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考古学講座第5回を開催しました
1月28日に考古学講座第5回を開催しました。
今回は、前回残してしまった1.春日部市の古墳時代の遺跡についてと2.春日部市の奈良・平安時代についてお話しました。やはり、時間が足りなくなってしまいましたので、次回からは時間を延ばすか回数を増やすかで対応したいと思います。
春日部の古墳時代と奈良・平安時代について、簡単にまとめますと以下の通りです。
・古墳時代前期は、著名な遺跡として東中野の権現山遺跡があり、方形周溝墓が発見されている。
・古墳は古墳時代後期になって、内牧に塚内古墳群、東中野に向之内塚山古墳が作られる。
・集落は、古墳時代前期、後期のものが多く、低地でも発見されている。
・奈良・平安時代の遺跡は、市内北東部の宝珠花台地や、小渕、浜川戸で発見されている。
・奈良・平安時代、律令国家の制度下では、古利根川~古隅田川の流れが、武蔵国埼玉郡と下総国葛飾郡を分けていた。
・奈良・平安時代も多くの人は竪穴住居に居住していたが、調理場としてのカマドが一般化する。鉄製品も多用されている。
・奈良・平安時代の火葬墓が浜川戸遺跡で発見されている。
今年度の考古学講座は今回で最後でした。5か月にわたる受講、大変お疲れさまでした。来年度も連続講座を2024年9月ごろから開始したいと思います。時間が足りないので、何らかの形で時間を増やしたいと考えています。いずれにしても、広報やほごログで9月ごろご案内いたします。
さて、考古学講座では、毎回、発掘調査の現地説明会や博物館や資料館の考古学に関する特別展や企画展、講座などを紹介しています。詳細は各所のサイトをご確認いただくか、資料館でポスター掲示やチラシ配架なども行っていますのでご利用ください。考古学講座が無い期間も、毎月28日ごろを目安に、発掘調査現地説明会や考古学関連の展示会情報をお知らせしたいと思います。
(現地説明会)
・2月10日(土)行田市愛宕山古墳(埼玉古墳群)発掘調査現地説明会
(講演会)
・2月15日(木)~22日(木) オンラインセミナー「大木戸遺跡の低湿地調査」ー縄文時代の宝箱
(展示会_閉会日順)
・川口市郷土資料館 11月3日(金)~2月25日(日)「縄文のナニコレコレミテ」
・本庄早稲田の杜ミュージアム 1月10日(水)~3月24日(日)「弥生時代の児玉・深谷地域」
考古学講座第4回を開催しました
12月24日に考古学講座第4回を開催しました。
今回は、1.年代の決定、2.春日部市の古墳時代の遺跡についてがテーマでしたが、古墳時代のお話はさわり程度で、前回途中になってしまっていた弥生時代についてのお話をしました。古墳時代については、また次回にお話ししたいと思います。
考古学が扱う年代には、大きな概念として「相対年代」と「絶対年代」があります。地層塁重の法則や型式学から導かれる遺構、遺物の新旧のことを相対年代といいます。これに対して、今から○○年前や西暦など、数字で表現される年代を絶対年代といいます。考古学で遺物などから絶対年代を求める場合、多くは科学的な方法が使われます。
現在、数多くの年代測定法が開発されていますが、今回は一番よく知られる放射性炭素年代測定法、年輪年代測定法をご紹介しました。
放射性炭素年代測定法は、アメリカのウィラード・フランク・リビーによって開発された方法で、ベータ線を放出しながら壊れていく炭素14を調べることによって年代を測定します。かつては放出されるベータ線から測定するベータ線計測法が用いられていましたが、近年は、少量の資料でも計測できる加速器質量分析法(AMS法)が主流となっています。AMS法は、炭素12、炭素13、炭素14が加速器により加速され、分析電磁石の中で曲がる際に、重量の違いから生じる遠心力によって曲がる方向が分かれ、3つの炭素がふり分けられます。
また放射性炭素年代測定法で導き出された年代は、炭素14年代の変動を示した暦年較正グラフによって誤差を修正する作業が行われます。グラフの傾きが鋭い部分は年代が絞り込みやすいですが、平らな部分は広い年代となってしまう特性があります。
