ほごログ(文化財課ブログ)

カテゴリ:郷土資料館

郷土資料館体験講座「ミニぞうりを作ろう」を開催しました

令和元年10月26日(土)、郷土資料館体験講座「ミニぞうりを作ろう」が開催されました。

体験講座

長さ3mの江戸打ち紐を3本使い、10cmほどの可愛いミニぞうりを作りました。ぞうり本体は、江戸打ち紐を互い違いに編んで作り、最後に鼻緒を、かぎ針を使い本体に編み込んで完成させます。

ミニぞうり作り

参加者の皆さんからは、「自宅で、もっと小さな物を作ってお財布の飾りにしよう」「すごく楽しかった」と喜んでいました。

ミニぞうり作り
 
次回体験講座「しめ縄を作ろう」は、12月15日(日)・12月21日(土)です。ご参加をお待ちしております(事前申込必要)。

【常設展・ぷち展示替】明治43年の水害資料

つい最近展示替した水害資料がそこそこ反響がありましたので、その隣のコーナー「水とのたたかい」の資料も展示替えしました。展示替えといっても、展示のページをめくっただけなので、「ぷち展示替」です。
写真:少し展示替したコーナー
展示替えした資料は、明治43年(1910)の水害を記録した「幸松村水害誌」です。
この資料は、編者の幸松尋常小学校の教員によって「後日ノ参考備忘ニ供スル」ため編さんされたもので、幸松村の被害状況などが克明に記録されています。
今回は、浸水の状況・面積・罹災した戸数・人口の箇所を展示しています。
なんと、村民の99%、村の土地面積の99%が浸水被害にあい、8月11日・12日に浸水した水が完全に引いたのは10月20日だったといいます。
「うめわかくん」の展示解説も付しましたので、あわせてご覧ください。なお、「幸松村水害誌」は定期的に展示替え(ぷち展示替)をする予定です。お楽しみに。

古文書勉強会の成果(その14)

令和元年10月20日(日)古文書勉強会を開催しました。この勉強会では、市民の方々が主体的に市内神間地区ゆかりの江戸時代の古文書=神間村文書(春日部市郷土資料館所蔵)を解読しています。これまでの成果はこちらからさかのぼって御覧になれます。
写真:勉強会の風景
くずし字の解読を自主学習されてきた新たな方も加わり、20名の方が出席されました。
解読に先立って、参加者の方から、以前読んだ寛政7年(1795)の御鹿狩の古文書に登場した「竹貝」を自ら作ってみました、と本物の「竹貝」をご披露いただきました。
写真:市民の方がつくった竹貝
「竹貝」については、「竹貝」と読むか、「竹具」と読むか、古文書解読で意見が分かれたところでした。
あわせて「竹貝」の演奏の実演も。ほら貝のような音色に一同驚きました。東日本ではほら貝が取れないため、古くから竹を加工した「竹ぼら」という楽器が使われたそうです。
写真:竹貝をふく実演
郷土資料館でやるべきことを、市民の方に実践していただき、頭が下がります。機会をみて、解読した古文書とともに展示させていただければと思います。

さて、今回解読したのは、寛政7年(1795)2月「御鹿狩野場賄諸入用取立覚帳」(神間村文書№346)です。御鹿狩の費用銭18貫文の負担を神間村の村人たちで割り合ったものです。帳簿なので、決して丁寧とはいえないくずし字に苦戦し、判読不能の文字もありましたが、何とか読み終えました。
写真:古文書写真写真:古文書の本文
ここで当日参加された方への事務連絡です。「弐」なのか「八」なのか読めない字は、計算してみましたが、そもそも計算が合いませんでした。なので「八」と読んでいます。
以下、釈文です。

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●神間村文書№346

(表紙)

「   寛政七年

  御鹿狩野場賄諸入用取立覚帳

    卯二月吉日        」

 

