2025年7月の記事一覧
校長室のひとりごと「崖っぷち」
先月「関東甲信越中学校長会研究大会」に参加しました。楽しみにしていた記念講演「絶対にあきらめない」銚子電鉄の竹本勝紀社長のお話は大変印象に残っています。竹本社長は、何度も経営難による廃線の危機に直面しながらも、その度に独特の発想で乗り切ってきた経験談をユーモア交えてお話ししてくださいました。その中で「崖っぷち」の経営状態を逆手にとって新たな企画を考えているとも話しておられました。
先日新聞を見ると、この「崖っぷちプロジェクト」について紹介されていました。まずは「犬吠崖っぷちライン」という名称です。もうお気づきだと思いますが銚子の犬吠埼、屏風ヶ浦など崖の景勝地と崖っぷちの経営難とをかけて名付けたものです。JRと連携し、車内の乗り換えアナウンスで「犬吠崖っぷちライン」と流されているそうです。また竹本社長は、「崖っぷち」の中小企業を応援しようと「崖っぷちサミットin犬吠埼」を開催すると意気込んでおられ「最低7社以上集めたい、崖っぷちだけにG7サミットだ」と話されているそうです。
これらの逆境を逆手にとるという発想で、これまでも「銚子名物ぬれ煎餅」や「まずい棒」、本銚子(本調子)駅になぞらえて「運気アップ記念切符」、銚子名産「鯖(サバ)」にかけて「鯖威張る(サバイバル)カレー」など様々な商品をヒットさせてきました。これらの一つ一つに商品化までのドラマがあり、社員一丸となって「地域のために銚電を残さなくては」という全社員の「地域のために銚電を残さなくては」という強い思いを感じます。勉強になりました。夏休みにぜひ銚電に乗りに行こうと思います。
校長室のひとりごと「あれ、セミは?」
西日本や東海地方は短い空梅雨で、例年より早い夏の到来で連日猛暑が続いています。関東地方も連日の暑さは、既に真夏と言っても良いかもしれませんね。いつもなら梅雨明けと同時に「ミーンミーン・・」と暑さに輪をかけるようなセミの鳴き声があちらこちらから聞こえてくるのですが、今年は全国的にセミの鳴き声が聞こえてきていないようです。虫の生態に詳しい専門家によると、今年は梅雨が短く、集中豪雨はあったものの空梅雨で地中深くまで水分が行き渡らず、木々にも十分な水分が足りず、セミの幼虫の栄養分となる樹液が少なかったこと、またセミの羽化には地温が20℃以上の日が続かなくては幼虫の羽化のスイッチが入らないこと、地面が乾燥して固まっているため幼虫が地表に出てこられないことなどの原因が重なっているからではないかと推察しています。
早朝から安眠を妨げるかのような夏の始まりを知らせてくれる風物詩のセミ、鳴かないと鳴かないで何か物足りなく感じます。セミは寿命のほとんど4年以上を土の中で過ごし、ようやく訪れる夏に地表に出てきて羽化し、数日間だけ大合唱をし短い生涯を終えます。そう思うとあの「やかましい大合唱」が、やけに恋しく感じてしまいます。
校長室のひとりごと「テレビ離れ」
3年生と校長面接を行っています(6月30日参照)。生徒の普段の姿を引き出そうと質問内容も工夫しています。「どんなテレビ番組をよく見ますか?」と問えば、「〇〇とか△△などが好きです」と生徒達は答え、すかさす「昨日の◇◇見た?面白かったよね」などと私も返すというやりとりで生徒の緊張を和らげていたものです。しかし最近は「どんなテレビ番組・・・・見ますか?」と聞くと「テレビは見ません」と答える生徒が大半です。「ではニュースはわからないかな?」と聞くと「ニュースはスマホで見ています」といった具合です。年々テレビ離れが進んでいると実感します。テレビの視聴に関する調査がありますが、2014年実施の調査で「テレビコンテンツを全く見ない」と回答した13歳~19歳は10%だったのに対し、2022年実施の調査では「全く見ない」と回答した13歳~19歳は19%と倍増しています。