ほごログ(文化財課ブログ)

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でばりぃ資料館へのお礼のお手紙をいただきました(豊春小のお手紙)

1月末から2月にかけて、絶賛展開中の「でばりぃ資料館」(出張授業)。 #かすかべプラスワン

学校では体験・経験できない授業だった、授業後も子どもたちは目を輝かせていたと、先生方からも大変ご好評いただいています。うかがった小学校の皆さんからお礼のお手紙をいただくこともしばしばあります。お礼のお手紙を書くことが学習の振り返りになるのでしょうか。学習の一環とはいえ、率直な意見・感想、何が印象に残ったコト・モノだったのかがわかり、大変興味深く拝読させていただいています。今回は、1月23日のでばりぃ資料館で訪れた豊春小学校のみなさんからいただいたお礼のお手紙を紹介します。

皆さん、イラストをまじえながら、お礼を書いていただいています。

画像:手紙1

60年前の豊春小学校には、豊春中学校が併設されていたこと、きちんと覚えていてくれたようです。また、昔の農業の道具「千歯こき」の画期的な脱穀を目の当たりにし、衝撃を受けた模様です。

当日、でばりぃ資料館の準備のさなか、豊春小学校の校章に「稲穂」があしらわれていることに、私たち担当者どもは気づきました。千歯こきの体験をしたり、昔の豊春小の周りは田んぼばかりだったことを説明しながら、「豊春小のマークにも「稲穂」があるよね!」「みんなの名札や通学帽をみてね」なんてお話ししました。

その話題が心に刺さったのか、豊春小の校章を描いてくれた子もいました。

画像:豊春小の校章

お手紙の裏面まで、かわいらしいイラストとメッセージを描いてくれた子もいました。

「でばりぃ資料館」という言葉が先行しがちなので、郷土資料館から来たということがわからない子もいるようです。郷土資料館の人たちとわかってくれたようで、よかったです。今度、遊びに来てくださいね。

画像:お礼のお手紙裏面

次のイラストは、 皆さんのお手紙を綴った表紙です。でばりぃ資料館の全体を俯瞰する見事なイラストで、すべての道具や体験したことを網羅したイラストになっています。全部覚えていてくれてありがとう!

画像:手紙の表紙

 

今回、もっとも感銘を受けたお手紙を紹介します。

画像:手紙

1月23日は、おせわになりました。そして今と昔がよくわかりました。

でばりぃしりょうかんのみなさんが、いっぱいいてほしいです。体に気をつけて行動してください。

ぼくも大人になったらでばりぃしりょうかんになりたいです。昔と今をみせてくれてありがとうございます。

でばりぃ資料館が「いっぱいいてほしい」とは、もっと充実してほしいという要望でしょうか。けれども、物足りなかったというわけではなさそうで、満足してくれたようです。

それは「大人になったらでばりぃ資料館になりたい」という一文からもうかがえます。まさか「でばりぃ資料館になりたい」という感想をいただけるとは!

でばりぃ資料館は、出張授業なので、人ではないのですが、想像を膨らませれば、学芸員になりたいということでしょうか。

昔と今、今と昔。昔が今につながっていて、今も昔につながっているという、えらい大人の人でもわからないことに興味をもち、そうなりたいと感じてくれたならば、でばりぃ資料館の私たちはうれしいです。

でばりぃ資料館になりたい君へ。まずは、郷土資料館に遊びに来てください。

たんけん郷土資料館 めざせ!キッズ学芸員を開催しました

8月27日(土)、小学生向けの講座「めざせ!キッズ学芸員」を開催しました。この講座は、現在開催中の「明治天皇と春日部」展の内容を普及講座で、春日部の歴史をよく知って、キッズ学芸員をめざすイベントです。 #かすかべプラスワン

講座では、まず博物館や学芸員はどんな仕事をしているのか、を説明した後、展示室でナゾトキゲームをしてもらいました。展示資料にゆかりのある問題をスタンプを押しながら考えてもらいました。

