2024年12月の記事一覧
校長室のひとりごと「年内最後の登校」
今日12月23日、上皇陛下は91歳の誕生日をお迎えになられました。上皇陛下が天皇時代には「天皇誕生日」今日は祝日でしたね。どことなく今日が祝日でないことに違和感を感じるのは平成時代に活躍されてきた皆さんも同じではないでしょうか。
そんな今日、野田市の学校は年内最後の登校日になります。二学期制のため終業式ではありませんが、年内最後、そして冬休み前ということで全校集会をこの後行います。我々教員にとって冬休みなど長期の休みはとても心配なものです。例えば夏休み、40日以上の長期となれば、思春期の中学生が変貌するのに十分な時間があるためです。そしてこの冬休みは、Xmasや年末年始、社会全体がどことなく落ち着かず初詣など夜間の外出もあるかもしれません。大人はお酒の機会が増え、子どもが初めて飲酒を経験するのも実はこの時期です。ましてお年玉など多額のお金を手にする時期でもあり、悪い輩はそんなお金を狙っています。教師として注意喚起をあれもこれもしたいのですが、話が長ければ長いほど子ども達の心には届かないものです。今日この後の全校集会で私は、一番の心配事である「SNS」の使い方について話そうと思っています。やはりこの時期、仲間同士で写真を撮り「SNS」にアップすることが考えられ、それがトラブルに発展することが懸念されるためです。
3年生は受験生でもあります。生徒たちにとって楽しい冬休みになることを願っています。
それでは皆さん、また新年にお会いしましょう。良いお年をお迎えくださいね。
校長室のひとりごと「右手?左手?」
突然ですが、皆さんはどちらの手でスマホを持ちますか。右手ですか、それとも左手ですか。ちなみに私は右利きですが、当たり前のように左手でスマホを持ちます。もう何十年もそうしています。ですから、ズボンの左ポケットに入れるのが定位置です。しかし、この利き手と逆の手でスマホを持つことが、どうやら「昭和世代」の特徴らしいのです。そう言えばZ世代の息子や娘は右手(利き手)でスマホを持っています。そもそも携帯電話が普及し始めたのは平成の時代、それまで電話といえば「固定電話」、それも昭和はダイヤル式だったりしました。その名残りで、右手でダイヤルを回し左手で受話器を持つことが習慣となっていました。また、電話口でペンを持ちメモするのも右手、受話器を利き手ではない左手で持つことが染み付いているためだと言われています。Z世代はそもそもダイヤルやボタンをプッシュする経験がないため、自然と操作しやすい利き手を使う習慣があるようです。おまけにZ世代の息子や娘を観察すると文字を入力する際も、ほとんどの操作をスマホを持っている手の親指で完結しています。ちなみに私は左手でスマホを持ち、右手で操作、つまり両手を駆使してスマホの操作をしています。こんなところでも「昭和世代は年寄り扱いされるのか(?)」と悔しくて右手でスマホを持ち親指で操作してやろうと意気込んでみても、できないばかりか違和感の塊です。仕方ないので今まで通り左手でスマホを持ち、せめて左手の親指だけで操作できるよう現在特訓中です。
皆さんはどちらの手で持ちますか?
校長室のひとりごと「日本式学校教育②」
今、一本の日本のドキュメンタリー映画が海外で話題になっています。この映画を見た各国の教育関係者の評価は次の通りです。
フィンランドでは「コミュニティづくりの教科書。自分たちの教育を見直す場になった」。アメリカは「自分たちのことは自分たちでやるということを学ぶ、最高の見本」。ドイツは「日本人は小さい頃から周りと協力する意識が自然と身についている。だから地震がきても慌てず、コロナ中もうまく対応できたのだろう」。ギリシャは「日本の子どもたちの責任感がすごい。小さな子どもを信頼する先生もすごい」などと高評価を得ています。
この映画はイギリス人の父と日本人の母を持つ「山崎エマ監督」が手掛けたドキュメンタリーです。監督自身は日本の公立小学校に通い、その後インターナショナルスクールへ。卒業後はアメリカの大学に通ってきました。そんな監督自身が周りから評価され自分の強みと感じている「自分のことは自分でやる」「時間を守る」などの習慣は、日本の小学校で学び身につけたことであり、日本人の原点は小学校にあると考えたそうです。その日本の小学校の様子を世界中に紹介したいと日本の公立小学校で1年間、150日、700時間にも及ぶ撮影で出来上がった「小学校〜それは小さな社会〜」という映画です。実は予告編は見ましたが、まだ私も見ていません。ぜひ近々見たいと思っています。最後にこの映画のキャッチコピーを紹介します。
「6歳児は世界どこでも同じようだけれど、12歳になる頃には日本の子どもは“日本人“になっている」
校長室のひとりごと「日本式学校教育」①
