2021年4月の記事一覧
大人になる No7
【 泣こう ① 】
みんなには大好きな人がいるよね。お父さん、お母さん、おばあさん、おじいさん、兄弟、姉妹、友達、恋人、小さい頃から一緒だったペットのいる人も。でも人は、大好きな人にさよならを言わなければならない時がある。仕事で遠くへ行ってしまう人、離婚して離ればなれになる家族、違う人生を求めて旅立つ人、たった1人の友達が引っ越してしまう、大好きなお兄さんが家族と離れてひとり暮らしを始める、大好きな人が死んでしまうことだってある。生きている限り、人も、動物や植物もみんな、いずれは死んでしまう。大切な人を失ってしまったら、誰だって、つらく悲しい気持ちになる。それは自然な気持ちだ。そんな時、悲しんでばかりいてはダメだとかしっかりしなくちゃなんて思って、必要以上にがんばってしまうかもしれない。「あの人がいなくても大丈夫」とか、「淋しくなんかない」なんて言ってしまうかもしれない。だけど、無理をして頑張っても、悲しい気持ちや、つらい気持ちが消えてなくなるわけじゃない。身体の中に残った悲しい気持ちのせいで、病気になってしまうこともある。だから、悲しい気持ちをどこかへ追いやったり、押さえつけたり、かくしたりしてはいけない。悲しみにたえているのは、そうしなければ悲しみに負けてしまうからだと君は思うかもしれない。でも、悲しみを感じ、悲しみにひたることはとても大切なこと。悲しいときは、ちゃんと悲しもう。悲しむことは悪いことじゃない。悲しいときや、つらいときは、まず泣こう。泣けば、悲しみやつらさは、君の中から少しずつ外へ出て行く。誰だって悲しいときは泣くんだよ。泣きたいときは、いっぱい泣こう。泣くとそのあと気持ちが楽になり、心が軽くなった気がする。まわりには、ちゃんとわかってくれる家族や仲間がいる。涙は、君の心を優しく包む。涙を流し、悲しみに包まれよう。涙は、君の心の中に降る雨のしずくのようなもの。悲しみや痛みを静かに、ゆっくり洗いながしてくれる。 つづく (4月28日 校長)