ほごログ(文化財課ブログ)

タグ:実習生の記録

博物館実習5日目

午前中は、土器の取扱い方と梱包の仕方ついて学びました。

資料を扱う際の注意点や、布団という梱包材のつくり方を中心に説明を受けて、実際に製作しました。貴重な資料を守るための大切な作業なので、ポイントをしっかりと押さえて臨みました。

写真:布団をつくっている様子

また、午後の講座で使用するものや会場の準備をしました。感染症の流行もあり、道具をひとつひとつ消毒し、対策をしました。

写真:道具を消毒する様子

午後は、縄文文化をもとにした音楽づくりの体験講座を実施し、実習生たちは受講者として参加しました。國學院大學栃木短期大学の中村耕作先生(考古学)と早川冨美子先生(音楽教育)、及び音楽教育の教科指導で著名な石上則子先生のご指導のもと、春日部で出土した土器の文様からイメージした音楽をつくりました。小学生の参加者と共に、土器文様を観察して、縄文時代にあったであろう自然素材を用いて、文様のイメージした音の表現しようとしました。想像を膨らませてたくさんの音を作っていく過程はとても楽しかったです。

写真:文様を観察する様子

写真:使用した道具 

(令和3年度実習生) 

博物館実習四日目

午前では、昨日に引き続き各々が担当している収蔵資料の調査・研究を行いました。

調査をもとに解説文をまとめました。注意した点としては、一般論をふまえつつも、春日部市の周辺の地域的な特徴に留意することです。収蔵資料の魅力を伝えるため、当時の生活や文化が具体的に理解できるように解説文を執筆しました。

写真:調査した内容をパソコンにまとめている様子

 

午後は、資料の整理を行いました。市内の旧家よりお借りした資料を合計67点整理しました。

写真:資料を整理した後まとめた様子 

 

資料の中には、安政2年の『唐詩選』という古典籍や明治時代の児童用読本がありました。資料整理している中で感じたこととしては、古い書物なので風化が進んでおり、めくるたびに粉が出てたりするので、破けないように慎重に取り扱いました。また、虫食いによる穴とページのくっつきがあったため、ハラハラドキドキしながら作業に当たりました。教科書や博物館でしか見たことのない古い資料を実際に触れて読むことができ貴重な体験になりました。

 

写真:資料を整理するために中身を見ている様子

 

写真:保存箱に資料を入れている様子

 

博物館実習も残す日程も半分になりました。

明日も資料の整理や縄文土器の模様を見て音楽をつくる体験講座を行う予定です。引き続き、学芸員さんの活動から様々なことを学びんでいきたいと思います。

(令和3年度実習生) 

博物館実習三日目

 本日は、収蔵資料の紹介のために個別資料の調査・研究を行いました。収蔵資料の採寸や関連資料の調査を行い、展示解説にまとめる作業をしました。

写真:黙々と取り組む実習生

 高村は、現在開催中の「語り出したら、キリがない!桐のまち春日部」にも関連しますが、展示できなかった、桐箪笥の仕上げ職人がつかった道具について調査しました。仕上げ職人の道具は、種類・用途において多岐に渡ります。そのため、解説時に要点が散らばりや資料写真の撮影における画面の収まりを想定しながら、資料の点数を絞りながらも資料同士の繋がりを維持できるように資料の選出を行いました。また、私を含め、写真撮影をしていない収蔵資料も多く、実習生自ら撮影を行いました。

写真:収蔵資料の写真撮影をする実習生の様子

 内木は、武里団地について調査しました。春日部市郷土資料館には、武里団地に関わる沢山の資料があり、資料を読み込むだけでも時間がかかりました。しかし、その作業によって武里団地がいつできたなどの基本情報はもちろん、どのような背景があり、武里団地ができたかなど、様々なことが分かりました。この判明したことをもとに、理解し易い展示解説を作っていきたいと考えています。

写真:武里団地模型の寸法を測定している様子

 明日の午前も実習七日目の発表に向けて、この作業をしていきます。実習生による収蔵資料の紹介はホームページでも公開されますので、是非宜しければご覧下さい。

(令和3年度実習生)

博物館実習二日目

 実習二日目となる今日は、体験学習の研究として「藍の生葉染め」と「かんなくずを利用した花づくり」を行いました。

 春日部市では、少なくとも明治時代には、藍が工芸作物として栽培されていたようです。また、備後・小渕・下柳などでも、かつて紺屋という布や糸を藍で染める仕事がありました。このような「春日部の歴史」を踏まえた上で体験講座は考えられています!