年輪年代法は、伐採年がわかる複数の木材から作られた年輪の変動パターンを利用して、対象となる木材の年輪が合致する部分を特定し、年代を求める方法です。年輪年代法で年代がわかるのは、木材の伐採年であり、伐採年と資料が使用された年代に開きがある場合や、材木として加工されてしまい、樹皮に近い年輪が残っていない場合などは、年代測定の精度が下がります。
アンケートでは、放射性炭素年代測定の方法は難しくよくわからなかったというお声がありました。私自身もよく理解できていないところがあり、かえって難しく説明してしまったかもしれません。インターネット上でもたくさんの先生が、仕組みなどについての資料を公開していますので、検索してみてください。
さて、考古学講座では、毎回、博物館や資料館の考古学に関する特別展や企画展を紹介しています。詳細は各所のサイトをご確認いただくか、資料館でポスター掲示やチラシ配架なども行っていますのでご利用ください。
(展示会_閉会日順)
・ 埼玉県立歴史と民俗の博物館 11月14日(火)~1月14日(日)「縄文コードをひもとくー埼玉の縄文土器とその世界 」(新年は1/2から開館)
・岩槻郷土資料館 11月21日(火)~1月21日(日)「縄文時代のさいたま」
・川口市郷土資料館 11月3日(金)~2月25日(日)「縄文のナニコレコレミテ」
考古学講座第3回を開催しました。
考古学講座第3回を開催しました。
本日は、1.分類と型式学、2.春日部市の弥生時代の遺跡についてがテーマでしたが、弥生時代のお話が途中になってしまっていますので、また次回に補足したいと思います。
考古学における分類について、特に遺跡で発見された遺物は、人工遺物か自然遺物か、人工遺物の素材は何か、機能は何か、デザインや製作技法に違いはあるか、といった複数の基準で分類され、整理されます。そしてデザインや製作技法をもとに分類した指標として「型式」が設定されます。型式は装飾的要素と機能的要素が設定の基準となっており、機能的要素には技術革新により変化するものと、機能の実用性が喪失しているにもかかわらず、装飾などとして残る場合があります。
土器の中でも縄文土器は、遺跡名を付した型式が細かく設定されていますが、これは型式として初めて設定できた土器群の出土した遺跡名をつける場合が多いです。
春日部の弥生時代については、倉常の須釜遺跡で発見されている再葬墓について、再葬とは何か、再葬の根拠などについて、お話ししました。
春日部市も含まれる埼玉県東部地域は、弥生時代の遺跡が非常に少ない地域です。そのような状況の中で、平成13年(2001)に低地に立地する須釜遺跡から、弥生時代の本格的な遺跡が発見されました。また春日部市内では、谷原新田でも、水路の工事中に弥生土器が1点発見されています。
埼玉県東部地域は、現在のところ弥生時代の遺跡数は少ないですが、調査が及んでいない低地の部分に未知の弥生時代の遺跡が存在している可能性があります。
考古学講座では、毎回、博物館や資料館の考古学に関する特別展や企画展を紹介しています。詳細は各所のサイトをご確認いただくか、資料館でポスター掲示やチラシ配架なども行っていますのでご利用ください。
(現地説明会)
12月9日(日)午前10時~11時30分、午後1時30分~3時
史跡真福寺貝塚発掘調査現場(さいたま市岩槻区城南3丁目949番地付近)
(研究会)
・12月2日(土)研究会「埼玉の縄文時代後晩期研究の現状」 埼玉県立歴史と民俗の博物館(申し込み不要)
・1月28日(日)公開セミナー「旧石器から縄文へ」 荏原文化センター大ホール(往復はがきで申し込み要)
(展示会_閉会日順)
・東京都北区飛鳥山博物館 10月24日(火)~12月10日(日)「北区貝塚物語」
・宮代町郷土資料館 10月28日(土)~12月24日(日)「古代のみやしろ-古墳時代の宮代町-」
・久喜市郷土資料館 10月14日(土)~12月27日(水)「大集合!久喜市の遺跡」
・ 埼玉県立歴史と民俗の博物館 11月14日(火)~1月14日(日)「縄文コードをひもとくー埼玉の縄文土器とその世界 」
・岩槻郷土資料館 11月21日(火)~1月21日(日)「縄文時代のさいたま」
・川口市郷土資料館 11月3日(金)~2月25日(日)「縄文のナニコレコレミテ」