校長室のひとりごと
校長室のひとりごと「今年も猛暑?」
まだ5月というのに30℃に迫る日もあれば、一転20℃に届かない日もあり、こう天候不順が続けば体調管理も一苦労です。長期予報によれば、今年夏も猛暑が続き厳しい暑さが続くようです。ここ数年の天候には悩まされ、学校行事の実施時期なども考え直さなければならない状況です。同様にスポーツの団体も大会日程などの見直しに取り組んでいます。特に屋外の競技は8月を避けて日程にずらすことを検討しています。このような検討がなされればなされるほど、涼しい時期に大会が集中し、中学校の大会も会場確保が難しくなり、結果として学校行事も見直さなければなりません。これまで9月の土曜日に実施していた市内各中学校の体育祭も、猛暑の9月を避けると、休日には必ず何部かの大会が入っており、止むなく昨年度より、各中学校ともに10月の全校生徒が揃う平日に体育祭を実施するようになりました。そうなると今度は例年10月に行っていた文化祭も見直す必要が出てきます。11月では3年生の進路指導の関係で厳しいとなれば、これまで体育祭を行っていた9月の実施が最善だと変更したわけです。では小学校のように「春に体育祭を実施すれば…」と考えますが、春は春で、何より市内の中学校は修学旅行があるため、その合間を縫って部活動の市内大会の日程を組むわけですし、兄弟関係を考慮し小学校と同じ日程には行事を組めず、どう考えても春の体育祭実施は厳しいのが状況です。
この温暖化の影響での猛暑、まずは生徒達の命や健康を第一に行事の精選、実施時期の見直しなどを考慮し教育課程を編成しなくてはならない岐路に立たされています。
校長室のひとりごと「黄金色の川間地区」
市外の人に野田市の紹介するには「チーバくん(千葉県公認キャラクター)の鼻先」と言えば千葉県民なら大体通じます。しかし県外の人には通じません。そんな時には「醤油が有名」「清水公園がある」などというと「あ~醤油の野田市ね」「桜がきれいな清水公園」などとうなずいてもらえます。他にも野田市が誇れることとして、自然豊かな広大な土地を活用した農産物があげられます。例えば「枝豆」です。市町村別生産量ランキングでは常に野田市は上位に食い込んでおり「枝豆」は野田市のシンボル的な存在です。市内を循環するコミュニティバスも「まめバス」と名付けられ、枝豆色のボディの上には枝豆型の飾りが誇らしげに飾られているほどです。
ところで本校の名前「川間中学校(地区)」はその地形に由来します。川間中学校がある野田市は利根川、江戸川、利根運河に囲まれており、特に川間地区は利根川と江戸川に挟まれた地域のため「川の間」「川間」と名付けられています。そんな川に挟まれた本校の学区、特に利根川沿いの地域は県内最大規模の「麦」の生産地として有名です。この時期の麦畑は「麦穂」が黄金色に輝き、辺り一面が金色に輝き実に壮観です。そんな麦畑もそろそろ刈り取り収穫の時期を迎えます。収穫された麦の大麦は麦茶に、そして小麦はうどんなどの原材料の「小麦粉」に加工されるということです。
改めて、こういった視点で野田市、川間地区を見てみると誇らしい気持ちになります。
校長室のひとりごと「なぜ集団行動?」
年度はじめの4月や5月、保健体育の授業で「集団行動」に取り組んでいる中学校が多いのではないでしょうか。本校でも連日大きな声をかけながら「集団行動」を学んでいます。校長室の窓からグランドの様子がよく見えるため、元々体育教師の私は、血が騒ぎ、気になってしまい仕事も手につきません。
「なんで集団行動なんてやるの?」「軍隊じゃあるまいし…」「多様性・個性重視の時代になんで画一的な集団行動?」などと疑問に思っている皆さんも多いのではないでしょうか。恐らく生徒達もそう思いながら号令に合わせて動いていることでしょう。
一般社会や学校など大勢が共同生活している場で、みんながみんな自分勝手で自由気ままに行動していたらどうでしょうか。嫌な思いをする人はもちろん、危険だらけで安心して生活することができません。社会には秩序があり、その秩序を維持するために様々な決まりやルール、マナーが存在します。中学生が社会の一員になる一つの準備として、集団での秩序を「集団行動」を通して学ぶわけです。保健体育の授業ですから「気をつけ」「回れ右」「右向け右」などの号令に合わせた動作で「みんなに合わせる」「協調性」を身につけることがねらいです。(秩序を学ぶのは集団行動だけではありませんが・・・)よく「日本人は礼儀正しい」「きちんと列になって順番を待つ」などと海外で評価を受けることがありますが、こういった「協調性」や秩序が日本人一人一人に備わっているからこその評価なのだと感じています。
もうすぐ修学旅行、職場体験学習、校外学習と各学年校外での活動が待っています。秩序を保つことで「安全」で「効率的」な活動へとつながると信じています。
校長室のひとりごと「情報の真偽」
インターネットやSNS等の普及により「誤情報」「偽情報」「フェイクニュース」などが社会問題化しています。
