ほごログ(文化財課ブログ)

タグ:くらしのうつりかわり

【展示】なつかしい町の駄菓子屋(資料編)

開催中の「くらしのうつりかわり」展では、少し昔の駄菓子屋について紹介しています。昔の駄菓子屋については資料が遺りにくいため謎が多いのです。

以前、店舗・店先について紹介しましたので、今回は展示資料について紹介します。

展示資料は、以前ご寄贈いただいたもので、昭和40年~50年代の駄菓子屋で売っていたおもちゃ類です。少し懐かしい感じで、販売された状態で残っているのは珍しいと思います。

展示資料は、いくつかあるのですが、今回紹介するのは、「テレビ人気者かるた」です。当時子どもたちに人気のあったテレビの主人公や登場人物が描かれています。札は自分で切り取るタイプで、バラバラにならずに残っています。

画像:テレビ人気者かるた(全体)

絵札をみると、おばけのQ太郎、サイボーグ009、バットマン、ウルトラマンなどが描かれています。多色刷りですが、色が重なっており、出来栄えはそれほどよくありません。「著作権」や「商標」といった権利関係もあいまいだった当時ならではの製品、いわゆる海賊版であり、コンプライアンスが浸透している現代日本では製作するのは困難であると思われます。

画像:カルタ絵札部分

読み札もあり、たとえば「お」は「おばQのはねつき」、「く」は「くにんめのゆうしゃサイボーグ009」といった具合です。以下、上の画像は「やーっペギラのしゅうげき」(ウルトラQ)、「えーいとばかりおのふるワタリ」(大忍術映画ワタリ)、「てきとたたかう遊星仮面」(遊星仮面)、「あなたのおなまえなんざんす」(オバQ)、「みをまもるバットマンカー」(バットマン)、「しょうちゃんのせてそらのさんぽ」(オバQ)、「ひとよんで遊星仮面」(遊星仮面)です。読み札が5・7・5にもなっていないのが特徴的です。

上記のキャラクターやジャングル大帝や鉄人28号などは、1980年代生まれの職員でも分かったのですが、そのほかのキャラクターについてはよくわかりませんでした。そこで読み札に登場するキャラクターを調べてみたところ、カルタは次の作品から構成されていることがわかりました。

  • 鉄人28号 1963年~66年
  • オバケのQ太郎 1965年~67年
  • 遊星仮面 1966年~67年
  • ジャングル大帝 1965年~67年
  • サイボーグ009 1966年(劇場版)
  • 怪鳥人間バットマン(実写) 1966年
  • ウルトラQ(特撮) 1966年
  • ウルトラマン(特撮) 1966年~67年
  • 忍者部隊月光(実写) 1964年~66年
  • 大忍術映画ワタリ(特撮) 1966年
  • マグマ大使(特撮) 1966年~67年

以上から、この「テレビ人気者かるた」は、1967年(昭和45年)ごろに制作されたものではないかと考えられます。

ただ、よくわからなかったのが、「のたうつ カネロン おさえつけ」の札で、ウルトラマンらしきヒーローが角の生えた怪獣を押さえつけている絵札があります。ウルトラQにはガメロンやカネゴンが登場するようですが、ウルトラマンには「カネロン」という怪獣は登場しないようです。

それから、「うちゅうにんじゃ ハチコン隊長」の札です、おそらく「忍者部隊月光」に関連したものだろうと考えられますが、作品を見たわけではないので残念ながら「ハチコン隊長」なる者が何者なのかわかりませんでした。ご存じの方がいらっしゃいましたら、教えてください。

いずれにしても、作品をよく知らない大人が、リサーチをきちんとせずに付け焼刃で作ったのだろうと想像されます。当時の子どもたちは、このカルタをどのように受け止めていたのでしょうか。

子どもたちの社交場である駄菓子屋の歴史は大変遺りにくいものです。先日の講演会でも、粕壁の駄菓子屋についてお話しがありましたが、子どものころの記憶は曖昧でわからなくなってしまいます。

展示資料から、昭和40年代の駄菓子屋を囲む子どもたちの情景を読み取ってみるのも面白いのではないでしょうか。おすすめの資料ですので、ぜひご覧ください。

【展示】なつかしい町の駄菓子屋(店頭編)

「くらしのうつりかわり」展は、少し昔の町やくらしを紹介しています。今回は、展示のみどころの一つでもある、新たに設けた一コーナー「こどもたちの社交場~駄菓子屋のきおく」の展示資料を紹介します。

今回、昭和31年(1956)生まれの粕壁地区の方に、子どもの頃によく通った駄菓子屋の店頭のイラスト(描き下ろしです)を提供いただきました。昭和30年代の粕壁には、いくつもの駄菓子屋があったそうです。

画像:駄菓子屋のイラスト

イラストは、現在の粕壁東1丁目3-18付近にあった「はっとりや」(服部屋)という駄菓子屋です。

入り口はガラス戸が4枚、床はコンクリートの三和土(たたき)。正面のガラス戸の戸棚にはプラモデルが並び、背の低い台には様々な駄菓子が並んでいます。間口奥行きともに2間程度の広さで子供の頃にはとても広く感じたといいます。

