ほごログ
【常設展】竪穴式住居模型を作っている木材
さて今回は、模型に使われている木材の木の種類についてご紹介します。資料館の竪穴式住居の模型の木材は、すべて本物の植物を加工して使っています。
まず、中央で屋根を支えている4本の柱とそれを横につないでいる梁(はり)の部分は、コナラを使っています。棟(むね)という、住居の穴の外側から斜めに建てられている材木はスギです。その棟をマス目になるように横につないでいる横材はクリで、この棟と横材の上に屋根になるカヤがのせられています。
コナラやスギ、クリの木材は、縄文時代の遺跡からも炭化した状態で発見されることの多い木です。
木材の違いは樹皮の様子で簡単に見分けられます。ご来館いただいた際は、ぜひご確認ください。
春日部市郷土資料館、三十路を迎えました
ところで、今年2020年は郷土資料館開館30周年の記念すべき年です。皆様にご愛顧いただき、無事に三十路(みそじ)になりました(まだ数えですが・・・)。
正月早々、手前みそですが、今回は開館当時の資料から「生まれたて」の資料館を紹介したいと思います。
平成2年(1990)7月20日、郷土資料館は、教育センターの1階に開館しました。13時、開館式典のテープカットで、資料館は産声をあげました。
テープカットの写真からは、現在、民具等を展示して狭く感じるロビーには、何も置かれず、広々としている様子がわかります。次の写真は開館まもなくに撮られた展示室の写真です。
あまり変わり映えしていないようにも見えますが、その後、設置されていったケース、資料、解説パネルなどがありません(当然ですが)。
「広報かすかべ」408号(1990年6月号)には、資料館のオープンを紹介した記事が掲載されています。
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展示室(常設展示)のオープンと同時に開催された開館記念特別展は「粕壁と円空」でした。当時の記事をみると、旧春日部市内の14体の円空仏を展示したそうです。現在は、その後の調査も進み、現市内には22体の円空仏が確認されています。
開館当時の見どころが、竪穴住居と宿場の模型だったこともよくわかりますね。今は手を変え品を変え、収蔵資料で見どころをつくれるよう日々奮闘していますヨ!
開館特別記念講演会には県立博物館(当時)の林宏一先生をお招きして、「埼玉の円空仏」についてご講演いただきました。次の写真は講演会の記録写真です。
現在は満席になることも多い記念講演会ですが、まだ教育センターや資料館、円空仏について認知されていないなか、開館日の翌々日に開催されたので、空席が目立ちますが仕方ありませんね。現在は、多くの皆さまに少しは認知していただるようになったのかなぁと思ったり、思わなかったり。
さて、30周年となる2020年も、より多くの方にご利用いただき、郷土の歴史・文化に親しんでいただけるよう、様々な企画・工夫を凝らしていきたいと思います。三十路になった春日部市郷土資料館を、本年もどうぞ変わりなく、お引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます。
ミュージアムトーク「春日部の歴史と2019を振り返る」を開催しました
本年も、ご来館いただき誠にありがとうございました。
さて本日は、「かすかべの歴史と2019年を振り返る」をテーマに常設展示のミュージアムトークを開催いたしました。暮れのお忙しい時期にもかかわらず、大勢の方にお越しいただきました。
ミュージアムトークでは、今年のニュースのレジュメをもとに、関連する展示物をご紹介いたしました。
2019年は、改元や台風被害など大きなニュースがありました。これらに関連して現在、市内に伝わった明治の改元の際の恩赦に関する文書や、明治43年の水害被害を記録した文書を常設展示に展示しております。こういった資料は、過去の人々が様々な事象に対してどのように向き合ったのかを如実に伝えてくれているだけではなく、現代を生きる私たちの指標ともなります。
