ほごログ(文化財課ブログ)

タグ:博物館実習

博物館実習三日目

 本日は、収蔵資料の紹介のために個別資料の調査・研究を行いました。収蔵資料の採寸や関連資料の調査を行い、展示解説にまとめる作業をしました。

写真:黙々と取り組む実習生

 高村は、現在開催中の「語り出したら、キリがない!桐のまち春日部」にも関連しますが、展示できなかった、桐箪笥の仕上げ職人がつかった道具について調査しました。仕上げ職人の道具は、種類・用途において多岐に渡ります。そのため、解説時に要点が散らばりや資料写真の撮影における画面の収まりを想定しながら、資料の点数を絞りながらも資料同士の繋がりを維持できるように資料の選出を行いました。また、私を含め、写真撮影をしていない収蔵資料も多く、実習生自ら撮影を行いました。

写真:収蔵資料の写真撮影をする実習生の様子

 内木は、武里団地について調査しました。春日部市郷土資料館には、武里団地に関わる沢山の資料があり、資料を読み込むだけでも時間がかかりました。しかし、その作業によって武里団地がいつできたなどの基本情報はもちろん、どのような背景があり、武里団地ができたかなど、様々なことが分かりました。この判明したことをもとに、理解し易い展示解説を作っていきたいと考えています。

写真:武里団地模型の寸法を測定している様子

 明日の午前も実習七日目の発表に向けて、この作業をしていきます。実習生による収蔵資料の紹介はホームページでも公開されますので、是非宜しければご覧下さい。

(令和3年度実習生)

博物館実習二日目

 実習二日目となる今日は、体験学習の研究として「藍の生葉染め」と「かんなくずを利用した花づくり」を行いました。

 春日部市では、少なくとも明治時代には、藍が工芸作物として栽培されていたようです。また、備後・小渕・下柳などでも、かつて紺屋という布や糸を藍で染める仕事がありました。このような「春日部の歴史」を踏まえた上で体験講座は考えられています!

写真:藍葉の剪定

 藍で染めると抗菌・防臭・防火作用が得られるとされます。現在の企画展「語り出したらキリがない!桐のまち春日部」に展示されている印半纏も藍色に染められています。ご来館の際はぜひ思い出してご覧ください。また、藍の生葉染では、植物性繊維である木綿や化学繊維のポリエステルは染まらず、動物性繊維である絹や羊毛を染めることができます。今回は絹を用いました!

藍の生葉染め体験では、慣れない環境に苦心しながらも、鮮やかな藍色を表現しようと真剣に黙々と作業する実習生の姿を見ることが出来ました。絹を漬けるために、入念に藍の葉をもみ込み、色を出すのが一番大変な工程でした。

写真:藍の生葉染め

写真:染めた布を空気になじませる

生木染めは藍の育つ季節にだけ体験できるもので、一年の中でこの時期にしか体験できない貴重な経験です。

写真:染めた後に干す

 午後のかんなくずを利用した花づくり体験では、崩れやすいかんなくずに悪戦苦闘する実習生の姿が見受けられ、これから体験講座を受ける人がより分かりやすい体験をするにはどうすればよいか想像を膨らませ、改善点を模索していました。

写真:かんなくずを使った工作

参加する受講者がけがをしにくい方法を考える人、出来栄えや作業のやり易さを追求する人と考え方は人それぞれでした。完成したかんなくずの花はどれも個性のある作品となりました!

写真:かんなくずを使った造花

 コロナ禍で当初の予定にあった他館見学は中止になってしまいましたが、未経験のことにチャレンジすることができ、童心に帰ったかのように楽しむことができました。

 残りの実習も楽しみつつ、一生懸命に取り組んでいこうと思います。

(令和三年度博物館実習生)

博物館実習が始まりました

春日部市郷土資料館で #博物館実習 が始まりました。今年は10名の大学生が実習生として館務実習にのぞみます。

初日の本日は、館内の見学と博物館について討論をしてもらいました。

午前中は、展示室やバックヤードを見学してもらいました。展示資料の解説というより、館の成り立ち・運営や展示法をまじえた解説で、皆さん、当館の特長を深めてもらえたようです。

写真:常設展示室の見学

写真:企画展示室

午後は、館の見学をふまえて、博物館のあるべき姿・理想像について話し合ってもらいました。みなさん、博物館学を学修されていて、「放課後博物館」とか「市民博物館」とか、市民・住民参加型の博物館の理想像を持っているようでした。また、当館の実状をふまえて、春日部市郷土資料館の方向性やキャッチコピーをグループ討論し、発表してもらいまいした。討論から提案されたキャッチコピーは「春日部の歴史を照らす」「春日部って何?」というもので、いずれも当館の評価点を伸ばしながら、ウィークポイントを改善するコンセプトになっていました。