   覚

一、銭拾八貫文

此わり

一、五百五拾六文     吉左衛門

一、五百八十一文     同人

   壱分取、三百三十八文返し

一、百四十四文      惣左衛門

一、三百四十一文     源蔵

   弐朱受取

   三百九十一文返シ

一、弐百三十文      冨五郎

一、弐百三十五文     同人

一、三十五文       常右衛門

一、四百七十五文     茂七

一、四百七十一文     長右衛門

   弐朱ト八十三文返シ

一、三百五十弐文     同人

一、七百三十弐文     義助

   弐朱取、四文返シ

一、七百八十文      忠右衛門

一、百十五文       平治郎

一、百九文        同人

一、七百四十文      与□(四カ)右衛門

一、壱貫百廿六文     半右衛門

   壱分取

   三百四十六文返シ

一、八百十文       常右衛門

   弐朱ト百九文

一、六百十五文      弥右衛門

一、五百十六文      平七

   弐朱取

   二百廿文返シ

一、四百四十五文     藤蔵

一、百八十三文      浄□坊

   弐朱取

   五百四十九文返シ

一、三百六文       重左衛門

一、三百廿六文      甚五兵衛

一、六百廿八文      忠七

   弐朱取

   [  ]八文返シ

一、六百八十八文     幾右衛門

一、六百廿弐文      恒七

   弐朱請取

   百拾六文返シ

一、六十三文       磯七

一、壱貫弐百四十六文   三郎右衛門

   百六十弐文ふそく

一、三百五十文      忠蔵

一、廿六文        愛宕山

一、弐百四十三文     兵左衛門

 弐朱取

 四百八十九文返シ

一、七百六文       同人

一、五百弐文       吉五郎

   弐朱取

   弐百三十四文返シ

一、四百六十七文     重左衛門

一、壱貫十四文      藤右衛門

一、七十四文       直次郎

一、四百文        三右衛門

一、七十四文       念相いん

一、五十七文       文右衛門

一、七百廿九文      同人

〆十八貫百六十四文

      百六十四文取立過

[       ]達而

相談之通り

割合致候間

来ル廿九日九ツ時

無間違念相院へ

御持参可被成候、以上

 

  卯二月廿七日

 

 

取立〆金弐両三分ト

     壱貫七百六十九文

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以上です。次回は11月2日(土)14時~。次々回は12月15日(日)14時~を予定しています。

【常設展・展示替】水害の歴史を伝える資料を展示

春日部市郷土資料館の常設展示の一部を展示替し、明和3年(1766)の水害関係資料を出品しました。
写真:樋籠村年貢仮免状
明和3年6月下旬から大雨が続き、江戸川・庄内古川(中川)が「満水」となり、江戸川は西親野井の堤防、庄内古川は永沼の堤防がそれぞれ決壊しました。このとき市域は水害を蒙りました。
展示資料は、明和4年5月「樋籠村年貢仮免状」(当館所蔵)です。
この資料は、”関東郡代”伊奈備前守役所から、樋籠村の前年の年貢取り立て額を通達するものですが、水害により「水損」した田んぼの年貢米は「米なし」と全額免除されています。水害によって田んぼの作物は全く収穫できなかったことがうかがえます。

令和元年(2019)10月12日未明に上陸した台風19号により、日本列島は近年まれにみる広域的な水害に遭いました。市内では河川の決壊・氾濫は免れましたが、浸水の被害が少なからずありました。
こうした経験を得た私たちは、いまこそ資料が物語る郷土の水害の歴史を見つめなおしてみてもよいのかもしれません。

藤塚小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました

令和元年10月18日(金)に藤塚小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました。

見学の様子

明治から昭和期の民具・農具を見たり、実際に千歯こきを使い脱穀し、少し前の農家の仕事を体験しました。

見学の様子

郷土資料館では、3月22日(日)まで「くらしのうつりかわり―懐かしの暮らしと道具展」を開催しており、昔の懐かしい道具や写真を展示しています。小さなお子様からご年配の方まで、一緒に楽しめる展示となっております。ぜひ遊びにいらしてください。