また、7月に世界遺産になった百舌鳥・古市古墳群の大仙古墳(仁徳天皇陵古墳)と市内の塚内古墳群の比較、大仙古墳(仁徳天皇陵古墳)が世界遺産に登録されるにあたっての問題点について、解説いたしました。
2020年の暮れにも、また実施できればと考えております。
どうぞよいお年をお迎えください。
ミュージアムトークの様子
手作り季節展示を展示してます
1年経つのは早いもので、もう年末です
郷土資料館では、小さな手作り門松をかざり、新年を迎える準備をしました♪
皆さま、ぜひご来館ください
郷土資料館は、12月29日(日)から1月3日(金)まで休館となりますので
ご注意ください
郷土資料館体験講座「しめ縄を作って新年を迎えよう」第2回を開催
2人一組になり1人が元をしっかり押さえた状態で、わらの束を3つに分けて、それぞれ右にねじります。
右にねじった2つのわらの束を、「左まき」でまき合わせるのですが、「左まき」がわからず2回失敗しました。
写真は間違っているまき方です。
3回目にして、ようやく正しい方向に巻くことができ、完成しました。
皆さん他に輪飾りなども作ってお持ち帰りになられました。
来年もまた暮れの時期に実施しますので、ご興味がある方はぜひご参加ください。
【ミュージアムトーク】春日部市の2019年
2019年の春日部市のニュースでは、以下のようなものがありました。
●2019年主な春日部のニュース(「広報かすかべ」他より)
2月8日 株式会社ジェイコム北関東越谷春日部局と市が包括的連携協定を締結。
2月14日 豊野町のプラスチック工場で火災。
2月26日 国交省が首都圏外郭放水路を次年度よりインフラツーリズムのモデル地区とすることを発表。3/23より有料施設見学開始。
3月8日 春日部駅付近連続立体交差事業都市計画決定。
3月23日 第91回選抜高校野球に春日部共栄高校。1/23初日高松商業に敗退。
3月29日 4/7埼玉県議会議員選挙告示、春日部市選挙区は無投票。
3月31日 住基カードによるコンビニ交付サービスの新規登録受付が終了。
3月31日 谷原中、中野中、宝珠花小、富多小、江戸川中廃校。
4月1日 春日部南中、江戸川小中学校開校。
5月3日 大凧あげ祭り、大凧文字「令和」「元年」(5/5も)。
5月7日 匠大塚株式会社と市が包括的連携協定を締結。
5月18日 資料館春季展示「指定文化財でめぐる春日部」(7/7まで)
6月30日 市のAR動画サービス(HP Reveal)サービス終了。
7月23日 資料館夏季展示「元祖成金!鈴木久五郎」(9/8まで)。
9月11日 葛飾中学校で熱中症19人が緊急搬送。屋外の最高気温35.8度。
10月1日 「アンタッチャブル」の山﨑弘也がかすかべ親善大使になる。
10月1日 資料館小学校地域学習展「くらしのうつりかわり」(R2.3/22まで)。
10月6日 イオンモール株式会社と市が包括的連携協定を締結。
10月13日 台風19号(10/13~)による避難勧告。水害に備えて避難所設置。
10月13日 ジェフユナイテッド千葉の春日部市出身、佐藤勇人現役引退。
11月15日 神明貝塚、国史跡に指定の答申。埼玉古墳群も特別史跡と答申。
11月29日 「クレヨンしんちゃんのなるほど春日部マガジン」が日本タウン誌フリーペーパー大賞で全国4位。
12月 3日 旧庄和町が2001年に埋設したタイムカプセル公開。1月に返送。
さて、12月28日(土)は、ミュージアムトークを行います。
春日部のニュースに限らず、2019年の様々なニュースを振り返りながら、関連する展示について、皆様とトークしたいと思います。
ミュージアムトークに向けて、一部展示替えを行い、皆様をお待ちしております。
【ミュージアムトーク】春日部の歴史と2019年をふり返る
日時:令和元年(2019年)12月28日(土)10:30~、15:00~
各60分程度
場所:郷土資料館常設展示室
*ミュージアムトーク中の入場、退場は自由です。
