ほごログ(文化財課ブログ)

タグ:寄贈

【昔の #川辺小 】資料を追加でご寄贈いただきました

現在、常設展示では新宿新田にかつてあった江戸川の河岸場に関する資料を展示しています。「ほごログ」で紹介したところ、水運・舟運について調べてらっしゃる方に早速ご覧いただいたりして、一部には大変好評です。

新宿新田の河岸場は、これまで資料がなく全くといっていいほど知られていませんでしたので、諸書で言及されることがほとんどありませんでした。小さなコーナーで、手前味噌ですが、割と画期的な内容の展示だと思います。

資料展示したことを、旧蔵者の方にお知らせしたところ、先日ご来館いただきました。資料展示をしたことを大変喜んでいただき、また、当館には初めてお越しになったそうで、春日部にいろいろな歴史があったことに驚かれていました。旧蔵者の方によると、新宿新田には伊和右衛門河岸のほかに、上流にもう一つ河岸場があったとか(今の野田線の鉄橋の下流のあたりらしいです)。資料上では確認できませんが、新事実をぽろっとお話しになりました。近代の舟運は奥が深い。今後の課題です。

旧蔵者のご来館の折り、まだ家に古い書類があったと、いくつかの資料をご持参・ご寄贈いただきました。戦前の絵葉書など印刷物のなかに、大正6年(1917)の川辺尋常小学校の卒業記念(アルバム)がありました。

アルバムといっても写真数枚が掲載される簡素な冊子ですが、当時の学校の様子がわかり、非常に貴重です。ここで追加寄贈されたアルバムのうち数枚の写真をご紹介したいと思います。川辺小学校の関係者は必見!?

写真:川辺小学校校舎

現在の川辺小学校の敷地に校舎が新築移転されたのは、明治35年(1902)5月のこと。写真はこのとき建てられた木造校舎と考えられます。校舎は水害を避けるために、高台に建てられていたそうです。現在のプールがあるあたりでしょうか(地元の方にそのように聞いた記憶もありますが、知っている方がいたら教えてください)

写真:川辺小学校講堂

「講堂」です。教室ではないのかもしれません。卒業記念アルバムなので、ここで卒業式を執り行ったのでしょうか。

写真:川辺小の整列

手前は学校の先生、奥には和装の児童が整列しています。写真のキャプションは「整列」。

おそらく寄贈されたお宅の家の方に卒業生がいらっしゃったので、家に伝わったものと推測されますが、この時の卒業生はいないはずだとのこと。由来はともかく、貴重な写真です。

ご自宅に古い書類がある方はぜひご一報ください!

【御礼】 #春日部の魅力 がつまった本、ご恵贈いただきました

市民の方より郷土資料館に図書の寄贈いただきました。自然・生活・文化・歴史・伝統・イベントなど様々な観点から春日部の魅力を紹介する本です。 #かすかべプラスワン

画像:表紙

書名は『春日部の四季の息吹きを愛おしむ』(私家版)。著者(寄贈者)は、2017年4月から2021年3月まで、市の広報のサポーター「かすかべ特派員」を務めていた方です。取材・執筆された記事は、市のSNS等に公開していましたが、2021年3月をもって「かすかべ特派員」の制度が終了することになったため、記事を再構成して一冊の本にまとめられたそうです。

当館は、市の歴史や文化財を取材していただいた際に、資料の提供やご助言をさせていただきました。その縁で貴重な私家版の冊子をいただくことになったのです。

本書は、春夏秋冬の季節で構成し、春日部の季節の風物詩を一覧できます。季節の花、イベント、歴史・文化財など、ご興味が多岐にわたっており、「文化財」とか「歴史」とか「~祭り」といった行政的な縦割りの目線ではなく、市民の方ならではの視点で春日部の魅力を活写されています。

一頁完結で短文、オールカラーの写真も満載で、読みやすく、楽しみながら読めます。さらに、写真は同じアングルでも、時間をかけて、こだわって撮影されたものも多く、普段は気づかないような季節の変化やまちのうつりかわりを記録しており、春日部の貴重な記録となることは間違いありません。

写真:本書

さらに圧巻されるのは、巻末の地図です。ご自宅の壁面に掲示していたものだそうです。取材で踏査された場所をマーカーで色付けして、網羅的に市域を紹介する計画で、これから庄和地域を取材する予定だったそうです。しかし、かすかべ特派員の制度の終了に伴い、志半ばで地図の印付けも終わってしまいました。「残念だが、取材で様々な方と出会えたのがよかった」とお話しいただきました。おひとりでこれだけ市内各地を回られるのは、なかなかいらっしゃらないのではないでしょうか。

画像:地図

春日部の貴重な記録となるので、市立図書館にご寄贈されることをお勧めしました。図書館での手続きが終わり次第、閲覧ができることになるでしょう。記事は現在も市のSNS等でご覧いただけますが、ぜひ本をお手に取ってご覧いただければと思います。

郷土資料館でも、今後の事業や調査研究のため、貴重な記録として保管させていただきます。末筆ながら、ご寄贈された方に改めて御礼申し上げます。