【お知らせ】11月10日歴史文化講演会の募集〆切

11月10日(土)に開催予定の歴史文化講演会「古地図で読み解く明治期の粕壁」は、おかげさまをもちまして会場の定員に達しましたので、受講者の募集を締め切らせていただきます。会場定員の都合上、当日の飛び込みのお客様もお断りする予定です。恐れ入りますが、ご了承ください。
イラスト:うめわかくん泣く

なお、11月16日・30日(全2回)に開催する歴史文化講演会「万葉の世界」の受講者募集は引き続き、受け付けております。お申し込みをお待ちしております。

桜川小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました

令和元年10月11日(金)に桜川小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました。

見学の様子

館長に兜をかぶせてもらったり、昔の春日部の写真を見て 今との違いに驚いたりしていました。

見学の様子

郷土資料館では、3月22日(日)まで「くらしのうつりかわり―懐かしの暮らしと道具展」を開催しており、昔の懐かしい道具や写真を展示しています。小さなお子様からご年配の方まで、一緒に楽しめる展示となっております。ぜひ遊びにいらしてください。

緑小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました

令和元年10月11日(金)に緑小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました。

見学の様子

少し昔に使われていた道具を実際に手に取ったり、千歯こきを使い脱穀を体験したり、懐かしい道具を触ったりしました。

見学の様子

郷土資料館では、3月22日(日)まで「くらしのうつりかわり―懐かしの暮らしと道具展」を開催しており、昔の懐かしい道具や写真を展示しています。小さなお子様からご年配の方まで、一緒に楽しめる展示となっております。ぜひ遊びにいらしてください。

【お知らせ】10月12日の古文書講座中止します

台風19号が東日本に接近する予報となっておりますので、明日10月12日(土)に予定されていた古文書講座初級・中級は中止とさせていただきます。
初回は11月9日(土)に繰り越しとなります。時間・会場は同じです。
なお、補講の予定は未定です。

受講者の皆様にはお電話にてお知らせしておりますが、念のためお知らせいたします。

画像:うめわかくんあやまる

豊野小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました

令和元年10月9日(水)に豊野小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました。

見学の様子

時代とともに変わっていった春日部を学芸員から説明を聞いたり、少し昔である昭和期の生活について、説明を聞くだけでなく、当時使っていた物を触ったりして体験しました。

見学の様子

郷土資料館では、10月1日(火)から3月22日(日)まで「くらしのうつりかわり―懐かしの暮らしと道具展」を開催します。
昔の懐かしい道具や写真を展示し、小さなお子様からご年配の方まで、一緒に楽しめる展示となっております。ぜひ遊びにいらしてください。

見学の様子
 
   ↑ 白黒映像が興味津々な児童たち♪

11月の歴史文化講演会のお知らせ

春日部市郷土資料館では、11月に2本の歴史文化講演会を行います。皆様のご来場をお待ちしております。

●11月10日「古地図で読み解く明治期の粕壁」※募集は〆切ました
 日時:令和元年11月10日(土)10時~12時
 場所:春日部市教育センター
 講師:大川明弘氏(元春日部市史調査員、近現代歴史研究者)
 定員:45名(先着順)
 費用:無料
 郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。

●11月16日、30日(全2回)「万葉の世界」
    日時:(全2回)令和元年11月16日(土)、30日(土)14時~16時
 場所:春日部市教育センター
 講師:堀越令子氏(文学研究家)
 定員:100名(先着順)
 費用:無料
 郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。

古文書勉強会の成果(その13)

令和元年9月7日(土)古文書勉強会を開催しました。この勉強会は、市民の方々が主体的に市内神間地区ゆかりの江戸時代の古文書=神間村文書(春日部市郷土資料館所蔵)を解読しています。これまでの成果はこちらからさかのぼって御覧になれます。
写真:勉強会の様子
今回は、寛政7年2月「御鹿かりニ付御廻状写」を講読しました。
この史料は前に講読した「御鹿狩ニ付御触書之写」にも含まれる記事でしたが、若干記述が異なり、復習もかねて、史料の解釈を深めることができました。釈文は以下の通りです。

写真:古文書353表紙
写真:古文書353本文

●神間村文書№353

(表紙)

    御鹿かりニ付御廻状写

                」

 

