活動報告

2024年6月の記事一覧

第2次中央要請行動結果報告

 全日教連は、5月13日(月)に文部科学省に対して専門部要望を実施しました。当日は校務により参加できなかったものの、管理職員部の要望を作成するにあたり、栃管協からは、芝副会長と猪瀬副会長が専門部員として参加しました。栃管協は、全日教連を通して、これからも国に管理職員の給与・勤務条件の改善と教育環境や学校運営体制の整備を訴えて参ります。

 要望内容並びに結果報告は以下の通りです。

管理職員部要望  ※は回答を求める内容

※1 義務標準法を改正し、以下のことを実現すること

  (1) 副校長及び教頭の基礎定数化による枠外配置

  (2) 35 人学級化の中学校までの拡大

  (3) 小学校及び中学校における 30 人学級についての検討

※2 優秀な人材を管理職に登用するために、以下のことを実現すること

  (1) 管理職の職責に見合う給料表への改定

  (2) 管理職手当の見直し、及び期末勤勉手当への積算

  (3) 副校長・教頭マネジメント支援員の継続的な配置

3 学校の円滑な運営を実施するために、校長の裁量権の拡充を図ること

4 各学校の特色を生かし、柔軟な学校運営を確保できるよう、新たな交付金制度の創設を検討す ること

5 学校管理職及び教師の研修について、以下のことを実現すること

  (1) 学校経営及び運営に関するオンラインを含めた研修機会の充実

  (2) 「対話」を基盤とした適切な研修奨励を可能とする研修履歴管理システムの構築

※6 定年引上げ後、意欲をもって勤務することができるような取組を各地方公共団体に周知すること

  (1) 給与体系の見直し

  (2) 特例任用校長の採用及びそれに準ずる職の設置(定数外)

文部科学省回答

○ 要望1について

 副校長、教頭の定数上の取り扱い全般については、中教審等の場でも話題となっている。今後の中教審審議の内容を踏まえ、どのような定数の取り扱いや改善が考えられるかしっかり検討し ていく。 35人学級の中学校への拡大について、まずは令和3年度の義務標準法改正に伴った小学校の35 人学級化を着実に完成させることが第一であると考えている。その後の中学校への拡大や小学校の30人学級化については、小学校35人学級化の完成後、効果等を検証したうえで財政当局と議論 していく必要がある。将来を見据えしっかり検討していくが、現状は小学校35人学級化を進め、その効果を検証していきたい。

○ 要望2について

 管理職の職責に見合う給料表への改定、管理職手当の見直し及び期末勤勉手当への積算については、学校の課題が複雑化・多様化していく中、管理職の職責が重くなっていることは文部科学省も把握している。「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)(素案)」にも、教職調整額の増額により、これが適用されない管理職について給与に逆転が生じることのないように改善していくことが示されている。管理職の処遇に関しては適切に進めていきたい。

 副校長・教頭については勤務実態調査においても、教諭や校長に比べ、厳しい勤務実態が明ら かになっている。そこで副校長・教頭を専門的に支援する副校長・教頭マネジメント支援員を新 たに創設し、令和6年度予算に盛り込んでいる。これにより、副校長・教頭の負担軽減や学校マ ネジメント機能の強化を図り、令和7年度についても、財政当局との調整となるが、文部科学省としては引き続き予算確保に努めていく。

○ 要望6について

 給与については定年延長後は当面7割という方針になっている。ただ、国家公務員の給与に係る人事院の検討をしっかりと注視し、管理職の処遇改善を一体的に進めていく。

 特例任用校長の採用及びそれに準ずる職の設置については、いわゆる役職定年制に該当する職員について、他の職に異動することで公務の運営に著しい影響を及ぼす場合という条件の下で、現状においても1年単位で延長し引き続きその管理職に留め置くことのできる「勤務延長型特例任用」等が認められている。文部科学省としては、現行制度をしっかり活用してもらえるよう周知を図っていく。また、それに準ずる職の設置については、新たに職を設けるにあたり、その職の職務内容が全国的に定型化されているか、他の法令の規定と整合性が保たれているか、といった様々な事情を勘案する必要がある。今後検討していきたい。

意見及び回答

○ 義務標準法の改正に関連して

【全日教連】

 現場では教職員不足、欠員による教科指導、学級指導への対応、様々な課題への対応で副校 長・教頭の負担が非常に大きくなっている。定数枠外で教職員が増となれば学校運営上も非常に助かる。中教審審議でも取り上げられているとのことだが、詳しく聞かせてほしい。

【文部科学省】

 現行の定数上の取り扱いは、歴史的背景があって今の規定となっている。例えば複数配置について、小学校では 35 人学級化に伴い、27 学級以上に該当すれば複数配置となり、定数改善が行われる。このようなことから、副校長・教頭のみの定数改善は非常に難しい。副校長・教頭マネジ メント支援員でのサポートという形もある。中教審の議論を踏まえ総合的に検討していきたい。 課題としては充分認識しているが、副校長・教頭の定数が変わらないにしても教諭全体の定数改善により手厚く支援していけるよう検討していきたい。

○ 優秀な人材を管理職に登用する方策について

【全日教連】

 教職調整額について教諭については 10%以上という具体的な数字が示されているが、管理職の 処遇改善については具体的にどういった割合で検討されているのか。

【文部科学省】

 具体的な数値は答えられないが、教職調整額については少なくとも10%以上と示されているので、例えば教諭及び主幹教諭の教職調整額を10%に引き上げた場合、そこで逆転現象が起きないようにしていく。管理職手当については、どの程度を維持・改善するか処遇だけでなく働き方改革、指導体制も含めた検討を行っている。

○ 定年引上げ後の勤務に関する取組について

【全日教連】

 60 歳を過ぎても教職に意欲的な職員も少なくないが、例えば校長を勤めていた方が教諭になる と、長年授業や担任から離れていたことで負担が大きく、精神疾患等で退職されるケースもある。60 歳以上の方、再任用の職員がより意欲をもって働いてもらうことは昨今の教職員不足の解消にもつながる。岐阜県の事例では、「シニア学級担任手当」というものを県独自で実施しているということである。こういった好事例を全国的に拡大ができればと考えるが、何か検討されていることはあるか。

【文部科学省】

 文部科学省は人事行政状況調査により、年齢別で精神疾患により休職をされている方の数を把握している。50 代以上の方々の割合も少なくない状況を受け、令和5年度から「公立学校教員の メンタルヘルス対策に関する調査研究事業」を実施し令和6年度においても各地方公共団体でモデル事業を展開している。一部の地方公共団体では、管理職にスポットを当て、管理職特有の悩みで精神疾患になる状況も把握している。例えばオンラインで産業医に相談ができる仕組みを整えていたところもある。管理職向けのメンタルヘルス対策もまだまだ一部で、主眼が若手に置かれがちだが、60 歳以上の方、管理職が働きやすいような環境を設けられるよう対応を検討していきたい。