写真:会場の様子

参加者は小学校1年生から6年生までいましたが、高学年の子どもたちは「簡単!」といいながら、スタンプを探すのに手間取っていました。1年生の子は兄弟やおうちのひとに手伝ってもらいながらナゾトキをしていました。

すべてできたら特製の「キッズ学芸員専用資料館たんけんバッチ」をつくり、身に着けて、資料館の裏側探検へ。

春日部の郷土資料館は展示室が大変狭いですが、実は展示室よりも広い大きな収蔵庫があります。

キッズ学芸員たちは、恐る恐る収蔵庫へ。「変なにおいがする」とか「物がたくさんある」と言いながらも、収蔵庫の資料数を聞くと、驚いた様子。保存箱のふたを開けて、250年前の古文書を見て、触れて、目を輝かせていました。収蔵庫では最後に脚立をのぼって、収蔵棚の最上層を覗いてもらいました。クイズなどを交えながら、楽しく郷土資料館の裏側を探検してもらえたようです。

 

休憩をはさんで、後半はビンゴゲームで遊びました。ただのビンゴじゃない。郷土資料館オリジナルの鳥ビンゴです。

「明治天皇と春日部」展のテーマのひとつ「御猟場」に関わらせて、春日部にいる(または、昔いた)鳥をビンゴのマスにしてみました。春日部の鳥にかかわる歴史について、クイズやお話しをして、ゲームのヒントとし、25のマスに好きな鳥のシールをはって、ビンゴカードを作ってもらいました。

写真:ビンゴカード

ビンゴには「景品があります」と伝えると、みんな真剣に鳥の配列を考えました。子どもたちよりも、同伴された保護者の方が真剣にもみえました。

いざ始まると、皆、真剣です。スズメやカラスなどよく見かける鳥だけでなく、現在でもオオタカやサカツラガンなど珍しい鳥もみられます。また、歴史的にはツルも来ていたとか。「春日部にこんな鳥がいるんだぁ」と少しでも思ってもらいながら、楽しんでくれたなら幸いです。

景品は、特製のマグネット。優勝は金のマグネット、準優勝は銀のマグネット、三位は銅のマグネット。参加賞もあります。

写真:景品のマグネット

優勝した女の子は1年生でした。初めて開催したゲームなので、記念すべき鳥ビンゴ初代王者です。

学芸員や資料館のお仕事や普段みられない資料館の裏側を見学したり、オリジナルのゲームで遊んだり、盛りだくさんでしたが、郷土資料館や学芸員のことが少しはわかったでしょうか。「普段は入れない裏側に入れてうれしかった」とか「鳥ビンゴ楽しかった」など感想をいただきました。

ここから未来の学芸員が出てきてくれたら、なんて考えると、感慨もひとしおです。

今回の「たんけん郷土資料館めざせ!キッズ学芸員」は、初めての催しでした。改善すべき点も少なくありませんでしたが、受講者の皆さんにはおおむねご好評のようでした。終了後には「またやってほしい」とか「次はいつですか」などうれしい反響もいただきました。次回は、たぶん来年の夏かもしれません。またの機会をお楽しみに。

博物館実習8日目

実習8日目は、午前中に体験講座の準備と展示コンテンツの発表、午後に体験講座「dokidoki音楽づくり」に参加しました。

 

 体験講座の準備では、会場の設営や必要な道具の準備を行いました。また、準備の際に、講師の中村耕作先生(国立歴史民俗博物館)から縄文土器の文様や特徴について教えていただきました。実習生間で土器の文様や特徴について気づいたことをあげていきましたが、様々な意見や視点があり面白かったです。

写真:中村先生の指導

 

体験講座の準備の後は、7月末から準備を進めてきました展示コンテンツの発表を行いました。各々、種別や年代も異なる資料について展示コンテンツを発表し、発表を聞いている中で初めて知ることも多く、大変興味深かったです。また、自分の発表後には様々な意見やご指摘をいただき、自分では気づくことのできなかった点や改善点を知ることができ、充実した発表の時間となりました。

写真:展示コンテンツの発表

 

 

