学校長からのお話を掲載しています
平成24年度修業式 式辞
暖かさが日ごとに増し、私たちの聖が丘にも、桜便りが届きそうな季節となりました。本日、ここに平成24年度最後の授業の日、修業式を迎えることができ、大変うれしく思います。
ただ今、第1学年代表、第2学年代表の生徒に修了証書を授与しました。この修了証書というのは、みなさんがその学年で勉強することを全部修了したことを証明するものです。そして、それと同時に、4月からは上級学年に進級してもよいことを証明するものです。全員に終了証書を渡すことができましたので、全員進級することができます。おめでとうございます。
さて、2年に進級する133名のみなさんは、学校生活にも慣れ、4月には新入生を迎え、中学生活にやりがいを感じ、中堅学年として充実した生活を送ることのできる学年です。また、3年に進級する147名のみなさんは、最上級生であるという自覚の下、希望と抱負をもって中学校生活の最終学年を送ることのできる学年です。そして、進路選択という意志決定を迫られる、重大な選択の時を迎えることになります。
「人は目標があるから頑張れる。夢があるから輝いていられる。」という言葉があります。目標に向かって挑戦し、目標に向かって一生懸命努力する。そのような心構えをもって、4月を迎えてほしいと思います。
ここで、みなさんに春休み中の宿題を出します。でも、提出してもらうことはありません。心で考える宿題です。それは、進級にあたって大きな目標を立てるということです。平成25年度1年間かけて取り組む「チャレンジ目標」です。「伸び代を広げるチャレンジ目標」をぜひ立ててください。「英検○級合格」「○○で県大会出場」「○○大会優勝」「読書100冊突破」など、取り組むことがはっきりした目標を立てましょう。4月からいよいよスタート。みなさんの活躍を期待しています。
この後、学級活動の時間に、担任の先生から通知表が手渡されます。1年間の努力の成果と今後の課題を確認してください。そして、家に帰ったら、この1年間をしっかりと振り返りましょう。
最後に、明日から春休みに入ります。くれぐれも交通事故等にあわないよう安全な生活に心掛けてください。それでは、4月8日の始業式に笑顔で会いましょう。終わります。
第10回朝会講話「東日本大震災発生から2年を迎えて」
みなさん、おはようございます。
一昨日、東日本大震災発生から2年を迎えました。あの日のことを誰も忘れることはできません。2011年3月11日、午後2時46分に大地震が発生しました。戦後最悪の自然災害となりました。
3月8日現在で、この大震災で亡くなられた方は1万5881人、行方不明者は2668人、そして、震災関連で亡くなられた方は2303人です。多くの尊い命が奪われました。ここで、みなさんと共に犠牲となられた方々の御冥福をお祈りしたいと思います。それでは、黙祷を捧げましょう。(1分間の黙祷)
卒業した3年生のみなさんが1年生のとき、被災された東北地方の岩手・宮城・福島各県の中学生に「空はつながっていますから、元気を出して、がんばってください。」と、励ましの手紙を書きました。その後、その御礼の手紙も届きました。
今日は、一昨日届いた葉書を紹介したいと思います。被災地である岩手県陸前高田市立小友中学校3年 石川麗乃 さんからの葉書です。
前略
震災から、もうすぐ2年が経ちます。
益子中学校の皆様のご支援のおかげで、小友中学校に再び笑顔があふれるようになりました。
2011年3月11日、小友中学校と小友町は、大きな傷を負いました。
でも、今は日本中、そして世界中の方々の応援で明るさを取り戻し、私たちは毎日楽しく過ごしています。
小友中学校は、3月末に閉校することになりました。
たくさんの方々からいただいた「元気」と「心」を忘れずに、
最後まで誇りをもって小友中学校の歴史に幕を閉じたいと思っています。
この2年間の経験を未来に生かすために、私たちは一歩一歩前に進んでいきます。
益子中学校の皆様、本当にありがとうございました。
早々
人間には、生きるために忘れることが必要なこともあります。 しかし、忘れぬ努力が必要なことがあります。亡き人への悲しみは、癒えることはありません。今だに苦しい生活を余儀なくされている、多くの方々がいます。また、課題は山積して復興の歩みは遅いと言わざるを得ません。
風化が心配されている今こそ、日常を取り戻せない人々がまだいる現実を直視したいと思います。そして、私たちは日頃の避難訓練がいかに大切かを学び、この教訓を決して忘れてはならないと思います。
終わります。
『生徒会誌』第53号に寄せて「発想を変えよう」
山中教授の受賞理由及び貢献は、4つの遺伝子を導入することで成熟した細胞の運命を初期化し、多分化能を有する人工の多能性幹細胞(iPS細胞)を作成することが可能であることを発見したことにあります。山中教授が創りだしたiPS細胞により、脊髄損傷や肝硬変などの組織や臓器が機能不全に至った患者に対する再生医療の現実化や、アルツハイマー等の難病に対する創薬開発の加速化が大いに期待されています。今回のノーベル賞は、開発から六年というスピード受賞となりました。
その一方で、これまで始末に困る厄介なものとして捨てられていたものが、いま脚光を浴びています。それはカニの甲羅です。カニと言えば、おいしい身を食べるもの、あるいはカニミソとして味わう、というようにもっぱら食べるものというイメージがあります。ところが、今までゴミとして捨てられていたカニの甲羅が、意外なところで人間と繋がるのです。それは、やはり再生医療の分野であり、手術用に使う縫合糸や火傷の治療に利用する人口皮膚として、注目を集めているのです。