追而東西葛西領・渕江領・小金領村々より出人足ハ勢

子相済候上、御獲松戸河岸迄持送相勤事ニ付、

御狩相済候ハヽ一纏ニ集り残可申、尤御扶持方ハ

弐人分被下之候

当卯三月五日小金原 御鹿狩勢子人足割

村限出人足書面之通候条、別紙書付之趣

相心得、村毎宰領付添、三月二日朝四時迄別紙帳

面ニ記置候揃所江罷出、勢子差引役人之差図を

請、猪鹿追立ハ勿論立切とも可勤、右之外

村限有人別不残罷出、村内追立可申、老人子

供病人等差出候歟、又ハ遅参不参於致

は急度相咎条、得其意触書村下ニ令請

印飛脚之ものへ可相渡もの也

    三河口太忠

    竹垣三右衛門

 卯二月三日   役所印

           右村々

             名主

             年寄

             百姓代

 

 

 下総国葛飾郡中ノ台村地内字浅間下詰人足

    下総国葛飾郡

一六人     花嶌村

一六人     細野村

一弐十三人   槙野地村

          寺領共

一拾弐人    下木津内村

一拾三人    上木津内村

一六人     目沼村

一十弐人    屏風[  ]

一廿三人    宮前[  ]

一三十五人   鷲巣村

一廿五人    西宝珠花村

一拾四人    木ノ川村

一五拾三人   深輪村

一七拾三人   榎村

一四拾八人   芦橋村

一三拾三人   木崎村

一弐拾六人   西宝珠花村

一五拾壱人   上吉妻村

一三拾八人   下吉妻村

一九拾弐人   神間村

 

人足出方心得書付

一壱村限人足何拾何人何村と認候幟壱本

才料之もの持出人数右幟江引合可申候事

  但シ才料之もの高張烑灯壱張宛持出可申候

一村限出人足ニ応し弁当并呑水等用意

可有事

  但雨天御延引日送り被仰出候節之

ため二日分余慶ニ可持出事

一猪鹿追立用い候長七八尺之竹棒之内

壱人ニ付壱本宛并長三尺位之縄壱筋ツヽ

竹貝・細(ママ)貝之内壱ツ宛持出可申候事

    但ㇱ本文之外鳴物勝手次第持出可申候

一右幟右挑灯弁当持人足は高割人数之外可出候事

右之通り心得無差支様可致候、以上

  卯二月

 



次回の日程は、10月20日(日)14時~、次々回は11月2日(土)14時~を予定しています。

モダンな双六(新収蔵品)を展示しています

令和元年10月1日(火)から始まった「くらしのうつりかわり」展で、新規収蔵品の「粕壁町商売繁栄双六」を展示しました。
写真:粕壁町商売繁栄双六(異本)
この双六は、昭和初めに印刷されたもので、双六のマスが粕壁町の商店の広告になっているものです。以前にご寄贈いただいた「粕壁町商売繁栄双六」とは別のタイプのもので、描かれている商店も異なります。双六については、お子さん向けの講座などで遊んだり、大いに活用させていただいています。まだまだ別系統の異本がある可能性もあります。

今回展示した双六に記載されている商店名は、以下の通りです。
油宗呉服店、島村忠太郎商店、伊勢三箪笥店、木崎六之助商店、大竹青松堂、丸清、泉屋商店、中村屋(洋品)、山幸商店、魚六、中野屋(食堂?)、幸松屋時計店、外島医院、岡田(そば屋)、後藤書店、永井商店、橋本薬局、正木洋品店、鍋屋(新聞?)、吉田屋(学用品)、文化堂、越沼自動車、興文堂、春日屋支店、正木洋服店、入舟、オータヤ靴店、丸八酒店、中井洋品店、中屋、岡村時計店、千歳、美ツ和食堂、産婆関根、松本洋服洋品店、鳥松商店、永島茶舗、アヅマ写真館

今回の展示では、これらの商店と以前いただいた双六の商店を、昭和48年(1973)の住宅地図(春日部市内では最古です)で所在地を示してみました。
昭和48年にの地図では見つからないお店、現在も続く老舗のお店など、粕壁の町並みの移り変わりがよくわかります。