写真:藍葉の剪定

 藍で染めると抗菌・防臭・防火作用が得られるとされます。現在の企画展「語り出したらキリがない!桐のまち春日部」に展示されている印半纏も藍色に染められています。ご来館の際はぜひ思い出してご覧ください。また、藍の生葉染では、植物性繊維である木綿や化学繊維のポリエステルは染まらず、動物性繊維である絹や羊毛を染めることができます。今回は絹を用いました!

藍の生葉染め体験では、慣れない環境に苦心しながらも、鮮やかな藍色を表現しようと真剣に黙々と作業する実習生の姿を見ることが出来ました。絹を漬けるために、入念に藍の葉をもみ込み、色を出すのが一番大変な工程でした。

写真:藍の生葉染め

写真:染めた布を空気になじませる

生木染めは藍の育つ季節にだけ体験できるもので、一年の中でこの時期にしか体験できない貴重な経験です。

写真:染めた後に干す

 午後のかんなくずを利用した花づくり体験では、崩れやすいかんなくずに悪戦苦闘する実習生の姿が見受けられ、これから体験講座を受ける人がより分かりやすい体験をするにはどうすればよいか想像を膨らませ、改善点を模索していました。

写真:かんなくずを使った工作

参加する受講者がけがをしにくい方法を考える人、出来栄えや作業のやり易さを追求する人と考え方は人それぞれでした。完成したかんなくずの花はどれも個性のある作品となりました!

写真:かんなくずを使った造花

 コロナ禍で当初の予定にあった他館見学は中止になってしまいましたが、未経験のことにチャレンジすることができ、童心に帰ったかのように楽しむことができました。

 残りの実習も楽しみつつ、一生懸命に取り組んでいこうと思います。

(令和三年度博物館実習生)

実習六日目

 こんにちは!実習六日目の本日は、午前中には、まず、宮代町郷土資料館を訪れて、国史跡神明貝塚を見学して、午後には、幸手市郷土資料館を訪れました。
 宮代町郷土資料館は野外展示と常設展示で構成されていました。常設展示では、古墳時代の鍛冶工房の再現や江戸時代の新田開発の模型を置いて分かり易く解説していて、展示に工夫を凝らしていました。また、展示する上で問題も抱えながらも上手く対処していて資料の保存にも気を付けているようでした。

写真:宮代町郷土資料館で説明をうける
 企画展では太平洋戦争のことを取り上げていて、町や地域に根差した歴史を伝えるため寄贈を受けた資料をもとに分かったことを解説しているようでした。
 野外展示では旧加藤家住宅や旧斎藤家住宅を展示していました。土間には煙出しの高窓があって、定期的に竈を使っているようでした。古民家にはあまり入ったことがなかったため珍しいものが多く貴重な体験でした。

写真:宮代町郷土資料館の加藤家住宅

 宮代町から幸手市に移動する途中、国史跡神明貝塚を見学しました。神明貝塚では、縄文時代のシジミの貝殻などを観察することが出来ました。


 幸手市郷土資料館は、以前、准看護学校として使われていた建物と吉田中学校という昔の校舎を博物館として使っているそうです。ストライプウォールなどを使って展示方法に工夫を凝らしているようでした。旧吉田中学校の民具資料室は昭和・平成初期のものが多く米作りや養蚕に使われるものもあって親しみやすかったです。ここでは藍のたたき染体験も出来て、昔から伝わる手仕事も体験を通して伝えていました。

写真:藍のたたき染め体験

 明日の実習はいよいよ最終日で、展示コンテンツの発表・討論を行うので今まで学んできたことを活かして実習生一同全力で取り組みたいと思います。
(令和二年 博物館実習生)

実習五日目

実習五日目の本日は、午前中に、昨日実習生が個人で作成した調査カードを共有し、それぞれ良かった点、悪かった点などを話し合いました。実習生はそれぞれ至らなかった点に気づき、調査カードを書き直す姿が見受けられました。
写真:資料調書について話し合う実習生
次に、昨日、調査・整理した大工道具を展示するにあたり、テーマやキャプションをどうするかなどを実習生で議論しました。結果、実習生全員で展示のキャプションを完成させることができました。
写真:展示資料

写真:資料キャプションについて議論する実習生
私たちが博物館で目にする展示のキャプションは、このようにして一語一句、緻密に考えられてできているものだと実感しました。

明日の実習では博物館見学をするので今日体験した展示の企画を踏まえて、キャプションや、展示物の配置など細かいところに留意をしながら見学したいと思います。
(令和二年 博物館実習生)

