2013年7月の記事一覧
学校での不易と流行
本校は、明治6年2月に我孫子小学校として開校し、今年で創立141周年を迎えます。その後、尋常小学校・中央国民学校・第一小学校と名前を変えながらも我孫子の町の変貌と共に地域の学校教育を担ってきました。
先日、ある方から昔の貴重な教育関係資料を頂きました。
東北地方の宮城県石巻市にあった石巻尋常高等小学校長の錦織玄三郎先生が書き記した「当校教員注意事項」に深く感銘しました。
今から104年前、石巻にある小学校教育における教員の心構えが、平成の現代でも十分に通用し、しかも含蓄のある教えなのです。不易とは千年経っても変わらないという意味だそうですが、100年後の今でもその本質は全く同じとしか言いようがありません。
全部で17項目ありますので、その中でも私が特に感動し感銘を受けた10項目を出します。私の個人的コメントもその後に添えます。
1 手ぶらで教えよ
・指導書や指導案を見ながら授業をするなということです。授業の
流れは全てを頭の中に入れておく。この「手ぶらで」という言葉が
いいです。何かに頼るのは不安や迷いがまだ有るからです。
2 対話的に教えよ
・講義形式の授業ではいけないということです。教師の一方的な説
明的授業では子どもは飽きます。主役は子どもです。子ども同士
の討論的な発言では大変中身が濃くなります。
3 劣等生を愛せよ
・今は劣等生という言葉はもちろん使いません。この意味するとこ
ろは、勉強の遅れがちな子どもこそ大事にすべきである。原因を
見極めなさいとも言っています。先生の教え方に原因がある.
4 教育のために勤めよ
・教育とは子どもの為に行われるものである。校長や教育委員会等
から高い評価を受けようと思ってはいけないとのことだそうで
す。
5 言葉遣いを丁寧にせよ
・軍国時代であったにも関わらず軍隊で使うような威圧的な言葉を
使ってはいけない。美しい心は美しい言葉から生まれます。
6 児童と遊べ
・当たり前のようなことですが、子どもと遊ぶことで心が通い合う
ことが大事であると言っています。子どもが心を開くには先ず遊
ぶことです。
7 全校に目を注げ
・学級担任であるが組織の一員でもある。常に学校全体を考えて行
動する。学級王国はダメであるとこの時代から諭されていたこと
に感動です。
8 品格を保て
・出会う人が自然に尊敬したくなるような気品を持ちなさいとのこ
とである。教育で一番大事なことは信頼である。つまり教師の人
間性である。
9 児童に負けるな
・この意味するところは、学習も生活習慣も簡単に身に付くもので
はない。習慣化するまでは子どもとの根気比べだということで
す。
10 事務は第二にせよ
・今も100年前も同じです。教員にも事務仕事は山のようにあり
ます。どんなに忙しくても授業が第一であるとの教えです。