合唱コンクール ~3年生が紡いだ最後のハーモニー~
11月15日(土)、今年度の合唱コンクールが無事に終了しました。
中学校生活最後の合唱コンクールに挑んだ3年生は、
これまでの3年間で培った技術や表現力、そして仲間との深い信頼関係を胸に、舞台で歌声を通して全力で自分たちを表現しました。
ここでは、練習から本番までの過程を振り返り、3年生が見せてくれた成長と感動の物語をお伝えします。
【練習の日々と葛藤】
合唱コンクールに向けた練習は、3度目を迎える3年生にとっても決して平坦な道のりではありませんでした。
思うように声量が出ない、リズムが合わない、テンポが速すぎる、遅すぎる、表情が硬い、
口の開け方が小さい、やる気に差がある――こうした個々の課題が、練習中の各クラスで日々浮き彫りになりました。
特に本番の3日前に行われたリハーサルの段階では、
どのクラスも本番の歌声とは比べものにならないほどの状態でした。
声が重ならず、ハーモニーはまだ点のように散らばり、曲全体がまとまっていませんでした。
音程のずれやタイミングのばらつきが目立ち、感情が表現しきれず無表情になってしまう瞬間もありました。
練習後には悔し涙を流す生徒も少なくなく、クラス内で意見がぶつかることもありました。
しかし、こうした葛藤や悩みも、クラスとしての成長の糧となりました。
個々の小さな努力は点として存在していましたが、仲間と声を重ね合い、意見を交わす中で、
その点はやがて線となり、さらに線同士が結びつくことで、
一つのまとまったハーモニーとして大きな円へと育っていきました。
点が線となり、線がつながり、最終的にクラス全体の一体感という円になる――この変化こそ、
練習の積み重ねとクラス全体の努力が形になった証です。
【クラス間での切磋琢磨】
練習過程では、クラス同士で交歓会を行い、互いに刺激し合う時間も多くありました。
他クラスの歌声や表現を直接聞くことで、「自分たちももっとできる」という意識が芽生えました。
交歓会では、相手の完成度の高さに驚き、焦りや悔しさを感じることもありました。
しかしその悔しさは、次の練習での行動力や集中力につながり、
クラス全体の協調性や集中力を高める原動力となりました。
意見が衝突したり、思うように進まなかったりする場面もありましたが、悔しさを分かち合い、
励まし合うことで、クラスの絆はより深くなっていきました。
【怒涛の追い込み】
リハーサル後の2日間は、まさに追い込みの期間でした。
これまでの練習で見えた課題を徹底的に改善するため、毎日全員で声を合わせ、
細部にまでこだわる練習が続きました。
声量の調整、呼吸のタイミング、音程の安定、表現力の向上、歌詞の理解――
ひとつひとつの要素に全力で取り組む姿は圧巻でした。
個人の努力とクラス全体の協力が同時に求められる時間でした。
誰かが迷えば、仲間が声をかけ、励まし合う。表現に迷いや不安が生まれるたびに、
皆で修正し合い、意見を出し合う――
こうした積み重ねが、個々の点を線に変え、
やがてクラス全体として一つの大きな流れを作り上げていったのだと思います。
【本番で響いたハーモニー】
迎えた本番。リハーサルでの悔しさや不安は一気に払拭され、
クラス全体の声が重なり合い、曲は大きなハーモニーとなって会場に響き渡りました。
表情も豊かで、歌詞に込められた感情は観客の心に確かに届きました。
練習中の葛藤や涙はすべて、本番で輝く力に変わりました。
互いに声を掛け合い、息を合わせ、感情を乗せて歌う姿は、まさに3年生としての集大成そのものでした。
交歓会で得た刺激を活かし、クラスごとの個性を存分に表現したことで、
どのクラスも聴いている人の心を揺さぶるパフォーマンスとなりました。
【審査結果】
合唱コンクールの結果は、金賞・銀賞として発表されました。
金賞を受賞したクラスには、これまでの努力が結実した喜びがありました。
銀賞や惜しくも賞を逃したクラスにも、それぞれの経験から得た悔しさや学びがあり、
どのクラスもかけがえのない成長を遂げていました。
順位や賞は結果の一部にすぎません。
本当に価値のあるものは、日々の練習で声を重ね、互いに励まし合い、
クラス全体のハーモニーを作り上げた時間にあります。
個々の努力は点として存在していましたが、点が線となり、線が結びつき、やがてクラス全体の円となった経験――
こうした過程こそが、金賞や銀賞以上にかけがえのない財産なのです。
【最後に・・・】
3年生一人ひとりの努力と成長は、中学校生活の集大成としての輝きそのものでした。
リハーサルでの悔しさや迷い、そして本番での堂々とした歌声――すべてが今後に向けての大切な一歩です。
指揮者、伴奏者、合唱委員、そして3年生全員、お疲れ様でした。
皆さんの歌声は確かに聴く人の心に届き、忘れられない思い出となったはずです。
この経験を胸に、これからも仲間と共に挑戦を続けてほしいと思います。
そして、次に3年生が全員で歌声を響かせる舞台は、「3年生を送る会」や「卒業式」になるでしょう。
今回の合唱コンクールで、どのクラスも胸を張って誇れる歌声を披露できたからこそ、
学年全体で歌う次の合唱は、きっとこれまで以上に多くの感動を生み出すはずです。
クラスという枠を越え、学年全員がひとつの大きな円となって響かせるハーモニーは、
後輩にも保護者の方にも、そして自分たち自身にも忘れられない贈り物になるでしょう。
これまで支えてくれた仲間、家族、先生方への「ありがとう」を、どうか歌にのせて届けてほしいと思います。
3年生が歩んできた道のりが歌声となって会場に広がるその瞬間を、心から楽しみにしています。