ほごログ(文化財課ブログ)

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【週末に閉幕】「明治天皇と春日部」お見逃しなく

宮内庁宮内公文書館との共催企画展「明治天皇と春日部」は、9月4日(日)まで。最後の最後に、テレビでも紹介いただきました。 #かすかべプラスワン

昨日、テレビニュースでの紹介され、ネットニュースにも動画が公開されたお蔭もあって、今日はあいにくの天気で、平日にも関わらずにぎわっています。

明治天皇の巡幸、江戸川筋御猟場、梅田ごぼうを主要テーマとし、宮内庁宮内公文書館所蔵の資料をはじめ、春日部の郷土資料を陳列し、近代の皇室と春日部の歴史を展示紹介しています。

来館された方には、もれなく図録も差し上げています。あと2日、この週末で終わってしまいますので、ぜひ、お見逃しなく。

画像:チラシ

最終日の9月4日(日)には、学芸員による展示解説(ミュージアムトーク)も開催します。ふるってご参加ください。

ミュージアムトーク

日時:令和4年9月4日(日)10時30分~、15時~各回30分程度
場所:春日部市郷土資料館企画展示室(入館人数を制限する場合があります)
申込:不要。直接展示室にお集まりください。

展示解説講座その4「埼玉鴨場の設置について」

8月28日(日)講師に辻岡健志先生(宮内庁宮内公文書館)をお迎えして、「明治天皇と春日部」展の展示解説講座を開催しました。

テーマは「埼玉鴨場の設置について」。辻岡先生は、現在開催中の「明治天皇と春日部」展において、「埼玉鴨場の設置」の展示設営を担当いただいた方です。埼玉鴨場は、春日部市のお隣の越谷市内に現在も宮内庁が所管する施設です。明治41年(1908)に当時南埼玉郡大袋村に鴨猟をおこなう施設として設けられました。春日部とは関係がないようですが、前の講座のテーマにもなった江戸川筋御猟場に深く関係があります。

前回の講座に引き続き、今回の展示解説講座でも、現在「明治天皇と春日部」展で展示されている資料を丁寧に読み解きながら、鴨場の由来、宮内省が所管する他の鴨場の紹介、埼玉鴨場の成り立ちや利用の実態について、展示資料以外の資料も多用してお話しいただきました。

写真:講座の様子

講座のなかでは、鴨場となる敷地の買収の交渉過程について、詳しく説明がありました。埼玉鴨場の敷地はもともと桃や梅などの立ち木がうわっている土地や、田地などであり、鴨猟のために池が造成されたことが明らかにされました。また、明治天皇が埼玉鴨場に行幸になることはなかったそうですが、明治・大正・昭和前期の外交官の鴨猟一覧では、皇族の方々や外賓の方々が埼玉鴨場を利用されていることが示され、皇太子や皇太后が鴨場に行幸啓される過程についても資料から詳しくお話しされました。

写真:質問に答える辻岡先生

質疑応答では、鴨場の利用が皇室の「大喪」や「御不例」のため中止になっていることについて、鴨猟の起源についてなど、受講者から質問がありました。

講座終了後も質問される方の長蛇の列ができました。辻岡先生には、ご多忙のところ、貴重なご講演、丁寧なご対応、大変ありがとうございました。

展示解説講座は、当館学芸員による「明治天皇と粕壁宿」も含め、全四回、すべて無事に終了することになりました。

展示はあと一週間。ご覧になっていない方はお見逃しなく。

 

【八潮市立資料館】連携展示「八潮の御鷹場・御猟場」

久喜幸手杉戸越谷草加に引き続き、宮内庁との共催展「明治天皇と春日部」の連携展示の紹介。最後となる6回目は八潮市立資料館です。 #かすかべプラスワン

「春日部の話じゃないじゃないか!」とお叱りを受けそうですが、春日部市内の歴史だけを切り取っても理解は深まりません。視野を広くもって春日部の歴史も考える必要があります。歴史は地域をつなぐ。そんな思いから、連携展示「埼玉県東部と近代の皇室」は企画されました。

写真:八潮市立資料館

さて、八潮市立資料館さんは、埼玉県東部でも特徴的な博物館施設です。博物館の機能のみならず、文書館、文化財センターの機能を有していて、展示事業だけでなく、幅広い活動で、八潮市域の歴史・文化財普及・研究の拠点となっている施設です。ミュージアムスタンプラリーの参加館でもあります。 

今回は、八潮市立資料館さんに、ご協力いただき、宮内庁共催展の連兼展示をお願いしました。

連携展示「八潮の御鷹場・御猟場」は、一階のロビー展示として開催されています。資料点数は多くはありませんが、パネルのみならず、原資料も陳列しており、見ごたえがあります。県立自然の博物館から借用した鳥のはく製も展示されており、お子様でも楽しめます。

展示の内容は、八潮市域が江戸時代には江戸幕府の御鷹場であり、明治時代には皇室の遊猟場である江戸川筋御猟場であり、その後、村営の猟区が設置される、鳥をめぐる歴史を紹介するものです。コンパクトな展示ながらも、身分制社会のなかでの御鷹場、皇室など限られた人々のための御猟場、そして、民間にも開放された猟区という図式で歴史の大きな流れにも沿い、核となる資料を並べ、春日部市域を含む東部地域にも共通する内容になっています。淑徳大学の博物館学芸員課程を履修する学生さんたちと設営した展示だそうで、とてもよい展示だと拝見しました。

