ブログ

ほごログ

講演会ー昭和オリンピックのころの粕壁、昔懐かしい駄菓子屋の世界を開催しました

講演会の様子

11月28日(日)、春日部郷土史研究会の大川明弘先生、山口俊一先生を講師にお招きして、歴史文化講演会を開催しました。当日は、時間を分けて、3部構成でご講演いただきました。

大川先生

ここ数年お願いしている大川先生には、一昨年度の「明治期の粕壁」、昨年度の「関東大震災後の粕壁」に続き、「昭和のオリンピックのころの粕壁」と題してご講演いただきました。

今回は、かつてロビンソン百貨店春日部店(西武百貨店春日部店)で、毎年開催されていた古写真展に関わられた元商店の方にもご協力いただき、豊富な写真とともに、昭和30~40年代の春日部の様子をご紹介いただきました。また、サブのスクリーンで地図を常に投影し、粕壁出身の方でなくても場所がすぐわかるようにご配慮いただきました。

大川先生の調査によると、太平洋戦争後、昭和のオリンピック前の粕壁では、戦前に比べ、洋食店が減少し、菓子・パン店、桐タンス、桐箱、自動車整備・販売、電気器具店が増加しました。洋食店に関しては、それまであった「アポロ」、「佐の屋」、「あか塚」、「千代」、「千代田軒」、「小松軒」、「壽ゞらん」などが、業種を変えたり、廃業しており、原因は明らかではありませんが、戦時中の統制などの影響ではないかとのことでした。

また、戦後、粕壁の先人たちは「modernization(近代化)」をもって復興にあたったのではないかとのこと、これによりインフラの整備や保健衛生の改善など、生活環境の整備が大きくはかられたとのことでした。

山口先生

山口先生からは、ご自身の記憶をもとに描かれた駄菓子屋のイラストを観ながら、昭和30年代に粕壁の北西部にあった「たまや」、「はっとりや」、「あいざわ」、「やまざきや」、「徳力屋」の5軒の駄菓子屋をご紹介いただきました。

一見、同じような駄菓子屋でも、店の明るさや広さにだいぶ違いがあるということ、ほかの駄菓子屋には無いプラモデルを置く店があったことなど、店ごとに違いがあるということなどをご説明頂きました。

昭和30年代以降は、市役所の広報などの発行も始まっており、資料館で所蔵している写真も増加しますが、現在のところ、駄菓子屋を正面から撮った写真はありません。山口さんのイラストは、こういう観点からも非常に貴重なものです。

お客様の中にも実際に子ども時代を粕壁で過ごされた方も多くいらっしゃられ、大川先生が作成された昭和32年の粕壁の街並み図に対するご指摘など、有意義なご意見も多くいただきました。

つい60年ほど前のことでも、思い返してみると様々なことがあり、忘れられていることも 多くあります。些細なことでも、歴史をつなぐ要素として記録するような活動を、郷土資料館でも続けていきたいと思います。

児童あり遠方より来る

令和3年11月26日(金)に新座市立西堀小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました。

 

本日は珍しいことに市外の小学校の団体見学です!

午前中に龍Q館を見学し、午後に社会科“古い道具と昔のくらし”の一環として郷土資料館に来てくれました。

 

昔の道具解説

約60年前は、今ほど電気が普及しておらず、炊飯器や洗濯機など現代では当然のように使われている機械もほとんど使われていませんでした。羽釜が現在の炊飯器ということは結びつくようですが、手回し洗濯機は一目見ただけでは何の道具なのかわからない児童が多かったようです。

手のアルコール消毒も行いながら、千歯扱き(せんばこき)で脱穀体験もしました。

 

竪穴式解説

縄文時代の竪穴住居の解説も現代のキッチンや生活環境と照らし合わせて学習しました。

メモ取り風景

午前中から移動や見学で疲れていたかと思いますが、頑張って勉強してくれました!ありがとう!

 

スタンプ風景

自由時間には春日部を代表する人気キャラクター「クレヨンしんちゃん」のスタンプを記念に押していく児童がいっぱい!

 

ほとんどの児童が春日部に来るのが初めてとのことでした。いつか「小学生のとき春日部って行ったことあるな~」なんて今日のことを思い出してくれたらうれしく思います!

よかったらまた来てくださいね!

 

学芸員による講演と不動院野の神楽を公開いたしました!!

