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2024年5月の記事一覧

校長室のひとりごと「宇宙木材プロジェクト」

 先日何の気なしにラジオをつけ車を走らせていると、「エッ?」と耳を疑うような話が飛び込んできました。「宇宙木材プロジェクト」という話です。更に聞いてみれば、国際宇宙ステーション(ISS)の接合部に木材部品を使用し、10か月間の実証実験を終えた木材の部品が無事に地球に帰還したというのです。私のような素人考えでは宇宙に関連する部品は、特別な頑丈な金属が当たり前という先入観を持っていましたが、この実験は、宇宙という酸素や水分がない空間だからこそ木材は劣化が少なく、今後の宇宙開発に有効ではないか、という京都大学の学生の発想だそうです。
先日、月探査「アルテミス計画」の話題に触れたばかりですが、ここでも日本の技術力の高さが浮き彫りになった形です。実験は京都大学と住友林業が進めてきたもので、実際に地球に帰還した木材部品を検証したところ、木材に割れやひび、反りなどの劣化は認められず、温度差や放射線など地球とはけた違いに過酷な宇宙空間での影響もほとんど受けていなかったそうです。
 京都大学では、この実証実験をもとに開発した「木製の人工衛星」の打ち上げを計画しているそうです。役目を終えた人工衛星は宇宙ゴミとなりますが、木材であれば大気圏突入時に燃え尽きるなど環境にやさしいことや、電波を通す木材は、従来の金属性のように外部アンテナをつける必要がないこと、そして何より宇宙への移住を想定した場合の、コスト低減や活用が未知数で宇宙開発の可能性を広がると期待しているということです。

 これからの時代、このように既存の知識や学力だけではなく、新たな発想で新たなものを作り出す力が一層必要になってくるのだと実感しました。 人類が月や火星で木造建築の家に住む日はそんなに遠いことではなさそうですね。

校長室のひとりごと「五月病」

 最大10連休のゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか。私は自宅の庭の手入れや掃除、洗車したりとのんびりと過ごしました。本校はもちろん、多くの中学生はこの時期に行われる運動部の大会などに参加していたようです。
 「五月病」という言葉をご存じでしょうか。よく使われる言葉ですが、病名ではなく俗称です。一般的に入学や就職など年度の切り替えに伴い生活環境が変化し、緊張やストレスを抱えながら頑張ってきた1カ月、そしてGWで一気にその緊張やストレスから解放されたことから起こる、倦怠感や疲労感、睡眠障害、食欲不振、無気力などの精神的・身体的なSOSが現れることがあり、これを一般的に「五月病」と呼んでいます。
 今年はコロナ禍後初めてのGWで、どこへ行っても人、人、人。天気にも恵まれ真夏のような気温と日差しで暑い日が続きましたが、連休が明けると一転、雨模様が続いています。何となく気が滅入ってしまいそうです。例年以上に「五月病」が心配です。
 何やら「退職代行業者」はこの連休明けは例年の2倍近い依頼があり大忙しだと報道されていたことも気になります。学生も「五月病」をきっかけに学校を休みがちになり、欠席が続いてしまい… という生徒もいるものです。昔は「気合が足りないんだよ!」なんて軽視されがちでしたが、長く続くようなら医師の診断を受けることも必要です。また、そこまででなくても、この時期は意識的に「しっかり睡眠をとる」「適度に運動する」「食事(特に朝食)をとる」など、いつも以上に規則正しい生活習慣を意識することで改善されるそうです。  
 新緑豊かで清々しい五月、健康に気を付け生活したいものですね。

