活動報告

第4次中央要請行動結果報告①

全日教連は、去る6月10日(日)に文部科学省・こども家庭庁・厚生労働省・総務省に対して、文教予算及び教育制度等に関する要望活動を行いました。

文部科学省に対しては、以下の要望をしました。

      文教予算及び教育施策等に関する要望
1 きめ細かな指導と円滑な学校運営を行うために、学級編制標準の引下げと教職員定数の改善を図ること
※(1) 一部自治体で行っている小学校大卒新規採用教員を教科担任兼学級副担任とする試みを全国標準モデルとするために教職員定数の改善を行うこと
 (2) 中学校・高等学校における1学級の生徒数の標準を 35 人に引き下げること
 (3) 「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を実現するため、小学校・中学校に、30 人学級を見据えて継続的に議論を進めること
 (4) 今日的な教育諸課題に対応するために必要な加配定数の維持改善を図ること
※(5) 教職経験が少ない若年層を支援する「若年層サポート加配(仮称)」を配置すること
 (6) 副校長、主幹教諭、指導教諭の配置促進を図ること
 (7) 教師不足を解消するために、地方公共団体が正規教員を長期的に増員するための計画を立てられるように支援をすること
2 教職員の給与について、職務と責任に見合ったものとなるよう改善を図ること
 (1) 義務教育諸学校の教育職員の給与について、人材確保法の初心に立ち返り、優遇部分の拡充を図ること
※(2) 教職調整額について、10%以上への引上げを行うこと
 (3) 管理職手当や主任手当等の諸手当の改善を行うこと
 (4) 教職員の標準的な職務に照らした給与体系のモデルを示すこと
3 教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るために、現在、地方財政措置されている教材費等についても義務教育費国庫負担制度の対象とすること
4 教師が教育専門職として職務に専念できる環境を整備するために、学校における働き方改革の推進を図ること
 (1) 教員業務支援員、学習指導員、部活動指導員等の支援人材の更なる配置拡充を図ること
 (2) 部活動の地域移行に向けて、運営団体や指導者を確保するための財政的支援、学校単位で参加する大会等の見直し、学校と地域をつなぐコーディネーターの配置等の取組を確実に進めること
(3) 教職員の精神疾患による病気休職者数が高い水準で推移している現状を踏まえ、教職員のメンタルヘルスに対する取組の充実を図ること
5 教育 DX の推進に向けて、必要な環境の整備を図ること
 (1) 学校における ICT 環境の整備に必要な予算を確保すること
 (2) デジタル庁やこども家庭庁と連携し子供に関わるデータ(学習系データ・行政系データ等)を分野横断的に活用するため、様式・項目を共通化する等のシステム構築を進めること
 (3) 学習者用デジタル教科書について、普及促進事業の拡充を図るとともに本格的に導入する際には紙の教科書と同様に無償給与の対象とすること
 (4) 新たな ICT 環境整備方針の策定等の取組を推進すること
6 安心安全な学校生活を保障するために必要な環境の整備を図ること
※(1) いじめ、不登校、虐待、自殺等の問題に対応するために、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、スクールロイヤーの配置や支援相談体制の拡充を図ること
 (2) 不登校児童生徒のみならず、不登校傾向にある児童生徒の実態を的確に把握できるように調査の方法を見直すこと
 (3) 登下校中の事件や事故から子供たちを守るために、通学路や学校周辺の安全確保等、地域人材を活用した取組を推進すること
 (4) 学校施設の改修整備を進めるために必要な予算を確保すること
7 「新たな教師の学び」を支える研修制度について、教師の資質能力の向上と負担軽減が両立できるものとすること
 (1) ガイドラインに基づいた運営について、都道府県・市町村教育委員会に対し、指導助言を行うこと
 (2) 教師自身が必要とする研修を主体的に受けることができるよう、ニーズに応じた研修の更なる充実を図ること

文部科学省からは、※について以下のような回答を得ました。

○ 要望1(1)及び(5)について
 山形県では、加配定数を活用し、新規採用職員の一部を学級副担任とし学級経営・保護者対応等を学ぶ取組を行っている。取組の結果、精神疾患による病休取得者の減少につながり、新規採用教師からの評価も高いと聞いている。教職員定数の改善、若年層の教員に対する支援の充実は、様々な教育課題に対応するため重要であると考えている。令和6年度予算において、小学校高学年教科担任制のための加配定数を1年前倒しして計上した。加えて、今年度予算においては、小学校 35 人学級の計画的な整備、通級指導や日本語指導の充実、中学校における生徒指導や学びの
多様化学校等への支援等必要な経費計上を行った。「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」でも新規採用職員支援の観点からも定数改善の必要性が提言されている。このことを踏まえ、今後各自治体の取組等も参考にしながら、若手教師が円滑に資質・能力を向上させ成長できるよう、教職員体制の充実に努めたい。
○ 要望2(2)について
 優れた人材を確保するためには、教師の処遇改善は重要な課題であると認識している。先般の中教審「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」において、人材確保法の趣旨を踏まえ、その他の処遇改善策と併せて、教職調整額を少なくとも 10%以上とするべきと提言された。引き続き、教師の人材確保、質の向上に向け、働き方改革、教師の処遇改善、学校の指導運営体制の充実、教師の育成支援、これらを一体的に進めていきたい。
○ 要望6(1)について
 児童生徒を取り巻く様々な課題に対応するため、心理の専門家としてスクールカウンセラー(SC)、 福祉の専門家としてのスクールソーシャルワーカー(SSW)、 法の専門家であるスクールロイヤー(SL)、これらが教師と連携・協力をしていくことが大変重要である。令和6年度当初予算において、SC・SSW の重点配置校をそれぞれ 10,000 校に増やす措置及び SNS を活用した相談体制や 24 時間子供 SOS 対応相談員配置等の措置を行っている。SL については、令和2年度から、各都道府県、政令指定都市を対象とした地方交付税措置により、法務相談経費の支援を行っている。加えて、各教育委員会における法務相談体制構築に向けた手引きの策定や周知を行っている。今後も配置拡充、教育相談体制の充実等に努めていく。

また、文科省とのやり取りの中で、教職調整額について、

【全日教連】
教職調整額の引上げについては法改正を伴う。法改正について方向性等聞かせて欲しい。
【文部科学省】
中教審審議のまとめを受け、教職調整額の増額に向けて尽力していく。今後は、8月末の概算要求に向けた検討を進め、年内に整理をし、財務省及び地方交付税の面では総務省とも調整を進めていく。法改正に関しては、2023 年の「骨太の方針」に令和7年の通常国会への改正案提出を検討していくと示されており、遅れないよう進めていく。
【全日教連】
教職調整額の引上げに伴い、管理職手当や時間外勤務手当が支給されている学校事務職員等も処遇の面で連動した改善がなされるのか。
【文部科学省】
同年代の教員と副校長・教頭の給与が逆転することのないようにとは考えている。学校事務職員についても職責に応じた処遇が基本的な考え方になる。

 

栃管協は、全日教連を通して、今後も学校管理職員の給与勤務条件並び教育環境の整備・充実に向けて、国に要望を届けて参ります。