郷土資料館体験講座「しめ縄を作って新年を迎えよう」を開催しました
最初に、半紙を使い紙垂を作成した後、しめ縄本体の作成をしました。
しめ縄は、2人の共同作業になり、2人が藁の両端を持ち、ねじって作成します。
新年を迎えるのにふさわしい立派な物が完成しました。
参加者からは、「毎年参加しています!」「楽しかった」と感想をいただきました。
神間村文書を読む勉強会
酒井根村の焚き出しでは、夜飯に「にぎり飯壱人前三勺宛被下、其外茶酒抔迄も送り来」との記事があり、握り飯が3勺(1合の3分の1)では少ないのではないかとの意見があり、「勺」の字をめぐって様々な意見が飛び交いました。同様に「茶」という字も「薬」と読めるのではないか、「寝」の異体字の書き損じではないか、という意見もあり、あるいは「来」も「直」ではないかとの意見もあり、この一文の翻字と解釈をめぐって、皆さんで検討を深めました。
白熱(?)していたこともあり、今回はみなさんの写真を撮り忘れてしまいました・・・
「小金原御鹿狩ニ付手控帳」は、未だ読み終わりませんが、古文書勉強会のこれまでの成果はこちらからさかのぼって御覧になれます。
次回は、1月19日(日)14時~となります。
【常設展示】甕棺(福岡県春日市出土)のキャプションを更新しました
郷土資料館では甕棺(かめかん)と呼ばれる、人の遺体を入れるために作られた土器を展示しています。このたび、何かとご質問が多かったキャプションを更新しました。
この甕棺は、春日部市ではなく、福岡県春日(かすが)市の一の谷遺跡で発見されたものです。平成5年6月より、名前に「春日」が付く、春日居町(山梨県・現笛吹市)、春日井市(愛知県)、春日村(岐阜県・現揖斐川町)、春日町(兵庫県・現丹波市)、春日市(福岡県)と春日部市の6つの市町村で「春日サミット」を開催していました。それがきっかけで平成9年に福岡県春日市からお借りし、展示しているものです。
弥生時代中期後半、今から1900年くらい前のもので、高さは上のものが約60㎝、下のものが約89㎝、最大幅は70㎝です。
甕棺を使ったお墓を甕棺墓(かめかんぼ)といいます。甕棺墓は、弥生時代前期から中期の北九州地方に特有のお墓の形で、甕に人の遺体を入れ、ふたをかぶせたり、もう一つの甕を上にのせたりします。甕棺からは人の遺体や、副葬品の青銅製の武器類や鏡が発見されます。
春日市には、この甕棺が発見された一の谷遺跡のほかにも多くの弥生時代の遺跡があります。
国指定史跡の須玖岡本遺跡(すぐおかもといせき)では、明治32年(1899)に、約30面の中国鏡、銅剣や銅矛(どうほこ)、ガラス製の勾玉など多くの品が副葬された甕棺墓が発見されました。この墓は、弥生時代当時、春日市近辺にあった奴国(なこく)の王の墓と推定されています。有名な「漢委奴国王(かんのわのなのこくおう)」の金印を残した王族です。
須玖岡本遺跡の近くには、春日市奴国の丘歴史資料館があり、ドーム内で甕棺墓を発掘調査当時の状態で展示しています。
お近くにご旅行の際は、ぜひご見学ください。
【常設展・展示替】年末年始に向け一部展示替しました
ひとつは、令和の即位の礼を回顧する(?)もの。幕末維新期に明治天皇が元服・即位した時、春日部市内で起きた出来事を物語る資料です。明治時代と令和の即位に共通点があるかも!?
もうひとつは「幸松村水害誌」の「ぷち展示替」です。今年10月の台風上陸で、春日部市でも避難所が開設されました。明治43年(1910)の水害のときにも、幸松村では避難所が開設されました。当時は公的施設は小学校と村役場くらいですが、果たして当時被災された方はどこに避難したのでしょうか。水害の歴史を物語る「ぷち展示替」です。
12月28日(土)にはミュージアムトーク「春日部の歴史と2019年をふり返る」も開催します。合わせて、お楽しみください。
気づかない方多数!?かもしれませんが、じっくり解説をご覧いただき、2019年ふり返える機会になれば幸いです。お見逃しなく!
【常設展・展示替】成金鈴久、再び。新出資料も!
