校長室から
修了式
今、代表生徒に修了証書を渡しました。
それぞれ、1年間の学習を修めたことを証します。これで、1年生は2年生へ、2年生は3年生に進級できます。おめでどうございます。
さて、明日からの春休み、各学年、ワークなどの課題が出ています。理解しているかチェックして、できなかった問題をできるようにしてから新年度を迎えて欲しいと思います。
私の本音を言います。宿題ややり残しの課題はなるべく無しにしたいと思っています。しかし、家庭学習をしなくて良いということではありません。自分で考えて、自分のやり方で必要な家庭学習を行うように「自律して欲しい」と思っています。宿題をこなしているだけでは、残念ながら、学力はあまり伸びないことが多いからです。
さて、今日の修了式で、二つの話をします。一つ目。
3月10日、卒業式予行の日を思い出してください。次の日が、東日本大震災から12年になるということで、地震や津波で亡くなった多くの方の御霊に黙とうを捧げました。翌3月11日にはWBC侍ジャパンの試合があり、「佐々木朗希(ろうき)」投手が好投して勝利しました。実は、佐々木選手は12年前の津波で父親と祖父母を亡くしています。その命日に、日本代表としてマウンドに登ったことは偶然でしょうか?佐々木選手は3年前の新型コロナ感染拡大による全国の学校の休校中に、新聞を通じて子供達にメッセージを送っています。読みます。『休校中の君へ』
「やることがない、与えられることがない時に、自分で考えてやることが求められる。すごく良い機会になる。その時の方が、野球も勉強も伸びる。」
佐々木選手は、小学校3年生の時に東日本大震災で学校が閉鎖されて、しばらく勉強ができなかったり、大好きな野球ができなかった経験をしています。高校は甲子園を狙うような強豪校からの誘いを全部断り、練習時間が短い地元の高校を選び、自分で考えて工夫して練習をしました。それらの経験が、昨年、史上最年少20歳にして完全試合を達成し、3日前のWBC準決勝メキシコでも好投、いずれはアメリカメジャーリーグでの活躍が期待されるような成長に繋がったのかもしれません。メッセージの一部を変えて、もう一度皆さんに伝えます。『我孫子中生へ』
「与えられない時こそ、自分で考えてやることが求められる。その方が、スポーツも勉強も伸びる。」
明日からの春休みです。皆さんが自分で考えて、自主的に学習したり、部活動をしたり、読書をしたり、お家の手伝いをしたりすることを期待しています。
二つ目の話です。
4月から、本校の「個別支援学級」の名前が、『つつじ学級』に変わります。つつじは我孫子市の花であり、本校の356号線沿いにもピンクの花をつけ、通学・通勤の方の目を楽しませています。つつじの花言葉には、「努力」や「節度」といった意味があります。我孫子中にピッタリです。
なお、「いずみ学級」の名称はそのままで変わりません。泉が湧き出るオアシスのような居心地の良いクラスを目指す、という意味があります。私は、いずみ学級だけでなく、すべての教室が、泉が湧き出るオアシスのような、誰もが過ごしやすいクラスになって欲しいと願っています。
それでは、4月6日に元気な挨拶、明るい笑顔で会いましょう。
式辞
柔らかな春の日差しに、校庭の木々の芽も膨らみ始め、自然の息吹を感じる頃となりました。
本日は、我孫子市副市長・青木章様、我孫子市教育委員会教育委員・新山訓代様、そして、保護者の皆様のご列席をいただき、第76回卒業証書授与式を挙行できますことはこの上ない喜びです。
さて、3年生の皆さん、卒業おめでとうございます。今、卒業証書を受け取り、どんな思いを抱いているでしょうか?その卒業証書は学校で様々なことを学んだ証です。学校に来られなくても、いろいろ考えたり、迷ったり、悩んだりした3年間の証です。
思い出します。5月の古都体験学習で訪れた京都・奈良。金閣寺のきらびやかさや東大寺大仏殿の圧倒的な大きさ。しかし、私は観光客の少なさに驚きました。以前ならば、日本人だけでなく外国人で混雑する神社・仏閣を待つことなくじっくりと拝観することができました。静かな三十三間堂で千手観音像にじっと見入る女子生徒の横顔、それを優しく見守る男子生徒の姿が印象的でした。現在は違います。清水寺の参道はすれ違うことも困難な程混み合っています。皆さんの訪れたあの季節だけが空いていたのです。晴天にも恵まれました。新型コロナウイルス感染拡大によって、大変なことばかりが強調されますが、幸運なこともあったのです。