現在、同館では、9月19日まで、企画展「八潮建物解体新書」も開催しています。こちらもあわせてお楽しみくだされば幸いです。

 ◆八潮市立資料館「八潮の御鷹場・御猟場」

  会期:7月20日(水)~9月4日(日)

  開館時間:9時~17時00分(民家は15:45まで)

  休館日:月曜日

  住所:八潮市南後谷763-50

  電話:048-997-6666

  https://www.city.yashio.lg.jp/kurashi/shisetsuguide/shiryokan/index.html

展示解説講座その2「梅田ごぼうの献上」

8月20日(土)講師に二ノ宮幹太先生(宮内庁宮内公文書館)をお迎えして、「明治天皇と春日部」展の展示解説講座を開催しました。

テーマは「梅田ごぼうの献上」。二ノ宮先生は、現在開催中の「明治天皇と春日部」展において、「第3章春日部市域の恩賜と献上」の展示設営を担当いただいた方です。梅田ごぼうは、春日部市内では割と知られた特産農産物。梅田女體神社の石碑もあり、大正時代に皇室に献上されたことが語たり継がれてきました。そのことは、前にも紹介しました。

前回の講座に引き続き、今回の展示解説講座では、現在「明治天皇と春日部」展で展示されている資料を丁寧に読み解きながら、皇室への献上の仕組みやプロセス、宮内省・埼玉県・南埼玉郡・内牧村の間で発信・授受される公文書のサイクルをまじえながら、梅田ごぼうがどのような目的で、何のために、どのように献上されていったのかを、解説いただきました。宮内省や埼玉県には梅田ごぼうの献上に関わる公文書が残されていますが、郡・村には文書がのこされていません。資料が限られているなかで、至極丁寧に史料を解釈され、歴史学研究の鑑のような報告だったと思います。

写真:講座の風景

質疑応答では、地元の石碑に刻まれる「大嘗祭御買上」と公文書の「伝献」「献上」はどう違うのか。梅田ごぼうは実際に供物としてささげられたのか、献上の規定の条文の解釈について、など、かなり鋭い質問が投げかけられました。

また、梅田ごぼうを実際に召し上がったことのある方も発言され、「昭和50年頃に甘辛く煮て食べ、香りがよくおいしかった」と、在りし日の梅田ごぼうの味を会場で共有することもできました。

写真:解説される二ノ宮先生

「伝説のごぼう」と言われますが、梅田ごぼうのことが着々と判明してきた貴重な機会となりました。

受講者の方からは、「公文書から梅田ごぼうのことがよくわかった」「丁寧なお話しありがとうございました」などの感想をいただきました。二ノ宮先生には、ご多忙のところ、貴重なご講演、丁寧なご対応、大変ありがとうございました。

展示解説講座は、引き続き、宮内庁宮内公文書館の辻岡健志先生をお迎えして、「埼玉鴨場の設置について」を解説いただきます。ぜひ、お申込みください。

#大人も子どもも 「明治天皇と春日部」展

9月4日(日)まで絶賛開催中の「明治天皇と春日部」展。内容は大人向け(歴史好きな人向け?)かもしれませんが、子どもでも楽しめる仕掛けを用意しています。今日はそんな一面をご紹介。 #かすかべプラスワン

まずは、以前にも紹介した「まとめすごろく」。白黒印刷の双六を配布していましたが、わりと好評で、カラー刷りの要望も出てくるほど。学校の先生方に教材としても利用していただきたいくらいです。現在は、ちょっぴり無理をして、カラー刷りですごろくを配っています。

さて、すごろくだから、サイコロがほしい、というご要望もあったので、サイコロを用意してみました。担当者としては正直どうかな~と思っていましたが、早速、小学校のご兄弟が夢中になって遊んでくれていました。嬉しいので、写真を撮らせていただきました。

 写真:まとめすごろくで遊ぶ兄弟

結構、白熱していました。「まとめすごろく」は、すごろくで展示の内容を総ざらいできる忙しい人向けの仕掛けです。お子様も「近代の皇室と地域の歴史」がわかるかも・・・しれません。

 

話題はもう一つ。当館の人気コーナーの一つ、体験コーナー。体験コーナーでは、昔のおもちゃで遊んだり、昔の道具を体験できます(もちろん感染症対策は万全です)。実は「明治天皇と春日部」展にあわせて、新たなおもちゃを用意しています。その名も「クロックノール」。

宮内庁が編さんした『昭和天皇実録』の中に、昭和天皇が幼少時代に「クロックノール」という遊びをされていたことが記されているそうですが、詳しいことは不明とのこと。巷では「クロックノール」は謎の遊びといわれています。

このたび春日部市郷土資料館では、「明治天皇と春日部」展に合わせて、「クロックノール」という遊びを再現してみました。色々な説はあるようですが、一説には「クロキノール」と呼ばれる、おはじきとカーリングを合わせた対戦型ボードゲームと解釈されています。そこで、明治36年の文献「クロック術」をもとに、これを作ってみました。すべて職員の手作りです。

これも「遊ぶ子はいるかな~」と思っていましたが、先日、兄妹で仲良く「クロックノール」してくれていました。「わいわい」「きゃーきゃー」言いながら楽しそうでした。おはじきのような遊びは今の世代の子どもたちにとって、かえって新鮮なのかもしれません。

写真:クロックノールで遊ぶ兄妹

昭和天皇も遊ばれた「クロックノール」(かもしれないおもちゃ)で、遊んでみてはいかがでしょうか。

企画展示「明治天皇と春日部」は9月4日(日)までです。