午後の体験講座「dokidoki音楽づくり」では、参加者の皆さんと一緒に縄文土器の文様にあった音楽づくりを行いました。まずは、縄文土器の文様や特徴をよく観察して、文様のパターンや違いを読みとりました。その後、読みとった文様を身体で表してみたり、文様のイメージに合った音を考えたりしました。

 写真:講座の様子1

 

 

試行錯誤しながら、文様のイメージに合う音を探し、最後にはひとつひとつの音を組み合わせて音楽にしました。自分のイメージしている音を出すことが難しかったですが、班のメンバーと一緒に楽しく音を探すことができました。4つの班に分かれて音楽づくりをしましたが、どの班も素敵な音楽を作ることができたと思います。

 写真:縄文時代の自然素材をつかった音楽づくり

 

 

次の実習は来月となりますが、最後までたくさんのことを学習したいと思います。

(令和4年度博物館実習生)

博物館実習6日目

 

実習6日目の本日は午前中に資料整理と神明貝塚の見学、午後は実習を振り返ってのディスカッションを行いました。

 

資料整理では、お預かりした民具の虫干しとカビの除去をしました。全員で協力しながらコンテナから資料を出し、日光や風に当てながら文化財専用のウェットシートを使って丁寧にふき取りました。炎天下の中で大変な作業でしたが、カビや汚れが付着していた部分をかなり綺麗な状態にすることができました。地道で時間のかかる作業ですが、作業をしてみて貴重な資料をより良い状態で保存するためには欠かせないことなのだと知りました。大学で授業を聞いているだけではわからない学芸員の仕事を体験することができ、大変勉強になりました。

 写真:資料を拭いている様子

写真:綺麗になった資料  

 また、神明貝塚の見学にも行きました。神明貝塚は春日部市西親野井に所在し、国指定史跡になったことで有名な貝塚です。現地は畑が広がっており、一目で貝塚と認識するのは難しくなっています。しかし地面を見てみると、一面に貝が散らばっている様子が確認できます。この貝はヤマトシジミという貝で、神明貝塚でよく利用されていました。また、土器片もいくつか見られました。神明貝塚を訪れるのは初めてでしたが、思っていたよりも大規模な貝塚で驚きました。

 写真:神明貝塚の風景

 

 実習はまだ続きますが、午後は実習の振り返っての感想や考えたことをディスカッションしました。実習前は利用者としての目線でしか博物館を見ることができませんでしたが、バックヤードや資料館の現状を見てきたことで、学芸員側の立場から資料館のあり方や改善点などを考えることができました。また、他の実習生の意見も聞くことで考えが深まったと思います。

 

令和4年度博物館実習生

資料の取扱いと発表準備

実習三日目の本日は、午前中は「日章旗」や「掛軸」の資料取扱いを行いました。午後には8月7日の展示コンテンツの発表に向けてそれぞれが準備を行いました。

日章旗の取扱いでは、年代を探るため、春日部町という文字に注目をしました。春日部町は戦争中の昭和19年(1944年)、内牧村と春日部町が合併し、春日部氏ゆかりの名をとって春日部町が誕生しました。その為、日章旗は昭和19年(1944年)のものだということが分かりました。文字の持つ情報の重要さを感じました。

写真:日章旗

掛軸の扱いでは、矢筈を使い壁に展示を行いました。実際に展示をしてみると、掛け軸が傾いているかが分かりにくく、難しさを感じました。展示の際はお客さんの目線になって展示するように工夫をしたいと思いました。

写真:掛け軸の取り扱い

午後の発表準備では、それぞれ興味関心のあるテーマを決め、資料紹介の資料作成を行いました。各自が担当した資料は円筒埴輪、古墳時代の直刀、江戸川で使用された漁業の網、粕壁町の半纏、江戸川の河岸場の文書です。

発表原稿を作成するため、春日部市史などを活用しました。発表まではまだ日にちがありますが、頑張りたいと思います。

写真:文献の調査

写真:資料の撮影

残りの実習も楽しみつつ、一生懸命取り組んでいこうと思います。

 

(令和4年度博物館実習生)