なかでも、担当者の一押しは、11月末に粕壁の旧家の方からご寄贈いただいた古写真です。資料整理の最中、たまたま手に取った一枚に見慣れた青年が。よく見ると、鈴木久五郎。しかも、実兄の鈴木兵右衛門や粕壁の有志の方々と写っているではありませんか!もちろん新出資料です。新発見にドキドキしました。
撮影した写真館や他の被写体の方々から推測すると、明治33年(1910)5月に撮影されたもののようです。当時久五郎は23歳。この頃の久五郎の足跡はよくわかっていませんが、翌月6月2日には渋沢栄一の授爵にかかる埼玉県内有志の祝賀会に招かれています。実業家の階段を着実に上っている時期だったと考えられます。
この発見のドキドキ感をいち早く皆さんにお届けしたいので、展示しちゃいました。
夏季展示のパンフレットの残部もまだございますので、まだ鈴木久五郎を御存じない方も、ぜひともパンフレットと合わせてご覧ください。
八木崎小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました
少し昔に使われていた農具や家庭用品を見ながら、郷土資料館の学芸員より
その当時の暮らしについて説明をうけたり
資料館で触れることのできる昔の道具を実際に体験してみたりしました。
”そろばん”に”赤電話”、児童達にとっては初めて触れる物ばかりで興味津々でした。
重い石臼は2人がかりで一生懸命まわしていました。
郷土資料館では、3月22日(日)まで「くらしのうつりかわり―懐かしの暮らしと道具展」を開催しており、昔の懐かしい道具や写真を展示しています。小さなお子様からご年配の方まで、一緒に楽しめる展示となっております。ぜひ遊びにいらしてください。
12月14日(土)は休館です
ご来館の際はご注意ください。ご迷惑をおかけします。
施設めぐりの方が見学されました
施設めぐりは、市役所シティセールス広報課で開催しているもので、バスで市内の施設をめぐる大変好評な事業です。
令和元年度の2回目となる今回は、郷土資料館のほかに、看護専門学校、道の駅「庄和」、環境センター、埼玉県立春日部高等学校に行かれるとのことで、約30名の方が参加されました。
資料館では、常設展示室の解説を行いました。最近、国指定史跡にするよう答申があった神明貝塚の話題など、熱心に聞いていただきました。また、いくつかご意見もいただきましたので、今後の運営に生かしていきたいと思います。
第9回春日部市民俗芸能公開事業を開催します♪
皆さまも外出時は厚着をし、風邪等にはくれぐれもお気をつけください。
さて令和元年12月15日(日)は、
「第9回春日部市民俗芸能公開事業」
~地域に育まれた獅子~を開催します!
時 間:13:10~16:00(開場 12:50)
場 所:庄和地区公民館(正風館)大ホール
出演団体:銚子口獅子舞保存会、西金野井獅子舞保存会
料 金:無料
定 員:500人
※申し込み不要。当日お越しください。
文化遺産を継承されている「銚子口獅子舞保存会」「西金野井獅子舞保存会」の2団体による「獅子舞」の披露になります。
両保存会の皆さまは、江戸時代から現代まで、300年間以上も「獅子舞」という「無形の文化財」を代々守り、伝えてきました。もし、どこかの時代で「一度」でも「伝統」が途絶えていれば、今こうして「獅子舞」を見ることはできなかったわけです。
いかに「伝統」を続けることが大変で大切かを考えさせられますね。
令和の新時代と、未来を考えるために「伝統」と「歴史」に目を向ける良い機会です。
ぜひ、お越しください。会場でおまちしております!
【ミュージアムトーク】春日部の歴史と2019年をふり返る
平成31年から令和元年と変わった2019年も、もう12月を迎えました。今年1年間の様々なニュースと、常設展示をできるだけむすびつけて、今年最後の開館日に、参加者の皆さんとトークしたいと思います。
大掃除の手を少し休めて、資料館展示室で今年を振り返ってみませんか。みなさまのご来館をお待ちしております。
【ミュージアムトーク】春日部の歴史と2019年をふり返る
日時:令和元年(2019年)12月28日(土)10:30~、15:00~
各60分程度
場所:郷土資料館常設展示室
*ミュージアムトーク中の入場、退場は自由です。
2019年後半は台風被害なども多く発生しました。ミュージアムトークのテーマの一つとして、過去に市内で起こった水害とともに振り返ります。また当日は蓄音機の上演も予定しています。
【歴史文化講演会】歌から額田王に迫る
実人生は謎に包まれていますが、堀越先生は万葉集に収録される額田王の歌を斉明朝時代とそれ以後に分けて解釈し、彼女の半生に迫りました。