いろいろ調べても、所在地や詳しい業種がわからない商店もありました。ぜひごらんいただき、わかることがあれば教えていただければ幸いです。

くらしのうつりかわり(小学校地域学習展)を開催します

令和元年10月1日(火)より、第36回小学校地域学習展「くらしのうつりかわりー懐かしい昔の道具展」を開催します。

小学校3年生の社会科で学ぶ「地域学習」に即し、主に明治から昭和時代に実際に使われた、日常的な道具や農作業用具を展示します。
小学生だけではなく、ご高齢の方や若い方も、懐かしい道具をご覧になって楽しめる内容となっております。

この機会にぜひ、ご家族お誘いあわせの上、ご来館ください。

<第36回 春日部市郷土資料館小学校地域学習展「くらしのうつりかわり」>
会期:令和元年10月1日(火)~令和2年3月22日(日)
会場:郷土資料館 企画展示室(春日部市粕壁東3-2-15 教育センター1階)

観覧料:無料

地域学習展ポスター
地域学習展ポスター(PDF:460KB)

春日部市郷土資料館9月の休館日のお知らせ

郷土資料館は9月中、下記のとおり休館いたしますので、ご来館の際はご注意ください。
<9月の今後の休館日>
16日(月・祝)・17日(火)
21日(土)・22日(日)・23日(月)・24日(火)
30日(月)

9月21日(土)~24日(火)は、館内燻蒸作業を行うため臨時休館いたします。
ご迷惑をおかけいたします。

出張展示 庄和図書館 三上於菟吉と春日部展

三上於菟吉顕彰会と庄和図書館との共催による、連続講座「三上於菟吉と春日部」が、10月12日(土)、11月9日(土)、12月8日(日)、いずれも14時~15時30分に開催されます(定員30名・申込順 お申込みと会場は庄和図書館048-718-0200)。

これに先立ちまして、春日部市郷土資料館では、庄和図書館にて、ミニ展示「三上於菟吉と春日部 ~時代物・現代物・翻訳・随筆 多彩な作品たち~」展を9月12日(木)から開催中です。




三上於菟吉は、明治24年(1891)庄和地区木崎に生まれ、昭和19年(1944)に幸松地区八丁目で亡くなりました。代表作『雪之丞変化』をはじめ、映画化された作品多数のベストセラー作家でした。直木賞の初代選考委員を務めたほどです。庄和図書館での出張展示も3回目となります。

会場では、三上於菟吉の処女作『春光の下に』や宝珠花付近が舞台の『百萬両秘聞』、その他初期の翻訳本『獣人』、現代物の『白鬼』、唯一の随筆集『随筆 わが漂泊』、妻長谷川時雨の『近世美人傳』などの貴重書を展示しております。



また、今回はお手に取って、皆さまに触れていただける本を増やしました。処女作の複写本や翻訳『三銃士』、ご当地の時代小説『百萬両秘聞』、代表作『雪之丞変化』ほかの諸書をご覧になれます。



会期は9月30日(月)までとなっております。
郷土ゆかりの作家である三上於菟吉の世界に、ぜひ触れてみてください。

【常設展】日光道中の道標

常設展示にある道標(どうひょう)2基は、日光道中沿いに建てられていたものです。
向かって左側の背の高いものの実物(展示はレプリカ)は、位置は移動していますが、今でもかつて粕壁宿であった「かすかべ大通り」に建てられています。正面に「東 江戸、右之方 陸羽みち」、右面に「北 日光」、左面に「西南 いハつき」(西南 岩槻)、背面には、天保5年(1834)二月に、それまであった木の道標から、石の道標に変えたことが刻まれています。粕壁宿の西方、新町橋方面と岩槻方面に道が分かれる辺りに建てられていたものと考えられます。

