活動報告

2024年7月の記事一覧

第4次中央要請行動結果報告④

総務省に対しては、以下の要望をしました。

    教育関係施策及び関連予算に関する要望
 1 教育公務員を含む地方公務員の労働基本権について、引き続き制限を設け、代償措置としての人事委員会勧告制度を堅持すること
※2 教育 DX の実現に向けて、「デジタル田園都市国家計画ロードマップ」に示されているように地域協議会での協議をもとに、5G、光ファイバをはじめとする情報通信基盤の整備を推進すること
 3 「個別最適な学び」の実現のため、関係省庁と連携し、校務系データと学習系データ、行政系データの連携及び利活用に向けたプラットフォームの構築を推進すること
※4 主権者教育の推進に当たっては、政治的中立性の確保とデジタル・シティズンシップの育成に留意し、文部科学省と連携して取組を進めること
5 文部科学省と連携し、青少年インターネット環境整備法に基づく、インターネットの安心・安全な利用促進のため、通知やリーフレットの作成・提供等で周知啓発を行うこと
6 地方の防災力強化に資するよう、学校施設を地域の防災拠点として機能させるための施設設備の充実や、災害時に確実な情報伝達が行えるよう環境整備を推進すること

総務省からは以下の回答を得ました。

○ 要望2について
 過疎・離島地域等の条件不利地域において、5G 基地局の整備に関しては、「携帯電話等エリア整備事業」、光ファイバ等の整備に関しては、「高度無線環境整備推進事業」等の各自治体を支援する補助事業がある。5G 基地局整備に係る令和6年度当初予算としては 23 億円、令和5年度補正予算と合わせ、計 62 億円の計上となっている。補助率については複数の携帯事業者で整備する場合には、3分の2という補助率を設定している。特に離島地域においては、4分の3と補助率のかさ上げを行っている。また、光ファイバ整備に係る令和6年度予算については、45 億円を計上している。令和6年度から離島地域の光ファイバの整備に関しては、海底ケーブルの敷設に多大な費用を要するため、従来自治体の場合は、3分の2の補助、民間事業者等の場合は2分の1の補助だったところを、5分の4まで補助率をかさ上げしている。今後も地域協議会等とも連携し教育 DX に必要な通信環境整備に取り組んでいく。
○ 要望4について
 文部科学省と連携し、主権者教育に関する副教材を高校1年生に配布している。この副教材内でも政治的中立性について掲載をしている。加えて、令和5年度に全国の主権者教育を事例集にまとめた「主権者教育に関する取組事例集」を作成している。こちらは各地方自治体の選挙管理委員会及び文部科学省を通して各教育委員会、各学校にも周知を図っている。事例集の中でも、政治的中立性に配慮した取組の場合は、工夫点やポイントとなる事項を紹介している。多くが選挙管理委員会事務局や議会事務局が主体となり実施された事例だが、高等学校自身で取り組まれた事例も紹介しているので参考にしてほしい。加えて、啓発教材として「家庭で学ぶデジタル・シティズンシップ」を公表している。小学校低学年から高校生の保護者や教師が活用できるよう作成している。文部科学省でもホームページで紹介してもらっており、今後も連携を図っていきたい。発達段階に応じ、動画教材や自習型の教材、ワークショップ型の教材等があり、指導者ガイドも用意している。総務省のホームページでもダウンロードし活用することができる。文部科学省、地方自治体と連携し幅広い世代を対象に施策を講じていく。

 現在のデジタル社会において、私たちはコンピュータやインターネットを適切に活用して生きていかなければなりません。そのような社会の一員として私たちが責任をもって行動していくにはどうあるべきかを学ぶのが「デジタル・シティズンシップ」教育です。教材等については、活用できるものは大いに活用したいものです。

 全日教連では、文部科学省、財務省、こども家庭庁、厚生労働省、総務省などの省庁だけでなく、国会議員等にも要望活動を行っています。子供たちのために、そして教職員が安んじて職務に専念できる環境を構築するために、これからも要望活動を続けて参ります。

 