とはいえ、日常生活は、様々な制約や急な変更も要求されました。その度、みなさんは臨機応変に対応してきました。やるかやらないか、行くか行かないか、自分で決めなければならない場面、我慢しなければならないことも沢山あったでしょう。
11月から12月にかけて、3年生全員と面談を行いました。面接試験が有る無しに関わらず、面談をしたことで、一人ひとりに輝く個性があることを改めて感じました。自分の長所を理解し、趣味や特技を持ち、友達とのつき合い方などにしっかりとした自分の考えを持っていました。この世代は可哀そうな世代じゃない。臨機応変に対応できる柔軟性と強い個性を持つ、たくましい生徒達、それが皆さんの特徴です。これからのアフターコロナの世界において、ひときわ輝く世代になると確信しています。
そんな皆さんの卒業にあたり、一つの言葉を伝えます。「至誠(しせい)」。きわめて誠実なこと、まごころです。そして、「至誠通天(至誠天に通ず)」。誠の心を尽くして行動すれば、いつか天に通じて認められる、という意味です。これは、江戸時代末期の長州藩、今の山口県で塾を開いていた吉田松陰という人が塾生に説いた言葉です。この塾から初代総理大臣、伊藤博文や高杉晋作など、世の中を変えた多くの人材が輩出されています。誠実に何をするか?それは当たり前の事でもよいのです。例えば、あいさつです。掃除です。毎日の授業です。家のお手伝いです。返事をすることです。花に水をあげることです。そして、何のためにやるか、という目的が重要です。「自らあいさつすることで、相手を尊重し、積極的な自分をつくる」というように目的を自分で決めて、徹底して取り組むことが大切です。
3年生の保健委員の子が言いました。「保健委員会の仕事は目立たないけれど大切な仕事です」。その目的は、「クラスのみんなの健康を守るため」。そんな思いで日々の自分の役割・仕事を誠実に行うこと、それも「至誠」です。
私には何の才能も特技もありませんが、継続して自分の仕事に真剣に取り組み、ボランティア活動も続けてきました。それが私の「至誠」です。結果、いろいろな人達と知り合い、人生が豊かになりました。そして、我孫子中学校に赴任して皆さんと出会うことができました。私の思いは天に通じました。「ありがとう」という気持ちでいっぱいです。
思い出します。11月の合唱コンクール、3年生の美しい歌声に感動しながら、歌詞の一部を書き取りました。
「ぼくらの別れを誰かが出会いと呼んだ」。「信じることは生きる源」。
卒業式は別れの日ですが、これからたくさんの人との出会いが待っています。新しい友や先生と話し、学び、様々な楽しい経験を積んで大きく成長していくことを私は信じています。それでも迷うこと、苦しい時もあるでしょう。時々、空を見上げてください。
「同じ空の下、どこかで僕たちはいつもつながっている」。
我孫子中の友達も同じ空の下で、迷いながらも頑張っています。私も、先生達も、時々空を見上げて、皆さんにYELLを贈りたいと思います。
保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。これまでの本校の教育活動への、ご理解とご協力に深く感謝します。
結びになりますが、卒業生がそれぞれの幸せを自分の力で見つけることを、そして、ご家族のご健康とご多幸をお祈りして、式辞と致します。
令和5年3月15日
我孫子市立我孫子中学校
校長 鈴木 与志実
小中一貫
「小中一貫の日」 校長の挨拶
今日の「小中一貫の日」に、我孫子中学校に来てくれて、とても嬉しく思います。
さて、4月からいよいよ中学生です。もう制服の準備などをしましたか? 本校では、3年前に制服が男女共通のブレザーの形に変わりました。そして、来年は通学バックも縦型に変わったり、体操服に紺色のTシャツが加わったり、学校生活の決まり事も変わってきています。もちろん校則はありますが、あれダメ、これダメというのではなく、自分で考えるということを大切にしていきます。難しい言葉ですが、中学校では「自律」を目指しています。「自分で考えて、自分で決めて、自分で行動する」。ということです。もちろん未だ子供ですから「自分で考えて、決めて、行動する」と間違えることもあります。大人だって、私だって間違えます。失敗から学ぶことも大切な学習であり、大切な経験です。皆さんにも、3年間の中学校生活でこの「自律の力」を身に付けて欲しいと願っています。