カニの甲羅には、アミノ酸多糖類のセルロースであるキチンという成分がたくさん含まれていて、このキチンを取り出し原料とすることで、カニの甲羅は見事に生まれ変わりました。キチンで縫合糸を作ると、人体がもっている酵素がこの糸を分解してしまうため、抜糸の必要がなくなります。また、火傷治療としての人工皮膚は、キチンがもっていると言われる傷を治す力を利用しているのです。つまり、キチンという成分に目を向けたことで、カニの甲羅は人間にとって役立つものに変身したのです。ノーベル賞受賞とはなりませんが、すばらしい発見だと思います。
この発見は、私たちに示唆を与えてくれます。それは「発想を変えなさい」「考え方を変えなさい」「ゼロから考え直しなさい」ということです。まさに、スティーブ・ジョブズの言葉「Think different」です。従来の考え方に固執せず、現状に拘らず、新しい発想で物事を変えていくことが、生徒会に求められていることだと思います。
自分が生徒会を変えられると本気で信じる人たちこそが、本当に生徒会を変えることができるのです。生徒会が新しい学校文化を創出する原動力となり、また学校生活に潤いと感動を与えてくれる牽引力となって、魅力ある学校生活を実現させてほしいと願っています。
『卒業記念文集』に寄せて「希望に向かって雄々しく飛び立とう」
卒業おめでとうございます。小学校から一緒だった仲間とも別れ、それぞれが新しい進路へと歩んでいく節目の時を迎えました。3年間の中学校生活で自分の伸び代をどれだけ広げられたか、自分自身を振り返る時でもあるでしょう。益子中学校の卒業生として、希望に向かって雄々しく飛び立っていくみなさんに、はなむけの言葉を贈ります。
◇「自分なりの美しい花を咲かそう」
四季折々に咲く自然の花は、その置かれた場所で美しさを表現しています。色や形の美しさもあれば、人を引き寄せる香の美しさもあります。大切なことは、その置かれた場所で咲くために努力することです。みなさんも自分の居場所を固め、様々なことに力の限りを尽くし、自分なりの美しい花を咲かせて欲しいと思います。
◇「前向きな気持ちで生きていこう」
誰でも、自分に自信がもてなかったり、劣等感にさいなまれたりすることがあります。でも、自分を含め、人は誰でも人間らしいよさをもっています。自分だけが弱いのではありません。自分を奮い立たせ、夢や希望など喜びのある生き方を見いだしてほしいと思います。マイナスをブラスに変えることができるのは、人間だけがもっている能力です。ぜひ自分を信じ、前向きな気持ちで頑張ってください。
◇「笑顔を大切に生きていこう」
人間である限り、いつも心が平穏であるはずはありません。心ない人の言動に傷つき、思うようにいかない物事に心騒がせ、笑顔でいることが難しいこともあります。でも笑顔には、物事をうまく進めていくことができる不思議な力があります。それは、チャームポイントとしての笑顔から、他人への思いやりとしての笑顔に質を変えたときに現れるのです。笑顔は、お金を払う必要のない安いものですが、相手にとっては、非常な価値をもつものなのです。まさに、笑顔は人生のパスポートです。笑顔を絶やさず接していきましょう。
◇「本気(木)という一本の木を育てていこう」
この一本の木は、勉強や部活動など、どんなときでも本気で取り組めば、大きく育っていきます。本気で取り組めば、自分の伸び代を広げることもできます。ですから、厳しいことやつらいことにも逃げないで、どんどん挑戦していってほしいと思います。本気でやれば、大抵のことはできます。
みなさんの今後の活躍をお祈りしています。
『立志記念文集』に寄せて「夢実現に向けた努力を始めよう」
この立志の時にあたり、自分が向かう目的を見つけ、将来への方向性を見定めて、自分を支える土台の基礎を築いてほしいと思います。そして自分の志を立てること、つまり「自分軸」を明確にすることで、「よく生きよう」とする意欲が生まれてくるのです。平成17年「心のノート」でメジャーデビューしたシンガー・ソングライターの大野靖之さんは、「夢は口に出した瞬間から叶う」と言っています。
彼は、アーティストを目指していた高校生のとき、乳がんで病中だった母親を亡くしました。闘病中にもかかわらず、自分を励まし支えてくれた母親に感謝し、中途半端な生き方を変えようと決意したと言います。その後、彼は後悔の念を振り払うように、アルバム「命歌」リリースし、路上ライブを始めます。やがて、ある中学校教諭の目にとまったことがきっかけとなり、全国の学校を回り学校ライブが始まりました。以来、ホスピスや児童養護施設などを訪ね「命」や「家族」テーマにした歌を歌い続けています。彼の歌は、人間が生きていくための「大切なもの」に気付かせてくれます。
これからみなさんが大人へと成長していく段階において、これからの時期こそが、精神的にも肉体的にも大きく成長する時期です。また、社会にも自分の責任が問われることになります。
これからの人生では、困難なことや失敗することもたくさんあると思います。様々な経験を積む中で、自分を磨き、たくましい人間になってほしいと思います。そして、自分の決めた志をいつも胸に抱き、前向きに、正々堂々と人生を歩んでほしいと思います。
最後に、私の好きな言葉、ドイツの文学者ヘルマン=ヘッセ言葉を贈ります。
すべての人間の生活は、自分自身へと向かう道である。
自分自身を求めて真剣に生きれば、失敗したり挫折したりしたときには、それだけ苦しみも大きいと言えます。しかし、自分なりに全力で努力したならば、それは懸命に生きた証しであり、後悔することはないでしょう。その体験は、自分自身へと向かう人生の長い道のりの一歩であるからです。
みなさんが自分の夢実現に向けた努力を続け、その夢が叶うことを願っています。