第4次中央要請行動結果報告③

厚生労働省に対しては以下要望をしました。

    教育関係施策及び関連予算に関する要望
 1 児童生徒の自殺を防止するため、電話や SNS 等を用いたインターネット相談窓口を活用した相談体制や関係諸機関による連携の強化を図ること
 2 学校現場において次なる感染症を蔓延させないために、体制の強化を推進すること
※3 勤務間インターバルの趣旨を通知や啓発リーフレットの作成・提供等で学校現場へも浸透させ、ワーク・ライフ・バランスの促進を図ること
※4 仕事と育児・介護の両立支援のため、文部科学省と連携し、学校現場における業務代替整備・柔軟な働き方の導入等も含めた支援を行うこと

厚生労働省からは、以下の回答を得ました。

○ 要望3について
 主に民間企業向けの取組となるが、勤務間インターバルの推進施策としての機運醸成のためシンポジウム開催、導入企業の取組事例の収集・周知、導入時に参考となるマニュアル作成、制度促進のための動画コンテンツの作成・公開等を行っている。加えて、勤務間インターバル制度に特化した施策ではないが、各都道府県に設置の働き方改革推進支援センターにおいて専門家による導入支援等を行っている。また、「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」では勤怠管理システムの導入に際しての助成等を行っている。
○ 要望4について
 こちらも企業向けの取組となるが「両立支援等助成金」を実施している。休業中の業務を代替する方や、新規に雇用を行う場合にその手当への支援を行う。またテレワークを導入した場合にも環境整備に係る助成も行う。この助成金はいくつかのコースが設けられており、男性が育児休業を取得する際の助成、介護離職を防止し職場復帰を支援する助成、不妊治療との両立を支援する助成等のコースがある。

勤務間インターバル制度を学校現場にそのまま導入することは難しいですが、制度の趣旨を取り入れた業務改善や人員配置、働き方改革の進展は重要です。

 

 

第4次中央要請行動結果報告②

こども家庭庁に対しては、以下の要望をしました。

        教育関係施策及び関連予算に関する要望
 1 児童虐待を防止するため、「新たな児童虐待防止対策体制総合強化プラン」に則った関係機関等における支援相談体制の強化を図ること
※2 自殺リスクを把握するため、1人1台端末を活用する等の施策を講じ、子供の自殺を予防すること
 3 ヤングケアラーの早期支援のために、ヤングケアラーへの理解を促す取組の推進や関係諸機関による支援体制の強化を図ること
 4 医療的ケア児が学校や地域社会において必要な支援を受けられるよう、支援相談体制の強化を図ること
※5 子供や家庭に関する教育や福祉等のデータを、分野を越えて連携させ、支援が必要な子供や家庭を早期に把握し、適切な支援につなげること
6 「日本版 DBS」を構築する際は、個人情報を厳正に管理・運用し、現職の教職員が性加害に係る「無犯罪証明書」等で証明責任を負うことのないようにすること

要望に対してこども家庭庁からは、以下のような回答を得ました。

○ 要望2について
 こども家庭庁として、広く子供の自殺対策としての施策及び文部科学省との連携について説明したい。小中高生の自殺件数は令和5年度 513 名と非常に高い水準となっており、極めて憂慮すべき状況であると認識している。このような状況を鑑み、令和4年に「自殺総合対策大綱」が閣議決定されている。この中で今後5年間取り組むべき施策として、子供・若者の自殺対策の更なる推進・強化が提示されている。これを踏まえ、令和5年に子供の自殺対策の司令塔として、こども家庭庁に「自殺対策室」を設置した。加えて「子供の自殺対策に関する関係省庁連絡会議」を設置し、厚生労働省、文部科学省、法務省、消防庁、警察庁等関係省庁と内閣官房の「孤独孤立対策室」を加え協力して自殺対策を進める体制を整備した。この会議の中で、有識者や当事者、現場で支援に携わる方等と意見交換を行っている。そのうえで、令和5年6月には「こどもの自殺対策緊急強化プラン」を策定し、1人1台端末を活用した、心の健康観察等を導入した。加えて「こども・若者の自殺危機対応チーム事業」におけるチーム立ち上げ支援や「こどもの自殺の多角的な要因分析に関する調査研究」を委託事業として実施している。この調査研究は、警察庁や厚生労働省の統計的な調査と併せて、教育委員会等が調査した自殺の経緯等を踏まえた調査研究として行ってい
る。報告書はホームページに公表している。こども家庭庁として関係省庁連絡協議会の継続開催、自殺対策緊急強化プランに基づく各省庁の取組のフォローアップ等引き続き自殺対策に努めていく。
○ 要望5について
 一昨年度までのデジタル庁による実証事業を引き継ぎ、こども家庭庁としてこどもデータ連携実証事業を行っている。各地方公共団体がこどもデータ連携に取り組むことができるよう、ガイドライン形式で事業の成果をまとめ、こどもデータ連携整備の足場を固めていく。 昨年度の成果及びガイドラインの素案はこども家庭庁のホームページで公表している。今年度も引き続き実証事業として進め、データ連携整備に向け尽力していく。

