ほごログ(文化財課ブログ)

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【 #拡散希望 】体験講座「桐の貯金箱づくり」

令和4年11月20日(日)午後1時30分~春日部市教育センターにて、桐のオリジナル貯金箱づくりを開催します。材料費900円。受講者、絶賛募集中です。お子様でも大人の方でも参加可。 #かすかべプラスワン

写真:桐の貯金箱

写真:桐の貯金箱づくり

かすかべ郷土カルタには「歴史ある 小さな芸術 桐小箱」という札があります。

春日部の桐箱は、江戸時代以来の地場産業であり、春日部の特産品の一つに数えられます。春日部は、江戸時代から農間余業で桐製品(桐箪笥や桐箱)づくりが盛んな地域で、特に明治時代後半には日本でも有数の桐製品のまちへと発展してきました。桐箱づくりは、明治中頃に歯磨き粉用の箱の生産をきっかけとして、大量生産化がすすみました。

体験講座の講師は、春日部桐箱工業協同組合の皆さま。数代にわたって、桐箱づくりの伝統を受け継がれてきた方々です。体験講座では、伝統の作り方、技術を踏まえた桐の貯金箱を作ります。

貯金箱の背面の板(背板せいた)は、職人さんがその場で電ノコを使って、好きな形に切り抜いてくださいます。オリジナルの貯金箱、まさに「歴史ある小さな芸術」となるでしょうか。

小さなお子様も、大人の方もお楽しみいただけます。ぜひ、ご参加ください。

お申込みは、春日部市電子申請、または郷土資料館まで(電話048-763-2455)

【常設展 #展示替 】江戸川の幻の河岸

常設展示を一部、しれっと展示替しました。郷土資料館は、春日部にかつてあったモノ・コトを掘り起こして、皆さんにお伝えします。今回は、新宿新田に、船着き場があったんですよ!という話題。 #かすかべプラスワン

展示替といっても、当館は狭いので、近現代の流通交通を紹介する一コーナーのみですが。テーマは「江戸川の舟運in新宿新田」。

展示資料は、今年初頭にご寄贈いただいた、江戸川沿いの新宿新田の船着き場の運営をされた回漕業を営まれた旧家の資料です。

市内において、近世には河岸問屋を伴う河岸は西宝珠花と西金野井の二か所あったようです。「あったようです」というのは西宝珠花の史料が残っていないので不明なのですが。

河岸問屋は、幕府に営業税を支払うことで、河岸場の「場」の運営を保障され、周辺農村から年貢の津出しが許されていました。意外に思う方も多いようですが、市内においては古利根川には河岸問屋がいませんでした。ですから粕壁宿の舟運は小取引のものに限られていたようです。時期にもよりますが、近世中後期には、粕壁宿の年貢は、西金野井から津出しされていたようです。

明治時代になると、舟運を取り仕切る業者は、近世以来の河岸問屋に限ることなく、様々な人々が回漕業を営めるようになったようです。とはいえ、西宝珠花と西金野井は明治初頭に寄航する蒸気船の寄港地として、舟運上の特権を持ち続けました。明治以降の江戸川の舟運は、蒸気船により「発達」し、昭和初頭に舟運業が衰退するまで、市域の経済活動を支えてきました。

今回展示した、新宿新田の河岸場は、代々増田家が取り仕切ってきたといわれ、増田家の当主の名により「伊和右衛門河岸」と呼ばれてきたそうです。「伊和右衛門河岸」の起源は不明ですが、近世的河岸問屋が解体して以降、おそらく明治以降に成立したものと考えられます。明治以降の大型の蒸気船の舟運を補完する、小型舟の物流を支えていた河岸場だったと推定されます。

展示した資料は、明治時代以降のもので、埼玉・千葉両県による渡船場の許可書や、河岸倉庫の設置申請書などがあります。これらの文書から、「伊和右衛門河岸」の位置が新宿新田の「字犬塚」地内にあったことが明らかになりました。現在は、江戸川改修により、河岸場の位置は河川敷になっているようですので、幻の河岸場といえるでしょう。

写真:展示ケース

新宿新田にお住まいの方、お近くにお住まいの方、舟運にご興味のある方、はたまた江戸川が好きな方は、ぜひご覧いただければ幸いです。

【共催展】撤収・搬出

9月4日までの宮内庁・春日部市共催展示「明治天皇と春日部」展の撤収・搬出が終わりました。共催展について、色々発信してきましたが、これが本当に最後の記事になるでしょう。 #かすかべプラスワン

 

8日(木)には宮内庁宮内公文書館の皆さんが来館され、展示資料の撤収作業を行いました。

写真:資料の撤収1

一つ一つ、史料の状態を確認しながら、一つ一つ、梱包をしました。狭い展示室にもかかわらず、展示作業は「あーでもない、こーでもない」と時間がかかるのに、片づけは早いのです。