調査によればこの傾向は、全ての年代で同様の結果が表れているそうです。テレビっ子だった私は「テレビばっかり見てるんじゃないよ!」とよく叱られたものですが、テレビ離れが良いのか悪いのか判断が難しいところです。情報を手に入れる手段としてスマホを利用することは悪いことではありませんが、AIが自動的に履歴から「興味のありそうな情報」を次から次へと表示し、そうでない情報は、表示されなくなる性質がスマホにはあります。それを理解した上で利用してほしいものです。昭和の学校の朝の風景「ねえねえ昨日〇〇見た?」「見た見た」なんてはしゃぐ姿は懐かしい過去のことなんですね。
校長室のひとりごと「水泳の授業」
今、水泳授業が話題になっています。愛知県大府市や静岡県沼津市などいくつかの市では、水泳の授業の廃止が報じられ、それに対し賛否両論の考えがネットでざわついています。学習指導要領では小1から中2まで水泳の授業は必修で行うことになっています。ただし「適切な水泳場の確保が困難な場合は実技で取り上げなくても良い」と記載があります。なぜ今水泳授業の廃止なのか、原因の一つがプールの老朽化です。1955年の小中学生の水難事故を期に、小中学校にプールを設置されはじめ水泳の授業を行うようになりました。本校は昭和47年にプールが設置され50年以上が経過しています。新設校は別として全国的にほぼ同時期の設置だと思います。沼津市の中学校のプールも老朽化が深刻で修繕には一校当たり2億円かかるそうで、学校での水泳授業を廃止したそうです。老朽化以外にも近年の猛暑の影響で、プールサイドは火傷しそうなくらいに熱くなり、水温も30℃、水中での熱中症の危険が高まっていること、宗教や多様化する生徒への配慮のため、体育教師の負担軽減など廃止する理由はいくらでもあります。中学校の体育の授業で水泳に充てられる時数も限られており、授業の中で全員が泳げるようになるには限りがあります。では、水泳授業は必要ないかと言えば、そうは思いません。7月に入り水の事故が全国で発生してる現状を鑑みれば、つまり原点に戻り、水難事故対策の一助と考えれば、水に慣れることは大いに役立つことだと思います。昔と違い、夏のレジャーも様変わりしプールへ行ったり海水浴に行く家庭も減少しています。水泳授業で水に慣れることの意味は大きいと考えています。
校長室のひとりごと「音を立てて崩れていく」
「これでもか」というくらいの晴天続きですが、心は重い雲に覆われているようなスッキリしない気持ちが続いています。原因は名古屋市の小学校教員による児童の盗撮、教員SNS仲間での共有による不祥事、というより逮捕されるという事件の報道をはじめ、連日新たに報じられる教員による盗撮やわいせつ事件の報道です。一般の視聴者と同じように私も「あり得ない」「酷すぎる」などと報道に胸を痛めています。全国で小中高等学校の教員は約92万人、その多くは身分や立場を自覚し「聖職」とまでは言いませんが、日々子ども達のために職責を全うしようと一生懸命励んでいます。しかし、連日これだけ教員としてあるまじき行為による逮捕者、不祥事が続いてしまうと、社会的に学校、教員に対する信頼や信用を失うことを懸念しています。大切な我が子を学校に預けている皆さんにしてみれば、例え当該校でないにせよ「先生の質も下がった」「日頃偉そうなことを言っているくせに」「これだけ芋ずる式に出るなら、もしかして・・・」「うちの学校は、うちの担任は大丈夫だろうか」「もう何も信じられない」と不信感を募らせるのも当然です。これまで積み重ねてきたことが音を立てて崩れていくような喪失感を感じずにはいられません。社会全体の学校に対する信用、教職員に対する信頼を取り戻すために、一つ一つこれまで同様、子ども達のために頑張っていこうと思います。