右側のものは、古利根川の川ざらいの際に発見された実物です。正面に「向 江戸道」、右面に「此方 金ノ井 一里半 岩井 四里 宝珠花 二里 野田 三里」、左面に「此方 日光道中 関宿道 四里八丁 是ヨリ三町先庚申塔ヨリ右ヘ□」と刻まれます。背面には、嘉永6年(1853)に亡くなった女性のために、安政4年(1857)に建てたとあります。新町橋の八丁目側あたりに建てられていたものと考えられます。


道標レプリカ

記念講演会・ミュージアムトークを開催しました

8月31日(土)、埼玉大学大学院の水村典弘先生をお招きして、記念講演会「成金鈴木久五郎の時代」を開催しました。この講演会は、春日部市郷土資料館で現在開催中の企画展示を記念して開催したものです。
写真:記念講演会の様子
満員御礼となった会場では、当日どうしても拝聴したいというお客様も多くお見えになり、122名もの方にお集まりいただきました。
水村先生のご講演は、鈴木久五郎がこれまでいかに評価されてきたか、久五郎が口述した資料から、彼の投資哲学を読み解くお話でした。先生は、久五郎が、ただの「相場師」「成金」ではなく、企業の合同や信託会社の設立など日本の経済界のうねりのなかで大きな信念をもって株に投資していたことを評価され、久五郎には才覚や株取引のための努力を惜しまなかったのではないか、とその人間像に迫った意欲的なお話しでした。日頃より、企業経営者や投資家の方々とご交流があり、経営学の専門家である水村先生ならではの重要なご指摘で、大変有意義なひと時となりました。
写真:水村典弘先生

個人的には、戦後から平成のバブル崩壊まで、久五郎がいかにマスメディアにとりあげられてきたのか、という問題を興味深く拝聴しました。展示担当者は無自覚ですが、2019年の今、春日部市郷土資料館が「鈴木久五郎」をテーマに据えた歴史的な意義も、実はあるのかもしれませんね。

受講者からは「成金のイメージが覆され、面白かった」「人柄や考え方を知れてよかった」「春日部に偉大な人物がいて驚いた」など、ご感想をいただきました。

翌日9月1日(日)にはミュージアムトークも開催し、関連事業は、おかげさまでご好評のまま、すべて終了しました。
写真:9月1日ミュージアムトーク
企画展示「元祖!成金鈴木久五郎」展も、残りあとわずかです。
鈴木久五郎を春日部でみられるのは、9月8日(日)まで。

8月31日の記念講演会は受付を終了しました

8月31日開催の記念講演会「成金 鈴木久五郎の時代」は、ご好評につき、定員に達しましたので受付を終了しました。
たくさんのお申し込みを頂き、誠にありがとうございました。

講演会当日、お申込みいただいた方の出欠状況を確認した上で、当日受付を行います。ご希望の方は、13時55分に春日部市教育センター2階、視聴覚ホール入口にお集まりください。
なお当日受付の場合、机が無いイスのみのご案内になる場合があること、またご期待に沿えない場合があることをあらかじめご了承ください。

●企画展示記念講演会「成金鈴木久五郎の時代」
講師:水村 典弘(みずむら のりひろ)さん(埼玉大学経済学部教授)
日時:令和元年8月31日(土)午後2時~午後4時(午後1時30分開場予定)

会場:春日部市教育センター 2階視聴覚ホール


 

常設展示をご堪能いただきました

令和元年8月23日、かすかべ案内人の会の皆さんが春日部市郷土資料館を見学されました。

かすかべ案内人の会は、ボランティアで市内の観光を案内されている団体で、当館にも県内外のお客様をご案内していただき、大変お世話になっております。普段、お客様をご案内されてはいますが、一部更新した常設展示をじっくり見たことがなかった方が多いとのことから、今回、同会の研修会として常設展示を学芸員が展示解説することになりました。

まず、館長が当館開館の経緯について説明。
写真:館長の説明

そして、考古分野の学芸員による解説。
写真:展示解説の様子

最後に歴史分野の学芸員による解説。
写真:解説2
約2時間かけて、時に質問もまじえながら、じっくり常設展示をご観覧いただきました。今後ともご協力のほど、よろしくお願いいたします。