総務省は「誤情報の認識」に関する初の実態調査の結果を公表しました。調査は、インターネット上で15歳以上を対象にアンケート形式で行われ、実際にあった15種類の偽情報について、一つでも見聞きし「正しい情報だと思う」「恐らく正しい情報だと思う」「どちらともいえない」「おそらく誤った情報だと思う」「誤った情報だと思う」のいずれかを選択する形です。結果は「全体の47.7%が誤情報だと気づかず騙されていた」また「全体の25.6%がどちらともいえない」と回答し、誤った情報だと回答したのは全体の26.7%に留まったそうです。また調査では「イワシやクジラの海岸の大量漂着は地震の前兆である」といった偽情報について、全体の1/4にあたる25.5%は家族や友人に伝えたりSNSに書き込み拡散させていたこともわかりました。
東日本大震災の際「動物園の檻が壊れライオンが逃げ出した」などとSNSを介して拡散し問題となりました。古くは「〇〇〇〇〇〇〇の大予言」なる書物で「地球滅亡論」が話題になったりもしました。
「野次馬根性」ではありませんが、人間は興味を持ったことを周りに伝えたくなるものです。画像生成AIや音声AIの進歩により「真」「偽」の判断が難しい社会ではありますが、すぐに反応せず冷静に見極める習慣を身につけたいものです。
校長室のひとりごと「希望の桜」
ご存じですか?「奇跡の一本松」を。岩手県の陸前高田市、高田松原には約7万本の松林がありました。東日本大震災による津波で壊滅的なダメージを負ってしまいましたが、奇跡的に一本だけ大津波に耐え生き残った松がありました。復興への「希望の象徴」としてその松を「奇跡の一本松」と呼ぶようになりました。しかし、高さ27m、樹齢173年のこの松も残念ながら震災の翌年には枯れてしまい、現在は同じ場所に復興のシンボルとして後世に語り継ごうとモニュメントが建てられています。
その陸前高田市の隣、大船渡市も同様に東日本大震災では大きな被害を受けた地域です。その大船渡市、この2月から4月にかけて大規模な山林火災に見舞われたことは記憶に新しいところです。山林火災で辺り一面真っ黒になり、その中の焼け焦げた八重桜の木から4月末(遅咲きの八重桜)にピンク色の花が咲いたと報じられました。木の周辺は焼けた家屋が点在し、実際に八重桜の木も飛び火で根元、上部が焼けこげてしまっていたそうです。「度重なる災害で心身ともにまいっていたが、気持ちも花が咲いたように明るくなった」と地域の人々は話し「希望の桜」として人々の心を和ませているそうです。大津波にも負けなかった松、山林火災にも負けなかった八重桜、どちらも自然のたくましさを感じます。
校長室のひとりごと「ペップトーク③」
以前2回にわたり「ペップトーク」について書きました(4/24・25)。この「やる気を引き出す魔法の言葉」、アメリカのスポーツ界に根付いている指導者が選手本来の力を発揮させるための話術であり手法です。私が「ペップトーク」に注目してるのは、またスポーツの指導者になろうというわけではありません。「やる気を引き出す」のは別にスポーツに限ったことではなく、生徒のやる気を引き出す教員にも十分に生かせるはずだと考えているからです。例えば、合唱コンクール本番前に担任の先生が声をかける。部活動で顧問の先生が大会前に激励する。入試の前日に担任の先生がみんなに話す…教師というのは子ども達の可能性を最大限に伸ばしてあげる職業であり意外と話す機会が多いものです。思春期で多感な子ども達は、色々な悩みや心配事を抱えています。そんな子ども達の「やる気」を引き出すために役に立つのが、この「ペップトーク」だと考えています。その子の置かれている状況、これまでの様子、どうしたいと考えているのか。「ペップトーク」によってやる気を引き出してあげられれば生徒個々の力を引き出すことができるのではないでしょうか。これまで精一杯頑張ってきた生徒に「頑張れ!」では「これ以上何を頑張れば…」と。また失敗しないか心配な生徒に「失敗するなよ!」では「わかってるよ、だから緊張してるのに…」などと逆効果になりかねません。先生達と共に「ペップトーク」の手法を学び、生徒達のやる気を引き出していこうと思います。
校長室のひとりごと「先生のたまご」
教員になるには「教員免許」が必要です。その教員免許も学校種によりいくつかあり、我々中学校であれば、教科担任制のため教える専門教科の中学校免許が必要になります。高校も同様で専門教科の免許が必要です。小学校は基本的にどの教科も担任の先生が指導するので中学・高校とは違い「小学校」の免許が必要です。ちなみに私の場合は「中学・高校保健体育」の免許なので、小学校では教えられません。皆さんの中にも教員免許を持っているという方もいらっしゃるかもしれませんね。このような教員免許は大学で教職課程を専攻し必要な単位を取得することで、大学のある都道府県教育委員会より発行されます。教職課程の単位には実際に学校現場で学ぶ「教育実習」も含まれています。そして教員免許を取得(見込み)することが、教員採用試験受験資格であり、採用試験に合格した者が実際の教員になれるわけです。