現行の学習指導要領では「全ての児童生徒の可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの一体化」を目指すことが「令和の日本型教育」だと記されています。似ている言葉で混乱しそうですが、今日は諸外国から注目を集めている「日本式学校教育」について書いてみます。
2016年エジプト首相が来日の際に訪れた小学校の様子に衝撃を受け5年前よりエジプトの学校で「日本式学校教育」を取り入れ始め、今やその「日本式学校教育」は中東各地に広がりを見せているそうです。ではその「日本式学校教育」とは何なのか、例えば「全員で分担して掃除をする」「話し合い活動で問題を解決する」「日直や給食当番」など、我々日本人がこれまで当たり前に経験してきたことをまとめて「日本式学校教育」と読んでいます。特に「特別活動」特活と言われる話し合い活動等は社会性を身につけるのに大いに役立っているとエジプトカイロの小学校の校長先生は話しています。またエジプトでは「掃除は社会階層の低い人がやること」という意識があり導入当時は保護者から疑問視する意見も少なくなかったようですが、今では「子供が家でも整理整頓するようになった」と評価する保護者が大半だそうです。
現在エジプトで「日本式学校教育」を取り入れているのは51校ですが、入学希望者は定員の5倍の人気で、今後「日本式学校教育」を取り入れた学校を増やしていく方針だそうです。日本人として誇らしい気持ちになる話ですよね。
校長室のひとりごと「下の名前」
入学式では新入生一人ひとりの名前を呼び、呼ばれた新入生は「ハイ」と元気に返事をします。卒業式では、卒業生一人ひとりを呼名し卒業証書を手渡します。学校ではこのように入学から卒業までの間、何回も生徒の名前を呼ぶ機会があるものです。入学式や卒業式などフルネームで呼ぶ機会は教師にとって特別なもので、絶対に失敗しちゃいけないタイミングでもあり、とても緊張するものです。そんな教師にとって、最近の名前の読み方が難しすぎて悩みの種です。
先日、今年に生まれた子どもの名前ランキングなるものが発表されました。年々初見では下の名前を読めなくなってきており、比較的キラキラネームに慣れている教師である私にも手強い名前もあります。
男の子 1位「陽翔(はると)」2位「凪(なぎ)」3位「朝陽(あさひ)」4位「暖(だん、はる)」5位「陽向(ひなた)」です。そして女の子では1位「紬(つむぎ)」2位「翠(すい)」3位「凛(りん)」4位「陽葵(ひまり)」5位「芽依(めい)」でした。近年のグローバル化を背景に、英語でも表記、呼びやすい名前が増えているそうです。
校長室のひとりごと「年賀状じまい」
今年はいつまでも暑い日が続き、やっと秋が訪れたかと思えば、すぐに冬の寒さ、どうも季節感がうまく掴めないまま、12月も中旬です。物価の高騰の影響か、X‘mas商戦も以前ほど激戦ではないように感じます。また、以前であれば師走の声を聞けば「そろそろ書き始めるか」と年賀状が気になるはずなのですが、今年は少し違います。今年も年賀状の受付が始まりましたが、最近の「年賀状離れ」の影響か、年賀状に関連するCMやメディアの報道も少なくなっているように感じます。
年末年始の風物詩でもある「年賀状」、SNSやメールの普及など時代の変化とともにその在り方も変わってきました。相手との関係を壊すことなく年賀状のやり取りをやめる人も増えてきていることから「年賀状じまい」という新しい文化(?)も生まれています。以前は「年賀状」とネットで検索すれば来年の干支にちなんだ文例集やイラスト関連のサイトばかりでしたが、今は「年賀状じまい文例集」なども目につきます。
平安貴族が遠方への「年始の挨拶回り」に代わって手紙を届けたという起源を持ち、江戸時代には飛脚の台頭から庶民にも広まった歴史を持つ「年賀状文化」なだけに「年賀状じまい」は少し寂しい気がしますが、これが時代の流れ、社会の変化ということなのでしょうか。
校長室のひとりごと「金」
漢字一文字で世相を表す「今年の漢字」が昨日漢字能力検定協会により発表されました。京都清水寺の舞台で大筆で豪快に書き発表される、あれです。もうご存知の方も多いと思いますが、今年の漢字は「金」に決定しました。「金」はこれで5回目、過去には2021年、2016年、2012年、2000年も「金」が今年の漢字に選ばれました。と、ここで「金」の5回の共通点がお分かりですか。そうです、いずれも五輪イヤーで日本選手が活躍した年なんです。
この「今年の漢字」の始まりは1995年、その年の1月には阪神淡路大震災が発生したこともあり、漢字は「震」でした。「今年の漢字」をもとにその年を振り返ってみます。
1998年 毒入りカレー事件 「毒」
2001年 アメリカ同時多発テロ事件 「戦」
