ほごログ(文化財課ブログ)

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ゴールデンウィーク中の指定文化財公開

ゴールデンウィーク中には、牛島のフジで有名な藤花園の開園をはじめ、大凧あげ祭り、円空仏祭と文化遺産の公開やイベントが開催されます。
期間限定の花期や催しですので、ぜひ、お出かけください。

藤花園の開園
(国指定特別天然記念物「牛島のフジ」)
日時:
平成29年4月19日(水)~5月7日(日)8:00~18:00
場所:藤花園(春日部市牛島786)
入園料:
大人1,000円 、子供500円(4歳以上小学生まで)
詳細は下記ページをご覧ください。
藤花園サイト
 
大凧あげ祭り
(国選択無形民俗文化財「関東の大凧揚げ習俗」、春日部市指定無形民俗文化財「宝珠花大凧揚げ」)
日時:平成29年5月3日(水)、5日(金)
場所:西宝珠花江戸川河川敷
3日、5日とも大凧は午後2時ごろにあげられます。
詳細は下記ページをご覧ください。
大凧あげ祭り(春日部市公式サイト)

円空仏祭
(埼玉県指定有形文化財「小渕観音院円空仏群」、春日部市指定文化財「小渕山観音院仁王門」)
日時:平成29年5月3日(水)~7日(金)10:00~17:00
場所:小淵山観音院(春日部市小渕1634)
拝観料:500円(お1人様1日限り、中学生以下無料)
詳細は下記ページをご覧ください。
小淵山観音院仁王門と円空仏群の公開(春日部市公式サイト)

春日部の領主たち『新編図録春日部の歴史』からのご紹介ーその7

江戸時代、春日部市域は、江戸幕府領の村と岩槻藩領の村から構成されていました。元禄10年(1697)になると、時の将軍、徳川綱吉が「元禄の地方直し(げんろくのじかたなおし)」を行い、市域には旗本に米をおさめる旗本領が数多く設定されました。

旗本領の村では、複数の旗本が同規模の小さな領地を与えられる「相給知行(あいきゅうちぎょう)」の形が一般的でした。神間(かんま)村には、旗本中根氏の領地に囲まれた中に一区画だけ旗本能勢(のせ)氏の領地が存在しました。
また、旗本たちは江戸の暮らしが苦しくなると、しばしば村から御用金などを徴収しました。その見返りとして、写真の「旗本能勢氏下知状(のせしげちじょう)」にあるように、武士と同じく名字を名乗ったり刀を持ったりする苗字帯刀(みょうじたいとう)を名主(なぬし)に認めたりすることがありました。

「春日部の領主たち」 『新編図録 春日部の歴史』80ページ


相給知行の土地を描いた図(右側の中央に能勢氏の領地が描かれている)


文政7年(1824)旗本能勢氏下知状

鉛筆 将軍も食べた不動院野産の餅米(春季展示解説講座)のお知らせ。

チラシ


郷土資料館春季展示(第56回)に出品している資料を読み解きながら、新たに判明した郷土の歴史について解説する、講座です。
今回は、「将軍も食べた不動院野産の餅米」と題して、江戸時代に市内の不動院野で産出された餅米が、江戸城に上納された経緯などについてお話します。講師は郷土資料館学芸員です。

日時:平成29年6月10日(土)10時~12時
会場:春日部市視聴覚センター4階 研修室2
費用:無料
定員:50名(先着順)
申し込み:電話もしくは直接郷土資料館まで
お問い合わせ:048-763-2455(郷土資料館)

ご興味のある方は、ぜひお申し込みください。

にっこり 春季展示がはじまりました。

展示室入口
今回の展示は、「かすかべの宝もの14(収蔵品展)あなたの家にも眠っていませんか?~意外に身近な郷土資料」展と題して、平成29年4月8日(土)~7月9日(日)まで開催しています。
企画展示室の入口には、
前に本ブログでも紹介しましたが、平成29年3月指定の市指定文化財「神明貝塚出土の堀之内式組合せ土器」を特別に展示しています。

展示風景
展示のメインとなるのは、市内飲食店のマッチ箱、昭和50年の新聞折込みチラシ、販促品の手ぬぐいなど身近な資料から、市内に残る唯一の中世文書「北条氏政の感状」などの市指定文化財まで様々な資料を出品しています。また、収蔵品の陳列だけでなく、大学生(博物館実習生)や中学生(社会体験事業)の協力を得てすすめた整理作業の様子や、資料の活用例など、郷土資料館の活動も紹介しています。

資料取り扱いをする観覧者
さらに、資料を身近に感じていただくために、江戸時代の和書(実物)を実際にめくり、有名な武将の名前を探す、資料体験コーナーも用意しています。
春日部市内で、貴重な江戸時代の資料に触れることができるのは、郷土資料館だけです。
皆さまのご来館をお待ちしております。

謡曲「隅田川」の舞台と梅若塚『新編図録春日部の歴史』からーその6

「梅若忌(うめわかき)」という晩春の俳句の季語は、謡曲(ようきょく)「隅田川」で人買いにさらわれた梅若丸が隅田川で亡くなった旧暦の3月15日を表します。今年は4月11日が旧暦の3月15日にあたります。


梅若の伝説は、東京都墨田区と春日部市が伝承地と言い伝えられています。物語に出てくる「隅田川の渡」も、墨田区の場合は古代東海道の渡(わたし)、春日部市の場合は中世の奥州道が春日部市新方袋の近辺で隅田川(現在の古隅田川)を渡っていたと考えられています。

どちらが史実の舞台であるかといった研究は江戸時代から行われており、近世期に学問が広く普及し、地域の文化を見直す動向が芽生えていたことがわかります。しかしながら現在に至るまで確たる根拠は示されてはおらず、その真相は不明です。


梅若の伝説にとどまらず、墨田区と春日部市には、同じ地名や似た地名が多くみられます。これもどちらの地名が最初なのかはわかりませんが、川を通じた人々の交流が古い時代からあったことを示しています。


「隅田川の渡-謡曲「隅田川」の舞台-と梅若塚」 『新編図録 春日部の歴史』72ページ


満蔵寺境内図(『新編武蔵風土記稿』) 満蔵寺裏に隅田川(古隅田川)が流れている


満蔵寺梅若塚(新方袋)