高知県では昨年の教員採用試験の合格者270人のうち7割を超える204人が採用を辞退したそうです。合格者のほとんどは他県の採用試験も受験していたそうですが・・・昨今、「ブラック教員」などの悪評もあり、教員のなり手が減少し全国的に教員不足が大きな問題になっています。今、2名の大学生が教育実習に来ています。全国の教育実習生には実際の学校現場を経験し、子ども達と触れる中で、教員の魅力ややりがいを感じた上で、将来を選んでほしいと思います。
校長室のひとりごと「代行サービス」
近年、離職や転職が特別なことでなくなるなど、若者を中心に働き方が以前に比べ随分と変わってきているようです。「終身雇用」なんて言葉からもわかるように、一度就職したら定年を迎えるまでその仕事を貫くというのが私など昭和時代の一般的な考え方でしたが、確かに最近はTVのCMでもしきりに転職サポートの宣伝が流れたり、転職に関するサイトの宣伝が目に入ります。私の考え方が古いのかもしれませんが、就職する時には皆、それなりの覚悟を持っていたように思いますが、これだけ「転職ありき」の時代では、仕事に対する覚悟も、日々の仕事へのモチベーションにしても以前とは違い「毎日が逆に辛いんじゃないかなぁ」と心配になってしまいます。ちなみに2009年に入社した大卒社員の離職者は約5人に1人だったのに対し、2021年では約3人に1人が離職したという調査もあります。
「5月病」、ゴールデンウィーク明けには子ども達も、我々大人でも通勤通学の足取りが重くなったりします。この5月、特に先週のGW明けから離職、転職する新入社員が年々増えているそうです。そして、自分で退職の意向を告げるのではなく「退職代行サービス」を利用する若者が急増していると報じられています。「退職代行サービス」というシステムに違和感を覚えるのは私の考え方が古いのでしょうか。中には代行ではなく、親が代理で退職手続きをするケースもあるそうです。
子ども達への「キャリア教育」特に「職業観」についてもアップデートが必要なのかもしれません…
校長室のひとりごと「安心安全なはずの学校」
東京都立川市の小学校での不審者侵入事件が起き,連日関連のニュースが報じられています。この事件報道に驚かされ、学校長という立場から、背筋が凍るようななんとも言えない危機感を覚えています。
学校への侵入事件というと思い出すのは2001年の「池田小学校事件」です。校内に侵入した男が持参してきた包丁で教師や児童を次々に斬りつけ、児童8人が死亡、児童13人と教師2人が負傷した事件です。この事件をきっかけに全国の学校では不審者対応マニュアルを作成し、不審者が校内に侵入したことを想定しての訓練なども行ってきました。また「さすまた」などの対応グッズを配備したのもこの事件がきっかけだったと記憶しています。今回の立川市の小学校の事件を機に、改めて過去の事件を調べてみたところ、実に多くの不審者侵入事件が起きていることに驚かされました。刃物を持っている不審者、中には爆発物を持った不審者が実際に敷地内や校舎の中まで侵入していることには驚愕するばかりです。保護者のフリをして「忘れ物を届けに来た」と嘘をつき校舎内に侵入したケースもあります。学校という性質上、毎日のように関係の業者さんや来客など多くの訪問者があるのが実情です。出入り口全てを施錠することは難しい面もあります。これまでは当たり前のように侵入者1人を想定していましたが、今回は2人の侵入者。今回の事件を自分ごとと捉え、生徒たちや先生方の命を守るための方策を改めて考えなくてはと痛感しています。
校長室のひとりごと「教員の業務改善その2」
先日、文部科学省が先頭に立って全国的に教員の業務改善に取り組んでいるという話をしました。先生方が元気はつらつで生徒の前に立つために、本校で取り組んでいることをいくつか紹介します。
中学校では、1年間に1015時間(1時間は50分)、1週間あたり29時間の授業時数が決まっています。ですから授業を勝手に削ったり、時間を短くするなど1015時間を下回ることはできませんし、そもそも本末転倒です。そこで授業以外の一つ一つの業務について見直しました。まず、放課後に行われる職員会議など様々な会議です。これまでの紙ベースから会議資料をデジタル化しました。これにより印刷や綴じ込み作業が必要なく、更には事前に資料に目を通すことができ会議時間の縮減につながりました。デジタル化と言えば、家庭に配布する「〇〇便り」や「朝の欠席連絡」などもメール配信などデジタル化したことで随分と業務がスマートになりました。そして、今年度大きく変えたのは一日の日課です。朝と帰りの学活の時間を短縮し、毎日全員で行っていた「掃除」を放課後の当番制にしました。これにより、6時間授業の日でも15:20から部活動を始められ、結果として部活動の時間を十分確保しても放課後の先生方の余裕が生まれています。ここでも生徒一人一台端末を活用してのデジタル化を図ることで、内容はそのままで時間を短縮させることができました。
これが全てではありませんが、新しい発想で業務改善に取り組みながら生徒も教師も「笑顔あふれる学校」を目指していきます。