ほごログ(文化財課ブログ)

タグ:江戸川筋御猟場

【共催展示閉幕】記念シンポジウム・ミュージアムトーク

9月4日(日)宮内庁との共催展「明治天皇と春日部」が閉幕しました。最後の週末に展示に花を添えたのは、記念シンポジウムとミュージアムトーク。それぞれ多くの方にお集まりいただきました。

9月3日には、記念シンポジウム「江戸川筋御猟場―埼玉県東部・宮内省・民衆―」を開催しました。このシンポジウム申し込みから数日で定員に達してしまったほど、関心の高い事業でした。

シンポジウムには、明治学院大学の吉岡拓先生、中央大学の宮間純一先生、宮内庁宮内公文書館の篠﨑佑太先生をお招きし、郷土資料館の学芸員も登壇しました。

写真:記念シンポジウムの会場

個別報告では、江戸川筋御猟場について、地域の狩猟(榎本)、宮内省(篠﨑)、行政と政治・天皇の受容の問題(吉岡)を視点にして、史料に基づき濃密なお話をいただきました。じっくり時間をとってお話しいただいてもよい濃密な話でした。ディスカッションでは、会場からいただいた質問用紙に応えながら進行しました。短時間では、さばききれないほどの質問があり、嬉しい悲鳴。受講者の皆さんの関心が高く、学習に熱心であることに非常に驚かされました。登壇された先生方も「春日部の方たちは非常に熱心だ」とご感想をいただきました。

写真:シンポジウムの討論

ディスカッションの最後に、吉岡先生が「春日部市域の御猟場については、史料が少なくまだわかっていないことが多い。春日部市域には個人のお宅に御猟場の資料が眠っている可能性がある。ご存知の方がいれば、ぜひ春日部市の郷土資料館へご一報願いたい」とご発言いただきました。郷土資料館の活動をご紹介いただき、またそれが郷土の歴史の解明にとって、重要であることを位置付けていただく趣旨のご発言でした。

江戸川筋御猟場は、埼玉鴨場の残るの越谷市ではそれなりに関心のあるテーマのようですが、今回をきっかけに、春日部市域でも史料の調査が進み、調査研究を深化させられる、そうした可能性を指し示すシンポジウムになったように思えました。ご登壇いただいた先生方、ご参集いただいた会場の皆さま、どうもありがとうございました。

 

最終日の9月4日には、学芸員による展示解説(ミュージアムトーク)を開催しました。

シンポジウムの申し込みが間に合わなかった方、最終日に駆け込みで見に来てくださった方が集まり、午前、午後とも大変盛況でした。

写真:ミュージアムトーク

今回の展示では、宮内庁宮内公文書館の皆さんのご協力があり、例年よりも多くのイベントを組むことができました。特に重要だったのが、展示解説講座と前述のシンポジウムです。私自身、宮内庁の皆さんの展示解説講座を拝聴し、また自分で準備するなかで、展示資料の史料研究が進められ、資料に対して理解を深めることができました。

今回の展示では、宮内庁宮内公文書館の皆さんと展示設営を分担したこともあり、最初のミュージアムトークの時には、正直「なぜこれを展示したのだろうか」と疑念を抱くものも少なくありませんでした。しかし、前の通り展示解説講座やシンポジウムで資料の理解が進みましたので、最終日のミュージアムトークは、私自身これまでで一番うまくしゃべれた気がします(笑)

参加された皆さんからは、「話を聞いてよくわかりました」とか「まとめすごろくがよかった」とか「ごぼうのスタンプ押して帰ります」など、ご感想をいただきました。お集まりいただきありがとうございました。

 

展示は終了してしまいましたが、図録は今後も在庫が底をつく限り配布します。また、展示の成果として、引き続き、宿場町の模型には明治天皇の御昼食所と明治14年の巡幸の供奉者の昼食所を表示します。

シンポジウムでもご指摘いただきましたが、この展示をきっかけに、これまで分からなかった、意識されなかった巡幸、御猟場、梅田ごぼうについて、関心が高まり、新たに関係資料が発掘・発見されることが期待されます。そういう意味で、展示は終わりではなく始まりなのかもしれません。そして、春日部市郷土資料館は、目立たないのですが、日々成長しています。ぜひ、何かご存じの方は、春日部市郷土資料館へご一報ください。 

【週末に閉幕】「明治天皇と春日部」お見逃しなく

宮内庁宮内公文書館との共催企画展「明治天皇と春日部」は、9月4日(日)まで。最後の最後に、テレビでも紹介いただきました。 #かすかべプラスワン

昨日、テレビニュースでの紹介され、ネットニュースにも動画が公開されたお蔭もあって、今日はあいにくの天気で、平日にも関わらずにぎわっています。

明治天皇の巡幸、江戸川筋御猟場、梅田ごぼうを主要テーマとし、宮内庁宮内公文書館所蔵の資料をはじめ、春日部の郷土資料を陳列し、近代の皇室と春日部の歴史を展示紹介しています。

来館された方には、もれなく図録も差し上げています。あと2日、この週末で終わってしまいますので、ぜひ、お見逃しなく。

画像:チラシ

最終日の9月4日(日)には、学芸員による展示解説(ミュージアムトーク)も開催します。ふるってご参加ください。

ミュージアムトーク

日時:令和4年9月4日(日)10時30分~、15時~各回30分程度
場所:春日部市郷土資料館企画展示室(入館人数を制限する場合があります)
申込:不要。直接展示室にお集まりください。