担当者は門外漢でまったく知りませんでしたが、万葉集には訓読・解釈しづらい「難訓歌」と呼ばれる歌があるそうで、一つの歌の解釈だけで40数通りもあるそうです。額田王が遺した歌のなかも「難訓歌」があり、そうした歌が彼女の人物像をさらにミステリアスにしているように思えました。
受講者の方々からは、「こういう機会をまた設けてほしい」とのご意見をいただきました。郷土史の講座と違って、文学・文芸の講座・講演会は女性の受講者が多く、みやびな万葉の世界を堪能し、皆さん満足いただけたようです。来年度も郷土埼玉にかかわる文学・文芸について、講演会を企画できればと考えておりますので、お楽しみに。
【常設展】神明貝塚の土器を貸し出しました
神明貝塚出土堀之内式組合せ土器
神明貝塚出土注口土器
会期などは以下の通りです。ぜひみなさまお誘い合わせの上お出かけください。
企画展「縄文時代のたべもの事情」
会場:埼玉県立歴史と民俗の博物館(さいたま市大宮区高鼻町4-219)
会期:令和2年(2020)1月2日(木)~2月16日(日)
休館日:月曜日(1月13日は開館)
開館時間:9時~16時30分(観覧受付は16時まで)
観覧料:一般400円 高校生・学生200円 中学生以下、障がい者手帳等をお持ちの方は無料
交通アクセス:東武アーバンパークライン(野田線)大宮公園駅より徒歩5分
小渕小6年生出張授業【戦中の春日部の人々のくらし】
皆さん、真剣に、少し怖がりながら(?)学芸員の説明を聞いてくれました。
そして、代表の皆さんに資料に触ってもらいました。普段は常設展示でケースのなかに入っている、軍事教練で使用しといわれる訓練用の手りゅう弾を実際にもってもらったり、千人針などを手に取って興味深そうにじっくり見ていました。
その後、先生が用意された戦争中の春日部について調べるワークシートに取り組み、市内が戦争に巻き込まれていく状況を理解し、当時の人々の心情を考えていました。
最後に、戦争の経験が今日の春日部にどう活かされているのか、考えていました。市内には、戦没者を慰霊するモニュメントがたてられていたり、「平和」を掲げる各種イベントがあることが紹介されました。そして、今回持参した資料が、市民の方々が実際に経験した遺産であり、郷土資料館では、戦争の経験を未来に引き継いでいくために、それらを展示し、末永く保存していると紹介しました。
授業の後にも、資料を触りたい、よく見たいと希望があり、休み時間中も児童たちが集まって体験を続けていました。
実物の資料だからこそ、そして実際に触れるからこそ、過去の先人たちの想いを身近に感じることができるのかもしれません。リアルな歴史を少しでも感じていただけたのならば、大変うれしく思います。
さて、郷土資料館では、学校の授業の教材の貸し出しを行っています(近々、今回持参した「アジア太平洋戦争関係資料」も紹介する予定です)。もちろん出張授業も可能です。学校の先生方には、ぜひご活用いただければと幸いです。
神明貝塚のシンポジウムを開催しました
市内外、さらには県外から多くのお客様にご来場していただき、シンポジウム全体の参加者は130名を超えました!!
最初に文化財保護課の調査担当者から「神明貝塚で発掘された動物、植物、人骨」と題し、報告を行い、神明貝塚の縄文人は海の幸だけでなく、陸上の動植物を多く食べていることが分かりました。
続いて講演では、植月学先生が「神明貝塚人の食を彩った魚と肉」と題し、動物考古学の観点からお話しいただきました。特にフグ(トラフグ)がどこからやってきたのか、受講者の皆さんも興味深く聞いていらっしゃいました。
佐々木由香先生は植物考古学の専門家で、「神明貝塚で利用された植物からみた縄文時代の植物資源利用」と題し、縄文人の植物資源の利用についてご講演いただききました。クリは食物だけではなく木材として利用されたことや、土器に残る植物の種実や昆虫の圧痕から、多種多様な植物の利用があったことをお話しいただきました。
阿部先生は考古学の立場から、「縄文後期と神明貝塚の生業」と題し、調理具として使用された縄文土器にスポットをあて食文化の発達についてお話しいただきました。また昨年のシンポジウムでも話題となった「塩作り」のお話も聞け、こちらも会場から大きな関心を集めていました。
最後に4名の講師によるパネルディスカッションを行いました。それぞれの専門領域から神明貝塚の縄文人の多様な食文化を垣間見ることができたと思います。身近にある旬な食材を利用した食文化であったことも「和食」というテーマにつなげることができました。
来年以降もテーマを変えシンポジウムを開催する予定となっています。引き続き神明貝塚へのご理解、ご協力をよろしくお願いします。