中学校の学習や生活にいろいろな不安があるかもしれませんが、小学校6年間で積み上げてきた力があれば、大丈夫です。小学校ではリーダーとして活躍してきた6年生が入ってきて7年生になると思って接しますので、活躍を大いに期待しています。
ただし、学習する場所も友達も先生も変わるので、その面では一旦リセットです。他の小学校、二小、三小、高野山小だけでなく、市内の他の小学校や千葉県外から来る子もいます。そして、クラスだけでなく、部活の友達、先輩達というように交友関係が広がります。さらに、学級担任だけでなく、教科担任や部活動の担当の先生等、中学校では、新しく広い人間関係を作っていってください。きっと、気が合う友達や頼れる先生がいるはずです。
もしかしたら、先輩が怖いとか、いじめられるとか、ネガティブな噂があるかもしれません。昔はそういうことがあったかもしれませんが、今の先輩はみんな優しく接してくれますので、安心してください。何かあったら、味方になってくれる人はたくさんいますので、頼ってください。
今日は、1年生の授業を見学しました。そして、これから2年生が我孫子中の生活を紹介するので、少しでも不安が解消されれば良いと思っています。
それでは、4月11日の入学式で、皆さんに会えることを在校生も先生達も楽しみにしています。
3学期 始業式
明けましておめでとうございます。
充実した冬休みを過ごすことはできたでしょうか。
1月2日・3日にテレビ放送された箱根駅伝に我孫子中の卒業生の二人、M君とS君が今年も出場しました。特に4年生のM君は東洋大学のキャプテンとして一番苦しい山登りの5区を走りました。
また、一昨日の銚子駅伝大会に本校駅伝部が出場し、Aチームが優勝、Bチームも6位入賞という素晴らしい結果でした。新年、在校生も卒業生も頑張っていることを嬉しく思います。
さて、2学期の終業式に、「1月1日元旦に目標を立てましょう」という話をしました。皆さん、実行しましたね。私はいつも同じで、「教師として学び続ける」。私が学び続けなければ、皆に「勉強しろ」と言えません。また、校長として、我孫子中学校をこういう学校にしたい、という目標も立てましたが、それは後で話します。
目標を立てた後、近所の神社でおみくじを引きました。今年こそ「大吉」という思いで引いたら、「末吉」。吉の中で一番下です。こう書いてありました。『強いてしようとすると思わぬ災いにあいます。つつしんで事を行え』。
その時、私は思いました。
「我孫子中学校をこういう学校にしたいなんて、私だけの思いを目標として生徒の皆に押し付けてはいけない。だから、みんなに聞いてもらって、理解を得よう、共感してくる人もいるだろう。」と。当たり前ですが、学校の主役、主人公は皆さんです。まずは、私の願いとして話をしようということです。
校長としての私の願いは、「一人ひとりにとって、過ごしやすく、学びが実感できる学校」です。具体的にイメージを伝えます。
先ず、「一人ひとりにとって過ごしやすいとは…」
もちろん、過ごしやすいというのは自宅の過ごしやすさとは違います。皆が自由気ままにふるまったら、過ごしやすくなくなってしまいます。
・一部の子が辛い思いをしていない。
・自分で、自分達で決める自由度が多い。
・ 体も心も傷つけられる心配がなく、安心して生活できる。
・お互いが尊重され、思ったことが話せる。
・ 挑戦や失敗が許されるし、間違ってもやり直せる。
・仲間に入りたい時は入れるし、一人でいたいことも認められる。
・ずるいことをする人がいないので、まじめな人が報われる。
次に、「一人ひとりに学びの実感があるというのは…」
・今日の授業で学んでいることが、先生の指導や友達の手助けも借りながらわかる。
・ 「なるほど~」「わかった」という瞬間がある。
・ 自分と違う友達の意見を聞いて、考えが広がる。
・振り返って、自分が理解したこと、もっと調べたいこと、さらなる疑問が自覚できる。
・友達と勉強したり、部活動したりが楽しかったと思える。
・先輩や友達の良い点を見習うことができる。
・今日も頑張ったなと思える。
そんな学校になって欲しいという校長としての願いですが、本校に合っている、本校ならできると感じています。なぜなら、我孫子中には「優しい子が多いこと」や「楽しく一生懸命に取り組むことができる」という素晴らしい長所があるからです。
以上、私の願いを理解してくれますか?共感してくれますか?