館の職員一同、的を射た指摘に感心させられるとともに、今後の運営に大変参考になる発表だったと思います。みなさんの意見をふまえ、ウイルス対策、暑さ対策など健康管理にも十分注意しながら、8日間の実習にのぞんでいただければと思います。

写真:グループワーク

幸手市郷土資料館の博物館実習生が見学に来ました

8月5日、幸手市郷土資料館で博物館実習に参加している実習生2名が、春日部市郷土資料館に見学に訪れました。展示室から収蔵庫などのバックヤードまで、とても熱心に見学していただきました。

博物館実習は、大学の学芸員課程において学芸員資格をとるために必須の課程です。しかしながら、受け入れ側の博物館、資料館では、人数などの都合でどうしてもお断りせざるを得ないことがあり、学芸員資格をとりたい学生たちは、往々にして実習受入れ先の館を探すことに苦労します。幸手市郷土資料館では、今年度より実習を開始したとのことで、近隣館で受入れ先が増えたことは、当館にとっても大変ありがたいものです。

当館でも、新型コロナウイルス感染症対策を徹底して、今年度は8月の後半から10名の実習生を受け入れて、約1週間の日程で博物館実習を行う予定です。こういった機会に、少しでも多くの資料館の仕事を経験してもらい、今後の人生に役立ててもらいたいと思っています。

実習の内容は、期間中に実習生に書いてもらうほごログでお伝えしていきます。昨年度のものも掲載していますので、ぜひご覧ください。

幸手市郷土資料館実習生見学

幸手市郷土資料館は、過去の記事(【近隣館の紹介】幸手市郷土資料館)でも触れたことがありますが、平成30年にオープンした新しい館です。

9月5日(日曜日)まで2つの企画展が同時開催されています。ぜひお出かけください。

幸手市郷土資料館令和3年度企画展『幸手の海でとれた貝』(幸手市郷土資料館サイトへリンク)

幸手市郷土資料館 令和3年度企画展『渋沢栄一と幸手』(幸手市郷土資料館サイトへリンク)

【常設展】 #博物館実習生 による展示【 #展示替 】

春日部市郷土資料館の常設展示の1コーナーを展示替しました。この展示は、8月にお手伝いいただいた博物館実習生の皆さんによるプロデュース展示です。 #かすかべプラスワン

写真:資料陳列風景

展示のテーマは「道具を受け継ぐ」。粕壁地区の大工さんの道具について寄贈者ご本人から聞き取り調査し、調書を作成、キャプションもつくってもらいました。みなさん、真剣に、そして懸命に資料を一つ一つ丁寧に調査し、どうしたらご覧いただくみなさんに伝えたい事が伝えられるのか、苦心しながらキャプションをつくってくれました。そのときの記事はこちら。資料の陳列まで実習でできれば、良き実習だったのですが、時間切れ。少し時間が経ってしまいましたが、このたびその成果をお披露目することになりました。

今年の12月末まで展示予定です。ぜひ、ご覧ください。

博物館実習最終日

令和2年度の博物館実習も、いよいよ最終日をむかえました。

当館の博物館実習は、例年、体験講座の指導補助等、教育普及活動に重点を置いたものとなっていますが、今年度はコロナ禍のため、資料の調査・展示を重点とした実習となりました。とはいえ、昨日まで実習生が本ブログに記述してくれたように、収蔵資料のWeb紹介の準備資料の取り扱い地元の方を招いての聞き取り調査、資料の整理・調書作成展示のキャプションづくり近隣地域博物館の見学と盛りだくさんな内容でした。

最終日の今日は、実習生個々で準備・制作した収蔵資料のWeb紹介のコンテンツの発表を行いました。

写真:資料紹介文を検討する実習生

みなさん、短期間にも関わらずよく調べており、資料の解説は充実した内容となりましたが、資料自体の説明が不足していたり、課題も残りました。実習生の制作した収蔵資料の紹介は、みなさんの意見を踏まえブラッシュアップさせて、近日公開する予定です。

最後に、実習のまとめとして、各々に印象に残ったことを話してもらい、博物館・学芸員の役割について議論しました。資料を収蔵・保存する意義、調査し、展示を一からつくる大変さ、市民・地域とのコミュニケーション能力の大切さ、学芸員の専門性など、実習を経験して地域博物館や学芸員が抱える様々な問題に気づくことができたようでした。

実習生の皆さんにはこの経験を糧にして、未来に羽ばたいていただければ、郷土資料館の職員一同、大変うれしく思います。

実習六日目

 こんにちは!実習六日目の本日は、午前中には、まず、宮代町郷土資料館を訪れて、国史跡神明貝塚を見学して、午後には、幸手市郷土資料館を訪れました。
 宮代町郷土資料館は野外展示と常設展示で構成されていました。常設展示では、古墳時代の鍛冶工房の再現や江戸時代の新田開発の模型を置いて分かり易く解説していて、展示に工夫を凝らしていました。また、展示する上で問題も抱えながらも上手く対処していて資料の保存にも気を付けているようでした。

