ほごログ(文化財課ブログ)

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考古学講座の現地視察をおこないました

4月23日、令和4年度の考古学講座を受講していただいたみなさんと、郷土資料館から浜川戸遺跡周辺まで、地形などを確認しながら歩いてみました。

もともと3月26日に実施する予定でしたが、雨天だったため、順延しての開催です。4月23日は、とても良い天気で、絶好のウォーキング日和でした。

 

郷土資料館見学

朝は、郷土資料館に集合し、展示されている浜川戸遺跡の出土品を確認しました。郷土資料館の常設展示には、浜川戸遺跡に関係する資料が意外とたくさんあります。

 

日枝神社横で自然堤防確認

粕壁東の日枝神社では、宿場に向かって標高が上がっていく地形を確認しました。粕壁宿から浜川戸地区は、古利根川などによって形成された広大な自然堤防が広がっています。

 

碇神社横で江戸時代の土地利用を確認

埼玉県指定天然記念物「碇神社のイヌグス」がある碇神社では、江戸時代の粕壁宿周辺の土地利用を、昔の地図と比較しながら確認しました。

 

梅田地区で過去の古隅田川流路を確認

梅田地区では、現在とは違う流路で、かつてこの辺りを流れたと考えられる古隅田川について確認しました。

八幡公園で浜川戸遺跡を体感

最終目的地、浜川戸の八幡公園では、浜川戸遺跡の広がりや浜川戸砂丘、春日部稲荷神社や春日部八幡神社の成り立ちを確認しました。

 

全長約3㎞の行程でしたが、脱落者はなく、無事ゴールすることができました。

ご参加された皆様、ありがとうござました。

 

考古学講座は、今年度も9月から1月まで、毎月1回の連続講座を予定しています。ほごログでもご案内しますので、ご興味がある方はぜひご参加ください。

考古学講座第2回を開催しました

 

 10月29日(土)に考古学講座第2回を開催しました。

 講座風景

本日は、1.発掘調査の方法、2.層位学、3.春日部市の縄文時代の遺跡についてお話をしました。縄文時代については、現在、様々な研究がすすめられており、ばらばらと一貫性のない紹介となってしまいました。次回以降、型式学や年代の決定のなかでも、縄文時代のことを補足的に触れていこうと思います。

さて、そのようなとりとめのない話でしたので、アンケートに多くの質問をいただきました。そのなかのいくつかをとりあげます。

・春日部は関東ローム層の上の土が薄い地域という話があったが、風の影響か?土の堆積が多い地域では、どれくらい堆積しているのか?

春日部市付近の台地上の場合、関東ローム層堆積後の時代に、ローム層上に土となる物質の飛来が少ないということがローム層までの土層が少ないことの理由です。関東ローム層も長い時間を経て、火山性の物質が主に風の作用によって堆積したものです。講義でも紹介しましたが、ローム層は噴火による火山灰そのものではなく、火山付近に堆積した火山性の物質が風によって、移動し再堆積したものと考えられています。

一方、春日部市の低地部分では、主に縄文海進の影響で、縄文時代以降、有楽町層と呼ばれる層が約40m堆積しています。また火山に近い地域では、火山灰層が厚く堆積します。金井東裏遺跡(群馬県渋川市)では、6世紀の2回の榛名山噴火の2mを超える火山灰層の下から鎧をつけた古墳時代の人骨が発見されました。

 

・神明貝塚の組合せ土器の用途は?

用途は、多く出土している東北の例でも、煮炊きに使われた痕跡はないことから、お墓などに使われたのではと推測されています。詳しいことはわかりません。

 

 ・外国にも貝塚があるか?

海外にも貝塚はあります。中緯度の地域に多いようです。

   

・古隅田川でシジミがとれたが、ヤマトシジミか?

昭和30年ごろまでは古隅田川でシジミがとれたという話はありますが、ヤマトシジミかどうかはわかりません。ちなみに、現在の中川では、松伏町あたりから潮の満ち引きが確認され、汽水域となっています。

 

 ・神明貝塚の人骨の年代測定は行われているか?