 児童虐待やヤングケアラーの問題は、大きな関連を持っています。児童生徒の健全育成に向けて、支援体制をしっかりと整えていくよう、これからも要望を続けていきます。

 

 

 

第4次中央要請行動結果報告①

全日教連は、去る6月10日(日)に文部科学省・こども家庭庁・厚生労働省・総務省に対して、文教予算及び教育制度等に関する要望活動を行いました。

文部科学省に対しては、以下の要望をしました。

      文教予算及び教育施策等に関する要望
1 きめ細かな指導と円滑な学校運営を行うために、学級編制標準の引下げと教職員定数の改善を図ること
※(1) 一部自治体で行っている小学校大卒新規採用教員を教科担任兼学級副担任とする試みを全国標準モデルとするために教職員定数の改善を行うこと
 (2) 中学校・高等学校における1学級の生徒数の標準を 35 人に引き下げること
 (3) 「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を実現するため、小学校・中学校に、30 人学級を見据えて継続的に議論を進めること
 (4) 今日的な教育諸課題に対応するために必要な加配定数の維持改善を図ること
※(5) 教職経験が少ない若年層を支援する「若年層サポート加配(仮称)」を配置すること
 (6) 副校長、主幹教諭、指導教諭の配置促進を図ること
 (7) 教師不足を解消するために、地方公共団体が正規教員を長期的に増員するための計画を立てられるように支援をすること
2 教職員の給与について、職務と責任に見合ったものとなるよう改善を図ること
 (1) 義務教育諸学校の教育職員の給与について、人材確保法の初心に立ち返り、優遇部分の拡充を図ること
※(2) 教職調整額について、10%以上への引上げを行うこと
 (3) 管理職手当や主任手当等の諸手当の改善を行うこと
 (4) 教職員の標準的な職務に照らした給与体系のモデルを示すこと
3 教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るために、現在、地方財政措置されている教材費等についても義務教育費国庫負担制度の対象とすること
4 教師が教育専門職として職務に専念できる環境を整備するために、学校における働き方改革の推進を図ること
 (1) 教員業務支援員、学習指導員、部活動指導員等の支援人材の更なる配置拡充を図ること
 (2) 部活動の地域移行に向けて、運営団体や指導者を確保するための財政的支援、学校単位で参加する大会等の見直し、学校と地域をつなぐコーディネーターの配置等の取組を確実に進めること
(3) 教職員の精神疾患による病気休職者数が高い水準で推移している現状を踏まえ、教職員のメンタルヘルスに対する取組の充実を図ること
5 教育 DX の推進に向けて、必要な環境の整備を図ること
 (1) 学校における ICT 環境の整備に必要な予算を確保すること
 (2) デジタル庁やこども家庭庁と連携し子供に関わるデータ(学習系データ・行政系データ等)を分野横断的に活用するため、様式・項目を共通化する等のシステム構築を進めること
 (3) 学習者用デジタル教科書について、普及促進事業の拡充を図るとともに本格的に導入する際には紙の教科書と同様に無償給与の対象とすること
 (4) 新たな ICT 環境整備方針の策定等の取組を推進すること
6 安心安全な学校生活を保障するために必要な環境の整備を図ること
※(1) いじめ、不登校、虐待、自殺等の問題に対応するために、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、スクールロイヤーの配置や支援相談体制の拡充を図ること
 (2) 不登校児童生徒のみならず、不登校傾向にある児童生徒の実態を的確に把握できるように調査の方法を見直すこと
 (3) 登下校中の事件や事故から子供たちを守るために、通学路や学校周辺の安全確保等、地域人材を活用した取組を推進すること
 (4) 学校施設の改修整備を進めるために必要な予算を確保すること
7 「新たな教師の学び」を支える研修制度について、教師の資質能力の向上と負担軽減が両立できるものとすること
 (1) ガイドラインに基づいた運営について、都道府県・市町村教育委員会に対し、指導助言を行うこと
 (2) 教師自身が必要とする研修を主体的に受けることができるよう、ニーズに応じた研修の更なる充実を図ること