写真:宮代町郷土資料館で説明をうける
 企画展では太平洋戦争のことを取り上げていて、町や地域に根差した歴史を伝えるため寄贈を受けた資料をもとに分かったことを解説しているようでした。
 野外展示では旧加藤家住宅や旧斎藤家住宅を展示していました。土間には煙出しの高窓があって、定期的に竈を使っているようでした。古民家にはあまり入ったことがなかったため珍しいものが多く貴重な体験でした。

写真:宮代町郷土資料館の加藤家住宅

 宮代町から幸手市に移動する途中、国史跡神明貝塚を見学しました。神明貝塚では、縄文時代のシジミの貝殻などを観察することが出来ました。


 幸手市郷土資料館は、以前、准看護学校として使われていた建物と吉田中学校という昔の校舎を博物館として使っているそうです。ストライプウォールなどを使って展示方法に工夫を凝らしているようでした。旧吉田中学校の民具資料室は昭和・平成初期のものが多く米作りや養蚕に使われるものもあって親しみやすかったです。ここでは藍のたたき染体験も出来て、昔から伝わる手仕事も体験を通して伝えていました。

写真:藍のたたき染め体験

 明日の実習はいよいよ最終日で、展示コンテンツの発表・討論を行うので今まで学んできたことを活かして実習生一同全力で取り組みたいと思います。
(令和二年 博物館実習生)

実習五日目

実習五日目の本日は、午前中に、昨日実習生が個人で作成した調査カードを共有し、それぞれ良かった点、悪かった点などを話し合いました。実習生はそれぞれ至らなかった点に気づき、調査カードを書き直す姿が見受けられました。
写真:資料調書について話し合う実習生
次に、昨日、調査・整理した大工道具を展示するにあたり、テーマやキャプションをどうするかなどを実習生で議論しました。結果、実習生全員で展示のキャプションを完成させることができました。
写真:展示資料

写真:資料キャプションについて議論する実習生
私たちが博物館で目にする展示のキャプションは、このようにして一語一句、緻密に考えられてできているものだと実感しました。

明日の実習では博物館見学をするので今日体験した展示の企画を踏まえて、キャプションや、展示物の配置など細かいところに留意をしながら見学したいと思います。
(令和二年 博物館実習生)

実習四日目

実習四日目の本日は、聞き取り調査と収蔵資料の整理を行いました。

写真:寄贈された資料

市内にお住いの方が以前使用していた大工道具を寄贈してくださったため、その資料についてお話を伺いました。道具の呼称や使用方法などを教えていただくのと同時に、当時の粕壁についても理解を深めることができました。また、実習生は初の聞き取り調査ということもあり緊張した様子でしたが、一人一つずつは質問することができました。

写真:聞き取り調査の様子

写真:資料の使い方を説明される旧蔵者の方

一緒に聞き取り調査を行っていた学芸員さんは積極的に質問をされていて、分からないことはどんどん明確に、さらに話を詰めていました。学芸員という仕事においてコミュニケーション能力がいかに重要であるかを肌身で感じることができた実りある時間でした。

写真:資料調査の様子

午後は、寄贈していただいた資料の整理を行いました。資料一つにつき収蔵番号を記した調査カードを一枚括り付けていきました。加えて、午前中に寄贈者の方から伺ったお話をもとに文献と照らし合わせながら正確な情報を民具調査カードに記入しました。スケッチがとても難しかったので、慣れるためにも練習を重ねていきたいと思います。明日以降も実習生みんなで協力して展示を作り上げたいです。

(令和二年 博物館実習生)

実習三日目

実習三日目の今日は、午前中に昨日の続きである収蔵資料の調査・研究を、午後に軸装や土器の取扱いについての体験実習を行いました。資料調査では、実習生全員がWeb展示に向けて調査した内容をどのようにして文章に落とし込むかを真剣に考えながら黙々と作業を続ける様子が見受けられました。
写真:黙々と調べものをする実習生

写真:資料写真の撮影
午後からの体験実習では、資料を取り扱う際の基本的な心構えや資料毎の取扱い手順を教えていただいた後、実際に資料に触れさせてもらいました。細かい部分にも配慮しながら、資料を傷つけぬよう危機管理を徹底する考え方を改めて学ばせてもらいました。

写真:資料取り扱いの心構え

写真:資料の取り扱い
説明を受けて、頭の中でイメージができても実物を目の前にすると緊張してしまい、動きがぎこちなくなってしまいました。手順をしっかり復習して、次に扱う機会があったときには、冷静に作業を進められるようにしたいです。
また、土器の梱包にも挑戦しました。全員で協力しながら無事に梱包作業を終えることができました。

写真:綿布団づくり

 

写真:土器の梱包
コロナ禍でこのような実習を大学の授業で受けることができなくなってしまったので、とても有難かったです。
残りの実習も、有意義な時間を過ごせるように精一杯取り組みたいと思います!
(令和二年 博物館実習生)