ブログ

ほごログ

一ノ割香取神社鰐口『新編図録春日部の歴史』からのご紹介ーその4

『新編武蔵風土記稿』に、一ノ割香取神社に伝えられた「鰐口(わにぐち)」の図が掲載されています。
「鰐口」とは、神社仏閣の正面の軒先に掛けられているもので、お参りの際に「鰐口」の前にぶら下がる太い網を用いて打ち鳴らします。
この「鰐口」は現存しませんが、以下のような銘文が記されています。

「享徳三年本願末太郎 新方壮(荘)一被目香取大明神鰐口」

享徳(きょうとく)3年(1454)に奉納された「鰐口」で、室町時代から「新方荘(にいかたしょう)」という地名が使われていたことや、「一被目」は「一ノ割」を表し、一ノ割香取神社がこの当時には存在していたことがわかります。

「神社と信仰」 『新編 図録 春日部の歴史』 70ページ

一ノ割香取神社鰐口

小淵山観音院所有の円空仏が撮影されました

3月7日、埼玉県立歴史と民俗の博物館において、埼玉県の指定文化財になっている小淵山観音院所有の円空仏7体を対象に、テレビ用の撮影が行われました。

それぞれの円空仏について時間をかけじっくりと撮影され、また様々な角度から照明をあてることにより、いつもとは違う円空仏の表情がおさめられました。

円空仏が動画で撮影されることは非常にまれですので、貴重な映像が残されたといえます。
放映については下記のとおりです。ぜひご覧ください。

番組名 『にっぽん!歴史鑑定』円空〜微笑する円空の謎

放送局 BS-TBS

放送日時 2017 年3 月27 日(月)22 時00 分~22 時54 分放送

司会 田辺誠一

番組概要 全国を行脚して仏像を作り続けた円空の生涯と仏像に秘められた思いをご紹介します。
撮影風景

なお小淵山観音院の円空仏は、今年も5月の円空仏祭で里帰りし公開されます。円空仏祭は、5月3日(水・祝)~7日(日)10時~17時に行われます。

上沖小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました

平成29年3月7日に上沖小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました。
少し前の"おもちゃ"や学用品・家庭で使われていた道具・農具を見ながら、生活の変化を理解していました。
郷土資料館では、3月19日(日)まで「くらしのうつりかわり―懐かしの暮らしと道具展」を開催しており、昔の懐かしい道具や写真を展示しています。ぜひ遊びに来てください。
上沖小見学の様子
上沖小見学の様子

鉛筆 歴史文化講演会を開催しました。

平成29年3月5日(日)、視聴覚ホールにおいて、歴史文化講演会を開催しました。
今回は、長く埼玉県の民俗学担当の学芸員を務めてこられた、飯塚好(いいづかみよし)先生をお招きして、「埼葛地方の祭りと行事」と題してご講演いただきました。
会場の様子
ご講演では、市内の行なわれる、オビシャ(ユミイリ)、百万遍(ナイダー)、天王様、大杉様、虫追い、宮薙(ミヤナギ)、獅子頭に関わる祭礼(獅子舞など)など、伝統的な年中行事について紹介され、それぞれの行事の意味づけや地域的な特徴についてお話しいただきました。

個人的に印象に残ったのは、三頭立ての獅子舞における獅子の呼称に注目されたことです。牡獅子のうち一頭を「太夫(たゆう)」と呼んでいるものは、祈祷の性格が強い獅子舞とのことで、市内で行なわれる三頭立て獅子舞には、それぞれ「太夫獅子」が登場するので、西金野井、銚子口、赤沼、東中野地区の獅子舞は祈祷の性格が強いのではないか、と推察されておられました。長年、三頭立ての獅子舞の調査研究を積み重ねてこられた飯塚先生ならではのご指摘だったと思います。
飯塚好先生

ご講演のあとには、受講者の方より、農業の経験がないので新鮮だったとの感想や、春日部市内の小学校で行なわれている地域の伝統芸能を継承する取り組みは他の地域では行なわれているのか、など活発な質疑応答となりました。

大判の絵図整理その2

昨日に引続いて、豊春の旧家からいただいた大判の絵図の整理を行ないました。
絵図の整理の様子
本日、整理したものは昨日のものに比べて資料の状態が悪く、絵図を広げるのに一苦労しました。広げるときに、湿気で紙と紙がくっついているので、「ぺりぺり」という音をたてながら、調査をすすめました。おそらく、今回調査した絵図は、どれも数十年ぶりなのかもしれません。大変ですが、数十年ぶりに広げることに立ち会えるのは貴重な体験です。

明治時代後期の字切図(あざきりず)が中心でしたが、古いものには明治9年(1878)地租改正の際に作製された「地引絵図」がありました。道口蛭田村のものです。
道口蛭田村地引絵図
ただ、字(あざ)ごとに区切られているものであるため、どこの地区の絵図なのか、わからないものもいくつかありました。今後の調査が必要です。

今回整理したある絵図に小豆くらいの黒い物体(下の写真)がついていました。
ゴキブリの卵鞘
これは、ゴキブリの卵鞘(らんしょう)です。
ゴキブリは一つの卵を産むのではなく、複数の卵をカプセルのような鞘(さや)として産むそうです。ゴキブリは雑食性なので、紙だけでなく、プラスチックでも食べてしまう、文化財にとって害虫になります。幸か不幸か、この卵鞘は孵化した後だったようで、中身は空(から)でした。おそらく、寄贈される前に孵化したのではないかと思います。
郷土資料館では、寄贈で受け入れた資料を保存するため、逐次ガス燻蒸(くんじょう)し、殺虫・殺卵・殺菌しています。ですから、孵化前の卵鞘だったとしても、安心してください!

今回ご紹介した資料整理、ガス燻蒸は、いずれも地域の資料を後世に伝えていくために必要不可欠なプロセスなのです。