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タグ:黒浜式土器

3/27考古学講座「米島貝塚を探る」を開催します

3月27日(日)に、考古学講座「米島貝塚を探る」を開催します。

米島貝塚は、庄和地区の米島に所在し、昭和36年(1961)に住宅地開発に先立つ発掘調査が行われました。調査では、縄文時代前期の「黒浜式土器」が多く発見され、黒浜式土器の移り変わりが研究されました。

米島貝塚の黒浜式土器のうち2点は、「米島貝塚出土黒浜式土器」として、春日部市指定文化財に指定されています。米島貝塚出土黒浜式土器過去の記事:米島貝塚出土黒浜式土器ー指定文化財でめぐる春日部

 

<考古学講座「米島貝塚を探る」>

日時:3月27日(日)午前10時~12時

場所:教育センター2階 視聴覚ホール

定員:30人

申込:郷土資料館に直接、または電話(048-763-2455)または電子申請

*新型コロナウイルス感染症の状況によっては中止することがあります。

春日部市指定文化財米島貝塚出土黒浜式土器

 春日部市指定文化財「米島貝塚出土黒浜式土器」

【常設展】常設展示に米島貝塚出土黒浜式土器を2個体展示しています

常設展示で、これまで1個体を展示していた米島貝塚(こめじまかいづか)出土の黒浜(くろはま)式土器を2個体に増やしました。昨年の春の展示「指定文化財でめぐる春日部」で企画展示室に展示したもう1点の指定文化財の土器です。

米島貝塚出土黒浜式土器は、昭和36年(1961)に、住宅地造成に先立って行われた発掘調査で発見されたもので、平成20年に、優品2点が春日部市有形文化財に指定されました。

「黒浜式」は、蓮田市の黒浜貝塚群の出土土器をもとに設定された縄文時代前期の土器型式で、比較的粗い縄文が施されることが特徴です。また粘土に植物繊維を混入している痕跡が見られることから「繊維土器(せんいどき)」とも呼ばれます。「繊維土器」の手法は、黒浜式以前から確認されますが、黒浜式の次の「諸磯(もろいそ)a式」には見られなくなります。

米島貝塚では、黒浜式の中でも古段階の土器が出土する10号住居跡と黒浜式の繊維土器でありながら「諸磯a式」に近い文様をもつ土器が出土する2号住居跡が発見され、黒浜式土器の変遷を検討するきっかけになりました。

常設展示で、向かって左側に展示しているものが10号住居跡出土のもの、右側が2号住居跡出土のものです。10号住居跡出土土器は、米島貝塚の報告書では「g類」とされ、「器面全体が縄文(じょうもん)のみで覆われ」ています。一方、2号住居跡出土土器は「f類」とされ、「口縁部(こうえんぶ)に半截竹管具(はんさいちっかんぐ・半割りの竹)を用いて(中略)極めて幅の狭い文様帯(もんようたい)をもつもの」で、展示の土器にも、竹管具によるコンパス文と呼ばれる文様が描かれています。

現在の黒浜式土器の研究では、およそ古、中、新の3段階の変遷をたどるとされており、10号住居跡は古段階、2号住居跡出土土器は中段階に属すと考えられています。

米島貝塚出土黒浜式土器展示状況