実習四日目

実習四日目の本日は、聞き取り調査と収蔵資料の整理を行いました。

写真:寄贈された資料

市内にお住いの方が以前使用していた大工道具を寄贈してくださったため、その資料についてお話を伺いました。道具の呼称や使用方法などを教えていただくのと同時に、当時の粕壁についても理解を深めることができました。また、実習生は初の聞き取り調査ということもあり緊張した様子でしたが、一人一つずつは質問することができました。

写真:聞き取り調査の様子

写真:資料の使い方を説明される旧蔵者の方

一緒に聞き取り調査を行っていた学芸員さんは積極的に質問をされていて、分からないことはどんどん明確に、さらに話を詰めていました。学芸員という仕事においてコミュニケーション能力がいかに重要であるかを肌身で感じることができた実りある時間でした。

写真:資料調査の様子

午後は、寄贈していただいた資料の整理を行いました。資料一つにつき収蔵番号を記した調査カードを一枚括り付けていきました。加えて、午前中に寄贈者の方から伺ったお話をもとに文献と照らし合わせながら正確な情報を民具調査カードに記入しました。スケッチがとても難しかったので、慣れるためにも練習を重ねていきたいと思います。明日以降も実習生みんなで協力して展示を作り上げたいです。

(令和二年 博物館実習生)

実習三日目

実習三日目の今日は、午前中に昨日の続きである収蔵資料の調査・研究を、午後に軸装や土器の取扱いについての体験実習を行いました。資料調査では、実習生全員がWeb展示に向けて調査した内容をどのようにして文章に落とし込むかを真剣に考えながら黙々と作業を続ける様子が見受けられました。
写真:黙々と調べものをする実習生

写真:資料写真の撮影
午後からの体験実習では、資料を取り扱う際の基本的な心構えや資料毎の取扱い手順を教えていただいた後、実際に資料に触れさせてもらいました。細かい部分にも配慮しながら、資料を傷つけぬよう危機管理を徹底する考え方を改めて学ばせてもらいました。

写真:資料取り扱いの心構え

写真:資料の取り扱い
説明を受けて、頭の中でイメージができても実物を目の前にすると緊張してしまい、動きがぎこちなくなってしまいました。手順をしっかり復習して、次に扱う機会があったときには、冷静に作業を進められるようにしたいです。
また、土器の梱包にも挑戦しました。全員で協力しながら無事に梱包作業を終えることができました。

写真:綿布団づくり

 

写真:土器の梱包
コロナ禍でこのような実習を大学の授業で受けることができなくなってしまったので、とても有難かったです。
残りの実習も、有意義な時間を過ごせるように精一杯取り組みたいと思います!
(令和二年 博物館実習生)

 

博物館実習二日目

実習二日目の今日は、収蔵資料の紹介ということで資料の調査・研究を行いました。まず、収蔵庫から作業する部屋まで資料を移動させましたが、大きく重いものなど一人では持てないものもあり、実習生同士が協力して移動させることができました。
 私は、春日部市内で現在も営業されているカネコ薬局さんから寄贈していただいた看板について紹介することになりました。
写真:カネコ薬局寄贈の資料

写真:参考資料や撮影機材

主にこれらを使用して調査していきます
看板のさまざまな部分から情報を集めたほか、図録や市史以外のいろいろな媒体を使い、別の視点から調査していきましたが、資料調査はとても難しく、改めて大変さを学びました。博物館に展示されているものやデータベースに公開されている情報が大変な労力と時間をかけてつくられているものであると痛感しました。
写真:黙々と資料調査をする実習生
最終日に無事に発表できるようしっかり調査し、明日以降も充実した実習期間を過ごせるように頑張りたいと思います。
(令和二年 博物館実習生)

博物館実習6日目

本日は、台風で天気が荒れる心配がされましたので、午後1時から実習が開始されました。

初めに博物館における資料の受け入れから、整理、保存に至るまでの過程を学びました。

これからこの過程の内に関わる緊張感と好奇心でいっぱいになりました!

以前の実習生が作成した資料カードを参考に、いよいよ粕壁の塩問屋の資料整理が始まりました。

写真:屋外で作業を行いました
資料館の駐車場にて作業を行いました。

実習生一人が一箱ずつ担当し、作業を進めました。中に入っているものを取り出し、調査カードに書き留めていく作業です。
写真:作業の様子

作業の様子

私が担当した箱には、塩販売の金銭書類や取引先の名称等が書かれた書類が多かったです。
写真:出来上がった調査書

出来上がった調査書

約2時間、一人につき3、4箱の資料整理を終え、本日の実習は終了しました。

受け入れた‘’モノ‘’が、博物館の‘’資料‘’に変わるまでの大変さを実感したとともに、学芸員の仕事の重要さを改めて理解しました。

(令和元年度 博物館実習生)