


・6月15日(日曜日)まで 国立科学博物館(東京都台東区)
古代DNA-日本人の来た道


・6月15日(日曜日)まで 水子貝塚資料館(富士見市)
「縄文文化のはじまり ~八ヶ上遺跡全部見せます~」


・6月15日(日曜日)まで 飛鳥山博物館(東京都北区)
春期企画展「丸木舟ラボー縄文の舟にまつわる4つのはてなー」


・7月6日(日曜日)まで 宮代町郷土資料館(宮代町)
企画展 「発掘された地蔵院~テーマで探る人々の姿~」


・8月30日(土曜日)まで 帝京大学総合博物館(東京都八王子市)
企画展「ホネホネワンダーランド-骨の不思議を探る-」

「藤・渕・富士 ふじのかすかべ」展みゅーじあむとーく開催しました

3月23日(日)、現在開催中の企画展示のミュージアムトーク(展示解説)を行いました。

みゅーじあむとーく1

今回の展示は、春先に恒例の藤(フジ)の花の展示の派生企画展。フジの花にかけて、地名の「藤塚」「小渕」、そして「富士信仰」の歴史を収蔵品を中心に紹介しています。

今回のみゅーじあむとーくには、郷土資料館常連の皆さんに多くお集まりいただきました。顔見知りの方ばかりで、解説が終わった後にも、様々ご質問いただき、ご教示いただきました。ありがとうございました。

写真:富士信仰のコーナー

午前中には、ナント!富士信仰の研究者の方にもお出でいただきました。今回の展示準備にあたり、ご著書をいつも座右に置き、参照しており、直接お会いするのは初めてでしたが、動画で拝顔していましたので、展示解説の冒頭から「あの方かも!?」と緊張していました。特に富士信仰の概要や資料を説明する時は、今年一番のドキドキ。

担当者のつたない富士信仰の解説の後、研究者の方には様々な資料や情報をご教示いただきました。今回は収蔵品のみの展示でしたので、固定ケース半分にとどまりましたが、あんな資料やこんな資料も借り、あんなところやこんなところも調査すれば、春日部市域の富士信仰は企画展テーマとして柱が立ちそう、であることをお導きいただきました。ありがとうございました。

今回は「藤」「藤塚」「小渕」「富士信仰」と欲張りな企画で、盛沢山ですが、それぞれが中途半端でもあるともいえましょうか。「富士信仰」のテーマもさながら、「藤塚」も「小渕」も特徴的な地域ですので、それぞれ一本立ちするくらい、調査・研究を深めたいものです。

このように、みゅーじあむとーくは、学芸員と企画展の反省・展望を促すイベントにもなっています。

次回は、4月19日(日)。「藤塚」「小渕」「富士信仰」の関係者の方は、ぜひ叱咤激励にお出でください。

 

[事業の基本情報]

展示名:企画展「藤・渕・富士 ふじのかすかべ」展

日時:令和7年3月22日(土曜日)~5月2日(金曜日)月曜日・祝日休館。開館時間午前9時~午後4時45分

関連事業:みゅーじあむとーく(展示担当学芸員による展示解説)
     令和7年4月19日(土曜日)午前10時30分~、午後3時~(30分程度)
     予約不要。時間までに展示室へお集まりください。費用無料

歴史文化講演会 『奥の細道』を読む~草加から日光あたりまで~ を開催しました

令和7年3月22日(土)午前、教育センター視聴覚ホールにおいて、歴史文化講演会を開催いたしました。

國學院大學栃木短期大学教授で、漢文学がご専門の塚越義幸先生をお迎えして、「「奥の細道』を読む ~草加から日光あたりまで~」をテーマに、お話ししていただきました。

江戸時代の日光道中の宿場町であった粕壁宿には、たくさんの人々が通行しました。

元禄2年(1689)3月に粕壁に宿泊した俳聖 松尾芭蕉もその一人です。

歴史文化講演会

講演では、『奥の細道』を、芭蕉のしゃれ(洒落) や かろみ(軽み) を感じながら鑑賞するために、大切なことを、『奥の細道』の本文に沿いながら、わかりやすく解説していただきました。

芭蕉が訪ねた歌枕の地や、表現方法としての俳諧の様式などについて、文学の専門的なお立場からお話ししていただき、松尾芭蕉の俳諧の特性についても知ることができました。

歴史文化講演会

歴史文化講演会

受講された80名の皆さまには、熱心にご清聴いただき、たいへん盛況となりました。時間の都合で質疑はお一人のみでしたが、先生には丁寧にお答えしていただきました。

塚越先生、受講された皆さま、ありがとうございました。

春日部には、江戸時代後期に建てられた芭蕉の句碑も存在します。また、近代の俳人水原秋桜子や加藤楸邨のゆかりの地でもあります。今後も本市ゆかりの俳諧・俳句につきまして、紹介してまいります。