校長室から

2025年1月の記事一覧

お弁当の日

【保護者の皆様にメール配信した、関中だより1月号と同じ内容です。】

新年、あけましておめでとうございます。今年も、よろしくお願いいたします。

早いもので、「令和」の元号を使うようになって7年目となり、「令和6年度」も残り三ヶ月を切りました。3年生は、進路開拓のため、卒業後の自分の姿を想像しながら、今も受験に向けて勉強に励んでいます。2年生は、スキー林間に向けて実行委員会を中心に、しおり作りなど、当日の行動計画を考えています。1年生は、キャリア教育の一環として、「職業講話」を控えています。様々な職業の話を聞き、これから自分の将来について考える一つのきっかけとなります。春に向けて、各学年とも着実に前へ進んでいます。

先月、野田市立小中学校PTA連絡協議会合同研修会に参加してきました。「お弁当の日」というタイトルの映画監督の講演でした。「安武信吾です」と自己紹介から始まりましたが、正直、「聞き覚えがないなあ」と思いながら聞いていました。しばらくして、「『はなちゃんのみそ汁』、はご存じですか。」と話題が変わりました。私はその瞬間、「その本知ってるぞ」と記憶をたどりました。主人公の「はなちゃん」が5才の時に、母親と死別してしまうのですが、その母親は自分が病気で、命も残り少ないことを知っていて、4才の「はなちゃん」にみそ汁の作り方を教えていく・・・という話です。数年前に、24時間テレビ内のドラマでも放映され、映画や本にもなっている「実話」です。この「はなちゃん」の父親が、安武信吾さんです。安武さんは、男手一つで「なはちゃん」を育てていくのですが、幼い「はなちゃん」は毎日みそ汁を作り、成長とともにおかずも一品ずつ増えていったそうです。美味しいみそ汁のために、鰹節を削り、出汁をとるところから作り始めている、とも話されていました。その「はなちゃん」も、現在は大学生となり、栄養学について学んでいるとのことでした。

今回の講演会の題目は、「あなたは子どもに何を遺せますか」でした。安武さんは、ご自身の体験も踏まえ、「お弁当の日」という映画を手がけたそうです。「お弁当の日」は20年程前に、香川県の、ある小学校から始まりました。親は手伝わず、食品の調達から調理、詰め込みまで、子どもが全部一人でお弁当を作ります。「してもらう側」から「する側」へ成長する機会をつくるために始めた取り組みですが、現在は全国に広がっているということでした。なぜでしょうか。ある中学校では、「お弁当の日」を前に中学生が、個々のお弁当ではなく、作った料理を持ち寄って皆で食べようと計画しました。一人の子はピーマンが苦手だったので、他の子は味や匂いを工夫して、その子に絶対にピーマンを食べさせようと決心しました。一週間ほどピーマンを使った料理の練習をして、味や匂いではピーマンが入っていることが分らないくらいの自信作に仕上げました。しかし当日、「うわ~、ピーマンの匂いがするから食べられない。」と言われてしまいます。料理した子は、落ち込んでしまったそうですが、その後の感想文では、次のように述べています。「今まではお母さんが作ってくれた料理を「不味い」といって食べなかった事もあったけど、これからは残さず全部食べる。作ってくれている人が、こんなにも大変な思いをしている事に気づいたから。」