展示解説講座その1「江戸川筋御猟場と春日部」

8月6日(土)講師に篠﨑佑太先生(宮内庁宮内公文書館)をお迎えして、「明治天皇と春日部」展の展示解説講座を開催しました。

テーマは「江戸川筋御猟場と春日部」。篠﨑さんは、現在開催中の「明治天皇と春日部」展において、「第2章江戸川筋御猟場」の展示設営を担当いただいた方です。江戸川筋御猟場は、明治16年に千葉県・埼玉県に跨り設置された皇室の狩猟場。最も広域だった時代には、埼玉県下では、現在の春日部市をはじめ、幸手市、杉戸町、宮代町、白岡市、さいたま市岩槻区、越谷市、松伏町、吉川市、川口市、草加市、八潮市、三郷市を含むエリアに広がっていました。

今回の展示解説講座では、現在「明治天皇と春日部」展で展示されている資料を丁寧に読み解きながら、江戸川筋御猟場が設置される背景や、その仕組み、管理する宮内省の組織・機構、地域と御猟場の関わりについて、お話しいただきました。資料館の学芸員は「なるほど、そういう意図であの資料を展示したのか」と得心させられ、勉強になりました。

写真:講座の様子

他の御猟場との相違点から、江戸川筋御猟場の特徴を指摘しながら、主猟局長官などを歴任する山口正定の日記(写)を読み解き、御猟場における猟の実態や地域住民との関係を考察されました。山口は地域住民と広く交流し、かつ慕われていた人物であったことが想像されるお話しでした。また、春日部市域と江戸川筋御猟場の関係は、地元から登用された監守の職務、いわゆる「御猟場問題」として顕在化する地主(町村)への手当金の問題から、宮内省と春日部市域に歴史的な関係があることを紹介されました。

以前も記しましたが、江戸川筋御猟場については、わからないことがまだまだ沢山ありますので、今回の話は埼玉県(東部)の近代史にとって、大変貴重な成果になりました。

講演の後には、質疑応答。10名弱の方々から質問につぐ質問。時間いっぱいまで、非常に丁寧にたくさんの質問に応えていただきました。講演終了後にも、質問者の列ができるほど。

写真:篠﨑佑太先生

「とても面白かった」「知らないことばかりだった」など、みなさんとても満足された様子で、お帰りになりました。

篠﨑先生には、ご多忙のところ、貴重なご講演、丁寧なご対応、大変ありがとうございました。先生には、引き続き、9月3日(土)のシンポジウムでもご登壇いただくことになっています。

展示解説講座は、引き続き、宮内庁宮内公文書館の二ノ宮幹太先生、辻岡健志先生をお迎えして、「梅田ごぼうの献上」「埼玉鴨場の設置について」を解説いただきます。ぜひ、お申込みください。

【受講者募集中】「明治天皇と春日部」展示解説講座

宮内庁との共催展「明治天皇と春日部」展では、イベントも盛りだくさんです。 #かすかべプラスワン

今回は、宮内庁宮内公文書館と春日部市郷土資料館の展示担当者計4名が、それぞれの展示担当テーマについて座学で資料を解説します。計4回の講座を1日でやってしまったもいいのですが、ちょっと頑張って、4日にわけて開催します。聞く方も大変ですよね。

初回は、8月6日(土)14時から。宮内公文書館の篠﨑佑太さんが「江戸川筋御猟場と春日部」をテーマに解説します。江戸川筋御猟場は、最大で北は幸手から南は八潮・草加(もちろん春日部市域も含まれています)そして東京まで広がる広大の皇室の御猟場でした。江戸川筋御猟場については、これまで御猟場の住民に対する補償金(手当金)をめぐる問題(御猟場問題)をめぐる研究がありますが、実は基本的なあり方や歴史的な変遷などよくわかっていません。実は『春日部市史』には御猟場の記述がほとんどありません。

篠﨑さんのお話は、宮内公文書館の文書や春日部市域に伝わる関係史料をもとに、春日部における江戸川筋御猟場について解説されるものと聞いています。春日部の郷土史とって、重要な成果であることは間違いなし。もちろん、展示もその成果の一部ですので、展示もご覧ください。

まだ若干席が空いておりますので、ご興味のあるかたは、郷土資料館まで、ぜひお申込みください(電話048-763-2455)。お申込みは、春日部市の電子申請からも可能です。

QRコード

 展示解説講座
 場所:春日部市教育センター2F 視聴覚ホール
 定員:50名(申込順)
  講座①「江戸川筋御猟場と春日部」 令和4年8月6日(土)14時~16時
   講師:篠﨑 佑太(宮内庁宮内公文書館)
  講座②「梅田ごぼうの献上」 令和4年8月20日(土)14時~16時
   講師:二ノ宮幹太(宮内庁宮内公文書館)
  講座③「明治天皇と粕壁宿」 令和4年8月21日(日)10時~12時
   講師:榎本 博(春日部市郷土資料館)
  講座④「埼玉鴨場の設置について」 令和4年8月28日(日)14時~16時
   講師:辻岡 健志(宮内庁宮内公文書館)
 申込:各回7月 12 日(火)より春日部市郷土資料館の窓口・電話・春日部市電子申請にて受付