これからに求められる力
みなさんは社会科の学習は好きですか?この質問をすると「地理は好きだけど歴史は...」。逆に「歴史は物語みたいだけど、国の名前を覚える地理は...」などの声をよく耳にします。また、「歴史を学んでも特に役に立たない」といった言葉を聞くことがあります。たしかに、日常生活の中で歴史に触れる機会はあまりないと思います。また、覚えている単語もゆくゆくは忘れていくでしょう。
では、なぜ社会科を学習するのでしょうか?私は「社会科的な考える力を養うため」と考えております。本日は、1学年の社会科で取り組んだ、考える力を養う授業について紹介させていただきます。
Q.なぜモンゴル帝国はインドを攻めなかったのでしょうか?
13世紀のモンゴル帝国は、遊牧民という強みを生かし、多くの地域を攻め、領地を拡大していきました。しかし、インドは侵略することができませんでした。その理由について考える問題です。
(”新しい社会 歴史”.東京書籍株式会社より引用)
「歴史的な視点」からの考察です。元のフビライ=ハンは、マルコ=ポーロの「東方見聞録」から黄金の国ジパングの存在を知り、手つかずの資源を求めて日本に攻めました。そのため、インドまで手が回らなかったことが考えられます。
しかし、これはインドに「攻めなかった理由」であり、「攻められなかった理由」ではありません。「地理的な視点」を活用することで、「攻められなかった理由」に気づくことができます。「地理的な視点」を踏まえると、モンゴル帝国とインドの間にはヒマラヤ山脈が存在します。遊牧民としていくら馬の扱いに長けていたとしても、8,000メートルを超える山を越えるのは難しかったのです。
この問いに対し、生徒は、今まで学んだことを踏まえながら、クラスメイトと相談し、問題の解決に励んでいました。
生徒は、「なんで?」と言いながら、頭を突き合わせ、話し合いをしていました。「なぜ?」という疑問が解決した時、「わかった」という声がたくさん聞こえ、「できなかったことができる」学習の楽しさを感じられたと思います。クラスメイトと協力することで多くの生徒が答えにたどり着くことができました。
様々な視点から考察することで、難しい問題でも答えを導くことができます。これから先の将来、困難に直面した時、今学んでいることが解決する手段になるかもしれません。これからに生かすため、学習に励んでいってほしいと思います。