記録で撮影していると、「「ほごログ」にまた出ちゃうの!?」とおっしゃっていたので、ご希望通り、全世界にご披露します。

写真:撤収の模様

宮内庁宮内公文書館の担当者の御三方が春日部の地で揃うのも、この日が最後。片づけられ、がらんとした展示ケースもあって、少し物悲しく感じた一日でした。

9日(金)は資料搬出日でした。

写真:資料の梱包

埼玉鴨場から借用した大型資料の梱包、資料の最終確認をして、宮内庁からお借りした資料は、越谷市の埼玉鴨場、そして、お城のなかの宮内庁宮内公文書館へと帰っていきました。展示していたのは、わずか2か月足らずの期間でしたが、トラックを見送るとき、ほっとしつつも少し寂しく思いました。「サヨナラ、宮内庁!」

当館で実施された、宮内庁宮内公文書館の出張・共催展示は、今後も継続して開催するとのこと。春日部会場が片付いて、宮内庁の皆さんは来年度の準備に切り替えていくそうです。

当館も別の機関への借用資料もありますが、これでひと段落。次の展示や事業に向けて、こちらも切り替えです。

宮内庁の皆さんには本当にお世話になりました。改めてお礼申し上げます。皆さまには、宮内庁宮内公文書館・春日部市郷土資料館それぞれ、今後ともご支援いただければ幸いです。

 

 

 

共催展「明治天皇と春日部」展、一部展示替をしました

9月4日(日)まで開催中の「明治天皇と春日部」展も、いよいよ折り返しです。8月9日(火)から一部展示替。後期展示が始まりました。 #かすかべプラスワン

大げさな表現ですが、展示替したのは一点のみ。明治天皇巡幸の錦絵です。明治9年に明治天皇が利根川での鯉猟をご覧になった模様を描く「奥羽御巡幸図会 利根川鯉猟天覧」を、明治9年に明治天皇が蒲生村(現越谷市)で田植えをご覧になった模様を描く「奥羽御巡幸図会 埼玉県田植展覧之図」に展示替えしました。いずれも埼玉県立歴史と民俗の博物館さんからお借りしているものですが、資料保存の観点から、展示期間は1か月との約束があり、このたび展示替えとなりました。

「奥羽御巡幸図会 埼玉県田植展覧之図」は、明治天皇が、蒲生村で馬車をとめ、たすき掛けする農夫の田植えをご覧になったもの。描かれているのは蒲生村ですが、記録によれば、大場村・大枝村(現春日部市)・大泊村(現越谷市)でも同じ光景がみられたとか。馬車は停まらなかったのですが。また、県の行政文書によれば、直前まで大場・大枝での田植えの天覧が計画されていたようです。大場・大枝のあたりでは富士山も一望できてとてもよい景色がみられたといいます。

そういうわけでは、後期展示に登場した「奥羽御巡幸図会 埼玉県田植展覧之図」は、春日部ゆかりの資料とも読み替えられそう。最終日まで展示していますので、ぜひご覧ください。

【 #7月31日 】 #今日は何の日? in春日部

今から142年前の明治14年(1881)7月31日は、再び、明治天皇が粕壁で昼食をとられた日です。 #かすかべプラスワン

「再び」というのは、以前にも紹介した通り、明治天皇は、明治9年6月3日に東北巡幸のため粕壁の竹内家でご昼食ととられているから。

明治天皇は、明治14年にも山形・秋田・北海道巡幸のため、陸羽街道をたどり、明治14年7月31日に再び粕壁の高砂屋(竹内家)でご昼食をとられました。

現在開催中の「明治天皇と春日部」展では、明治14年に明治天皇がご昼食をとられた高砂屋(竹内家)の屋敷図面を展示しています。前にも紹介したように、粕壁においては、高砂屋(竹内家)の痕跡や記憶はほとんど伝わっておらず、高砂屋に関する資料も断片的でわからないことが多かったのですが、展示の準備調査で見出した竹内家の屋敷図面は、屋敷の部屋割りや構造はもちろん、明治天皇がご入室される行程や宮内省関係者の配置が克明にわかる資料です。常設展示に展示してもいい粕壁の歴史を物語る重要な資料です。レプリカを作りたいぐらいですし、屋敷の部屋割りなどを立体的に復元することができるかもしれません。

画像:高砂屋の図面

資料の写真は、高精細ではありませんが、宮内庁のホームページでも公開されています。こちらからご覧いただけます。8月21日(日)の展示解説講座「明治天皇と粕壁宿」では、高砂屋の図面を詳しく検討したいと思っています。今回の展示の目玉資料でもあり、今後の活用も期待される春日部にとって重要な資料といえますので、この機会に展示を見にいらしてください。

さて、明治9年には、岩倉具視、木戸孝允、土方久元が供奉しましたが、明治14年にはどんな方が来たのか。著名な方では、有栖川宮熾仁親王、北白川宮能久親王、大隈重信、大木喬任らが供奉しています。明治14年の巡幸では、宿割の記録が残されており、大隈重信をはじめ、供奉した方々が滞在・昼食をとられた商家(場所)もわかります。こちらについても展示で紹介しています。必見です。

1 展示会名 明治天皇と春日部~巡幸・御猟場・梅田ごぼう~

2 主  催 宮内庁・春日部市・春日部市教育委員会

3 会  期 令和4年7月20日(水)~9月4日(日)(休館日:月曜日、祝日)

4 開館時間 午前9時~午後4時45分

5 入  館 料 無料

6 会  場 春日部市郷土資料館(住所:〒344-0062 春日部市粕壁東 3-2-15(春日部市教育センター内))

 

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