文部科学省からは、※について以下のような回答を得ました。

○ 要望1(1)及び(5)について
 山形県では、加配定数を活用し、新規採用職員の一部を学級副担任とし学級経営・保護者対応等を学ぶ取組を行っている。取組の結果、精神疾患による病休取得者の減少につながり、新規採用教師からの評価も高いと聞いている。教職員定数の改善、若年層の教員に対する支援の充実は、様々な教育課題に対応するため重要であると考えている。令和6年度予算において、小学校高学年教科担任制のための加配定数を1年前倒しして計上した。加えて、今年度予算においては、小学校 35 人学級の計画的な整備、通級指導や日本語指導の充実、中学校における生徒指導や学びの
多様化学校等への支援等必要な経費計上を行った。「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」でも新規採用職員支援の観点からも定数改善の必要性が提言されている。このことを踏まえ、今後各自治体の取組等も参考にしながら、若手教師が円滑に資質・能力を向上させ成長できるよう、教職員体制の充実に努めたい。
○ 要望2(2)について
 優れた人材を確保するためには、教師の処遇改善は重要な課題であると認識している。先般の中教審「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」において、人材確保法の趣旨を踏まえ、その他の処遇改善策と併せて、教職調整額を少なくとも 10%以上とするべきと提言された。引き続き、教師の人材確保、質の向上に向け、働き方改革、教師の処遇改善、学校の指導運営体制の充実、教師の育成支援、これらを一体的に進めていきたい。
○ 要望6(1)について
 児童生徒を取り巻く様々な課題に対応するため、心理の専門家としてスクールカウンセラー(SC)、 福祉の専門家としてのスクールソーシャルワーカー(SSW)、 法の専門家であるスクールロイヤー(SL)、これらが教師と連携・協力をしていくことが大変重要である。令和6年度当初予算において、SC・SSW の重点配置校をそれぞれ 10,000 校に増やす措置及び SNS を活用した相談体制や 24 時間子供 SOS 対応相談員配置等の措置を行っている。SL については、令和2年度から、各都道府県、政令指定都市を対象とした地方交付税措置により、法務相談経費の支援を行っている。加えて、各教育委員会における法務相談体制構築に向けた手引きの策定や周知を行っている。今後も配置拡充、教育相談体制の充実等に努めていく。

また、文科省とのやり取りの中で、教職調整額について、

【全日教連】
教職調整額の引上げについては法改正を伴う。法改正について方向性等聞かせて欲しい。
【文部科学省】
中教審審議のまとめを受け、教職調整額の増額に向けて尽力していく。今後は、8月末の概算要求に向けた検討を進め、年内に整理をし、財務省及び地方交付税の面では総務省とも調整を進めていく。法改正に関しては、2023 年の「骨太の方針」に令和7年の通常国会への改正案提出を検討していくと示されており、遅れないよう進めていく。
【全日教連】
教職調整額の引上げに伴い、管理職手当や時間外勤務手当が支給されている学校事務職員等も処遇の面で連動した改善がなされるのか。
【文部科学省】
同年代の教員と副校長・教頭の給与が逆転することのないようにとは考えている。学校事務職員についても職責に応じた処遇が基本的な考え方になる。

 

栃管協は、全日教連を通して、今後も学校管理職員の給与勤務条件並び教育環境の整備・充実に向けて、国に要望を届けて参ります。

第2回調査部会開催

7月2日(火)に、第2回調査部会を開催しました。今年度のアンケート調査の内容項目についての検討です。調査部員9名全員が出席して、時間をかけて検討していただきました。

今年度は、「小学校高学年の教科担任制について」と「中学校部活動の地域移行について」の二つについて調査いたします。学校現場の実態等について把握すると共に、国や県に対する要望事項に生かすことが目的です。9月末にはアンケート調査の依頼文を事務局より各学校に送付いたしますので、御協力の程よろしくお願いいたします。

なお、今年度のアンケートは栃管協のホームページの「アンケート」から回答いただくことになります。