校長室のひとりごと「当たり前のありがたさ」

 新型コロナウイルス感染症の扱いが2類から5類に引き下げられ、ちょうど一年になります。
 足掛け4年にわたるコロナ禍明けのこの一年間で「当たり前のことが、実は当たり前ではなかった」ことに気づかされました。それまで当たり前だった様々な活動が学校ではできなくなりました。「給食の団欒やおかわり」「体育祭などの行事」「合唱や合奏」「部活動や各種大会」「グループでの話し合い活動」、更には常に学校中に溢れる「子供たちの笑顔や笑い声」… 中学校では、このどれもが当たり前で、お盆や正月などの年中行事のように、時期になれば準備をはじめ行事を行う、といった具合でした。三十年以上もこうしたサイクルで生活してきた私は、こんな日が来るとは思いもせず、戸惑いは大きく衝撃的でした。
 病気になって初めて「健康のありがたさ」がわかるように、当たり前にあったものは、失われるまで「あること」「ありがたさ」に気づかないものです。
 コロナの影響で全国一斉休校の時期には、「学習の保障」という観点でリモートで授業を行っていました。しかし、学校で学ぶことは学習以外にもたくさんあります。コロナ禍で失った当たり前を取り戻しつつありますが、一年たった今でも完全な「当たり前」には戻れず、どこか違和感が残っているような気がします。
 校舎に響く「おはようございます」や学級の歌声、給食や休み時間の笑い声など、今は「当たり前のありがたさ」を噛み締めている毎日です。
あれから一年という節目に、改めて子供たちにとって「当たり前」にしたいこと、させたいことを精査していこうと思います。

校長室のひとりごと「アルテミス計画」

 大幅なコスト低減を目指す新世代型のH3ロケット2号機の打ち上げ成功など我が国でも宇宙開発、宇宙ビジネスが急激に進んでいます。
 TVから流れるアポロ11号が月面に着陸し、アームストロング船長らが宇宙服で月面を跳ぶように歩く姿は、子どもながらに衝撃的でした。船長らが月面に星条旗を掲げる様子を何回も何回も絵に描き、宇宙への憧れを深めていたものです。
 アポロ計画から約半世紀、現在「アルテミス計画」が進行しています。この「アルテミス計画」は、米国を中心に欧州や日本も参加する月探査の国際プロジェクトで、JAXAのほか多数の日本企業も参画しています。月面基地の建設には清水建設や鹿島建設が、月上空の周回有人基地は三菱重工業が担当するなど、私も日本人というだけで誇らしく思います。またJAXA、トヨタ、ブリジストンが共同開発中の月面探査車は、宇宙服なしで生活しながら月面の広範囲を移動できるキャンピングカーのような探査車の開発を進めているそうです。そんな高い日本の技術力が認められ、2名の日本人宇宙飛行士が月面に立つ計画だとも先月発表されました。
 アポロの月面着陸をTVで見ていた幼少の頃に思い描いていた、漠然とした宇宙への興味や憧れ、勝手に想像していた月で人類が生活する、そんな未来は、すぐそこまで来ていると改めて驚かさられます。
 アルテミス計画には将来的な火星への有人探査のベース基地づくりという側面もあるようです…
 とてつもなく広大で、簡単に行くことができないからこそ神秘的で想像を膨らませてきた「宇宙」、近い将来その想像が現実の映像として地球に届く日も遠くなさそうですね。

校長室のひとりごと「OECD(経済開発協力機構)」

 明日からGW後半に入りますが、この期間に岸田総理はフランスなど3か国へ訪問するようです。今回のフランス訪問ではOECD(経済開発協力機構)会議での「生成AIの国際的ルールづくりの必要性」について基調講演するそうです。特に政治に興味があるわけではありませんが、このニュースはストレートに耳に入ってきました。というのも「OECD(経済開発協力機構)」という単語が理由です。実は日本の学校教育とOECDは深い関係にあります。OECDが概ね3年ごとに進めている国際的な学習到達度に関する調査(PISA調査)には日本を含む81の国と地域が参加しています。この調査は、義務教育修了段階の15歳が対象で「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」「読解リテラシー」の3分野について調査します。前回は2022年に実施され、全3分野において低迷していた2018年調査を上回り、2022年調査で日本は各分野トップレベルの結果でした。
 文部科学省も調査結果には注目しており、順位はもとより日本の義務教育の成果や課題を分析し、10年に一度改定される「学習指導要領」や「教育施策」などにこれまでも反映されています。例えば「GIGAスクール構想」です。2015年実施のPISA調査では、日本の学生はスマホやPCなどの使用頻度は世界的にトップレベルだが、内容は動画やメール、SNSが中心で、他国の若者の主な使用内容である「学習への活用」はほとんどない、という結果でした。このような背景から「GIGAスクール構想」義務教育児童生徒への一人一台端末が急速に配備され現在に至っています。
 OECDのPISA調査、次回は2025年、現中学3年生世代が対象です。調査結果に注目していきたいと思います。
 その前に、今日の「生成AIの国際的なルールづくり」に関する岸田総理の基調講演にも注目ですね。