学校をつくる主体は、生徒の皆さんです。そして、学校を作っている単位は、学級です。ぜひ、皆さんの学級においても「一人ひとりにとって、過ごしやすく、学びが実感できる学級」であることを期待しています。
3学期はまとめの時期と言われます。私が考えるまとめとは、自分で、自分達でできることが多くなっていると実感できることです。一緒に頑張りましょう。
2学期終業式
2学期は、9月の体育祭から始まり、アビ☆フェス、合唱コンクール等の行事に、楽しんで一生懸命に取り組む姿が見られました。
あと8日で2022年、寅年の令和4年も終わります。1月1日を元日、特に午前中を「元旦」と言います。昔から「1年の計は元旦にあり」と言い、まずは目標を立てなさいという教えです。ぜひ決意を込めて、午前早くに目標を立ててください。3年生は進路の目標になる人も多いかと思いますが、入口だけでなく、新しい進路先で何をするか、わくわくしながら目標を立てて欲しいと思います。
現在3年生の一人ひとりと面談をしています。3年生の人柄が少しわかって、話すことがとても楽しく感じます。「趣味はありますか?」に対して「読書」を挙げる人が、思った以上にいます。もちろん小説等を読む人も多いのですが、マンガを挙げる人もいます。私も小学生の頃からマンガ好きなので、今日は、マンガやアニメの名言・名台詞から大切なことを伝えたいと思います。今年の振り返りと来年の目標に生かしてください。
特に1年生に伝えたいこと。
名探偵コナンからの名言・名台詞です。
主人公コナン君が少年探偵団の2人の口喧嘩を
止めるためにかけた言葉です。
「一度口から出しちまった言葉は、もう元には戻せねーんだぞ…
言葉は刃物なんだ。使い方を間違えると、やっかいな凶器になる…
言葉のすれ違いで一生の友達を失うこともあるんだ…」
人は感情的になると、心にもない言葉を発して相手を傷つけてしまいがちです。たった一言が相手と深い溝を作ってしまうこともあります。
しかし、私は絶対に取り返しがつかないことだとは思いません。言われた子が「今のは傷ついたよ」、周りの子が「それは言い過ぎでしょ」等と伝えることができて、本人が素直に反省できれば…。ぜひ、寛容な広い心で次のチャンスをください。
このように、直接の会話なら、悲しみや怒りの感情を伝えることで修復することは可能だと思います。難しいのは、SNS等、ネット上の言葉です。相手の顔も口調も伝わってきませんし、文字は消せません。より慎重な会話が求められます。大事なことは直接話すことを大切にしてください。
次に、特に2年生に伝えたい名言、名セリフ。
ONE PIECEより、サンジの台詞。
「誰にでもできる事とできねェ事がある
お前にできねェ事はおれがやる
おれにできねェ事をお前がやれ!!!」
できることとできないことは人によって違います。それが個性です。何でもできるように見える人でも苦手としていることはあります。自分に自信がない人、あなたにも必ず長所があります。学級や部活動、家庭内、地域において、あなたの出番は必ずあります。縁の下の力持ちだってとても重要な役割です。自分の良い部分を見つけて、自分らしく活躍することを目指しましょう。
最後に3年生に伝えたい名言、名セリフ。
MAJOR(メジャー)より、主人公・茂野吾郎(しげのごろう)
の台詞です。
「他人(ひと)にやらされてた練習を、
努力とは言わねぇだろ」
本当の努力とは、自分の成長のために知識やスキルを磨くことで、他人に強制されたものではありません。毎日、受験勉強をやっているのになかなか成果が出せないと悩んでいるとき、本当に自分からやっているか、自分に問いかけて欲しいと思います。人生で最も勉強に集中する時期は、今かもしれません。この経験はきっと生きてきます。どうせやるなら嫌々ではなく、あなたの人生の糧になるように前向きに取り組んで欲しいと思います。私は高校の時に友達から「どうせやるんだろ。だったら自分からやれよ」と言われて、頭を殴られた気がしました。この友達は私の神です。
マンガやアニメからも学ぶことはたくさんあります。皆の好きなマンガや小説等、お友達に伝えたり、私に教えてください。3年生の中には文庫本を貸してくれた人もいました。ありがとう。
読書にいそしむも良し、自分でよく考えて、有意義な冬休みを過ごしてください。