2002年 北朝鮮拉致被害者帰国 「帰」
2010年 記録的猛暑 「暑」
2015年 消費税引き上げ 「税」
2019年 新元号 令和 「令」
2020年 新型コロナ蔓延 「密」 という年がありました。
あと二週間で2025年の幕開けですね。来年はどんな一年になり、どんな漢字が「今年の漢字」に選ばれるのでしょうか。
校長室のひとりごと「鈴木貫太郎翁」
皆さんは「鈴木貫太郎」という名前をご存知でしょうか。
ここ野田市(関宿)の偉人として名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。「鈴木貫太郎(敬称は省略します)」は戦時下の1945年に総理大臣になり、終戦直後までの約4ヶ月間総理大臣を務め「戦争を終わらせた総理大臣」として知られています。この程度の知識しか私はありませんでしたが、やはり野田市に住み野田市で働く者として、今一度「鈴木貫太郎」のことを正しく知ろうと思い、鈴木貫太郎のお孫さんの著書を読むことにしました。「正しく知ろう」と書きましたが、この鈴木貫太郎がポツダム宣言の受諾を断ったから広島、長崎に原爆を落とされたのではないか、など史実に誤って伝わる部分もあるため「本当のところはどうなのか」という興味が湧いたためです。今回「祖父、鈴木貫太郎」というお孫さんの著書を読んでいます。家族として、そばで見てきたこと、家族しか知らないことなどが書かれた本のページが進むにつれて、改めて鈴木貫太郎の偉大さが伝わってきました。戦乱の中勃発した「ニ・ニ六事件」では実際に事件の標的の一人となり4発の銃弾を浴び、奇跡的に命を取り留めたこと、もともと海軍の軍人で多くの実績を上げてきたこと、そして何より「戦争継続だ」と軍部も国民までも欺き、昭和天皇との関係やお考えを悟り終戦への道を模索していたことなど、読めば読むほど、現代日本があるのも鈴木貫太郎のおかげであり、彼が長年望んでいたことなのだと感じました。
鈴木貫太郎記念館は現在修復中ですが、完成の折にはぜひ足を運びたいと思います。
校長室のひとりごと「過去から未来を探る」
羊の「ドリー」を覚えていますか?当時の最先端技術を結集させ1996年に誕生した羊のクローン「ドリー」です。このクローン羊の誕生は大きな話題となりました。それ以来遺伝子学は飛躍的に進み、今では実際にペットの犬のクローンを誕生させるなどの事例が報道されています。
ところで「絶滅した動物を現代に甦らせる」と言えば、映画の世界でCGを駆使しまるで本当に恐竜が蘇ったかのように描かれたりしています。「絶滅した動物を現代に甦らせる」、実際にそんな研究が進んでいることはあまり知られていませんが、地球温暖化により溶け始めた永久凍土の中からは様々な物が冷凍保存状態で発見されています。マンモスも良い保存状態で発見されていますが、そのマンモスの遺体のDNAを採取し「マンモス復活プロジェクト」なるものが進められているそうです。研究の進行度合いや、マンモスがいつ蘇るのかなどはまだ先の話ですが、近い将来動物園でマンモスが見られる日が来るかもしれません。
この「マンモス復活プロジェクト」は、単に甦らせることだけが目的ではなく、現在絶滅の危機にある他の動物の絶滅防止、氷河期に生息した生きたマンモスを調べることで、気候変動に関する研究を進めるといった、その先を見据えているそうです。絶滅したマンモスが地球を救う救世主になる日は遠くないかもしれませんね。
校長室のひとりごと「探究の種を探す」
昨日に続き探究学習について、具体的にはどういう学習なのか幾つか例を挙げてみます。ある女子高生たちは先輩たちから引き継いだものも加えた40万枚以上の撮影した雲の写真をもとに探究学習を進めました。雲の形や種類、組み合わせによって天気が予想できる、という結果を受け全国総合文化祭の自然科学部門で文部科学大臣賞に輝きました。誰しもが一度は空を見上げたことがある「雲」、この女子高生たちも同様です。ただ色々な雲の形や種類に興味を持ち「何でだろう」という「探究の種」を見つけたことが探究の実をつけたのです。
他にも、「地域の特産物を全国に広めるにはどうすれば良いか」「空き家問題」「地球温暖化」「シャッター商店街からの脱出」「スズメの急激な減少理由」「お祭りの衰退化」「AIの効果的な活用」などなど大人でも感心してしまうほどの身近な「探究の種」を見つけ探究の木を育てた例がたくさんあります。また実際に空き家問題について、自治体や不動産屋さんと連携し「高校生カフェ」をオープンしたという「探究の実」をつけた例もあります。
本校でも「野田市の活性化」「今後の豆バス」「防災と高齢化」など素晴らしい探究学習が続いています。
こういった身近な課題を解決する力が、これからの社会に求められる「生きる力」だということでしょう。