骨片から放射性炭素年代測定を行っており、3体とも3988~3834cal.BPの範囲であるという結果が出ています。

cal.:較正された年代を示す。半減期と14C生成量が補正される。

BP:放射線炭素年代測定の基準である1950年から何年前かを示す。

 

来月は、1.分類と型式学、2.春日部の弥生時代についてお話します。

 

「考古学講座ー基礎を学ぶ」の第1回を開催しました

本日は「考古学講座ー基礎を学ぶ」の第1回目を開催しました。当日は、台風接近で天気があまりよくありませんでしたが、多くの方にご参加いただきました。

考古学講座はこれまで、毎回一つの遺跡をとりあげて「●●遺跡を学ぶ」といった単回の講座を行っていましたが、今年度は少し方法を変え、5回連続講座とし、春日部市の旧石器時代からなら平安時代までの遺跡の概要と、一般的な考古学の基礎についてのお話をすることとしました。

5回のテーマは下記の通りです。

1.考古学とは?/春日部のどこに遺跡があるか?・春日部の旧石器時代

2.発掘調査の方法・層位学/春日部の縄文時代

3.分類と型式学/春日部の弥生時代

4.年代の決定/春日部の古墳時代

5.春日部の奈良時代・平安時代/考古学講座のまとめ

 

今年度はすでに定員となっており、新たなお申込みはできませんが、講座終了後、資料はお渡しできますので、ご希望の方は資料館までお申し出ください。また来年度も同じような内容で講座を開催する予定です。

 

さて本日は、「考古学とは?」と「春日部のどこに遺跡があるか?」、「春日部の旧石器時代」についてお話いたしました。

「考古学とは何か?」では、「考古学とは痕跡・モノからその成り立ちを研究する」という定義をもとに、世界の考古学の歴史から日本の考古学の歴史について簡単にまとめました。

「春日部のどこに遺跡があるか?」では、市内外の地形図を見ていただき、市域には台地が4か所あって、台地上から主に遺跡が発見されているが、弥生時代以降は、低地の自然堤防からも遺跡が発見されていて、まだ未知の遺跡が眠っている可能性もあるといったことをお話ししました。

「春日部の旧石器時代」では、市内でも約3万年前の石器が台地の関東ローム層の中から発見されていること、ナイフ形石器や細石器が出土している遺跡もあること、石鏃は縄文時代の石器であることなどをお話ししました。

 

今回の講座では「ゆっくり、たのしく」をモットーに掲げています。

少しずつ、楽しみながら考古学の世界に触れていただければと思います。

 

考古学講座

3/27考古学講座「米島貝塚を探る」を開催します

3月27日(日)に、考古学講座「米島貝塚を探る」を開催します。

米島貝塚は、庄和地区の米島に所在し、昭和36年(1961)に住宅地開発に先立つ発掘調査が行われました。調査では、縄文時代前期の「黒浜式土器」が多く発見され、黒浜式土器の移り変わりが研究されました。

米島貝塚の黒浜式土器のうち2点は、「米島貝塚出土黒浜式土器」として、春日部市指定文化財に指定されています。米島貝塚出土黒浜式土器過去の記事:米島貝塚出土黒浜式土器ー指定文化財でめぐる春日部

 

<考古学講座「米島貝塚を探る」>

日時:3月27日(日)午前10時~12時

場所:教育センター2階 視聴覚ホール

定員:30人

申込:郷土資料館に直接、または電話(048-763-2455)または電子申請

*新型コロナウイルス感染症の状況によっては中止することがあります。

春日部市指定文化財米島貝塚出土黒浜式土器

 春日部市指定文化財「米島貝塚出土黒浜式土器」

【12/25考古学講座】「花積貝塚を探る」を開催します

12月25日(土)、考古学講座「花積貝塚を探る」を開催します。

12月10日(金)より、参加募集の受付を開始します。お申し込みは郷土資料館に、直接、またはお電話のほか、市役所の電子申請システムでもお申込みいただけます。電子申請の利用は定員(50名)に達するまで、申込期間内24時間可能です。ぜひご利用ください。

考古学講座「花積貝塚を探る」
講師:資料館学芸員
日時:令和3年12月25日(土)10時~12時
会場:春日部市教育センター2F視聴覚ホール
定員:50名(申込順)
申込受付:12月10日(火)8:30~(定員になり次第受付を終了します。)

内容:花積の縄文時代の遺跡、市指定史跡「花積貝塚」について埋蔵文化財発掘調査報告書などを使って学ぶ

ご来場の際はマスクの着用をお願いいたします。また発熱などの風邪症状があるときは、ご来場をご遠慮ください。今後のコロナウイルス感染症の状況により、予定が変更されることもあります。

 

花積貝塚現地

 花積貝塚