 11月20日(土)に市内小中学校でご活躍され、退職した校長先生が集まる機会に資料館学芸員、そして市の無形民俗文化財に指定されています「不動院野の神楽」が公開されました。

 

 資料館学芸員からは今年の夏に開催しました「語りだしたらキリがない!『桐のまち春日部』」の展示内容から―江戸時代の粕壁宿と産業―について紹介いたしました。

学芸員講演

▲展示に際しての調査研究によって、これまでの定説の修正や新たな知見を得たことを紹介すると、先生方も熱心に興味津々に聞き入られていました。

つづいて新型コロナウイルスの感染拡大で神楽の練習、そして公開もしばらく見合わせておりました「不動院野の神楽」では、『お囃子』『獅子舞』『種まき』の3演目を披露しました。

獅子舞種まき種まき2

▲練習も中断し、みなさんも自主練習を重ねられていましたが、そこは長年のあうんの呼吸で披露いただきました。また、笛役では高校1年生もソロ演奏で奮闘してくれました。

 今後の活動も感染拡大に引き続き取り組みながらとなりますが、江戸時代においても”疾病退散”のご利益により人びとに広まった伝統芸能ですので、保存会の皆さまも粘り強く、地域の総意で伝統の舞を継承していただいております。

 こうした無形民俗文化財への市民の皆さまからの応援も引き続きよろしくお願いいたします。

郷土資料館体験ワークショップを開催しました

令和3年11月21日(日)に、郷土資料館体験ワークショップ「紙でっぽう・ぶんぶんゴマを作ろう」を開催しました。

 

まずは蓄音機でのレコード鑑賞から。

蓄音機上演

これは今から約100年くらい前に使われていたものだそうです。蓄音機のレコード盤が1枚で記録できる音楽は4分30秒程度、それでも当時蓄音機は高級品として扱われていました。

 

紙芝居の上演

次に、春日部に伝わる伝説「蛇女房」の紙芝居を朗読です。

「蛇」と聞くと怖い話をイメージしそうですが、鶴の恩返しに少し通じるしんみりとしたお話です。子供たちも熱心に聞いてくれました。

 

そして、最後のおもちゃ作りは紙でっぽうとぶんぶんゴマです。

紙でっぽうは大きめの紙一枚で簡単に作れて、子供にも人気がある優れたおもちゃです!

みんな上手に折って、「パァァンッ!」と快音を響かせていました♪

ぶんぶんゴマ作り

 ぶんぶんゴマは真剣に色塗りをしている姿が印象的でした!なかなかコツを掴むまでが難しいですが、上手に回せている子もたくさんいましたね。

 

最後にはお土産にオリジナル缶バッジ作りをしました。

缶バッジ

今回のバッジはぶんぶんゴマで遊ぶうめわかくんです♪

ワークショップで作るおもちゃに合わせて毎回絵柄を変えています!

 

次回の体験ワークショップは令和3年12月26日(日)に開催予定です。詳しくは広報誌等でご確認ください。おもちゃは「パタパタ(板返し)」を作るのでお楽しみに!

郷土資料館は適宜換気や消毒を行っておりますので、年の瀬で忙しい最中かもしれませんが、お時間の都合の良い方はぜひお越しください。

【近隣館の紹介】蓮田市文化財展示館

先日、他市町との打ち合わせのため、蓮田市文化財展示館にお邪魔しました。当館のような小さな館は、近隣の博物館さんと助け合い、支え合いながら日々運営しています。今回は近隣館の蓮田市文化財展示館さんを紹介してみたいと思います。

蓮田市文化財展示館は、平成22年4月に開館した施設です。蓮田市役所、また市役所周辺に広がる国指定史跡黒浜貝塚に隣接しています。

写真:蓮田市文化財展示館

市役所の敷地には、縄文時代の竪穴住居(復元)もあります。

 写真:竪穴住居

同館では、国史跡黒浜貝塚をはじめとして、蓮田市の様々な文化財を紹介しています。

見どころは、県指定有形文化財の黒浜式土器。学術的な詳しい説明はこちらに譲りますが、考古学素人の私がみてもきれいな形・模様の見事な土器です。展示館は、考古遺物を中心とした資料が展示されており、発掘された一つ一つの資料を丁寧に解説しながら、蓮田の歴史文化の歩みが紹介されています。

写真:黒浜式土器

さまざまな資料から楽しませていただけますが、最近導入されたのが、黒浜貝塚のガイダンスコーナーです。大型のタッチパネルモニターでは、黒浜貝塚の解説映像がみれたり、クイズや竪穴住居の建築ゲームが楽しめます。

写真:大型モニター

それから、VR技術をつかって黒浜貝塚を仮想見学できる機材も用意されていました。物珍しいため、同行した某市の職員が体験してました。要予約だそうです。

写真:VRをする職員

蓮田市さんは、ボランティア学芸員として市民参加を進めており、市民による企画展「縄文人と植物」の展示スペースもありました。文化財や所蔵資料の電子化も進んでおり、蓮田市文化財情報サイトでは、蓮田市の文化財や歴史に触れることができます。 

黒浜貝塚を散策しつつ、最新の技術で蓮田の歴史に触れてみてはいががでしょうか。

詳しくは、蓮田市文化財展示館ホームページ