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校長室のひとりごと

校長室のひとりごと「江戸しぐさ」

 皆さん「江戸しぐさ」ってご存知ですか。「おもてなし」も素晴らしい日本文化ですが、この「江戸しぐさ」も私が大好きな世界に誇れる日本文化の一つです。もともと江戸時代の町人達から広まったとされる「江戸しぐさ」ですが、当時の江戸の人口密度は相当なものだったと伝わっています。狭い街並みにひしめきながら暮らしていたからこそ生まれた、「ちょっとした仕草」こそが「江戸しぐさ」です。(近年の調査で江戸時代に存在していたか定かではないとされましたが)

 例えば「傘かしげ」。雨の日に傘をさしながら狭い江戸の路地を歩けばすれ違いもままなりません。そんな時にはお互いに傘の相手側を開けるように傾けすれ違います。こうすることで相手に傘の雫が垂れることも防げるのです。同じような仕草「肩引き」という仕草があります。狭い路地をお互い相手側(内側)に身を開き肩を引くようにすれ違うことで相手と目が合い「すみませんね」という気持ちを込めた思いやりの仕草です。次に「うかつあやまり」、このように相手を思いやっていてもうっかり相手の足を踏んでしまうことありますが、そんな時には、グッと堪えて「うっかり足を出したばかりに」と踏まれた側が先に謝ることで「いやいや私こそ本当にすみませんでした」と、結果としてケンカにならず知り合いにもなれるという仕草です。もし踏まれた側が「痛えな、どこ見て歩いてやがんで」となれば「何を〜そんなとこに足を出してるお前さんが悪いんだ」とケンカになることも防げるという利点があるようです。「江戸しぐさ」、実に江戸の町人達の知恵と思いやりにあふれた文化ですね。

人と人との関わりが希薄になり、更には物騒な現代社会においてこそ、日本人として「江戸しぐさ」を見直したいものです。