よく買った駄菓子は、「ピンク色の麩菓子」「赤いニンジン型の袋に入ったポン菓子」「真っ赤な大根の酢漬け」「きなこ棒」「串に刺した薄っぺらな鈴カステラ」「酢漬けイカ」「試験管に入ったヨーグルトっぽいやつ(竹串で食べる)」「風船ガム」など。夏には「アイス」「かき氷」「ところてん」を食べたそうです。私は世代が違いますが、「赤いニンジン型の袋に入ったポン菓子」「真っ赤な大根の酢漬け」「きなこ棒」「ヨーグルトっぽいやつ(竹串で食べる)」を食べた記憶があります。世代を超える駄菓子も少なくないようです。

玩具類では、「凧」「紙飛行機」「ゴム動力のプロペラ飛行機」「縄跳びの縄」「カラーボール」「銀玉鉄砲」「ゴムパチンコ」「パース」「コマ」「ベイゴマ」「花火類」があったそうです。「パース」というのは、春日部のあたりでは「めんこ」のことを指します(以前紹介したことがあります)。「はっとりや」では、他の駄菓子屋にはないプラモデルも売っており、初めて買ってもらったプラモデルはレーシングカーでとてもうれしかったそうですが、自分では組み立てられず、お父さんに作ってもらったそうです。いい思い出ですね。

駄菓子屋は、大人が立ち入らない「こどもたちの社交場」であり、写真や記録に残ることは稀です。このイラストは、写真などの資料に頼らず、子どもの頃の記憶を呼び起こして、本当に細部まで緻密に丁寧に描いたものです。もちろん絵心がなければここまで描けませんが、よく憶えているなぁと、ただただ感心するばかりです。「はっとりや」以外にも、展示では「たまや」「あいざわ」「やまざきや」のイラストも紹介しています。ぜひご覧ください。

次回は、駄菓子屋で販売されていた懐かしの玩具(展示中)について紹介します。お楽しみに。

明るく楽しく懐かしく

令和3年10月12日(火)市内の高齢者施設の方々が郷土資料館を見学されました。

今日は午前中が小学校の団体、午後が高齢者施設の団体と幅広い年齢層の皆様にご来館いただいきました!

 

くらしのうつりかわり展解説

昔の生活道具をご覧になり、白黒テレビをみて「これはダイヤルが取れちゃうんだよ~」という声がきこえたり、展示物に表記された年代をみて「俺の生まれた年だ」とおっしゃる方もいたりと、昔を思い出して賑わっていました!

宿場模型解説

他にも、宿場の模型をみて「江戸博みたいだな」とおっしゃる方や、なつかしのおもちゃ「けん玉」で遊ぶ方もいらっしゃり、本来予定していた見学時間を上回るくらい楽しんでいただけたようです。

 

郷土資料館はデイサービスなど、高齢者施設の方々の見学も歓迎しています。換気や消毒などの感染対策を行ったうえで、団体見学のご希望もお待ちしておりますので、ぜひご相談ください。

 

懐かしい暮らしで元気に

11月8日(日)市内の高齢者施設の方々が #春日部市郷土資料館 を見学されました。 #かすかべプラスワン

みなさん、高度経済成長前後の生活道具をご覧になって、「若いころちゃぶ台を使っていた」とか「炭を使って、アイロンを使った」など、昔のことを懐かしんでお楽しみいただけたようです。

写真:高齢者施設の方々

郷土資料館はデイサービスなど、高齢者施設の方々の見学も歓迎しています。

なお、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、入館は一度に30人程度までとさせていただいております。団体でご見学を希望される場合は、事前にご相談いただければ幸いです。

【はじまりました】「くらしのうつりかわりーなつかしい昔の道具」展

令和2年10月6日(火)より、小学校地域学習展(第37回)「くらしのうつりかわりーなつかしい昔の道具展」がはじまりました。

この展示では、今から約60年前の、道具やくらしの変化、そしてまちのうつりかわりを紹介するものです。小学校第3学年の社会科地域学習単元に対応した内容になっていますので、お子様でも楽しく学べる内容になっています。ご家族でぜひご利用ください。大人の方は、昔を懐かしんでいただける内容として、お楽しみいただけます。

画像:展示のポスター

この展示会は、毎年恒例なのですが、コロナ禍にあってハンズオン展示が難しいということもあり、今回は大幅に展示物や陳列方法を見直してみました。

担当者のおすすめは、新設した「切手と収蔵品でたどる20世紀」のコーナーです。

写真:展示資料

平成11年・12年に発売された20世紀デザイン切手を軸に、切手の図柄に描かれるゆかりの収蔵品を合わせて並べてみました。しかし、数万点はくだらない当館の収蔵品でも、昭和40・50年代の資料は乏しく、頭を悩ませました。

そこで、粕壁のレコード店に駆け込み、当時流行したレコードを捜し、陳列することにしました。ピンク・レディー「UFO」、ささきいさお「宇宙戦艦ヤマト」、山口百恵「秋桜」などがそれです。担当者は同時代を知りませんが、レコードジャケットの風合いが懐かしさを醸し出していると思います。そのほかにも、時代を象徴する出来事にゆかりの資料を展示していますので、ぜひご覧ください。

 

展示名:小学校地域学習展(第37回)「くらしのうつりかわりーなつかしい昔の道具展」 

会期:令和2年10月6日(火)~令和3年3月21日(日)

休館日:月曜日・祝日・年末年始

入館料:無料